始まりのライブ
「ライブに、まさか来るとはなぁ」「ちっ、騒々しい」
世間で、ルナアタックと呼ばれる事件から時が経った。
あの頃の激闘の日々からは、考えられない程に、ノイズ達が現れる確率が大きく減った。
キャロルの話を聞いて、ノイズを召喚するソロモンの杖を使った人為的な事件だった為に、あそこまでノイズが多く出ていたらしい。
「おかげで、シンフォギアが出てこず、ケミーの回収もあまり進まなかった」
「まぁまぁ、ケミーとは、いずれ出会えるし、今日はライブを楽しもう、なぁ皆!!」『ホッパー!!』
そう、俺は後ろを振り返る。
今回、俺が呼ばれた席は、弦十郎が仮面ライダーとして、これまでのお礼にと、特別席に案内してくれた。
だからこそ、これまでは解放出来なかったケミー達も、今回のライブには、かなり楽しみな様子だった。
「ほら、ライブが始まるぞ!」
「おぉ!!」
キャロルの声に合わせて、俺達はすぐに見つめる。
人生、初のライブ。
その盛り上がりと共に、会場の一体感は、なかなかに良い。
ケミー達も、各々がペンライトを持ちながら、踊りまくっており、そのライブを楽しんでいる様子がよく分かる。
ライブは、盛り上がり続ける。
それは、俺にとっても馴染み深い風鳴さんは勿論、今回のライブで一緒に歌っているマリアさん。
だが、そんなライブは、ノイズが出現した。
「これって」
「この感じは、ソロモンの杖か」
ノイズが現れた事によって、阿鼻叫喚の混乱状態に陥りかけたライブ会場に
「狼狽えるなッ!!」
その声が響いた。
声の主はなんとマリアだった。
マリアは手に持ったマイクを構え観客に、そして、中継されている全世界に向けて言い放つ。
「私達は、ノイズを操る力をもってしてこの星の全ての国家に対して要求する!!」
高らかな口上にその場にいる俺達は驚きを隠せなかった。
「世界を敵に回しての口上!?これはまるで、宣戦布告!?」
それを見るすべての人々の前で不敵な笑みを浮かべたマリアは
「そして――」
それと同時に、俺達は、それに驚きを隠せなかった。
「――Granzizel bilfen gungnir zizzl」
紡がれた歌と共にマリアの身体が光に包まれる。
そして、その身を漆黒の鎧が包む。
それはよく知るガングニールだった。
「黒い…ガングニールだと……?」
そのあまりにも予想外な姿に翼は驚愕に震えながら呟く。
そのまま漆黒のマントをたなびかせながら落ちてきたマイクを華麗に掴んだマリアは再び観客や全世界の人間に向けて再び口を開く。
「私は――私達は『フィーネ』!!そう、終わりの名を持つものだ!!」
その名前は、俺達にとっても馴染み深い名前だった。
高々に宣言される口上。
「我ら武装組織『フィーネ』は、各国政府に対して要求する。――そうだな…差し当たっては、一両日中の国土の割譲を求めようか
もしも、24時間以内にこちらの要求が果たされない場合は、各国の首都機能がノイズによって不全となるだろう」
その場にいる翼も、中継を見る各国の首脳陣もその言葉の意味を測りかね困惑する。
「どこまでが本気なのか……?」
「私が王道を敷き、私達が住まうための楽土だ。素晴らしいとは思わないか?」
翼の問いにマリアは本気とも冗談とも思える不敵な笑みを浮かべながら言ったのだった。
「会場のオーディエンス諸君を解放する!ノイズに手出しはさせない!速やかにお引き取り願おうか!」
同時にそれは、俺達にとっては、予想外であった。
「・・・すぐに飛び出すな」
「あぁ、分かっている」
それと同時に、俺はそのまま構える。
先程まで騒いでいたケミー達も静かになり、そのまま俺は構える。
キャロルのおかげで、俺達は既に避難している事になっている。
そして、観客が避難するのと同時だった。
「今だ」
「あぁ、変身!!」『ガッチャーンコ!スチームホッパー!!』
俺は、そのまま真っ直ぐと、ライブ会場へと飛び込む。
「なっ」「仮面ライダーっ」
俺はそのまま会場へと入りながら、ワイルドモードとなって、ノイズ達を踏みつけながら、宙を舞う。
「もしも、ソロモンの杖があるならば、ノイズを操る奴がいるはずだ、ならば、その可能性があるのは!!」
「ちっ」
そのまま、俺はマリアに向かって、蹴り上げる。
その蹴りを、黒いマントで身体を包み込み、受け止める。
後ろへと下がりながら、瞬時に構える。
「まさか、ここで噂の仮面ライダーが出てくるとは、予想外だったわね」
「俺としても、ライブを楽しみたかった所なんだけどな」
「あら、それはごめんなさい。だけど、今日はあなたの相手は出来ないわ」
「ほぅ、それは一体」
「あなたの相手は、既に来ているからよ」
そのマリアの言葉に疑問に思うと同時だった。
『バクオンゼミ!ライデンチ!ガッチャーンコ!ライデンゼミ』
鳴り響いた音と共に、俺は、そのまま後ろに避ける。
見つめた先、そこにいたのは、俺が見た事のないガッチャードライバーの持ち主。
先程の音声からある程度、理解しており、、蝉をモチーフとしており、装甲は電池をイメージさせる。
「まさか、新たなガッチャードライバーの持ち主か」
「そういう事だ。悪いけど、ここで君を倒させて貰う」
その言葉と共に、そいつの身体からは電気が走り、その両手には雷を纏っている。
そのまま、俺は地面を踏み、跳び上がる。
だが、そんな俺の行動に対して、そいつもまた跳躍する。 そして空中でぶつかると同時に、俺は拳を振るい、そいつはその腕を掴む。 そこから更に力を込めて押し切ろうとするが、そいつの腕の力も相当なもので、互いに膠着状態に陥る。 そこで俺は蹴りを放ち、相手の腹を狙う。
だが、それも予想していたのか、相手もまた脚を上げており、互いの足の裏同士がぶつかり合う。 その衝撃に一瞬だけ動きを止めてしまうと、その間に奴は手を離し、距離を取る。
そうして離れた事で見えた相手の姿。
その手には雷を集め、それを一つの球体に変えていた。
「はあぁぁ!!」
その、雷球を、真っ直ぐと、放つ。
「力を借りるぜ、ユウゴッド!!」
それは、このライブを行くと偶然に会ったユウゴッドから借りたゴリラセンセイ。
そのゴリラセンセイを、そのまま俺はガッチャードライバーに装填し、もう一枚、新しく仲間になったバーニングネロを装填する。
『ゴリラセンセイ!バーニングネロ!ガッチャーンコ!バーニングゴリラ!』
「はああぁぁぁ!!」
そのまま、新たな姿、バーニングゴリラへと変わった俺は腕部に装着した大型装甲に炎を放ちながら、雷球を殴りつける。
すると、俺の拳が当たった瞬間、雷球は爆発を起こし、辺り一面に放電現象を起こす。
そして、そんな電撃の中を突き抜けて俺は奴に向かって駆け出す。
対する相手も雷撃を纏いながら、こちらに向けて走り出して来た。 互いに距離を詰めると、相手の攻撃が届く前に、俺の攻撃が先に届く。
拳を振り上げ、叩きつける。
俺の炎の拳と、奴の雷の拳がぶつかり合い、お互いの力が相殺される。 だが、それはあくまで一撃目だ。 すぐに二撃目が飛んでくる。 それを、今度は避けずに受け止める。 衝撃で吹き飛ばされそうになるが、なんとか堪えた。 そして、そこから更に三撃目を喰らう。 四撃目は流石に避ける。 しかし、五撃目が来る。 六撃目は受けきれない。
だが。
「負けてたまるかよぉ!!」
「ぐっ」
俺はそのまま、拳を叩きつける。
それによって、奴は吹き飛ばされる。
「ふぅっ、はぁ」
なんとか、対抗する事が出来た。
「やはり、僕だけで、勝つのは無理か」
「だったら、ここで止めるか」
「んっ?」
それが、首を傾げている。
同時に。
「うそ~ん」
そう、言いながら、俺は思わず周囲を見渡す。
先程まで戦っていたケミカルだけではない。
なんと、この場には、他に3人のガッチャードライバーの装着者がいる。
そして、状況を見ても、確実に俺と戦う事は見て分かる。
つまり。
「1対4という訳か」
「あぁ、君の力は厄介だからね。ここで、必ず倒させて貰う」