「・・・奏」
あのグリオンからの新たな敵が判明してから、S.O.N.G.の中の空気はかなり重い。
その中でも、それが特に出ているのは、間違いなく翼さんとマリアさんの2人だろう。
翼さんにとっては、自分の半身と言えるだろう天羽奏さん。マリアさんにとっては、自分の大切な妹であるセレナさん。
身体は同一人物ではあるが、全くの別人と戦う事になる。
そんな最中、俺は翼さんと共に、とある場所に訪れていた。
「それにしても、なんで俺を?」
「そうだな、なんとなくと言って良いだろうか」
「なんとなくですか」
「あぁ、響達には、この場所の事を話したが、君には、まだ話した事がなかったと思ってな」
「それがここ」
そう、案内された場所は、墓地。
そして、そこにあったのは、天羽家の墓と書かれていた。
「・・・ここには、奏の身体はない」
「えぇ、知っています」
ツヴァイウィングの惨劇。
その事件で、ノイズを全て消滅させる為に、絶唱でその身を灰にした。
故に、その魂だけでも眠って貰えるように建てられた場所だ。
「可笑しな話だ。心では理解出来ているはずだ。だけど、あの瞬間、奏を前にして」
「・・・」
俺は、それにどう返答したら良いのか分からない。
けれど。
「へぇ、ここが私の墓か。結構汚い所にあるんだなぁ」
「「っ」」
聞こえた声。
それと共に、俺達は構える。
そこに立っていたのは、奏の身体を乗っ取った何者かだった。
「お前は」
「おいおい、こうして再開したのに、そういう態度はどうかと思うぜ?」
「黙れ!!奏の身体でっそのような戯れ言を!!」
「戯れ言だと思うか?」
そう、奴は見つめる。
「果たして、お前は私の事をどこまで理解出来ているんだ?まさか、私が半翼だと言ったから、本当にそうだと思ったのか?」
「黙れ」
「私にとって、シンフォギアはなぁ、復讐の道具なんだよ。それを理解出来ずによく言えるよなぁ」
「黙れ!奏の声で、そのような事を言うな!!」
「翼さん!」
同時に翼さんは、そのままシンフォギアを身に纏う。
対して、奴は。
「ふっ」
その瞬間、その身体をマルガムへと変わる。
「っ」
その身に纏っているケミー。
その正体はすぐに分かった。
マケンタウロス、ギングリフォン、ドンポセイドン、ハオーディン、ヴァンフェンリル。
ケミーの中でも特に強力なファンタジック属性のケミーの5体を融合させている。
高貴で神聖な幻獣や神々をモデルにしたケミーを掛け合わせたにも拘らず、恐ろしい悪魔然とした怪物の如き容姿になっている。
「ふぅ!」
「っ」
同時に翼さんの刀を、正面から槍で受け止める。
「既に私にはガングニールなど要らない。私には既にこの槍があるから」
そう、ハオーディンの槍で翼さんを跳ね返す。
「ぐっ!」
同時にマケンタロスの弓矢が、降り注ごうとしていた。
「やらせるか、変身!」『『ガッチャーンコ!ガッチャ!&ゴー!レインボーガッチャード!ガッチャード!ガッチャード!!』』
その一撃を、正面から俺はレインボーガッチャードとなって、その攻撃を受け止める。
「レインボーガッチャードかっ、だけど!」
そのまま、槍による突きが襲い掛かる。
その攻撃は、当たれば確かに危険だ。
だけど、俺は、その攻撃を受け流しながら、蹴る。
「っ」「はぁ!」
俺はそのまま地面に手を叩く。
それと共に、地面の中に潜り込むと共に、そのまま地面から真っ直ぐとマルガムに向かって、殴る。
「なっ」「よっと!」
そのまま、俺はガッチャージガンを錬成する。
それも、二つ同時に。
二丁拳銃のような形となりながら、俺はそのまま引き金を引く。
火花を放ちながら、マルガムは、後ろへと下がる。
「ぐっ」
「さぁ、ここで決めるぜ」
これ以上、翼さんに辛い目を合わせたくない。
そう、俺はケミーカードをガッチャージガンに装填していく。
「止めてくれ!私はまだ、死にたくない!」
「奏っ」
それと共に翼さんは、思わず前に出る。
「うわっと!?」
同時に、引き金を引く。
俺は慌てて止めようとする。
ケミー達も、真っ直ぐと向かうはずだったマルガムではなく、翼さんがいた為、その行方を変えてしまった。
「本当、騙されやすいのね」
「しまったっ」
それと共に、マルガムの10本の腕。
それが、眼前にある空間に手を突っ込む。
すると、腕が飛び出たのは、ケミー達が仕舞っているカードケース。
「さぁ、これであなたのケミーを取り込む事が出来れば!私にもっと力が手に入るはず!!」
奴は言う。
だけど。
「それは無理だな!」
カードケースを開き、そのまま取り込もうとした。
だが、ケミー達は、その闇を受けても、まるで怯む様子はなく、そのまま反撃した。
「なっ」
それには、奴も驚きを隠せなかった。
「既にケミー達には、ニジゴンの力が触れている。もぅマルガムになる事はない!」
そう、俺は叫んだ。
「一ノ瀬っ宝太郎!!またっあの時と似たような事を!!」
「その名前を呼んで、しかもあの時。つまり、あんたもまた前の世界で知っている訳か」
そう言うが、奴は答えない。
「良いわ、今度こそ、あなたを殺してみせるわ。そんな無駄だらけの錬金術師を認めない為に」
それを最後に、奴は消え去った。
「ふぅ」
なんとか無事に終わる事が出来た。
「翼さん」
「・・・すまない、分かっているつもりだった。だけど」
そう言った翼さんは、答える事が出来なかった、
顔を俯く彼女に、俺はどう言ったら良いのか、分からず。