友達の様子がおかしい 作:瓦版
「おい……うそだろ……。」
「そんな……。」
「こんな事って……。」
驚愕の声が上がるの中で、ゲンは、立っていた。
「フウ……。まだ続けるか?……イルマ。」
「……。」
壁まで吹っ飛ばされてボロボロのイルマから声は、無い。皆が思った。今までイルマに対して拳を振ることがあっても、それは、友人の中でのおふざけが混じっていた。だが、今回は、違った。魔力を帯びてないだけマシだが、それでも普段より威力のある拳で一方的に叩きのめしたのだ。
「おい!誰か先生か生徒会を!!」
「君ら同じクラスの仲間だろ!止めに行けよ!」
「「「……。」」」
周りがイルマを心配する中で問題児クラスのメンバーは、動かなかった。これが、ただのけんかではなく、自分たちの中心同士のぶつかり合い。つまり実質トップの争い。下手な介入は、許されない。特に普段から仲の良いアスモデウスとクララは、手から血が出るほど強く握っていた。
「(イルマ様)」「(イルマっち)」
そんな騒ぎに生徒会、教員も見ていた。本来なら止めに入り両者を取り押さえるが、彼らもそれを注目する。そして、学園長も。そんな中、ゲンがイルマに近づく。
「おい、イルマがヤバい!」
「誰か止めに行って!!」
「もうダメだ!」
周りが騒がしくなるが、ゲンは、歩みを止めない。遂に、イルマの前に止まる。
「……。」
「……。」
「お前が、どんなに良いやつでどんなに仲間や師に会っても届かない。これが、現実だ。」
「……。」
「お前の言葉は、」スッ
「……。」
「薄いな。」シュッ
「「「きゃああああ!!!」」」
悲鳴と共に重い音が響き渡る。誰もが、ゲンの攻撃が決まったと思った。だが、1人は、違った。
「ぐっ!」ガクッ
「「「!?」」」
「イルマぁ…てめぇ。」
「…ゴフッ…ごめん、待たせたね。ゲン君。」
なんと、イルマの拳がゲンの胴体に入った。だが、
「なめんなよ!!」ドッ
「グフっ!?」
直ぐにカウンターを貰う。
「お前は、光のある所しか見てない。」
「君だって!闇しかない見てないじゃないか!!」ブンッ
「だから、甘すぎだって言ってんだ!!」ドッ
「がはっ!」バタンッ
「……。」
「……。]
「……また寝るのか?」
「!う、うおお!!」ブンッ
「……。」ドッ
開始当初と変わらずの状態が数十分続いた。数十分後には、ゲンも息切れを起こす。
「ハア……ハア……。」
「ハア……ハア……。」
「ハア……ハア……。どうした?……悪魔(おれ)の考えを変えるんだろ!かかってこいよ!!」
「!まだまだぁ!!」ドッ
「ぐっ!!」ドサッ
「ハア……ハア……。ハア……ハア……。」
「チッ……ハア……ハア……くっ。」ググッ
「ハア……ハア……。」
「ハア……なんで……お前は、……そこまでこだわんだ……魔王になりたいわけでももないのに……。」
「ハア……ハア……たしかに……そうだけど……力だけの世界なんて……そんなの!!悲しすぎるよ!!」
「!なら……これが最後だ。イルマ!!」ダッ
「うん!!ゲン!」ダッ
「「うおおおお!!」」ドンッ
最後の力を振り絞った拳は、互いの顔面にクリーンヒット。そして、片方がしゃがみ込む。
「ハア……ハア……。」ガクッ
「「「イルマ!!」っち」様」
「ハア……ハア……。ふっ。」バタンッ
ゲンが倒れて決着。イルマも寝っ転がる。
「ハア……ハア……。」
「ハア……ハア……イルマ……お前の勝ちだ。誇れ。」
「ハア……ハア……あまり良い気がしないけどね。」
「俺は、うらやましかったのかもな。誰かのために動けるお前を。」
「……。」
「裏の世界では、他人の前に自分だ。弱いやつから死ぬ。だから、そんな弱者にも手を差し伸べるお前を理解できなかった。」
「僕だって、君みたいになりたかった。困っている人を助けられる力を持つ君に。」
「大丈夫だイルマ。お前は、十分に備わってる。あとは、自信だ。」
「ゲン君……ありがとう。けど、ゲン君も昔とは、違う。今の君は、優しくあったかい心を持ってる。だからさ、今度は、みんなに頼ったら良いんだよ。」
「ふっ。考えとく。」
その後、二人は、オペラを中心に色んな人に叱られた。