その事件の始まりは数日前からだった。
いきなり人がいなくなる。
それも、僅かに痕跡を残して。
秋月達は調査を始めた。
失踪事件の手掛かりを一つでも掴むために……
「全く収穫が無いってのも辛いな」
「ああ、それに人ひとり残さずに忽然と消えてしまうんだろ?」
秋月はヴァネッサ達と共に4人で街の散策をしていたが有力な情報は得られなかった。
ただ、一か所に固まっていたりしてたので何かしら共通点があるはずなのだが。
「まるで共通点はなかったのです」
「消える直前の様子も可笑しくなかったし、それ以前にも怪しい所もまるでなかった」
手がかりは何ひとつとしてない。
だが、諦めるわけにはいかない。
今こうしている間にも誰かが消えたりしているかも知れない。
そう思うと居ても立っても居られなかったのだ。
「せめて被害者の特徴でもあればいいのだが」
「特徴? どんな事でしょうか?」
俺の言葉に対して疑問に思ったのかそう問いかけてくるヴァネッサだったが特に深い意図はない言葉だと答えた。
「犯人の性別とか服装くらいでも、なんでも」
「共通点なんて、それこそ人間ぐらいしかないぞ」
被害者の特徴も、犯行場所も何もなく人が突然消えるという不自然な現象。
普通に考えたらこんなのあり得ないだろう。
「テレポートジェムとかで移動した訳じゃないみたいだし、謎だらけね」
確かに、犯人の目的も目的不明だ。
一体なんのために人を消しているというのか。
そんな考えをしていた時。
何かを引き摺る音。
見れば、周囲には人影はなかった。
それと共に眼前に現れたのは、鉄パイプを片手に持った男だった。
「お前は」
「よぅ、お前もライダーなんだってな」
そう、男は狂喜の表情と共に秋月に話しかけてきた。
対して秋月はその男の異様な雰囲気に驚いていた。怪人ではないのにもかかわらず怪人じみた気配を感じ取っていたからであった。
「なぜ、それを」
「くくっ、別に良いだろ、ライダー同士は戦う、それだけだろ!」
そう言いつつ男は秋月に向かって攻撃を仕掛けてくる。
咄嵯に受け流し、距離を取る。
先ほどまでの平和な雰囲気とはかけ離れた。
驚きを隠せない秋月に対して、男は鉄パイプを振り回す。
狂気の行動に対して、秋月の前に出たのはヴァネッサだった。
「こういう時の、この身体は便利よね!」
そう、ヴァネッサが、その腕で鉄パイプを受け止める。
頭以外は機械の身体であるヴァネッサからしたら、鉄パイプは、さして意味のない物だった。
だが、それだけの事で相手は怯む事となる。
「ちぃっ!」
舌打ちと共に男は距離を取るが、それを許す二人ではなかった。
ヴァネッサの拳が男を襲うがそれを鉄パイプで受け止めると逆にヴァネッサを殴りつけた。
「ぐはっ!」
吹き飛ばされたヴァネッサは地面を転がりながらも何とか体勢を立て直す。
そんな様子などお構いなしに男は秋月に向かって駆け出す。
そんな男の行動に対して、エルザとミラアルクも止める為に行動を始めた。
だが、二人を振り切り秋月に肉薄した男は鉄パイプを振り上げるがその攻撃は空を切った。
「ちぃっ!」
「悪いな、お前みたいなのに構ってる暇はないんだよ」
そう言いつつ秋月は男に対して蹴りを繰り出す。
しかし、それを男はなんと受け止めた。
「っ!」
「生身の喧嘩も良いけど、やっぱり、こっちの方が面白いだろ」
その言葉と共に、男が懐から取り出したのは紫色のカードデッキ。
そのまま、近くの鏡に翳すと共に、男の腰にはベルトが現れた。
「っ」「変身」
それと同時だった。
男の姿が変わる。
それは、紫色の蛇を思わせる鎧を身に纏っていた。
「っ」
それを見て、危機感を感じた秋月もまた、ガッチャードライバーを腰に巻き、同時に装填する。
「変身っ!」
そのまま、鏡に吸い込まれながらも、秋月もまた変身する。
だが、2人は、そのまま鏡の中へと吸い込まれていく。
「鏡、まさかっこの中に」
「というよりもさっきの仮面ライダーだよな、一体」
「あいつは、仮面ライダー王者、最凶最悪の呼び声が高いダークライダーと呼ばれている奴だ」
「っ」
それと共に、3人は後ろから感じた気配に振り返る。
そこに立っていたのは骸骨の怪物。
髑髏と昆虫を組み合わせた様な顔、両肩に配置された狼の顎の様な意匠や漆黒のボディなど不気味な容姿をしている。
「あなたはっ」
「俺か? 俺はここの戦いの匂いに惹かれた怪物、そうだな」
そう、彼は笑みを浮かべながら。
「デザストだ」