「どうしたの、月読さん」
「一ノ瀬さん」
俺に気づいた月読さんが、こちらに振り返った。
同時に、先程までいたはずの星野さんの姿は既になかった。
夜風を浴びる散歩の為に出てくる前、同室にいた星野さんはかなりいびきをかいて寝ていたはずだが、一体。
というよりも、星野さん達のいびきがあまりにも五月蠅かったので、出て行ったのが本音だ。
まぁ、ここまでの道中で、もしかしたらすれ違ったかもしれないから、気にしても仕方ないのかな。
「こんな時間に外を出歩くなんて、感心しないわね。悪い人に攫われたら大変だぞ?」
「ごめんなさい。ちょっと眠れなくて。一ノ瀬さんは、どうしてここに? もう寝ているはずでは」
「俺は、まぁその、眠れなくて」
誤魔化すように俺は笑った。
月読さんは、それと共にどこか不安そうに表情を曇らせた。
「……何か、悩み事でも?」
そんな彼女に、俺は問いかける。月読さんは、首を振って否定する。
「わたしの問題だから、あまり気にしないでください」と言った。
「相談してくれないんですか?」
「迷惑になりますから」
しかし、未だに俯く月読さんの姿が痛々しくて放って置けず、つい食い下がってしまう。
けれどそれは、結局はただの自己満足に過ぎないんだろう。
「だって、私は、他の皆と違って、切ちゃん以外とユニゾンが出来ない。だから、私だけじゃ何もできない」
嗚咽交じりの声に聞こえたそれに、俺は口を閉ざすしかなかった。
それはまるで、俺自身にも当てはまる言葉だったからだ。
「まぁ、人ととの距離感なんて、分からないからな、本当に」
だからこそ、素直にそう口にできた。
「それに、距離は縮めるだけじゃ駄目な時もある」
「縮めるだけでは」
その言葉に、顔を上げた月読さんは問いかける。
「ケミーもまた、どう接したら良いのか分からない時がある。そんな時、ただ近づけば、それで良い訳じゃない。ゆっくりと距離を図る為に」
俺が困惑する最中。
『聞こえるか?』
「弦十郎さん?」
ふと、連絡が聞こえた。
「錬金術師が、新川越バイパスで発見した! すぐにでも向かってくれないか!」
聞こえて来た弦十郎さんの声を聞きながら、俺は頭の中で整理をする。
だけど、それよりも早く。
「いけるか、月読さん」
「はいっ」
それと共に、俺も月読さんもすぐに走り出す。
「とにかく、行こう! 変身!!」
それと共に月読さんもまた、同時にシンフォギアを身に纏う。
俺はすぐにゴルドダッシュを召喚し、乗り込む。
既にゴルドダッシュのハンドルを握り、アクセルを踏み込んみ、真っ直ぐと向かう。