歌姫と錬金術とライダー   作:ボルメテウスさん

326 / 370
汚れた半翼

「・・・奏」

 

あのグリオンからの新たな敵が判明してから、S.O.N.G.の中の空気はかなり重い。

その中でも、それが特に出ているのは、間違いなく翼さんとマリアさんの2人だろう。

翼さんにとっては、自分の半身と言えるだろう天羽奏さん。マリアさんにとっては、自分の大切な妹であるセレナさん。

身体は同一人物ではあるが、全くの別人と戦う事になる。

そんな最中、俺は翼さんと共に、とある場所に訪れていた。

 

「それにしても、なんで俺を?」

「そうだな、なんとなくと言って良いだろうか」

「なんとなくですか」

「あぁ、響達には、この場所の事を話したが、君には、まだ話した事がなかったと思ってな」

「それがここ」

 

そう、案内された場所は、墓地。

そして、そこにあったのは、天羽家の墓と書かれていた。

 

「・・・ここには、奏の身体はない」

「えぇ、知っています」

 

ツヴァイウィングの惨劇。

その事件で、ノイズを全て消滅させる為に、絶唱でその身を灰にした。

故に、その魂だけでも眠って貰えるように建てられた場所だ。

 

「可笑しな話だ。心では理解出来ているはずだ。だけど、あの瞬間、奏を前にして」

「・・・」

 

俺は、それにどう返答したら良いのか分からない。

けれど。

 

「へぇ、ここが私の墓か。結構汚い所にあるんだなぁ」

「「っ」」

 

聞こえた声。

それと共に、俺達は構える。

そこに立っていたのは、奏の身体を乗っ取った何者かだった。

 

「お前は」

「おいおい、こうして再開したのに、そういう態度はどうかと思うぜ?」

「黙れ!!奏の身体でっそのような戯れ言を!!」

「戯れ言だと思うか?」

 

そう、奴は見つめる。

 

「果たして、お前は私の事をどこまで理解出来ているんだ?まさか、私が半翼だと言ったから、本当にそうだと思ったのか?」

「黙れ」

「私にとって、シンフォギアはなぁ、復讐の道具なんだよ。それを理解出来ずによく言えるよなぁ」

「黙れ!奏の声で、そのような事を言うな!!」

「翼さん!」

 

同時に翼さんは、そのままシンフォギアを身に纏う。

対して、奴は。

 

「ふっ」

 

その瞬間、その身体をマルガムへと変わる。

 

「っ」

 

その身に纏っているケミー。

その正体はすぐに分かった。

マケンタウロス、ギングリフォン、ドンポセイドン、ハオーディン、ヴァンフェンリル。

ケミーの中でも特に強力なファンタジック属性のケミーの5体を融合させている。

高貴で神聖な幻獣や神々をモデルにしたケミーを掛け合わせたにも拘らず、恐ろしい悪魔然とした怪物の如き容姿になっている。

 

「ふぅ!」

「っ」

 

同時に翼さんの刀を、正面から槍で受け止める。

 

「既に私にはガングニールなど要らない。私には既にこの槍があるから」

 

そう、ハオーディンの槍で翼さんを跳ね返す。

 

「ぐっ!」

 

同時にマケンタロスの弓矢が、降り注ごうとしていた。

 

「やらせるか、変身!」『『ガッチャーンコ!ガッチャ!&ゴー!レインボーガッチャード!ガッチャード!ガッチャード!!』』

 

その一撃を、正面から俺はレインボーガッチャードとなって、その攻撃を受け止める。

 

「レインボーガッチャードかっ、だけど!」

 

そのまま、槍による突きが襲い掛かる。

その攻撃は、当たれば確かに危険だ。

だけど、俺は、その攻撃を受け流しながら、蹴る。

 

「っ」「はぁ!」

 

俺はそのまま地面に手を叩く。

それと共に、地面の中に潜り込むと共に、そのまま地面から真っ直ぐとマルガムに向かって、殴る。

 

「なっ」「よっと!」

 

そのまま、俺はガッチャージガンを錬成する。

それも、二つ同時に。

二丁拳銃のような形となりながら、俺はそのまま引き金を引く。

火花を放ちながら、マルガムは、後ろへと下がる。

 

「ぐっ」

「さぁ、ここで決めるぜ」

 

これ以上、翼さんに辛い目を合わせたくない。

そう、俺はケミーカードをガッチャージガンに装填していく。

 

「止めてくれ!私はまだ、死にたくない!」

「奏っ」

 

それと共に翼さんは、思わず前に出る。

 

「うわっと!?」

 

同時に、引き金を引く。

俺は慌てて止めようとする。

ケミー達も、真っ直ぐと向かうはずだったマルガムではなく、翼さんがいた為、その行方を変えてしまった。

 

「本当、騙されやすいのね」

「しまったっ」

 

それと共に、マルガムの10本の腕。

それが、眼前にある空間に手を突っ込む。

すると、腕が飛び出たのは、ケミー達が仕舞っているカードケース。

 

「さぁ、これであなたのケミーを取り込む事が出来れば!私にもっと力が手に入るはず!!」

 

奴は言う。

だけど。

 

「それは無理だな!」

 

カードケースを開き、そのまま取り込もうとした。

だが、ケミー達は、その闇を受けても、まるで怯む様子はなく、そのまま反撃した。

 

「なっ」

 

それには、奴も驚きを隠せなかった。

 

「既にケミー達には、ニジゴンの力が触れている。もぅマルガムになる事はない!」

 

そう、俺は叫んだ。

 

「一ノ瀬っ宝太郎!!またっあの時と似たような事を!!」

「その名前を呼んで、しかもあの時。つまり、あんたもまた前の世界で知っている訳か」

 

そう言うが、奴は答えない。

 

「良いわ、今度こそ、あなたを殺してみせるわ。そんな無駄だらけの錬金術師を認めない為に」

 

それを最後に、奴は消え去った。

 

「ふぅ」

 

なんとか無事に終わる事が出来た。

 

「翼さん」

「・・・すまない、分かっているつもりだった。だけど」

 

そう言った翼さんは、答える事が出来なかった、

顔を俯く彼女に、俺はどう言ったら良いのか、分からず。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。