「はあぁぁ!!」
俺はそのまま真っすぐと、グレイムへと向かって走り出す。グレイムもまた、その両手に持った斧で構えながら、真っ直ぐとこちらに向かって投げてくる。
その攻撃に対して、俺はスライディングをしながら、避けながら、真っ直ぐとグレイムへと接近する。そして懐まで潜ったと同時に、右拳を思いっきり振るう。
「はあああ!!」
「甘い」
しかしグレイムはその攻撃を正面から受け止める。
まるで全身を鎧を思わせる硬さと共に、カウンターを仕掛けるように斧を振るってきた。
それに対して今度は俺の方から距離を取ろうと、バックステップを踏む。が……それを読んでいたかのように追撃を繰り出してきた。
それはあまりにも予想外な一撃であった。その攻撃を防ごうとするも腕の装甲で何とか受けることは出来たのだが衝撃までは抑えきれず吹き飛ばされる。しかも勢い良く吹き飛んだせいか後ろにある壁にぶつかる。
「ぐっ、うおっと!」
ただ吹き飛ぶだけでは無く、壁によって体を押し付けられ身動きが取れなくなってしまう。
この状態でもし次の攻撃を受ければ避けることが出来ないかもしれないと思い、どうにか抜け出そうと体を動かし始めると……。
『ふんっ』
そんな鳴き声とともにグレイムが飛び掛ってくる。
それに気づいた時には遅く、両腕をクロスにして防御の姿勢を取る。するとグレイムの巨体がぶつかり合う衝撃音。
同時に、俺の脚元がクレーターのように凹むのが分かる。そして一瞬だけ視界に入った自分の状態を確認する。どうやらガードには成功したみたいだがあまりの力の差により、俺の腕ごと後ろに持っていかれるように吹き飛んでいくのだった。
なんとか、ダメージを最低限に留める事は出来た。
だが、このままでは、勝てる可能性は極めて低いだろう。そう思うと同時に、先程の戦いで気が付いた事が幾つかある。まず一つ目としてはグレイムは単純な戦闘力と言う点では俺よりも遥かに高いという点だ。
力と防御力に関しては間違いなく俺よりも高いだろう。
先程の一撃だけでも、俺の攻撃はあまり意味はないだろう。
しかしだからと言って諦めるという選択肢は存在しない。そもそも俺の目的は勝つことでは無く、負けることだからだ。
そうなるとここで重要なのは、攻撃方法である。
「まぁ、なんとかなるか」
「ほう……何時の間に起きていたのかは知らんが……この状況でもなお諦めないというわけなのか?
この状況での逆転、どうやらよほど無茶苦茶な性格をしているらしい」
「いや~そういう訳じゃないんだがなぁ~っと!」
俺はそう言いながら再び突っ込んでいく。ただ真っ直ぐとではなくジグザグの動きを行いながらも接近していく。それを眺めているグレイムは何をしたいのかわからなかったようで、眉間にシワを寄せ始める。……どうも分からないって反応は結構好きなようだ。なんかこういう反応を見るだけで楽しくなってきたぞ!
「ちぃいい!!」
「おぉう! 流石、分かってきたな!!」
俺の行動が読めないのか苛立たしげに大きく斧を振り下ろしてくる。
当然その威力は高く、まともに受ければ無事では済まないことは確実である。だからこそ、俺は大きく回避を行うのだ。
「どうやら、こちらの勝ちのようですね」
「まだ、勝負が終わっていないのに、余裕だな」
そう、キャロルは、ケミー達を指示をしながら、戦う錬金術師に眼を向ける。
「当たり前よ、私達があなた達に勝つ為に見つけた組み合わせだから」
「ほぅ」
「お前達が持つケミーが持つ力。それに十分耐えきれる防御力を備え、高い攻撃力を持つあの組み合わせ」
「それを確実にする為に、援護しただけだ」
そう、言った。
だが。
「そうだな、防御力は確かに凄まじいな。だが、奴がアントレスラーを選んだのは、どうやら正解のようだな」
「何をっ」
「その結果が、すぐに分かる」
「このっ!!!」
「おいおいそんな大振りじゃ当たらないぜ?」
「舐めるなぁあああ!」
そう言って大きく振り下ろされた斧に対して俺は横に避ける。同時に、それがチャンスだった。
俺はそのまま、グレイムの身体をつかみ回転しながら投げた。
「疾きこと風の如く」「なっ」
相手をコブラツイストの体勢で背後から相手の左脚に自身の左脚をフックする。グレイムの右脚の付け根のあたりを両腕で抱えるようにロックしながら後ろへ倒れこむ。
「徐かなること林の如く」
この倒れこむ時の勢いを利用して、俺の首を支点にするように反時計回りに共に上空に飛びあがる。
「そして、行くぜ! ここからが本番だ!」
そして、グレイムの股に頭を挿し込み、担ぎ上げると同時に空中に飛び上がる。
そのままグレイムの身体を反転、両足首を掴み、上腕を足で踏みつけるようしながら落下し地面に叩きつける。
「なっ、馬鹿な、なんでダメージがっ」
「奴は、あくまでも外側からの攻撃のダメージを受けないだけだ。だが、自分の身体に起きる衝撃までは殺せないような。中でも、関節技は、どうしても効くようだな」
「そんなっ、馬鹿なっ」
「確かにグレイムの攻撃力・防御力は脅威だ。だが、アントレスラーには、プロレスという格闘技と、アリという様々な技を可能とする怪力。それらが合わさった事で、本来ならば、不可能なプロレス技も可能とした」
「そして、これが! 『アントレスラー! フィーバー!』ガッチャードバスターだ!」
グレイムの両股を手で掴み頭上に逆さに持ち上げ、グレイムの首を俺の肩口で支える。この状態で尻餅をつくように着地し、衝撃を与える。
その勢いでグレイムが回転して仰向けになり、俺は手を離す。
「ぐっ!」
グレイムが起き上がりながら叫ぶ。グレイムも、まだ闘志はあるようだな。
だが、そのまま倒れた。
それは、今回の戦いの決着を意味した。
「負けた」
同時に、グレイムのガッチャードドライバーから、二つのケミーカードが来た。
見つめると、片方は安堵した様子だが、もう片方は、どこか落ち着きがない。
「おぉい、グレイム」
「ぐっ、なんだ」
「こっちは返すよ。もう片方のケミーは別の所に行くけど」
そう、俺はカリュードスを渡す。
「何のつもりだ」
「当たり前でしょ、元々、この決闘は互いの願いを叶える為の戦いだ。だったら、それが終わったら返すのは道理だろ。まぁ、メカニッカニはユウゴットに返すから」
「……」
それと共に、俺は立ち上がる。
「決闘に、不満はなかったのか」
「何が?」
「一対一で行わなかった事に」
そう、グレイムが問いかけるが。
「いやぁ、よく考えたら、ケミーと一緒に戦っている時点で、違ったからね、だったら卑怯じゃないでしょ」
「お前」
「という事で、今後は襲わないように! それじゃ、キャロル、帰ろうか」
「ちっ」
そうすると、キャロルは、舌打ちをする。
「あぁ、それと、悪事じゃなかったら、俺も協力するから、どんどん言ってね」
そう、俺は告げると共に、帰っていく。
「良いの? あのままで」
「約束は守る。何よりも、あそこまで堂々として、文句は言えない。だからこそ」
そう言いながら、グレイムと、彼女達を見つめる。
「必ず元に戻すから、待っていてくれ」
そう、彼らは彼らなりに、戦う理由があると、納得する。
元ネタ分かる人は、分かる事をやらせてもらいました。レスラーと言えば、あの漫画を思い浮かんだので、思わず書いてしまいました。放送前という事もあり、アントレスラーの戦い方も、勝手な妄想で書きました。
そして、0時に予約投稿するつもりが、うっかりと消してしまい、書き直すのに、時間が掛かってしまい、申し訳ございませんでした。