友達の様子がおかしい   作:瓦版

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力の使い方

この間の一件があり、ちびっ子の面倒を見るゲン。今日は、問題児クラスのメンバー全員と特訓する日であり、その日もちびっ子が来ていた。皆が各々の能力とオペラから習っている魔術を練習する。ゲンは、特訓の傍らでちびっ子の様子を見る。出会った頃より自身の家系能力の扱いが上手くなっていた。問題児クラスのメンバーもちびっ子の参加には、驚いていたが、ノリの良いだけあってすぐに打ち解けていた。休憩に入りちびっ子に近づいたゲンは、調子を伺う。

 

「順調そうだな。」

「うん!こんなにしっかりと自分の力を見直したのは、初めてだ。まだまだ上手くいっていないところもあるけど、頑張るよ。いずれ、あんたも超えるかもね。」

「ふーん、そうか。」

「乗り悪いなぁ。生意気だとか思わないの?」

「別に、越えたきゃ越えれば良いんじゃね。こちとら別に最強を目指しているわけじゃないし。それに、お前の目的でもある家族を救う力も備わっているんじゃね?」

「そうだけど……。」

「何思っているのかわかんねぇけど、力の使い方さえ間違えなきゃ別に問題ねーよ。」

「力の使い方?今練習してるじゃん。」

「そういうことじゃなねぇよ。今のお前は、出会った時とは違いある程度の力を持っている。つまり、今のお前とあの時のお前は、同一人物であって別人だ。そのことを覚えておけよ。」

「?わかった。」

 

その日の特訓も終わりそれぞれの家路につく。夕食を終えて食後のティータイムをしていたゲンにイルマが話しかける。

 

「ゲン君ちょっといい?」

「なんだ?」

「良く特訓で見かける子供なんだけど。」

「あのちびっ子がどうした?」

「あんなに力をつけてどうするんだろう?」

「さあな。家族のためとは、言っていたがな。」

「気には、ならないの?」

 

心配な顔を浮かべるイルマにゲンは、持っていたカップを置く。

 

「ハア、良いかイルマ。かれこれ1年くらいお前のそばで見てきたが……。おまえは、まだ悪魔という生き物の性質を理解していないな。」

「どういうこと?」

「お前、ウォルターパークで見てきたことをもう忘れてたのか?」

「!!」

 

イルマは、ウォルターパークでの魔獣襲撃事件の事を思い出す。魔獣が小さい子供たちのいる場所を破壊して閉じ込めた。その閉じ込められたこの親が助けを呼ぶが誰も見向きもせず、脱出の出口の方に向かって移動していたこと。そう、悪魔は、自分のことを優先する生き物。他人事には、一切興味を示さないのだ。

 

「でもゲン君は、よく僕らや他の人の話に乗ってくれるじゃないか!」

「たしかにそういうこともした。だが、それは、あくまで俺の大切な悪魔だから手を貸しているだけだ。あのちびっ子は、別に家族でも親しい仲でもない。だから、別にあいつがどうなろうと力を何に使おうとあいつの勝手だ。俺もお前も知ることじゃない。」

「そんな……。」

「話は、これでおしまいだ。」

 

そう言ってゲンは、部屋に戻った。次の日、イルマは、ちびっ子の様子を探っていた。しかし、なかなか見つけることは、叶わず数時間経っても見つけられなかった。諦めて帰ろうとしたその時、

 

「「「ぎゃあああ」」」

「!!」

 

裏露地の方から悲鳴が聞こえてそっちに走るイルマ。そして、声の下を辿るとチンピラな恰好の輩が倒れていた。

 

「大丈夫ですか!」

「に…にげ…ろ。」

「え!?「まだ、残りがいたのか?」!!」

 

イルマが声の方見ると、探していたちびっ子がいた。

 

「ん?あれ、あんたあのお兄ちゃんのお友達?なんでここに?」

「君こそ何しているんだ!その魔術を使って襲うなんて!」

「だから?」

「え、」

「あんたもしかして、おぼっちゃまなの?ここは、弱肉強食の場所だよ。そんなことも知らないの?ならちょうどいい。あんたの有り金も貰うよ!」バッ

「っ。」

 

イルマは、身構える。その時、一つの影が、イルマの前に現れる。

 

「たく、見てらんねーな!」バキッ

「グハッ」バタッ

「えっゲン君?」

「全く無鉄砲にもほどがあるぞ。イルマ。」

 

ゲンが割って入ったことでちびっ子からの攻撃を食らわなかったイルマ。殴られたちびっ子は、立ち上がる。そして、自身の能力を展開する。

 

「ひどいなぁおにーちゃん。せっかくの獲物をなのに邪魔しないでよ。」

「フウ、まだ言われたこと理解してないか。しゃーない俺の責任であるし、けじめをつけるか。」スッ

「お、やる気?悪いけど、手加減できないよ。」

「良いから来い。力の使い方の授業だ。」

「うるさい!」

 

ちびっ子は、自身の能力で襲いかかる。ゲンもそれに応戦する。数分後、直ぐに決着がついた。ちびっ子が四肢をケガをして横たわる。ゲンは、少年に手を向ける。とどめを刺すために。

 

「ゲホっゲホやっぱり……強いな……兄ちゃんは。」

「最後に言い残すことは、あるか?」

「ゲン君待って!!」

「イルマどけ。」

「どかないよだってこの子には、家族が「いねぇーよ。」え!?」

「はなからいねぇーよ。こいつの事は、とっくに調べてある。確かに病気の母と妹がいた…………3年前までな。」

「ハハハ……やっぱり知ってたか。そうだよ。僕には、家族はいない。全て戦争に持っていかれた。」

「だから、力を欲しがったの?」

「そうだよ!!もう家族は、いない!!なら、生き残るには、力が必要なんだよ!!そして、この手で戦争を起こした奴らを殺すんだ!!」

「そう言うことだイルマ。そこをどけ。こいつは、この力の世界に身を投じて負けた。なら、覚悟もできている。」

「……やっぱり駄目だよ!どかない!!尚更、彼を殺しては、ダメだ!!こんな悲しいことしか知らないで死ぬなんてもったいない!!」

「あのな!これは、ここのルールだ!」

「そんなの知らない!!この子を殺るなら僕が相手だ!」

「お前、誰に言ってるのかわかってるのか?」

「わかってるよ!!」

 

ゲンに構えるイルマ。その手は、震えていたが、目は、本気だった。それを見てゲンは、馬鹿らしくなって手を下ろす。

 

「やめだやめだ。帰る。ちびっ子次は、ねぇからな。」

「う、うん」

「良いの?ゲン君。」

「ああ!?なんか言ったか!!」

「うんうん何でもない。」

「小僧、次は、ちゃんと相手を見極めろよ。」

 

回復魔術を施し帰るゲン。次の日に、小さい弟子ができるのは、まだ知らなかった。

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