「・・・ここ、どこ」
目が覚めると、俺は見知らぬ場所になぜかいた。
どこかの食堂だろうか。
小さく、個人で経営している程度の場所だ。
まるで見覚えのない場所に疑問は多くある。
だが、何よりも疑問に思うのは。
「俺はここを知っている?というよりも、なんだか懐かしい?」
「ここは、君が最も長くいた場所。魂の故郷といえる場所の記憶だ」
言葉が聞こえる。
見つめた先には、卵が一つ、浮かんでいた。
「君は」
「私は卵だ」
「卵?」
その言葉に、首を傾げる。
「私は、あの時、君の中に意識だけ入る事が出来た。君ならば、もしかしたらと思って」
「意識だけって、もしかして」
あの試練の時。紅のガッチャードの蹴りを受けた瞬間、俺の中に何かが入り込んだ気がした。
それは、目の前にいる卵だったのか。
「君は、一ノ瀬宝太郎の生まれ変わりだとは知った。あの世界で、私は最後まで戦いを見守っていた。だからこそ、今度こそはと思った」
「・・・何があったんだ」
それは、おそらくは響が見る事が出来なかった部分だろう。
「多くの部分は、立花響が体験した事とあまり違いはない。あるとしたら、その結末だ」
「結末?」
俺は思わず首を傾げた。
「滅びそうになった世界を再錬成する為に、動いた。グリオンもその際に邪魔をしたが、同時にもう一つの脅威が現れた」
「脅威?」
「あぁ、世界蛇と呼ばれる存在だ。奴は、その世界を喰らおうとした。その時に、グリオンは奴に喰われてしまった」
「嘘だろ」
世界蛇?
まるで聞いた事のない単語に疑問に思っていると。
「奴に世界の半分とグリオンは喰われた。
だけど、なんとか残り半分の世界を転生させる事は出来た。故に、この世界には、以前の世界の要素はあまりにも少なくなってしまった」
「そうか、けど、グリオンは復活している。という事は」
「世界蛇が関連している。だからこそ」
それと共に、卵は震えている。
「私は怖い」
「卵」
そう、呟いた。
「世界を半分に喰らった奴の姿は、ドライバーを通して、見えた。今は、姿を見せていないけど、もしもまた現れたら、勝てるかどうか分からない。その恐怖が」
卵の恐怖は、きっと当たり前だろう。
世界を破壊された光景を目の前に見えた。
それは、まだ生まれていないこいつにとっては、当たり前だろう。
俺は、どうしたら良いのか、少し迷っていた時だった。
「んっ?」
ふと、何か聞こえた。
音の先は、食堂のドアだろう。
俺は気になって、ドアを開いてみると、その先には。
「映画館?」
「えっ?」
卵も、疑問に思ったんだろう。
「これは一体?」
「ここはテトラ座。とある街にある映画館」
そう、誰かの声が聞こえた。
「どういう事!?ここは、悠仁の中のはずっ」
卵は驚きを隠せない様子だった。
「まだまだ生まれていない子供がいるようだからね。仮面ライダーの力を通じて、少し来させて貰ったよ」
「仮面ライダーの力を通じてって」
もしかして、あの時に、クウガと555の力が俺の中で融合した影響か。
「・・・お前の目的は何なんだ?」
そう、俺は思わず問いかける。
声を聞いている限りでは、あまり邪悪な感じはしなかった。
だから、おそらくは悪人ではないと思うが。
「私の目的は映画を見て貰う事。子供達を笑顔にするね。まぁ、あえてもう一つあるとしたら、子供達の笑顔を再び見せてくれた仮面ライダーへのお礼かな」
「お礼?」
そうしていると、ふと、席が用意されていた。
「卵君。君は、おそらくは怖い事が多くあっただろう。だけど、それはまだ、多くの人の勇気を知らないからだ」
「勇気?」
「それを、映画を通して、見せよう。彼ら、仮面ライダーの」
「仮面ライダーの」
そう、卵は、呟く。
「君もどうだい?良かったら」
「・・・そういう事だったら」
俺はそうしながら、映画の席へと座る。
「それでは、始めるとしようか。何、映画はたっぷりとあるからね」
その言葉と共に、映画は始まった。
それは、数多くの仮面ライダー達の物語。
ケミーカードを通じて、俺達に力を貸してくれたライダー達。
彼らは決して全員が完璧なヒーローという訳ではない。
間違った事もあった。
だけど、多くの事を学び、そして、成長した。
一体どれぐらいの映画を見たのか分からない。
最初の頃は、少し震えていた程度の卵。
だけど、最後の映画の時には変わっていた。
「これは」
そして、最後に出てきた映画。
それは、おそらくは、俺が生まれ変わる前の一ノ瀬宝太郎と、仮面ライダーギーツこと浮世英寿が共闘した話。
俺の知らない先輩。俺の知らないヴァルバラド。俺の知らないマジェード。
俺の知らない多くが、そこにあった。
だけど、懐かしかった。
そして、あの食堂もまた、心が休まるという意味も理解出来た。
「さて、これで映画は終了だ」
「終わっちゃったの」
そう、卵は悲しそうに呟く。
「あぁ、映画は何時か終わる。だけど、悲しまないでくれたまえ。君と一緒にいる仮面ライダーならば、世界を変えられる」
「えっ?」
卵は、そう、俺の方を見た気がする。
「仮面ライダーの映画は続く。人々が望む限りね」
それを最後に俺達は、真っ黒な光景に戻ってしまった。
「・・・どうする」
俺は、そう卵に問いかける。
「本当は、外に出るのが怖かった。力も、以前のように多くは出せない。だから、君の中でずっといる事を考えていたけど」
「けど」
その言葉と共に。
「仮面ライダーが教えてくれた。そして」
俺の方を見る。
「君達と一緒ならば「だったら」けど」
卵は、そのまま言葉を塞いだ。
「けど、今の僕の力じゃ、それが出来ないんだ」
「出来ない」
そう、卵は言う。
「僕の本体は、未だにあのドライバーの中にある。そして、今も悪用されている。僕には」
「そうか、だったら、安心しろ」
そう、俺は立ち上がる。
「悠仁」
「確かに、一つの力だけじゃ、不可能かもしれない。けど、力は合わせるもんだ。きっと皆が、力を貸してくれる」
「どうして、そこまで」
「信じているから」
俺はそう、卵に言う。
「仮面ライダーも1人だけじゃ不可能でも、沢山の人の力を借りて、不可能を可能にした」
その瞬間だった。
俺達の前に、何かが迫る。
それは、虹。
「これは一体」
卵は、驚きながらも、何かを開いた。
それは、おそらくは現実の光景。
そして、響達が放っただろう技。
虹色を思わせる嵐は、量産型のドレッドを吹き飛ばしていく。
そして、その先には、ガッチャードライバーがあった。
ガッチャードライバーは、響達の嵐を、吸い込んだ。
「これは」
「あぁ、感じるか」
俺は、問いかける。
「皆の思いが!」
技に籠められた響達の思いが。
この場にいない皆の思いが。
まるで風のように感じる。
「感じる、そして、忘れていたんだ。確かに怖い事もある!けどっ」
「皆の思いが、力に変わる!」
「あぁ、感じたよ、悠仁!」
その瞬間、ガッチャードライバーが虹色に輝く。
「僕は、もっと感じたい!この思いをしている人達がいる世界を!」
「あぁ、手を繋げば行けるさ」
俺は、卵を見つめる。
「何時までも、卵じゃ、駄目だよな」
「えっ?」
同時に僅かに見えたのは、ドラゴンを思わせる雰囲気。
そして、虹。
「虹のドラゴン。だから略してニジゴンだな」
「ニジゴン!僕はニジゴン!」
そう、卵は言う。
「あぁ、だから行こうニジゴン!」
それと同時に、ガッチャードライバーは、光を輝かせ、その場から消える。
そして、その移動した先は、おそらくは俺の身体。
それと共にニジゴンのカードがガッチャードライバーに装填される。
『エクストラ』「えっ!?」「今の音声って、ガッチャードライバーのっ」
俺の身体に装着されると同時に、意識は、急速に回復する。
「えっ、ガッチャードライバー!?」「悠仁!」
俺の事を見て、驚きを隠せないキャロルとエルフナイン。
「悪い、急いで響達の所に行かないといけないから」
「お前、目覚めたばかりでって」
そうしていると、ガッチャードライバーから飛び出たニジゴンの卵。
そして、ニジゴンの卵を持ったまま、俺はそのまま転移する。
「さて、病院服じゃ、格好はつかないから」
そう言って、ニジゴンの呟きと共に、俺の服も変わる。
その格好は青のマント付のジャケットに変わる。
「この格好は、まぁ良いか!」
そうして、俺達は、その場に立つと同時に、ニジゴンが放った光が。ドレッドの放った攻撃を完全に防いだ。
「皆、待たせたな」
その言葉にその場にいた全員がこちらを見ていた。
「ここは、俺達に任せてくれ」