「うっ」
ゆっくりと、目を覚ます。
身体が、僅かに痛みを感じながらも、俺は目を開ける。
「一ノ瀬さんっ、良かった!」
「小日向さんかって、ここは一体?」
「・・・分からないんです。だけど、たぶん、フィーネのアジトだと思うんです」
「フィーネの、それってつまりは」
それは、俺が、フィーネに囚われた事を意味していた。
「結構、ヤバい状況なんだな」
「これから、どうすれば」
まさか、フィーネに捕まる事になるとは、思わなかった。
同時に、今は幸運かもしれない。
幸い、これまで、キャロルに言われた通り、顔を隠しており、変身もバレていない。
だからこそ、俺の正体を知らないという事は、そこから逆転する方法を見つける事が出来る。
けれど、俺だけでは、どうにもならない。
そう、考えていた時だった。
ドアが開き、誰かが入って来た。
「貴方達ね、マリアが言っていた捕虜は」
「あなたは?」
「私?私は、諸干朝美よ。まぁ、貴方達で分かりやすい言い方をすれば、仮面ライダーと同じ力を持つ人間の1人よ」
それは、明らかにガッチャードライバーだった。
まさか、この人も、あの場で戦った1人。
そう思っていると、彼女の元からケミーカードが一枚、飛び出す。
『ゲンゲン!!』「えっ、うわっと!?」
なんと、ゲンゲンチョウチョが、俺の所に飛び込んできた。
それは、さすがに予想外だった。
「ゲンゲンチョウチョが、勝手に。珍しい事があるのね」
「まぁ、あははぁ」
俺はそのまま苦笑いをする。
ここで、仮面ライダーだと、バレる訳にはいかない
「考えると、ある意味、懐かしいわね、私が、フィーネに協力したのもね」
「協力を」
そのまま、続ける。
「ゲンゲンチョウチョは、ある日、偶然、来ました。当時は、会社の為に動いていた私にとっては未知でした。そして、ゲンゲンチョウチョに導かれるように、スマフォーンと、それを持つ錬金術師が1人来ました」
「錬金術師」
予想していたとはいえな。
「彼女は、こう言いました。『これから、少しデータを取りたいのでな、使ってくれないか?』ってね」
「そんな偶然が、あるんですか」
「さぁね、偶然じゃないかもしれないし、違うかもしれない。だけど、私は、それから、力を使い始めたわ。そうして、活動していた時にも、ゲンゲンチョウチョが導いた。その時に会ったのが、調ちゃんだったわ」
「調って、確か月読さんの」
「あなたは、確かに知り合っていたわね、えぇ、あの子、あまり感情を表に出さなかった。世の中の、楽しい事から切り離されたようにね」
そこから、諸干さんから、フィーネの事情を教えてくれた。
なぜ、それを教えてくれたのかは分からない。
ただ。
「気まぐれかしらね、ゲンゲンチョウチョを気に入ったあなたならば、何か変えてくれると思ってね」
そのまま、立ち去っていった。
「・・・事情は、なんとなく察した。ならば、どうするかだな」