歌姫と錬金術とライダー   作:ボルメテウスさん

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プロメテウスの火

ガイアードの暴走から既に48時間。

つまりは、二日は経過している。

戦いを行った最中、ガイアードに包み込まれた立花響と一ノ瀬悠仁の安否は未だに不明だった。

 

「国連での協議は最終段階。間もなく日本への武力介入が決議される見込みだ。そうなるとお前達S.O.N.G.は国連指示の下先陣を切らねばならないだろう」

 

そう、会議で出た結果を、八紘がS.O.N.G.の面々に言い渡す。

それは、つまり、事によっては2人の命を犠牲にする方針。

 

「さらに状況が状況であるため事態の収拾に反応兵器の使用も考えられる』

 

反応兵器は核兵器もしくはそれと同等以上の威力を持つ兵器だ。

 

「反応兵器!?だがあの中には響君達が」

 

「無論そんな暴挙を許すつもりはない。だが世界規模の災害に発展しかねない異常状態に米国政府の鼻息は荒い」

 

「消し飛ばされた軍事衛星が口実を与えてしまったのか!」

 

「引き続き局面打開に尽力してほしい。それがこちらの交渉カードになり得るのだ」

 

八紘はそう言って通信を切った。

 

「国連決議による武力介入…ほんの数週間バルベルデと同じ状況になってしまうなんて」

 

バルベルデと同じ状況に日本が追い詰められていることを言う緒川。

 

「あのサナギ状の物体の中にお二人の生体反応を確認しています。ガイアード自身、未だにどのような状況になっているか分かりません」

「最悪、米国の奴らが放った反応兵器でとんでもない事態になるかもしれないがな」

 

「時間が稼げてるうちに対策を!」

 

だが、その最中でも、1人、冷静だった。

 

「キャロルは、心配じゃないんデスか??」

 

その様子を暁は問いかける。

あの場の戦いで、1人だけ離脱した事もあり、罪悪感が未だに残る彼女は、ふと気になり、聞く。

 

「あの馬鹿はこういう事態にはかなり強いからな。おそらくは今頃どうにかしているだろう。むしろ問題なのは、ここまでの間に何も動きを見せなかったアダムだ」

「それは、確かに」

 

あれ程、執着していたはずのガイアードにも、まるで手を出していない。

そこに違和感を感じないのは無理がある。

 

「だからこそ、今は奴の正体を考える。幸い、奴に関する情報はある程度、揃っている」

「はい、確かに」

 

そうして、全世界で、これまでバラバラだった情報がそこで確認する。

ピラミッドの中に封印されていた存在。

 

「これは、おそらくはアダム自身だろうな」

「アダムは、錬金術師である彼と一体どういう関係だったのかしら」

「・・・さぁな」

 

そう話している最中だった。

 

「それは、おそらくは、あれに関係しているだろう」

「サンジェルマン」

 

それは、今回の、ガイアードの1件に関して、協力関係を結んだサンジェルマンからの言葉だった。

 

「あれとはなんだ?」

「そうか、今の君には、その記憶はないのか」

「あぁないね、だからさっさと答えて貰おうか」

 

そうしていると、サンジェルマンもまた口を開く。

 

「プロメテウスの火を共に手に入れた友だと言っていた」

「プロメテウスの火って、確か」

「ギリシア神話においてプロメテウスが人類にもたらした火。強大でリスクの大きい科学技術の暗喩として用いられる。

プロメテウスは天界の火を盗んで人類にもたらした存在として知られるけど」

「実際にはどうか分からない。だが、所長が言うには偶然、手に入れたらしい」

「偶然?」

 

それに対して、首を傾げる。

 

「それが元々、どういった物かは分からない、本当に神なのかも分からない。しかし、そのプロメテウスの火があったからこそ、ガッチャードドライバーもケミー、そしてドレッドライバーも造る事が出来た」

「なんだとっ、まさか、それが原型だとでも言うのか」

「あぁ、だが、1度だけ見せて貰った事があるが、まさかお前達も造っていたのは驚きを隠せなかったがな」

「造っただと?」

 

それと共にサンジェルマンが見せたのは、ガッチャードイグナイター。

 

「これがプロメテウスの火と言われる物にそっくりだった」

「ガッチャードイグナイターがだと?どういう事だ?」

「それは分からない。所長は、今も保管しているが、それがどこにあるのかも」

 

そうしている時だった。

 

「大変です指令!自衛隊が出撃したもようです!」

「なっ」

 

それは、幾ら何でも早すぎる対応。

 

「護国災害派遣法を適用した」

 

自衛隊が出撃したことに疑問を思っていると訃堂が通信に入ってきて言った。

 

「護国?」

 

聞き慣れない言葉に首を傾げた。

 

「まさか立花を第二種特異災害認定したのですか!?」

 

片や翼は驚く。

 

「聖遺物起因の災害に対し無制限に火器を投入可能だ。対象を速やかに殺処分せよ!」

 

「ですが現在救助手段を講じており…」

「はかなきかな…国連介入を許すつもりか!その行使は反応兵器。国が燃えるぞ」

 

訃堂は脅すように言う。

確かに、その言葉は事実である。

しかし。

 

「待ってください!響は特異災害なんかじゃありません!私の…友達です!」

 

訃堂に訴えるように未来は言う。

 

「国を守るのが風鳴ならば鬼子の私は友を!人を防人ます!」

「翼!その身に流れる血を知らんか!」

「知る者か!私に流れているのは天羽 奏という一人の少女の生き様だけだ!!」

 

「指令!響ちゃんの周辺に攻撃部隊の展開を確認!」

 

「作戦開始は2時間後。我が選択した正義は覆さん」

 

最終通告のように言って訃堂は通信を切った。

 

「あれもまた支配を強いる者…」

 

それに対して、サンジェルマンが睨むように言う。

このままでは不味い。

そう思った時だった。

 

『うぉぉぉ!!』『えぇぇ?!』

 

画面の向こうから声が聞こえた。

その声には聞き覚えがあり、全員がそれを見る。

 

『抜け出したのは、良かったけど、嘘でしょ!?ここどこ!?』

「悠仁!それに、響も!!」

「あいつら、散々心配させやがって」

 

そう、安堵の言葉を出る。

だが。

 

「というよりも、変身、解除されていないか」

「デデース!このままじゃ、ぺっしゃんこになっちゃうデスよ!」

 

それも束の間。

シンフォギアも、仮面ライダーにも変身していない2人は、そのまま空から地面へと落ちていく。

このままでは不味い。

そう思った時だった。

 

『ガイアード!』

「「うぉっと!?」」

 

2人を救ったのは、なんとガイアードだった。

 

「あれは、ガイアードで間違いないようだな、それじゃ」

「あぁ、どうやら、無事になんとか出来たようだな、全く」

 

そう言っている間だった。

 

『いやぁ、良かった良かったって』

『へっ?』

 

ふと、悠仁と響は、周囲を見る。

そこには、ここに駆けつけている自衛隊がおり、彼らの銃口がこちらに向けている。

 

『第二種特異災害のケミーを殲滅開始!』

『なっ!?』

 

その言葉に、悠仁も、響も、そして、S.O.N.G.も驚きを隠せなかった。

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