周囲を囲む彼らを見ながらも、俺は冷静に、この状況をどうするか考える。
見ると、こちらの戦闘とは別に、風鳴さん達もまた、戦っていた。
この状況で、彼女達を助けに行く事は出来ない。
むしろ、こちらが助けて欲しいが、今はそれも出来ない。
「ならば、ヒットアンドウェイだなっ」
俺は、そのまま大きく息を吸う。
それに対して、警戒する彼らに向けて、俺は口から炎を吐く。
「まさかっ、バーニングネロの方の効果か」
「辛っ、けど!!」
その隙を見逃さない。
『サスケマル!エナジール!ガッチャーンコ!エナジーマル!』
鳴り響く音声と共に、俺はそのまま、身体を液体になる。
それと共に、俺の身体は分裂し、そのまま4人に増える。 そして、そのまま彼らの周囲を走り回りながら、攻撃を繰り出す。
「オラオラオラオラッ!どうしたどうしたどうした!?その程度か!!」
「ぐっ」
その内の一人のスピードは異常だった。
赤紫色ボディ、カブトムシがモチーフで、両肩に車のマフラーがあり、両腕両足にタイヤがついている奴は、変幻自在の液体であるはずの俺の攻撃を簡単に避け、反撃する。
「それは、マッドウィールじゃないかっ」
「あぁ、そうだな!こいつは少し借りているぜ!!」
同時に、そいつが使っているのが、マッドウィールだと気づく。
ヴァルバラドのケミーがなぜ、こいつの元にいるのか、疑問だった。
しかし、そんな疑問を思うよりも、その目にも止まらない攻撃は、俺に向かって、襲い掛かる。
俺はそれを必死にかわしながら、なんとか打開策を考えようとする。 だが、相手は俺の考えなんてお見通しなのか、さらに手数を増やしてくる。 それに対処している間にも、俺の分裂体は次々とやられていく。
それは、別の分身体が戦っていた相手。
「ぐっ、ゲンゲンチョウチョ!」
それと共に、ルナアタックの時に力を貸してくれたゲンゲンチョウチョもまた、使っていた。
ピンク色のボディ、チョウチョがモチーフで、両肩・両腕にスマホ型の装甲があり、こちらの動きを正確に捉えている。
向こうは、俺と同じように、相手の攻撃を捌きながら、反撃を試みている。
相手にとっては予測しやすいものなのだろう。
まるで、蝶のようにひらりと回避し、カウンターを決めている。
おそらくは、情報収集が行えるスマホのケミーとの連携で、俺の動きを正確に捉えているだろう。
そして。
「おらおらぁ!!」
「こっちは、カリュードスかよっ」
濃紺のボディ、ヘリコプターがモチーフで、額は骸骨の面、大きめの斧をぶん回しているのも、俺の知り合いが持っていたはずの、カリュードスであった。
少し前からいなくなっていたと、聞いていたが、まさか、こうして目の前に現れるとは。
「そんなのじゃ、俺は酔えないぜっと!!」
「ぐっ」
まさしく、暴力と言える一撃。
つまりは、殺意だ。 それを理解した瞬間、背筋に冷たいものが走る。
「がはぁ!」
やがて、分身体が全てやられて、俺はそのまま床へと倒れ込む。
「君の事は徹底的に調べさせて貰った。ケミーの特性を理解し、そして使いこなす。ここに現れるのは予想外だったけど、同時に、ここで君のケミーを全て奪えるのは幸運だ」
「ぐっ」
そう、ケミカルはこちらに迫る。
「どのケミーを使おうが、無駄だ。そして、君の持つ中で最も警戒する二つのカードも、エネルギーがなければ、使う事が出来ない」
「つまりは、お終いという事だな」
まさしく、その通りだ。
このままじゃ、終わってしまう。
そう諦めかけた時だった。
『絶対に諦めない』
「っ」
同時に、聞こえた声。
『愛する国を、民を、傷つける奴を許さない』
「なっ、これは」
「あれはっ、絶唱!まさかっ」
「共鳴なのかっ」
『君も、諦めるな!!』
「っ!」
その声は、俺にとっては聞き覚えはない。
だが、それでも、この瞬間、その言葉に恥じてはいけない。
同時に立ち上がると共に、俺はその手にある2枚のカードを翳す。
そこには、ギーツと俺自身ではない、別の戦士が描かれていた。
彼らが何者かは知らない。
それでも、今は、力を借りる!
『クワガタオージャー!スパイダークモノス!』
「変身!」
『ガッチャーンコ!』
それと同時に、俺のガッチャードライバーから溢れ出したのは、14体の昆虫。
その昆虫達が、俺の周囲にいた彼らに攻撃を仕掛けながら、次々と、俺の身体に装甲として、纏っていく。
『ゴッドクワガタ!ゴッドカマキリ!ゴッドハチ!ゴッドテントウ!ゴッドパピヨン!ゴッドトンボ!ゴッドクモ!ゴッドカブト!ゴッドスコーピオン!ゴッドホッパー!ゴッドタランチュラ!キング!キング!キング!『エクストリームキングオージャー!!』』
そうして、俺は、これまでにない重装甲と言える装備を身に纏う。
「おいおい、聞いていたのとは、全然違うぞっ」
「これは、どういう事かしら?データ上では、あの身体には、ケミーだと思われる存在が14体、同時に融合しているわ」
そう、俺の姿を見ながら言う。
「お前、一体、何をした」
「そんな事、俺も知らん!」
それと共に、俺はそのまま進む。
この重装甲、見た目はかなり重く、鈍足だと思われるが、どうやら、かなり軽い。
「くっ」
それと同時に、彼らは、そのまま一斉に、攻撃を仕掛けてくる。
だが、俺の後ろにある蜘蛛の足が、それらを全て防ぐ。
同時に、カブトムシ型の銃で牽制、サソリ型の爪で接近した彼らを迎撃する。
「これは、かなり厄介だ」
「あぁ、どうやら、少し間違いがあったらしい」
同時に彼らの視線の先には、絶唱を発動させている立花さんの姿があった。
「仮面ライダーの力。それを最大限に発揮する存在。それは彼女、立花響」
「仮面ライダーと立花響が揃えば、勝ち目は薄いという事か」
「ならば、ここは、撤退するしかないか」
瞬時にケミカルの身体が光、その姿を消す。
しかし、それは、俺には、今は関係ない。
見ると、彼女達の眼前には、巨大なノイズがおり、このまま放っておけば危険だ。
俺は、そのまま、直感だが、空を飛ぶ。
「仮面ライダーさん!」「あぁ!!」
空を飛ぶと同時に、こちらに目を向けた立花さん。
その声に合わせると同時に、俺はその手には、剣を持つ。
『スペシャルアタック!』『オージャフィニッシュ!』
その音声と共に、俺はそのまま真っ直ぐと振り下ろす。
俺と立花さん。
二つの攻撃を受けたノイズは、そのまま爆煙と共に消え去る。
そして、そのまま、俺は爆煙に紛れるように、そのまま、立ち去る。