その日、俺は、雪音さんを探す為に街を歩き回っていた。
彼女自身、今はどこにいるのか分からなかった。
それでも、今の俺は彼女を探す事が最優先であった。
だが、なかなか、彼女を見つける事は出来なかった。
「さて、そろそろ、この空気、どうにかしないといけないな」
そう、俺はコンビニにあるイートインコーナーの横を見る。
「・・・まさかな」
その声には聞き覚えがあった。
かつての戦いの場において、俺と僅かだが共闘した事のある相手。
予測ではあるが、もしかしたら、ヴァルバラドだろう。
だが、その目は虚ろであった。
「・・・やはり、運が良すぎたかもしれない。生の風鳴翼さんに会えたから、運が引き寄せられたと思ったが、まさか外れていたとはな」
「うわぁ」
その話を聞く限りだと、おそらくだが、近く行われる風鳴翼の復帰ライブのチケット当選だろう。
だが、まさか、ここまでとはな。
それも。
「・・・俺ってば、呪われているかもな」
それがもう1人、いるとは思わなかった。
それはまさしく絶望を前にしている様子だった。
「んっ、あれ?」
そうしていると、俺が何やらメールが届いた。
見ると、少し前にやった懸賞だった。
その商品を見てみると。
「あっ、風鳴翼のライブチケットだったか」
「「なにっ」」
俺の声に反応したのか、2人が立ち上がる。
思わず、俺はそのまま横を見る。
だが、こちらを、まるで驚愕するように見開いていた。
「・・・良かったら、ライブチケット、いりますか?」
「なっ、何を言っているんだ、そんな事はっ」「そっそうだぞ、そんな事には」
「いや、俺も忘れていた懸賞で当たっただけで、今は、正直に言うと、ライブに行く日と予定が被っていて、行けないんですよ」
その事を俺が言うと、すぐに頷く。
「そうか、ならば仕方ない。君の意思は俺が受け止めよう」
そう、ヴァルバラドが立ち上がり、こちらに向かおうとした。
「待って下さい、ここは俺が行くべきです!俺は、ツヴァイウィング時代からのファンであり、このライブを心から待っていたんです!」
「俺は、これが初のライブであり!この日本に来る目的は、ライブを見る事なんだ!戦争をやっていたら、ライブなんて見れないからな!!」
「戦争って、一体どういう意味ですか?」
「・・・企業秘密だ」
そのまま、黙る。
「戦争ならば、ここで行うではないか、どちらが真の風鳴翼ファンなのか」
「このような事は美学に反するが、上には上がいる事を証明しなければな」
そう、2人は睨み合う。
「いや、あの、このチケットはペアチケットなので、2人、一緒に行けますよ」
「では、問題ないな、よろしく頼むぞ、同士」「こちらこそ、頼むぞ、相棒」
それと共に2人は同時に握手をした。
戦う理由が無くなった瞬間、先程までの言い争うによって、互いが風鳴翼のファンである事を知り、そのまま和解した様子だった。
「俺の名は、黒鋼スパナ」
「俺は、泉 信太郎だ」