歌姫と錬金術とライダー   作:ボルメテウスさん

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ゾシモス

「さて、話をするとしても、こんな所ではあれだ。少し進むとするか」

 

「えっ?」

 

ファイクは、まさしくこの場で戦う為に構えていたが、アイザックはそのまま歩き始める。

 

錬金術師にとっては総本部と言えるこの図書館ではあるが、その余りにも無防備な背中にファイクは戸惑いを隠せなかった。

 

「どうしたんだ」

 

「いや、その、そんな無防備で」

 

「別にここで攻撃をしても良いが、それではお前達が知りたかった事が知れないぞ」

 

そう、アイザックの言葉に対して、ファイクは何も言えず、そのまま着いていく。

 

イギリスの地下深くにある歴史ある図書館に相応しい施設。

 

そう、最初の光景でファイクは思っていた。

 

だが、歩いて行く内に、その光景は大きく変わる。

 

「これは」

 

その光景は、一言で言えば、水晶の図書館。

 

周囲を見渡しても、鏡で照らしているとしか思えない施設であり、その光景にファイクは驚きを隠せなかった。

 

「図書館と言えば、本として記録されていると思われがちだが、ここで記録されている全ては光で記録されている」

 

「光?」

 

それに疑問に思っていると、アイザックは、その手にある本をこちらに見せる。

 

「ほとんどの書物が光によって記録されており、水晶の輝きひとつずつが百万から数億ほどの書物に相当する。無論、本として実体化させる事も可能だ。私はこちらの方が読みやすいからな」

 

「異端技術っ」

 

「そうとも言うな」

 

アイザックは、そう何気なく呟きながらも、そのまま手に本を持ったまま、その近くにある椅子に座る。

 

「そもそも、君達はケミーという存在をどう考えている?」

 

「ケミー?錬金術が持てる最高技術を集めて生み出した、この世の万物を模して造られた人工生命体なんだろ」

 

「そうだ。生きた錬金術とも呼べる存在であり、個体ごとの多種多様な能力を持つ。

 

そして、その中でもガイアードとドラゴナロスが最も最初に作られたケミーであるレベルナンバー10だ」

 

「最初に誕生したケミー」

 

その言葉に、驚きを隠せなかった。

 

「でも、それがここで一体どんな関係が」

 

「少し雑談だ。まぁ、この二体は特に大きく引き合っていると考えて貰えれば幸いだ。後に、君達にも役に立つだろ」

 

そして、本を開きながら、見せたのは、なんと。

 

「アダムの奴か、けど」

 

そこにいたアダムは、どこか様子が違った。

 

「彼の名はゾシモス。最初の錬金術師だ」

 

「それって、確か、パノポリスのゾシモスなのか」

 

「あぁ、そうだ。彼から全ての錬金術は始まった」

 

それと共に、その人物が錬金術を行う光景が広がっていた。

 

(これがアダムの原点)

 

ファイクはその光景に釘付けになっていた。それは他の二人も同じだったようで、全員が食い入るように見つめていた。

 

ゾシモスは、確かに、様々な事をしていた。

 

その中には、今となっても理解出来ないような実験もあった。

 

(けど)

 

その光景を見て、ファイクは疑問を感じていた。

 

何故ならその光景には、違和感があったからだ。

 

(どうしてこんなに楽しそうなんだ?)

 

そこには笑顔があり、誰もが皆、笑っていたのだ。

 

普通、こういった場合の錬金術師の表情と言えば、どれもこれも厳しい顔つきばかり。

 

なのに、その中で、ゾシモスだけは、いつも笑っていられたのか?

 

(……分からない)

 

それを見ていると、自然と不安になってくる。

 

「気づいたか?彼は確かに錬金術師を造りだした。だが、その知識の元は人が生み出した訳ではない」

 

「どういう事なんだよ?」

 

そう、ファイクが尋ねると。

 

「創造主と呼ばれる存在がいたらしい」

 

「創造主って、確か」

 

「あぁ、君達もよく知るフィーネが語っていた人物。同時に世界にバラルの呪詛をかけた存在でもある」

 

まさか、そこでその名前が出てくるとは思わなかったファイクは目を見開く。

 

「それが一体、どんな関係が」

 

「何、ここからが面白い所だ。彼は実験の最中、何時も何かの人形を持っていた。現代で言う所の藁人形に近い何かをね」

 

「藁人形?」

 

「詳細も不明だ。しかし、彼自身に関しては不明な所が多かった。しかし、ピラミッドに関係していると思われる」

 

その言葉に疑問に思う。

 

「さて、話はここまでだ」

 

「おい」

 

すると、アイザックは立ち上がる

 

「お前は、まだ戦う気なのか」

 

「元々、目的としてはそうだろ、それに、老人である私にはこれ以上未来は望めないからね」

 

それと共に、彼はその腰にドライバーを巻く。

 

「君達の可能性を、見せてくれたまえ」

 

「あぁ、もぅ!」

 

そうしながら、2人は構える。

 

「「変身!」」

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