歌姫と錬金術とライダー   作:ボルメテウスさん

327 / 370
虹色の可能性

天羽奏さんの身体を乗っ取ったのは何者なのか。

それが一体何者なのか、今はあまり関係ない。

俺達が直面している問題は、それよりも大きいのだから。

 

「・・・」

「翼さん」

 

状況を考えれば、理解出来ている。

幾度の戦いを乗り越えたからこそ、翼さんも、あれが偽物だと知っている。

けれど、理解しているのと、それを受け入れるのかは別問題だ。

何よりも、翼さんにとっては大切な人だった奏さんならば。

あれから、数時間が経った。

すぐにでも、増援と合流したい所ではあるが、まだ来れない状況が続く。

 

「あっいたいた!」

「んっ?」

 

そんな事を考えていると、そこには。

 

「諸干さんに四位さん、それに関流さん。なんで?」

「いや、ここにかなりヤバい反応があるって聞いたから、急いで来たんだけど」

「あぁ、それだったら、もう逃げましたよ」

「早っ!」

 

俺の言葉に対して、四位さんは思わず叫んだ。

まぁ、普通に考えれば、あのマルガムは、俺達がこれまで戦った中でも力だけならばかなり上位にいたんだろう。

 

「やはり、レインボーガッチャードはそれだけ強いという事なのか。まぁ、あの力を考えれば」

「けど、レインボーの力はこれだけじゃないからな、なんだって」

 

そう言っていると、そこにいたのは。

 

「・・・」

「環さん」

 

そこには、環さんが立っていた。

 

「・・・お前は、もう戦うな」

 

そう、翼さんに言い放った。

冷たいような一言。

その言葉に対して、周囲は戦慄しただろう。

 

「いいえ、私は、戦います。あの偽物にっ、これ以上奏を「そんな考えで、あいつを殺せると思うのか」っ」

 

同時に傷口に塩を塗り込むように。

 

「おい、あんた、それは」

 

関流さんは、すぐにそれを止めようとした。

だけど、俺はそれを遮った。

 

「あの戦いで、ガッチャードは確実にマルガムを倒せた。それを遮ったのは、間違いなくお前だ。

そんなお前が、また奴が現れたら、邪魔をしないとでも思っているのか」

「っ」

 

悔しそうに顔を歪ませる。

だけど、そこからは、悪意は感じない。

だからこそ。

そう考えている時だった。

ニジゴンが、飛びだした。

 

「天羽奏って、一体どんな人だったんだぁ?」

「ニジゴンちゃん、今は」

「だって、オイラ、とっても嫌なんだよ!翼が大切な人をあんな風に利用されて!だけど、オイラは、奏の事、全然知らないから」

「奏の事か」

 

すると、翼さんは空を見上げる。

 

「・・・思えば、私もあまり知らなかったのかもしれない」

 

それと共に見つめる。

 

「私が知り合ったのは、5年前程。そこから私と奏が一緒にいた時期は、今考えると、本当に僅かだったかもしれない」

 

そう言った。

 

「もっと話したかった。もっと色々と知りたかった。記録じゃなくて、奏自身の言葉で。これからの事をもっと」

 

それは、おそらくは後悔の言葉だろう。

今も、残っている。

 

「それが、私の中で迷いを産んでいるのは分かっているっ、それを切り捨てなければならない事もっ」

「切り捨てる必要なんて、ないわ」

 

それを止めたのは、諸星さんだった。

 

「切り捨てる必要なんてない。今はもういなくて、会えなくなったとしても、大切な人を切り捨てるなんて考え、しなくても良いわ」

「そうだよな、だって、悪いのは結局、その身体を使っている奴だ。だったら」

「けれど」

 

未だに迷いはある様子だった。

 

「そうだぜ、切り捨てる必要が、どこにあるんだが」

 

聞こえた声。

それと共に、見れば、再び現れたのはあのマルガムだった。

 

「お前」

「今度は役立たずの仲間も揃っている様子ね。これだったら、すぐに勝てそうね」

「役立たずだと、だったら、やってみるか?」

 

その言葉に、怒りを覚えたように四位は睨み付ける。

俺もすぐに構えようとした時だった。

 

『アッパレ!アッパレ!』

「んっ」

 

すると、翼さんの手元にあるアッパレブシドーが何かを叫んでいる。

気になっていると、他にもケミー達が叫んでいる。

俺は気になって、ケミー達を取り出す。

 

「ホッパー1?サボニードルにキャッチュラ?」

 

まるで、何かを伝えようとしている。

それは、特にキャッチュラが。

 

「っ」

 

それと共に、俺は頭を抑える。

それは、俺の知らない記憶。

おそらくは、ケミー達が俺に教えてくれる前世の記憶。

それと共に、見えたのは、黒いスーツを身に纏った人物。

そして、キャッチュラを使ってマルガムにした。

 

「針馬汐里」

「えっ?」

 

その名前を出した瞬間、周囲はこちらを見る。

 

「そうか、なるほど、今、思い出したよ、なるほどな。あの時も、空間を再錬成する錬金術で、俺からケミー達を奪ったよな。けど、それが失敗に終わったから」

「ちっ、本当に、忌々しいわね」

 

それと共に正体を露わにしたようにこちらを睨む。

 

「だとしたら?例え、あなたが相手でもね、今度は!」

 

同時に奴は姿を変えた。

しかも、その姿は。

 

「なっ」

「10体の融合体よぉ!」

 

それは、おそらくはファンタスティックケミーを10体、全てと融合した姿だろう。

レプリケミーとは言え、その力は凄まじい。

 

「なぜ、そこまで」

「力を手にする為に決まっているじゃないの?あの瞬間、蘇って貰った瞬間、湧き上がる力!その快楽は、本当に素晴らしかったわ!」

「お前っ」

「あなたも分かるはずよっこの快楽が!一緒に力を求めようぜ、翼!」

 

そう、翼さんに促すように言う。

 

「私は」

 

迷いが見える。

だけど、その時だった。

 

『アッパレ!』

「っ」

 

アッパレブシドーが、何かを叫んだ。

それは、翼さんにも何か伝わったようだった。

 

「助けろか」

「えっ?」

 

助ける。

それは、首を傾げた。

 

「ずっと、どうすれば良いのか分からなかった。けど、ようやく分かった気がする」

「何がだよ?」

「お前は、その力を使っても特に損はない。なんだって、その身体はお前の身体じゃない。だから、崩壊しようと、躊躇無く使える」

「それが、何?」

「っ」

 

それは、翼さんにとっては、必要な言葉だろう。

 

「・・・奏の身体を、道具として使い捨てるつもりなのか」

「あら、崩れてもまた再錬成すれば良い。脆弱な人間の身体では決して出来ない方法よ」

 

その言葉は決定的だった。

 

「環さん」

「なんだ?」

「ありがとうございます」

「いきなり、何を言っているんだ?」

 

そう、翼さんは環さんに、お礼を言った。

 

「私は迷っていました。あなたに言われて、また殺してしまうかもしれないって。けど」

 

同時に、そのまま見つめる。

 

「私は、戦う。それは殺す為じゃない。針馬汐里によって、囚われた奏の身体と魂を救う為に。それが、僅かでも聞こえるケミーの声が、それを教えてくれた」

「そういうつもりで言ったつもりはないがな、けど、良いぜ、だったら見届けてやるよ」

 

そう、環さんは言う。

 

「何が出来るの?まさか、死ぬ為に?」

「何を言っているんだ。まさか、俺達に勝てるつもりなのか?」

 

そう、俺は宣言した。

 

「確かにレインボーガッチャードは相手にしたくないわ。けどね、それ以外の奴らなんて「この場に雑魚なんて、1人もいないぜ!変身!」なに?」『『ガッチャーンコ!ガッチャ!&ゴー!レインボーガッチャード!ガッチャード!ガッチャード!!』』

 

俺は、そのままレインボーガッチャードに変身する。

 

「レインボーガッチャード!けど、お前以外は」

 

そう呟くが、俺は既に別のケミーカードを取り出していく。

 

「それじゃ、行くよ、皆!」

「えっ、行くって?」「いや、俺達のケミーカードはお前が持っているんじゃ」「まさか」

 

そうしている間にも、俺はそのまま次々とケミーカードを装填していく。

 

『ゲンゲンチョウチョ!レインボー!スマフォーン!レインボー!ガッチャーンコ!スマフォーゲン!ヒアウィーゴーン!』『カリュードス!レインボー!ゲキオコプター!レインボー!ガッチャーンコ!カリューコプター!レインボー!』『ビートルX!レインボー!マッドウィール!レインボー!ガッチャーンコ!マッドX!ヒィアウィーゴーン!』

 

その音声が鳴り響く。

同時に3人の元に、レインボー化したケミー達がそのまま重なる。

それによって。

 

「えっ、これって、もしかして」「俺達もレインボーになれたのか!?」「驚きを隠せないわね」

 

そう、三人は呟いた。

 

「なっ」

「まだまだ!翼さん!」「なるほど、心得た!」『スケボーズ!レインボー!アッパレブシドー!レインボー!『ガッチャーンコ!アッパレスケボー!ヒアウィーゴーン!』

 

鳴り響く音声。

それと共に翼さんもまたシンフォギアを身に纏う。

だが、その上に重なるアッパレブシドーの装甲。

それによって、また変わる。

これまでとはまた異なる姿。

その髪の裾が炎を纏ったように光り、パーツの一部も光ったような状態になっている。

アッパレブシドーを通じて、レインボーガッチャードの力によって、エクスドライブとなったのだろう。

 

「っ」

「環さんも!」「えっ、それって」『ドクターコゾー!レインボー!ツッパリヘビー!レインボー!ガッチャーンコ!ドクターヘビー!ヒアウィーゴーン!』

 

鳴り響く音声。

ここに来たのは、予想外だったけど、ドクターコゾーが、環さんを信じている。

ならば、出来るはずだ。

直感だったけど、どうやら当たりのようだ。

ドクターコゾーと、ツッパリヘビーが、そのまま環さんと重なる。

それと共に、その姿は。

 

「これは、ガッチャード!?」

「よっしゃ、ガッチャ!どうだ見たか!」

 

俺はそのまま構えた。

 

「なっ」

「そっちが10体のケミーを無理矢理取り組んだんだったら、こっちはケミーと絆を紡いだ6人だ!」

 

俺は、そう宣言した。




レインボーガッチャードの特徴は、ガッチャーブラザーズは分身体を生み出す事が出来る。
ならば、その能力を応用すれば、今作のみですが、様々な追加設定を行わせて貰いました。
一つ目は、今作で登場したオリジナルライダー達のレインボー化。各々の能力がガッチャードブラザーズと同様にパワーアップし、さらには手を繋ぐ事で、各々の能力が共有する事が出来ます。それによって、ライダーが増えれば増える程に、その力は増大していきます。
二つ目は、エクスドライブの完全解放。これは、ガッチャードがエクスドライブに例えたように、シンフォギア装者が絆を紡いだケミーの力でエクスドライブを発動出来るようになります。さらには、その力も同じく共有出来ます。
そして、三つ目は、一般人でもガッチャードブラザーズ化。より正確に言えば、ケミーと絆を紡いだ相手で限定になりますが、変身条件はそれだけ。変身解除も特に問題なく、さらにはこちらの同じく力は共有となります。

つまり、今作のレインボーガッチャードは単体でも最強。仲間が増えれば増える程にさらに最強になるとんでもない仕様となっています。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。