「どちらの願いも、お断りしますわ」
そう、マーヤはギロリの問いかけに笑みで断った。
それに対して、ギロリは多少驚いた様子だった。
「それは、本当にか」
「ふふっ、別に可笑しい事ではないと思うのですけど」
マーヤは、そのまま自分のガッチャードライバーを触れる。
「確かに向こうの誘いに乗れば、家族が帰ってくるかもしれない。あなたの提案に乗って、記憶を消して新たな人生を送るのも良いかもしれない」
それは、まさしく彼女はゆっくりと語りだす。
「だけど、それは私自身の力じゃないから」
その言葉と共にマーヤは呟く。
「私は、ここまでの戦いで、他の方々からの力を貰い、自分の野望を叶える為に行動していました。
ですが、それらは全て、私の幸せには繋がらなかった。彼らのように」
そう、今は、気絶している天誅騎士団の姿を見て、そう確信するように言う。
「だからこそ、ギロリさん。私はあなた方の力を借りても幸せになれるとは思いません。
例え、周囲が幸せだと感じても、私自身、幸せだとは思わない」
「それは、確信を持って言えるのかい」
「えぇ、勿論」
そう、マーヤは笑みを浮かべて返答する。
それを聞いた、ギロリもまた、頷く。
「なるほど、君がそう言うならば、私も立ち去ろうとしよう」
それと共に周囲にいたライダー達の変身アイテムが次々と消えていく。
「さて、少しの間だった。だけど」
ギロリは、そのまま笑みを浮かべる。
「君との家族としての生活、悪くなかった」
「えぇ、それは私も同じですわ」
マーヤ自身もまた、その意見は同じだった。
それと共にギロリは、その姿を消した。
そう消えて行ったギロリを見送りながら、マーヤは。
「さて、この方々の説明は、本当に面倒な事になりそうですわ」
そうして、マーヤが天誅騎士団を連れて行こうとした時だった。
そこに山積みになっていたはずの天誅騎士団が姿を消した。
「これは一体」
そう、考えていると、マーヤに襲い掛かる影。
すぐに、その攻撃を受け流す。
「今のは一体」
そう疑問に思いながら、周囲を見渡す。
既に、マーヤ以外の人影はなかった。
ここは危険だと判断した彼女は、そのまますぐに立ち去った。
「へぇ、気づいたら、変な所に来ていたが、面白そうな事が起きているじゃないか」
その様子を、近くのビルの屋上から眺めている人影が一つ。
だが、その人影は、人ではなく異形の存在だった。
その存在は、確かに見えていた。
天誅騎士団の存在が、鏡に吸い込まれた事を。
その際に見えたのは、紫色の影があった事を。
「最低で最高に楽しそうな匂いが、漂っているじゃないか」