「・・・はぁ」
そう、眼前で、レインボーガッチャードの力を目撃してか、針馬汐里は声を出した。
それは、俺以外の全員が雑魚だと思っていたからだろう。
しかし、それは間違いであると。
「巫山戯るなっ、そんな事っあり得るかぁ!」
その叫びと共に、その身体から無数の属性の攻撃が放たれる。
元々、ファンタスティック属性は、その一体一体がとても強い力を持っている。
それら全ての力を一つの身体に纏めている。
故に、その力は、これまで戦ったどのマルガムよりも強いだろう。
だが。
「行くぜぇ!」
その攻撃よりも早く動いた奴がいた。
レインボーの力によって、より強力になったマッドウィールとビートルX。
2体のケミーの力が合わさった事によって、まるでワープをしたと勘違いさせる程の加速力で一気に針馬汐里へと突撃するシークン。
その突撃を正面から受けて、怯まないはずはなかった。
「ぐっ!」
その攻撃を正面から受けても、倒れなかったのは、針馬汐里の身体の中に存在するレベル10のケミーであるドラゴナロスの影響だろう。
元々、ケミーの中でも最上位に位置する強さを誇り、同じレベル10のビートルXとの間でも大きな力の差はあっただろう。
しかし。
「はぁ!」「っ!?」
シークンの突撃。
それによって、針馬汐里には決定的な隙があった。
その隙を逃さないように、既にグドスが接近していた。
シークンの身体を掴んで、同時に接近していた。
同時に、シークンの加速力を利用し、飛んでいたグドスは、その両手にある斧を大きく構えていた。
「ぶった斬ってやるぜぇ!」「きゃあぁあぁぁ!!」
斧は、レインボー化の影響でより巨大に。そして強力になっていた。
その一撃で、針馬汐里が捕らえていたレプリケミー達を解放した。
元々、悪意によって作られた偽りのケミー達。
だが、苦しみから解放されたがっているように、針馬汐里から出て行く。
「くっ、私の力を返せ!」
そんなレプリケミーを再び身体に取り込もうと動く。
切断された腕から無数の触手が襲い掛かる。
しかし。
「全く、こういうのを見ると、本当に胸糞悪い」
「っ!」
レプリケミーを捕らえようとした攻撃。
だが、それは空を切った。
それだけではない。
レプリケミー達の姿が消えていた。
「これはっ」
「レインボーの力、まさかここまで高められるとは」「光学迷彩の応用という訳ね」
「っ」
そのレプリケミー達を、逃した力。
それはカリオスの、ゲンゲンチョウチョの力がレインボーによって、より強くなっている。
さらには、環さんのドクターヘビーの力。
ドクターヘビーから放たれている小型の兵器が、それらの行動をさらに妨害している。
「これではっ」
接近戦においては、シークンとグドスの2人が。
遠距離からは、環さんとカリオスの2人が。
それらの妨害によって、針馬汐里は、その行動を自由に行えない。
「このままじゃっ」
4人の行動。
それによって、次々とレプリケミー達が解放されていく。
力が削がれていく。
それが、力を求めている針馬汐里にとっては恐怖しかなかった。
「あいつらはっどこにっ」
そうして、妨害されている事に目を向けていた。
だからこそ、俺達の存在に気づかなかった。
『ハオーディンストラッシュ』
鳴り響く音声と共に、翼さんの手にはエクスガッチャリバー。
そこには、針馬汐里から取り返したハオーディンが装填されていた。
「止めろっ翼!」
だが、そこでも翼さんを惑わせるように、奏さんの声で遮ろうとした。
だけど。
「偽物相手には、幻影ね。少しサービスよ」
それと共に、翼さんのに渡していたエクスガッチャリバーの手元が変化した。
「えっ」
翼さんの隣。
そこには、本来ならばいないはずの奏さんの幻影があった。
偽物だろう。ゲンゲンチョウチョの力。そして、針馬汐里によって取り込まれたハオーディン。それらが重なって、奏さんの偽物に近いだろう。
だけど。
「行こう、奏」『あぁ!』
それは、紛れもなく、翼さんの中にいる本物の奏さんの言葉だろう。
奏さんの幻影は、その手に持ったエクスガッチャリバーを幻影と共に巨大な槍にした。
「さぁ、ここで決めるぜ!」『ガッチャーレインボーフィーバー』
「はああぁあ!!」
「っ!」
既に、その身体にあるレプリケミー達は残っていない。
そこに残っているのは、レベル10のケミーであるドラゴナロスが残っている。
その攻撃が、こちらに迫る。
だけど。
「はああぁぁぁ!!」
俺は、翼さんが放った竜巻の中に身を任せる。
竜巻と共に、真っ直ぐと、針馬汐里に向かって。
針馬汐里の放った炎は、竜巻によって散らされ、そして、そのまま俺はそのまま針馬汐里を貫く。
「まだだ、私はまだっ」
そう、その手を前に出す。
しかし、ドラゴナロスが完全に抜け、その身体は灰になる。
「また消えるっこんな消え方でぇ!?」
それによって、完全に、その身体は灰となった。
同時に。
「奏」
翼さんは、そのまま幻影だった奏の方にも目を向ける。
そこには言葉はない。
幻影ではある。
だけど、最後に笑った気がする。