「悠仁っ!」
グリオンからの一撃を響から庇った。
それと同時に、一ノ瀬は宙高く、舞い上がった。
響を庇った際、その一撃は、腹部に大きく抉っていた。
「っ!」「そんな」
それは、先程まで戦っていたT.E.C.もメックヴァラヌスもまた驚きを隠せなかった。
「そんなっ、駄目だよぅ悠仁っ!」
すぐに助けようと近づく。
だが、響は、その怪我を見て、さらに絶望に陥った。
腹部から流れる血。
それは、瞬く間に地面に広がる程の量。
さらには、一ノ瀬が、仮面ライダーに変身する為のガッチャードライバーもまた、先程のグリオンの一撃によって、完全に破壊されていた。
「ゆうじ」
「先に、忌々しいガングニールであるシンフォギアを始末するつもりだったが、まさか厄介な仮面ライダーの方から始末する事が出来るとはな」
「っ」
同時に響は、そのままグリオンの方へと睨む。
「グリオンっ、なんでっ」
「私の事を知っているのか?つまり、あの中で、過去の記憶を見たのは間違いないようだが、少し違うようだね」
「えぇ、それも、おそらくは結末が違ったのかしらね、あの絶望的な結末に」
「っ」
グリオンの隣にいる少女は、そんな響を嘲笑うように呟く。
「どういう事なんだよ」
「ふふっ、ガッチャードは本当に大した男よ。なんだって、世界蛇に喰われそうになった世界を救う為に、もう一つの世界と融合させたのだから」
「世界蛇?何を言って」
「それは、お前達が知っているだろ」
「っ」
メックヴァラヌスの少女が疑問を呟くと同時に、グリオンは指をパッチンさせる。
すると、その少女はもがき苦しみ始めた。
「がっ、これは、なんでデヴァステイターが」
「そのシステムは既に私も知っている。なぜならば、私の身体の一部を埋め込んだのだからね」
「なに?」
グリオンの言葉に対して、メックヴァラヌスの少女は疑問に声が出る。
「かなり困難だった。なぜならば、私自身の肉体は未だに再構成されなかった。感謝するよ、ベアトリーチェ」
「ふふっ、構わないわ。それにしても、私も驚いたわ。まさかあの子が喰らった人間が意思を保っていたなんて。それも、ここまでにね」
そう、互いに和やかな雑談を行う。
その異常な状況の最中。
「この状況は撤退しかないけどっ」
T.E.C.は、すぐに響達の方に目を向ける。
そこには虚ろな目をしており、一ノ瀬を見ている。
必死に助けようと。
今でも体温があるのか確認するように。
その手を握る。
だが、その体温は徐々に失われていく。
「あら、もう死んでいる人間を、なんで固執しているのかしら」
ベアトリーチェという少女。
その少女の言葉が、響の心をより抉る。
「お前達がっ」
「ほぅ」
すると、その言葉に反応するように響は。
「お前達がっ悠仁をっ殺したあぁぁぁぁ!!!」
同時に咆哮。
叫びは、研究所を簡単に響き渡らせる。
だが、それだけではなかった。
彼女のその状態は暴走。
身体は徐々に黒に染まっている。
「おぉ、これは、まさかマルガムと同じ」
グリオンは笑みを浮かべる。
その光景に対して、すぐに行動しようとした時。
「ホパァ……クロスホッパー!ク……クロスホッ……ウウァァァ……!!」
「すっスチィッテンライッナァァァ!」
それと共に、一ノ瀬の手元にあったケミー達が反応する。
それは、響の怒りに共鳴し。
それは、同じ気持ちに共鳴し。
大切な人を殺した相手を。
決して許さない。
その感情が露わになるように。
「これはぁ!」
「ウウゥーッ……!グアアァッ!!」
一ノ瀬の、ケミーが。
これまで、一ノ瀬が救ってきたケミー、そして心を取り戻した元レプリケミー。
そんな彼らが、響の怒りに共鳴し、その姿を誕生した。
「プラチナマルガム!」
その誕生に、グリオンは笑みを浮かべる。
その身体は、シンフォギアである黒いインナースーツを纏いながら。
頭部は、剥き出しになった飛蝗の怪物。
両腕はアイアンガッチャードを思わせる腕には巨大な列車を模したガントレットが装着されていた。
「まさか、全てのケミーと融合するとは!これは予想外だっ!さすがは立花響っ!君は私の想像を遙かに超えるよ」
「ガァァァァ!!」
それと共に、響がグリオンに向かって行く。
仇であるグリオンを、殺す為に。
「本来ならば、実験したい所だが、まだこの身体には慣れていなくてね、そろそろ行かせて貰うよ」
グリオンは、その呟きと共に。
「ガァァァ」
暴走していたメックヴァラヌスが響を襲う。
グリオンによって、意図的に暴走させられたメックヴァラヌスは、響を止める。
「ガァァァァア」
だが、響は、それに構わなかった。
彼女は、ただ腕を振るった。
「ガッ!」
それだけで、メックヴァラヌスは吹き飛ばされ、変身は無理矢理解除させられた。
100体のケミーが集結し、誕生したマルガムの力は次元が違った。
そして、目の前にいたグリオン達は姿を消していた。
「ぐりおんっぐりおん!!」
怒りを隠せない響。
絶叫と共に、その身体には力が入らなかった。
1度に、扱える力があまりにも多すぎた。
故に、響は、そのまま倒れた。
同時に、マルガム化は解除された。
「・・・私達は、手の平の上で、踊らされていたんですか」
そう、T.E.C.の女性は、悔しそうに呟く。