切歌と調が、学園祭にいる間、マリア達もまた、危機的状況だった。
本国からの追っ手が、既に迫っている事を、監視カメラで知った。
「既にここも」
「異端技術、そして、こちらで得る事が出来た協力者がいるとはいえ、こちらは素人ですから」
その様子を、ナスターシャは冷静に分析をする。
「今、現在、ガッチャードライバーの所有者達は、こちらに戻ってきています。
その間に、マリアもまた、迎撃をしなさい」
「迎撃って、相手は普通の人間、ガングニールの一撃を食らえばっ」
「それをしなさいと言っているんです」
ナスターシャの、その冷たい言葉に、マリアは戸惑う。
「その手で、血を染める覚悟をしなければ、救えない命もある。そう、覚悟したはずですよ」
「でも」
突然画面に映る襲撃者達の身体が黒く染まり崩れ落ちた。
「炭素分解、だと……!」
それに驚いていると炎に包まれた倉庫内からソロモンの杖を持ったDr.ウェルが襲撃者達の前に現れた。
「Dr.ウェル!?」
「この程度の相手に新生フィーネのガングニールを使うまでもありませんよ。露払いは僕がしてあげますよ」
ウェル博士はそう言ったあと、ソロモンの杖を操作すると複数のノイズを召喚し、襲撃者達を襲わせた。
襲撃者達が次々と炭に変わっていると、襲撃者達は恐怖のあまり逃げ出したが、それを見たウェル博士は笑みを浮かべてノイズに追いかけるように指示を出した。
それを画面越しに観ていた私は自分の不甲斐なさに歯を唇を噛み、血が出るくらいに両手を握り絞めていた。
「おやおや~?」
「っ!?」
少し画面から目を外していると外の監視カメラの画面にウェル博士が自転車に乗った三人の少年達の前に立っていた。
「いけないな~?こんなところに入ったらぁ。殺されても文句は言えないよねぇ~?」
「やめろウェル!その子達は関係ない!」
マリアは少年達に手を出すなとウェル博士に伝えるが、ウェル博士は両手を拡げて、少年達を殺す理由を話し出した。
「関係ない?いーや、関係あるさ。何故なら、彼らは僕達の拠点に入り、あまつさえ僕の姿を目撃した。充分殺す条件に入りますよ」
「やめなさい、Dr.ウェル……やめろぉぉぉーーっ!」
ウェル博士がソロモンの杖を振るい、召喚されたノイズが少年達に襲い掛かり、瞬く間に彼らの身体が炭素に変わってしまいそうになったその時――。
『ビートルX!マッドウィール!ガッチャーンコ!マッドX!』
「クソ眼鏡っぶっ潰す!!」
「なっ、なぜ、邪魔をする!」
「あぁ、子供を殺そうとしたお前に、答える義理なんて、ねぇよ!!」
だが、少年達を襲おうとしたノイズは崩れた。
崩れたノイズの中から現れたのはシークンだった。
シークンは、そのまま、ウェル博士の下へと加速する。
「ひぃ!」
そのまま、シークンの拳は、そのままウェル博士に当たる寸前だった。
「止めろ」
ケミカルが、ウェル博士の前に立ち、その拳を止めた。
「おい、てめぇ、どきやがれ!」
「悪いが、ウェル博士は、まだこれからやって貰わなければならない事がある。ここで死なれては困る」
「それが、子供を殺すような奴にやれる事なんてあるのかよ」
そのまま、シークンは、睨み付ける。
互いに、意見を曲げない中で。
「いい加減にしなさい。既にこちらが襲撃した以上、移動をしなければならない。むしろ、ここで言い争っている場合じゃないでしょ」
「・・・ちっ」
それと共に、シークンに声をかけたカリオスの一言で、その場は収まった。
「けど、私としても、これから、この方法を重視するんだったら、協力も考えさせて貰うわ」
「・・・分かった」
同時に彼らは、そのままマリア達と合流する事になった。
「止めてくれて、感謝します、フェルク」
「いえ、あの場で、ウェル博士を失う訳にはいかなかったので」
そのまま、ナターシャ教授とマリアと合流すると共に、そのまま今後の事について話した。
「ですが、彼らはあくまでも協力関係。今のガッチャードライバー同士の戦いにおいて、彼らの協力は必要です。だから、なるべく被害を少ない方向で進めた方が良いと思います」
「えぇ、こちらを襲う者達には、容赦は必要ありませんが、市民に手を出せば、彼らから信用を失う。方向性はそれで良いかしら、マリア」
「・・・えぇ、勿論よ」
それと共にマリアは、どこか安堵した表情をしていた。