友達の様子がおかしい 作:瓦版
試合の内容は、一方的であった。
「ハア……ハア……。」
「さあ次は、何を見せくれるんだ。外の者。」
「っはあ!」
「おっと、これもなかなか。」
「(これもダメなの。)」
チームデビムスが追い込まれている。理由は、簡単であった。敵が初戦から今までの動きを完璧に学習しているからである。そのため、どのタイミングでどの攻撃を仕掛けてくるのか手に取るようにわかっていた。しかも、システムがいじられており、今までなかった痛みや魔力消費などが発動されていた。
「(どうしよう、このままじゃ。ほんとうに)「余所見か。」!」
「まず一人!!」
「しまっ!!」
ゴッと鈍い音が鳴る。だが、イルマは、自身に痛みが来ないことに気づく。目を開けると、目の前に見慣れた背中があった。
「っつう。大丈夫かイルマ。」
「ゲン君!!」
「ほう、仲間を助けたか。」
「ふう(まずいな。あいつらの体力が底なし過ぎる。)」
「おら!横ががら空きだぜ!」
「チッ邪魔すんなあ!!」ドッ
奇襲をうまく対応したゲン。しかし、イルマをかばった攻撃が重いのほかに効いていた。覆面の生地が血に染まる。
「今のを防ぐか。」
「悪いな戦闘は、得意科目なんでな。」
「なら、守ってみろ。お前の仲間をな。」
そこからゲンに攻撃が集中する。ゲンは、受け流しやガードで精一杯だった。それも限界が来ており、覆面の一部や服が破れる。イルマは、何とか打開策を探す。
「(このままじゃ……ゲン君が。何か無いのか。考えろ、じゃないと大切な仲間が。そういえば、敵は、僕たちのデータから動きを予測してるんだよね。てっことは、)そうか!」
イルマは、あることを思いつく。そして、直ぐに行動に移す。
「ゲン君!交代!!」
「「「「!?」」」」
急なことに全員驚く。そして、イルマは、持ち前の緊急回避を続ける。さらに、普段は、やらない拳で殴る。これには、敵もパニックを起こす。逆にチームデビムスは、その行動の意図を読み取った。
「何をしたんだ?奴は、。」
「そうか、そういうことね。」
「流石ですね。」
「なるほどな!」
そこからは、形勢逆転である。普段遠距離のケロリとリードは、イルマと同じ近距離で攻撃し、逆にゲンは、遠距離に転じた。
「何が起こっている。」
「機械の君には、分からないだろうね。」
「なにをぐふっ!」
チームデビムスの逆転劇に歓喜するコメント欄とスタジオ。ドンドン敵を倒し、残りは、リーダー格だけだった。
「馬鹿な!俺の計画が!」
「悪いな、こちとら成長続ける生き物なんでな。」
「こ、こんなことありえない!!」
「じゃあな名もなき強者よ!」
「くそ、くそおおおお!!」
最後の一撃を決めたチームデビムス。頭上に勝利の文字が刻まれていた。すると、景色が変わり目の前にスタッフ達がいた。
「見事クリア!!チームデビムス、初回でいきなり優勝を飾った!!皆さま!彼女たちに盛大な拍手を!!」
司会者の悪魔の言葉で割れんばかり拍手を貰ったメンバーは、それに応える。配信が終わり開発スタッフとマネジャーのマルさんが走ってきた。マルは、ケロリに抱き着いて泣いた。ケロリも安心したのか涙をこぼしていた。開発スタッフは、全員で土下座をした。
「「「この度は、大変申し訳ございませんでした!!」」」
「か、顔をあげて下さい。」
「いいえ出来ません!!みなさまには、危険な思いをさせてしまいました。煮るなり焼くなり好きにしてください。」
「……そうか。じゃあ好きにさせてもらおうかな。」
「「「「!?」」」」
「「ゲン君!?」」「ゲンさん!?」
そうすると、ゲンは、手をスタッフの前に構える。イルマ達は、止めにかかるが、ゲンの指が鳴る。スタッフは、身構えた。だが、痛みは、来ない。目を開けると、紙の束が落ちてきた。
「こ、これは?」
「今回の体験の感想。まあ、これは、俺のだけだから。後で、くろむたちの分もお送るよ。」
「?そ、それだけですか?」
「ん?どうした?」
「いいの?一番ケガしたのに、これだけで。」
「そうですよ!あなた様が一番ケガしたというのに!?」
「確かにそうだが、楽しかったのも本当だしな。おまけに勉強になることがあったし。」
「はあ。」
「それに、もし俺が、あんた達を消そうとしたら、うちのメンバーが全力で止めに入りそうだからな。だから、こういう形にした。これなら文句ねえだろ。お前ら。」
「「うん!」」「はい!」
「!!ほんとうに、ありがとうございます!!」
「「「ありがとうございます!!!」」」
スタッフたちは、涙を流しながら感謝した。その後、イルマ達からも送られてきた感想文を貰ったスタッフ達は、大急ぎで改善を進めた。結果、今回の作品は、ゲーム業界では、伝説となるほどの人気を記録した。そして、今回の配信もネット界で神話となるほどの神回と言われるようになった。