「既に5人は倒した訳か」
その日、キャロルは晩飯を食べながら、そう言っていた。
グリオンが放ったと思われる刺客。
彼らが、どのような目的で行動しているのか。
それは現状、俺達では分からない事が多かった。
「まぁな、それにこれまでの事を考えたら、何か別の動きをしている可能性があるからな」
「だろうな、むしろ、私としてはそっちに注意を向ける方が先決だと考えている」
キャロルの言葉に対して、俺は頷くしかなかった。
グリオン。
俺からしたら、前世からの因縁のある敵。
奴は、この世界に復活した際、何を企んでいるのか。
それすら、未だに分かっていない。
むしろ、謎が多すぎる。
「行うとしたら、考える限り最悪なのは、前の世界の再現だろうな」
「前の世界の再現って言うと、響さんと悠仁さんが言っていたこの世界が誕生する前の世界」
「かもしれないけど」
そう、俺は、グリオンが誕生させた世界。
それは、俺から見ても、地獄に近かった。
「阻止したいけど、奴をどうするべきか」
同時だった。
『ならば、我と手を組むのはどうだ』
「「っ!」」「へっ」
聞こえた声。
それと共に、俺の目の前で、食事を食べていたエルフナインが消えてしまった。
テレポートジェムとは違う瞬間移動。
一瞬、出遅れたが、俺はすぐにガッチャードライバーを取りだすと共に、テンライナーを装填する。
「変身!」『出発進行!アイアンガッチャード!シュポポポーン!』
それと共に、俺はガッチャードライバーにワープテラを装填すると共に、その場をキャロルを連れて、すぐに移動する。
「キャロル、さっきの反応は」
「おそらくは最後の奴だろう、わざわざエルフナインを連れていったのは、俺を案内させる為だろうな」
それと共に、俺はキャロルの案内の元、とある場所に辿り着いた。
辿り着いた先、そこには、見覚えがあった。
かつて、アダムとの戦いを繰り広げた場所。
その場所に転移するのと同時に、俺はエルフナインを攫った相手を見る。
「わざわざここを選んだのは、どういうつもりだ」
「なに、お前達と話すには、この身体の持ち主との因縁のある場所を選んだ。それだけの事」
そう、奴はその姿を露わにした。
それは、グリオンと共にいた6人。
その最後の1人であり、その身体の持ち主は紛れもなく、アダム。
「お前は一体」
「我はギギスト。全ての人間の理解者であり、お前にとっては最も因縁深い最後の冥黒王だ」
「冥黒王、ガエリヤとジェルマンと同じ」
「その認識で間違いではないな」
奴は、そのまま笑みを浮かべる。
だが、不気味である事は変わりない。
「わざわざ主人を裏切るとは、あまり忠誠心がないように見えるが」
「我は元々奴に忠誠など誓っていない。だが、奴が目的を達成させる為に蘇らされた。それだけの話」
「それと、俺と手を組むのと関係するのか」
それと共に、俺達は構える。
「そう身構えるな。確か、まだ食事の途中であるだろう。空腹では何かと話は進まない。
話は、食事を行いながらにしよう」
ギギストはその呟きと共に、目の前に呼び出したのは、先程まで俺達が食べていた食卓。
さらには、わざわざ自分の分まで用意して。
「キャロル、今のは」
「テレポートジェムと同じだ。いやそれ以上だ。あれ程、正確な転移を行うには、ワープテラの力がなければ不可能だ。それを意図も容易く行えるなど」
「ほら、席についたらどうだ。我も久し振りの食事を楽しみにしているからな」
そう、ギギストに促される。
現状、エルフナインが人質に取られている以上、下手の事は出来ない。
それが分かって、俺もキャロルも、それに促されるがままに食卓に座る。