一ノ瀬が、復活したグリオンの手にかかった。
響が暴走し、マルガムとなった。
S.O.N.G.は、これまで以上に、大きな危機を迎えていた。
「それで、一ノ瀬は」
「・・・辛うじて、生きている状態だ。見るだけだったら、死んでもおかしくない傷だったからな」
S.O.N.G.の医療を受けている一ノ瀬の、その腹部には大きな穴が開いていた。
致命傷になっても可笑しくない程の大きさだったが、辛うじて生命を維持する為の器官はあった。
しかし、血も足りず、命の危機は変わらず、今も生命を維持する為に治療を行っていた。
一方、マルガム化していた響は、無事に回復した。
身体面は。
「響」
未来が、響を心配するように声をかける。
「あははぁ、ごめんね、心配をかけちゃって」
「うぅん、そんな事ないよ、だって」
そこから先、彼女は言葉を出す事が出来なかった。
一ノ瀬が死にかけた。
それは、響を庇った為。
だからこそ、彼を助けられなかった自分に苛立ち、そしてマルガムになった。
「ケミーの皆にも、悪い事をしちゃったよ」
それ故に、そこから先、自分がした事が許せなかった。
「・・・それに、今はグリオン達を、止めないといけない」
同時に響が思い出すのは、S.O.N.G.の本部に戻ってきた時の事。
そこで語れた情報。
メックヴァラヌスの少女達。
彼女達、安藤創世、板場弓美、寺島詩織はとあるノイズの災害に巻き込まれた。
その際に、適合者として選ばれたのが、メックヴァラヌスであった。
「私達が聞いた話では、全ての元凶が錬金術師だった。けど、その錬金術師と手を組んで、世界を支配しようとしている事」
「実際に、これまで多くの錬金術師が現れて、仮面ライダーと戦っていたけど、最終的には手を組んでいたから」
「だから、彼らは裏で繋がって、自作自演だって、言われました」
「なるほど」
錬金術師と戦った。そして、最終的には手を組んだ。
その結果を、ねじ曲げて伝えた。
だからこそ、渡した。
「私達の方も似たような感じね」
「なるほど、我々が信用出来なかったのは、そういう訳か」
「でも、まさか、こんな事になるなんて」
そう、一ノ瀬が瀕死になり、これまで自分達が信頼していた相手が間違っていた事。
それに対して、悔しそうにしていた。
「・・・一ノ瀬さんは」
「油断は許さない状態である。だが、今は、それと同じ問題が起きている」
それと共に画面に映し出されたのは、シャトー。
「まさか、これって」
「ここの施設を使われている。そして、そこには」
「っ」
見つめた先、そこには、数え切れない程のドレッドの大軍がそこに立っていた。
「これって」
「シャトーをエネルギー源にして、ドレッドを量産化している。そして、その量産を行っているのは」
「ガッチャードライバー」
その反応からして、既に分かった。
「ガッチャードライバーって、確か」
「あぁ、響君の話からして、この世界から誕生する前から存在した物だろう」
「他のガッチャードライバーとは、どれ程違うのか分かりませんが、もしも、このまま続ければ」
「ドレッドによって、世界は支配される」
それは、あまりにも絶望的過ぎる光景であった。
「勝算は」
「ここにいる全員が共闘したとしても、無尽蔵に湧き出るドレッドにどこまで対抗出来るのか」
「ぐっ」
その言葉を聞いて、既に希望はないのか。
そう思われた時だった。
「まだ、希望はあるぞ」
「えっキャロルちゃん」
そこに出てきたのは、キャロルだった。
「希望って、何が」
「簡単な話だ。無尽蔵と言っても、それはガッチャードライバーがあればの話だ。反対に言えば、ガッチャードライバーを取り返せれば」
「ドレッドの量産化を止められて、勝算はある」
「あぁ」
それと共に、キャロルの言葉に希望はあった。
「何よりも、一ノ瀬が意識を取り戻す可能性はあるからな」
「っ」
その言葉に、その場にいた全員が目を見開く。
「それって」
「この場にいる誰よりも、奴はケミーと多く合体していた。故に、その身体は人間とケミーの中間となっている」
「もしかして」
現在、一ノ瀬の致命傷となるはずだった傷。
それは間違いなく致命傷ではあった。
だが、ケミーと融合していた影響もあり、その傷は瞬く間に再生した。
だけど、その再生の前に、ガッチャードライバーが破壊されてしまう。
「つまりは、一ノ瀬が再び仮面ライダーとして変身する事が出来れば、蘇る事は出来る」
「そして、そのガッチャードライバーはまさしく」
「あぁ、あのシャトーにある」
絶望的な状況であるのは変わりなかった。
だが、それを逆転する為に必要な物も、確かにあった。
それが分かればこそ。
「そうと決まれば、さっさとあそこからガッチャードライバーを奪おうぜ」
「えぇ、こうしている間にもドレッドが増え続けている。早く止めなければ」
「それに、一ノ瀬さんの命も危ないから」
それと共に、その作戦の方向性も決まった。
希望もあった。
だが、その場にいた全員に黙っていた事がキャロルは一つあった。
それは、エルフナインは知っていた。
「キャロル、さっきの」
「あぁ、俺としても、まだ疑問はあるよ」
先程までの理屈は、全ては間違っていない。
そして、キャロルの言葉にも嘘はない。
だが、そこで彼女は一つだけ、未だに分からない事があった。
あの時、一ノ瀬が変身していたのは、仮面ライダークウガと仮面ライダー555.
2人の力を身に纏った状態であり、ケミーと融合している訳ではない。
だからこそ、本来ならば再生されないはず。
「何よりも、今も生命に必要な臓器を錬成が続いている。だが、全てのケミーはあの時、立花響と融合したはずだ」
その疑問がキャロルの中にあった。