その日、リディアン学園は桜が舞っていた。
「本当に、色々とあったなぁ」
その言葉と共に響は、その桜を見ていた。
その桜を、この街で見るのも、響にとっても三度目の春を迎えていた。
「響!」
「未来!」
そうして、既に始業式が行われている時、このリディアン学園で、この街に来た時の出来事を振り返っていた。
最初の一年。
その時には、これまで自分の常識を覆すようなシンフォギア。そしてノイズとの戦い。
そうした戦いの中でも、多くの悲しい事があった。
救えなかった命もあった。嫌な記憶も数多くあった。
だが、後悔の記憶だけではなかった。
かけがえのない友との出会い。
そして、響にとって、人生を変えてくれた彼の事を。
「そう言えば、響は、進路はどうするつもり」
「あっ、あはははぁ、そう言えば、どうしようっ」
ふと、未来からの言葉に対して、響は苦笑する。
それは響自身も分かっていた事で、そろそろ、卒業後の事を考えなければいけない。
「響は一応はSONGに入っていると思うけど、これからどうするの?」
「う~ん、その、ここに来たのも元々は翼さんに会う為に来た。けど、自分のやりたい事があまり思いつかないの」
未来に問われて、響は考える。
自分のやりたい事。
それは、ずっと変わらずに、誰かを助たいと思っていた。
だが、今の状況ではそれが叶わない。
だからこそ、自分が何のために戦うのかが分からない。
そんな考えをしていた時だった。
「だったら、響は色々な手を掴みたい。だったら、きっとそこは」
「……うん、そうだね」
未来からの言葉を聞き、響も、自分のやりたい事を、そう告げる。
そして響は、この先も、皆と一緒にいたいと。
「響」
「なぁに?」
未来が響の手を握った。
その温もりは、いつだって響を支えてくれる。
「響なら、大丈夫」
「……うん!」
この先に、どんな困難があっても。
響は、この温もりだけは忘れない。
「でも、そうなると響とあんまり会えなくなっちゃうね」
「うん、けど、心は繋がっているよ」
「だね」
「未来と、もっと沢山一緒にいたかったなぁ」
響の言葉に未来が笑う。
そして、ふと、未来は窓の外を見た。
「そうだね、響はもっといっぱい思い出を作りたい」
「うん。それに未来とも」
「えへへ、ありがと」
未来が微笑み、そうして響の手を握る。
いつものように、この温もりがあれば、なんでもできる気がした。
けれど、その未来の表情は、少し曇っているように思えた。
いずれお別れするかもしれない。
だけど、それは今じゃないと、響はそう思う。
「おーい、響先輩! 未来先輩!」「ほらぁ、早く早くデス!」
すると、二人を呼んでいる声に響は振り返る。
そこに居たのは、切歌と調だった。
それと共に、彼女達が見上げた先。
青空に、僅かに映る月。
そんな月の後ろには、小さく映ったのは、地球。
その地球には。
「おぉ! すげぇ! これって、もしかしてカメドーン!!」
その言葉と共に、一ノ瀬は、その手にカメと戦車が合体したケミーを捕えていた。