「ほぉら、こっちだぞ、こっち、よっしっ」
その日、学校帰りの俺は、公園にいた。
普段ならば、あまり寄らない公園だが、その木の上に猫がいて降りられなくなっていたのだ。
だから、助けたのだが、どうやら怖かったのかずっと逃げ回っていた。
「ったく、大人しくしろってのに」
そんな風に悪態をつきながらも、なんとか捕まえる事に成功した。
したのだが。
「えっ、嘘だろぉ、うわっとぉ!?」
俺はそのままバランスを崩して、そのまま木から落ちそうになった。
なんとか、枝を脚で挟んで落下を防ぐ事はできたものの、危なかった。
こんなところで怪我したら洒落にならないだろう。
「だけど、どうしよう、このままじゃぁ「あのぉ」んっ?」
俺に話しかける声が聞こえたので、俺はそのまま上を見上げる。
より正確には、俺が木の枝にぶら下がっているので、下を見るというのが正しいだろうが、そこにいたのは。
「うわっとっ!?」
「えっえぇ!?」
その人物の正体が、立花響だと気づき、俺は、思わず脚の力を抜けて、落ちてしまう。
「だっ大丈夫ですか!?」
「あーいや、悪い、ちょっと驚いただけだからさ」
「そっそうなんですね、でも本当に良かったです、無事で!」
そう、彼女は俺の正体は知らない様子だ。
俺が仮面ライダーだと、バレないように気をつけないと。
「あっ! すみません、私いきなり名前呼び捨てにしちゃって、私は立花響といいます!」
「俺は一ノ瀬悠仁だ! よろしくな!」
「はい! それでですね、突然ですけど、一ノ瀬さんはなんで木の上なんかにいたんですか? というかなんで落ちたんですか?」
「あーそれはだなぁ」
まぁ、普通に疑問に思う事だよな。
そのまま、俺は、腕の中にある猫を見せる。
「あっ、猫! もしかして」
「まぁ、そういう事」
俺は、猫を抱き抱えながら、立ち上がる。
「この子を助けるために、木の上に登ったんだ」
「へぇ〜優しいんですねぇ〜」
「まぁ、助けられるなら、当然の事だからな」
「なるほど、いい人なんですね!」
そう言ってくれるのは嬉しいんだけど、俺はただ単に、俺自身がやりたい事をやっただけなんだが。
それにしても。
「何か、悩み事でもあるのか?」
「えっ、いやぁ、それはぁ」
ふむ、どうやら、何か悩み事があるようだ。
「まぁ、話せたら、楽になる事もあるからさ」
そう、俺は言った。
「けど」
「まぁ、知らない人だから話せる事もあるからさ」
すると、立花は俯きがちになりながらも口を開いた。
「実は、その、最近、親友と喧嘩しちゃいまして」
「喧嘩? また、なんで」
「それは、私が隠し事をしてしまったんです。前に隠し事はしないって約束したのに、それを私は破ってしまったんです」
そう言って、立花は自分の拳を強く握る。
「私が悪いんです。私の勝手な行動のせいであの子は傷ついてしまったんです。なのに、謝りたくてもなかなか会えない状況になってしまって」
確かに、そうなると、中々会うのは難しいだろう。
「まぁ、隠し事は、誰でもあるから、仕方がないと思うぞ」
「けど」
それでも、彼女は、彼女自身、どうしたら良いのか、分からない様子だった。
「だからこそ、出来るのは、諦めない事かもしれない」
「諦めない?」
その言葉に立花は目を丸くして驚いていた。
それはそうだ。
だけど。
「真っ直ぐと、自分の言葉を伝えてほしい。それがきっと、届くかもしれない」
馬鹿な俺からしたら、これぐらいしか言えない。
「……そうですよね、私に出来るのは、自分の思いを真っ直ぐと伝える事!」
それと共に、彼女は立ち上がる
「いやー! 助かりましたよ! ありがとうございます!」
「あぁいえ、気にしないでください。それより大丈夫ですか? 怪我とかしてませんか?」
「はい! この通り元気です! あっでもお礼させてください! 何か困ったことがあれば何でも言ってください! なんでもしますから!!」
「気にしないで、本当に。俺自身も色々と助かっているから」
「んっ?」
俺の、その言葉の意味が分からずに、首を傾げる。
「それじゃ、俺はここで、また、会おう」
「はい、一ノ瀬さんも、また!」
そう、俺は彼女と別れる。
おそらく、次に再会するのは、また戦いの場かもしれない。
そんな立花さんとの出会いから翌日。
「こっちなのか、ホッパー1!」『ホッパ!』
雨の中、俺は走っていた。
その先には、ノイズが現れたという知らせ。
それを聞きながら、俺は、そのまま向かった。
そこはどうやら路地裏。
その路地裏には、ノイズだと思われる灰があり、壁に持たれている人物が見えた。
「さて、ようやく追いつけたわね、悪いけど、ここで」
同時に見えたのは、ノイズを操る為の道具を持つ女性。
それが、エメラルダンの変身者だと気づく。
俺はすぐに、その人物に向かって、襲おうとしたノイズを蹴り上げる。
「なっ、お前はっ仮面ライダー!」「仮面ライダー」
エメラルダンの変身者と壁に持たれた人物が同時に俺を見る。
「さっさと、ここから出て行け」
「……今の私には、戦う手段がないから、仕方ないわね」
それと共に奴は、姿を消した。
同時に、壁に持たれている人物に目を向ける。
こちらの方へと警戒する目、それと共に、既に疲労が溜まっていたのか、気絶しそうになっていた。
そして、その人物の正体も分かった。
「雪音さんっ!」
その人物を見た瞬間、俺はすぐに駆け寄った。