その事件は、まさしく偶然が積み重なった出来事と言うべきだろう。
ファイクは、その日、マリアのライブの為の付き添いに来ていた。
先日の、アバロンの1件もあり、警戒していた。
「……にしても、結構、盛り上がっているなぁ」
そうしながら、ファイクは、今はライブを盛り上げる為に奮闘しているマリアを心配している。
彼女のマネージャーになってから、多くの戦いを経験したファイクだが、未だにその本心を彼女に明かす事は出来ない。
それは、今もマリア自身が贖罪の為に己を戒めて生き続けているからこそだ。
そんな事を考えながらファイクは今自分がいる場所を見渡すと、そこには奇妙な集団が立っていた。
「なんだ?」
そこに立っていたのは、ライブを楽しむ為に来た観客とは思えなかった。
「お前達、ここから先は関係者以外立ち入り禁止だぞ」
ファイクは、そう言って、目の前に立っている者達に注意した。
しかし、それを聞いた途端に集団は動き出した。
「なっ」
集団は、まるでファイクの言葉を聞かないように、襲い掛かる。
それに対して、ファイクはすぐに戦闘態勢に入る。
あくまでも正当防衛という事もあり、襲い掛かる集団を気絶させる程度。
そう思い、構えていた。
集団は、そのまま一糸乱れぬ動きで、ファイクに殴りかかる。
迫った拳を受け流して、反撃を行おうとする。
「なっ」
ファイクはすぐに反撃の拳を放った。
しかし、その拳から伝わる感触。
「これは鉄!?」
同時に、その集団の正体が露わになる。
「ロボット!?」
その見た目は、各々が違う特徴を持つ。
「人間じゃないか。けど、それが分かれば」
それに合わせるように、ファイクは、その懐からガッチャードライバーを取りだし、そのまま腰に巻く。
「変身!」『ガッチャーンコ! ライデンゼミ!』
鳴り響く音声と共に、ファイクはすぐに、ケミカルへと変身する。
それに合わせるようにロボットの集団は、すぐに攻撃を仕掛けていく。
真っ直ぐに、ケミカルに向けた指から放たれるのは小さいエネルギーの粒。
まるでマシンガンのように撃ち出されるソレは、的確に相手の急所を狙っていた。
それをケミカルは、腕を振り払う事で防御を行う。
しかし、それにより視界が遮られる。そして、その隙を突かれるように接近された相手に対して、カウンターとして拳を放つ。
だが、その拳もすぐに受け止められる。
「けどなぁ!」
同時に、ケミカルの腕から電撃と音。
二つが合わさった一撃によって、ロボットは吹き飛ばされた。
それと同時に周囲の敵は距離を取る。
明らかに戦うことに慣れているような動きだった。
「けど、こいつらは一体」
そのまま、ファイクが構える。
だが、こちらに向かって来るロボットの数は増えて行く。
「こいつら、一体何なんだ」
そうしている時だった。
「ちょっ、そこっどいてくれぇ!?」
「なっ!?」
突然聞こえた声。
それと共にファイクが見つめた先に出てきたのは穴。
その穴から飛びだしてきたのは、車。
赤と白のラインが目立つ車に対して、ファイクはさすがに驚きを隠せなかった。
「なっなんだ?!」
その車は、ファイクに迫っていたロボットを吹き飛ばしていく。
そして着地と同時に止まった車から出てきた人物。
「なんだよ、ここは一体」
「あなたは?」
そう、ファイクは、そう疑問を問いかける。
「えっ、いや、俺は、というよりも仮面ライダーなのか?」
「俺の事を、あなたは一体」
互いに首を傾げている間だった。
「そこ、呆けない」「「っ」」
2人に向けた言葉。
それと共に、襲い掛かろうとしたロボットは、上空から降りてきた巨大な槍に貫かれて、爆散する。
「今のは、えっ、子供!?」
そう、彼女の姿を見て、男は驚きを隠せなかった。
だけど、その姿に、ファイクは見覚えがあった。
「まっマリア!?」
それは、ライブで活躍しているはずのマリア。
だが、その容姿は明らかに子供だった。
「なんで、私の事を? とにかく、今はこいつらをなんとかしないと」
「こいつら?」
すると、男は、周囲を見渡す。
「なっ、ロイミュード!?」
そして、そのロボットの正体を、男は知っていた。
「一体、これは」