「人間の理解者だと」
「そうだ、何よりも我ならば、お前達の願いを全て叶える事が出来る」
「願いだと?」
それに対して、俺達は首を傾げる。
「一ノ瀬悠仁、お前はこのままの状態でケミーが果たして受け入れられると思っているのか?ケミーと人間の共存の難しさを」
ギギストの、その言葉に俺は否定は出来なかった。
「お前は知らないかもしれない。いや、幸運だっただろう。マルガムというのは、悪意に触れてしまったケミーは意識を失い、取り込んでしまった人間は膨れ上がった欲望のままに暴走した存在だという事を」
「っ」
それには心当たりは確かにあった。
だけど。
「そして、キャロル・マーティン、お前は世界を知れという父の意思を受け継ぎ、行動をしていた。記憶を無くし、幸せではあっただろうが、今も変わらないはず」
「貴様っ」
それは、キャロルにとっては。
「だが、我ならば、その父を生き返らせる事が出来るだろう。そこの奴が行ったような不完全ではなく、完全な蘇生をな」
ギギストは、そう呟いた。
「その報酬は、お前達にとっても、魅力的なはずだ」
「あぁ、そうだな、よく理解出来たよ」
ギギストは、その直前までは、おそらくは成功したと思っているだろう。
それが、確信しているような表情だろう。
だが。
「貴様が、どうしようもない屑だとな」
その言葉の直前だった。
キャロルは、既に錬金術を発動していた。
「無駄な事を」
「お前から距離を取るには十分なんだよ、一ノ瀬!エルフナイン!」「あぁ、分かった」「はい!」
その言葉と共に、俺達は既に構えていた。
「「変身!!」」『レインボーガッチャード!』『プロミネンスホーン! サンユニコーン!』
同時に、俺はレインボーガッチャードに、キャロルはマジェードへと変身し、構える。
「理解出来ないな、お前の望みが敵うチャンスのはずなのに、なぜわざわざ手放すのか?」
ギギストは、そう問いかける。
それに対してのキャロルの言葉は。
「望むチャンスだと?どうやら、お前は人間の事は理解していても、俺の事は理解出来ていないようだな」
「ほぅ」
そう、キャロルは、ギギストを睨む。
「確かに記憶を失う前の俺だったら、それに乗っていたかもしれない。パパに会いたいと思って、嫌いだった奇跡にも縋ったかもしれない。
けどな、今の、こいつらと一緒に暮らす生活を手放してまで手に入れて、許さないだろうな」
「周囲の人間は理解を示すと思うがな」
「周囲はな、だが、俺は俺自身が許さないんだよ」
そう、キャロルの言葉に俺も笑みを浮かべる。
「そうだな、本当に」
いつも、背中に手を押されるような気がする。
「例えお前の力で全部が敵ったとしても、それは、俺のやりたい事じゃない。俺のガッチャは自分の力で叶えなきゃいけないからな。
それに」
俺は同時に笑みを浮かべる。
「願いを叶えるんだったら、お前のような悪魔じゃなくて、誰もが幸福に生きられるように戦った神様の方が良いからな」
「・・・どうやら、お前達の事を買いかぶり過ぎたようだな」
そう、ギギストは、アダムの皮を被り、その本性を露わにする。
その姿は、漆黒の魔法使いを思わせる姿であり、手は幾つも生えている。
「ならば、貴様らを取り込むだけの事」
「出来るもんならなぁ!」