「・・・何をやっているの、雪音さん?」
「えっ、お前、一ノ瀬か」
戦いが終わった後、キャロルにアサルトパンツァーのケミーを見せた。
その際の反応はかなり凄まじかったのを覚えている。
同時に、そのままアサルトパンツァーを持ったまま、部屋の中に籠もり始めた。
あぁなったキャロルはしばらく部屋からは出て来ない。
部屋の中に備え付けられている10秒飯で全てを済ませる程の徹底ぶりである。
それもあり、俺は、その夜は買い物に出ていたんだが、何やら雪音さんが、困っている様子だった。
見れば、小さい子供が近くにいるようだけど。
「知り合い?」
「違ぇよ、なんでも迷子らしいんだ」
「そうか、迷子だったのかぁ、それじゃ、一緒に探そうか」
「いや、お前、あぁ、もぅ」
既に小さい兄妹の内、妹さんの方は雪音さんに懐いている様子だった。
それを無碍にする事は出来ず、少し頭を掻いた後に、付き合う事にした。
そうして、しばらく歩いている間、雪音さんは、どこか上の空でありながら、そのまま二人を無事に送り届ける事が出来た。
「さぁてと、腹が減ったし、何か食べる、雪音さん?」
「あっ、いや、別に、あたしは」
そう言っている間にも、腹が減っている証なのか、空腹の音が聞こえた。
「まぁ、飯ぐらいだったら、別に良いけど」
そのまま、俺達は近くの店に入る事にした。
「うぅん」
「さっきから、どうしたんだよ」
そう、店に入りながら、互いに食事をしている間、俺はどうしても考えてしまう。
「いや、なんだか、最近、別の場所でも雪音さんに会ったような気がしてさ」
「はぁ、何を言っているんだ?お前と最後に会ったのは、あのお好み焼き屋以来だろうが」
「そのはずなんだよなぁ」
なぜか拭えない疑問を余所に、俺はそのまま食べ続ける。
「・・・なぁ、聞きたい事があるんだけど、良いか?」
「なに?」
「もしも、お前が、信じた人に裏切られたら、どう思う」
「信じた人から、裏切られたら」
その言葉に対して、俺は少し腕を組んだ。
「俺だったら、何もかも嫌になるな」
「そうだよな」
「だけど、だからこそ、俺は信じた人よりも、信じた物を思い出したい」
「信じたい物?」
もしも、それが俺の場合だとしよう。
俺が信じているのは、キャロルだ。
誰よりも、俺と一緒に進んできた道だ。
しかし、それが裏切られたとしても、俺は、本当に嫌になるだろう。
だからこそ、俺が信じたいのは、あの時、ギーツさんが見せてくれた仮面ライダーとして、誰かを守りたい思い。
「まぁ、俺から言えるのは、その程度だからね」
「いや、ありがとうな、こんな下らない事を聞いて。けど」
それと同時に、まるで何かを決めたような目をしていた。
そのまま、俺達もまた、別れる事になった。
だが、その間も、どこか感じた違和感。
それが、何なのか、未だに分からない。