「まさか、このような事になるとは」
そうしながら、弦十郎さんは、ここまで複雑に入り組んでいた事件に関しての素直な感想を呟いた。
「確認したいが、あれから情報は」
「ほとんどありません。グラウスヴァインの方からも情報を入手する事は出来ませんでした」
「やはり、グリオン達の情報を掴めなかったか」
今回の一連の騒動の中心にいると思われるグリオン。
そのグリオンの正体に関しても、未だに謎は多く残っている。
「グリオン自身が蘇ったのは、間違いなく一ノ瀬君が瀕死の状態になったあの瞬間だ。だが、あの瞬間になるまで彼は活動する事は出来なかったはず」
「だとしたら、グリオンが蘇るまでに手を貸していたのは、グリオンと共に行動していた少女だと思いますが」
「彼女に関しても謎が多い。そして」
先日の戦い。
グリオンが風鳴訃堂の身体を使い、異形の怪物を作りだした。
「グリオンが新たに作りだした新たな怪物。そして、グリオンによって蘇らせられた四人」
それは、S.O.N.G.いや、二課のメンバーにとっては因縁が多い者達ばかり。
だが。
「グリオンの言葉を信じるならば、彼らは身体こそ本物だが、中身はまるで違う存在という事だな。だが」
「……戦いにくい相手に、変わりないですよね」
彼らにとっては、決して戦いたい相手ではない。
しかし、だからといって戦うことを躊躇えば、この世界は滅びてしまう。
それは理解出来る。
「本当に、絶望的な状況が続いてますよね」
「まったくだ。だが、絶望だけではない」
そうしながら、弦十郎が見つめたのは、一ノ瀬だった。
「レインボーガッチャードですか」
「あぁ、キャロル君から聞いた話だと、このレインボーガッチャードはあの時、見せた力だけではない。未だに多くの可能性が秘めている。
おそらく、それがグリオンに対抗できる唯一の方法かもしれない」
「あぁ、それに、彼らも言っていただろ」
弦十郎は、その言葉と共に笑みを浮かべる。
「人とケミーとが手を取り合えれば、不可能はない。それが今回の戦いでも知る事が出来た」
そう、弦十郎は笑みを浮かべる。人とケミーが手を取り合い、共に戦えば不可能はない。
それを、今回の戦いを通して知る事が出来たのだ。
「その為にも」
そうして、弦十郎は頷く。
「だが、その為にも、多くの因縁が立ちはだかる。今は、それを乗り越える事を祈るしかない」
それは、多くの戦いを乗り越えた。故に、この戦いは。
これまで置いてきた戦いで置いてきた物を見つめ直す。
それを予感させる。