アメリカの艦隊からの救難信号を受けた二課は、すぐに向かった。
そこは、ノイズによって、襲撃を受けている。
立花響もまた、その戦いへと挑む為に、その出番を待っていた。
そして、その手には、3枚のケミーカードがあった。
その内、一枚は、彼女にとって、ガングニールを初めて纏った時に出会ったケミー。
そして、残り2枚は、彼女にとっては、思い出深い2体だった。
それは、自分を蝕むガングニールが、皮肉にも教えてくれる。
しかし、それに対して戸惑いはなかった。
そこに立っていたのは、既に本能で分かっていた小日向の姿があった。
「一緒に帰ろう、未来」
それと共に、最初の言葉は、それだった。
戦う目的、それを最初に伝えるように。
バイザーによって、隠された視線は、響を見つめながら、ゆっくりと開かれる。
「帰れないよ、だって私にはやらないといけない事があるから」
その響の言葉に対して、小日向は、首を横に振りながら言う。
「やらなきゃいけない事」
「このギアが放つ輝きはね、新しい世界を照らし出すんだって。その世界にはね、争いもなく、誰もが穏やかに暮らせる世界なんだよ」
「争いのない世界」
「私は響に戦って欲しくないの。響が戦わない世界を作るの」
「だけど、未来、こんなやり方で作った世界は、暖かいのかな」
「・・・」
小日向の、その言葉に嘘はない事は、親友である響が誰よりも知っている。
だけど、同時にそれが間違っている事が分かる。
「私の好きな世界は未来が隣にいる暖かい世界なんだ」
「でも、響が戦わなくても良い世界だよ」
「・・・例え、未来と戦ってでも、そんな事をさせない」
「私は、響を戦わせたくないの」
「ありがとう、だけど私、戦うよ」
それと共に響は、2枚のケミーカードを取り出す。
「ホッパー1とスチームライナー。仮面ライダーさんが、最も頼りにしている相棒達」
『ホッパ!』『スチーム』
この場で、仮面ライダーはいない。
これまでは、自分を助けてくれた彼がいない事に、不安は確かにあった。
だが、同時に、この戦いは自分がやらなければならない。
それも既に理解している。
だからこそ、今、彼女が行うべきは、大切な親友の手を掴む為に。
「だからこそ、力を貸して」
ゆっくりと、ホッパー1とスチームライナーを構える。
「ふぅ、変身!」
そう、これまでの運命を変えるように、自分に対して放った言葉。
それと共に、響の姿は、変わっていく。
自分の大切な人を守る為に、自分が最も頼りになる人の仮面を被るように。
その思いが、ガングニールが、ホッパー1が、スチームライナーが応える。
それは、ガングニールとガッチャード。
二つの力が一つになったような姿。
首に巻かれているマフラーは二つあり、それは、まさしく、力が合わさった二重螺旋のように感じる。
そうして、変身を終えると同時に、彼女は、真っ直ぐと目を向ける。
「仮面ライダー」
「未来や、皆の笑顔の為に!」
それと同時に、跳び上がる。
その飛躍力は、これまでの響では考えられない程の飛躍力であり、その拳を真っ直ぐと未来に向かう。
「っ」
それと共に、小日向は、背中にある飛行ユニットで、空を飛び、その攻撃を避ける。
それによって、響の拳による一撃は空を切る。
しかし、そのまま身体を丸くし、一回転すると共に、近くにある船を踏み台にして、再度、攻め込む。
「はあぁぁぁ!!」
「っ!」
それに気づいた小日向は、ギアに装填されている無数の鏡を、周囲にばら撒く。
それと共に、周囲にばら撒いた鏡に向かって、紫色の光線が放たれる。
放たれた光線は、そのまま響を閉じ込めるように、一本ずつ、着実に迫っていく。
それと共に、響の周囲は、小日向の光線によって、囲まれた。
「ハアアァァァァ!!」
だが、それらの光線は、容易く、響の一撃によって、吹き飛ばされる。
「っ!」
小日向は、すぐに周囲の状況を見る。
それは、周囲で展開された鏡が吹き飛ばされていた事。
同時に見れば、響の後ろから現れたのは巨大な腕。
その腕から放たれた風圧によって、展開していた鏡は、吹き飛ばされ、光線による檻は崩れていた。
その巨大な腕の正体こそ、まさしく、響が、これまで共に戦ってきたケミー、レンキングロボだった。
「お願いっ!!」」
その言葉に合わせるように、腕は、そのまま響を乗せ、真っ直ぐと小日向へと向かっていく。
すぐに迎撃するように、小日向もまた、光線を次々と放っていく。
「戦うなんて、間違っている。戦わない事だけが、本当に暖かい世界を約束してくれる。戦いから解放させないと」
そう、小日向の呟き。
同時に。
「ぐっ」『レンッ』
レンキングロボのウネリ声。それと共に、響の身体の一部から結晶が出てくる。
結晶による痛みによって、顔を歪ませてしまう。
その表情を見た瞬間、小日向は。
「違うっ、私がしたいのはっこんな事じゃないのにっ!!」
それと同時に、小日向は、その体制を崩してしまう。
「聖遺物を消し去る光線っならばっ」
同時に、響が見つめたのは、小日向が放った光線が集結した位置。
小日向の持つ、神獣鏡は聖遺物を消し去る力を持つ。
それによって、響が戦う前に、風鳴翼と雪音クリスは苦戦していた。
だが、ケミー達には、それは通じなかった。
ケミーはあくまでも人工生命体。
聖遺物とは異なり、人工生命体である彼らの力を阻害する事は出来なかった。
しかし、小日向のギアを無理矢理解除させれば、死亡するリスクがあり、さらには彼女が融合していたケミーのスペックによって、ガッチャードライバーの持ち主達は、返り討ちにあった。
だが。
「未来をっ助けるんだぁ!!」
響の、その叫びが、ホッパー1が、スチームライナーが、レンキングロボが。
そして。
「っ!!」
ミテミラーと、エクシードファイターが応えた。
ウェル博士によって、制御されていた彼らだが、戦いの最中、皮肉にも、小日向との同調率が高まっていた。
その結果、洗脳に近い状態は解かれ、小日向の悲鳴が、響の思いが伝わる。
ケミー達によって、その身体を動かせない小日向を抱き抱えた響は真っ直ぐと光線へと向かう。
「こんなのっ脱いじゃえっ!!」
それと共に叫びと共に、2人は、真っ直ぐと放たれた光線の中へと吸い込まれる。
それによって、2人の纏うギアは、そのまま熔けて無くなる。
それと同時だった。
『ホッパー!』
ホッパー1の叫ぶと共に飛び出すと同時に、空中にあるエクシードファイターを掴み、そのままケミーキャプチャーにセットする。
同時に実体化したエクシードファイターは、そのまま2人を回収する。
『ホッパホッパ!』
ホッパー1の言葉を聞くと共にエクシードファイターもまた、それに従うように、潜水艦へと向かう。
既に戦いは、最終局面へと突入していた。