友達の様子がおかしい 作:瓦版
イルマは、気になっている事がある。家族に近い存在で自身の中で一番強いゲンが、急に入院するほどのケガを負ったからである。退院後に、本人直接問いかけた。
「ゲン君、珍しいね。君が、そんな大ケガをするなんて……。」
「ああ。今回に関しては、自分の甘さが出た結果だった。」
「相手は、そんなに強かったんだ。」
「強いというより上手い。」
「上手い?」
「そうだ。あいつは、戦うということを熟知していた。」
「そうなんだ……。」
少し不安になるイルマ。そんなにゲンは、乱暴に頭を撫でまわした。
「うわ!何すんの!」
「ハハハ!いっちょ前に心配してんじゃねえ。安心しろ今度は、勝つ。」
「うん!期待してる!」
何気ない会話で終えたゲン。その日の放課後に、ある人物を訪ねた。
「やあ、待ってたよ。ゲン君。」
「お待たせしましたバラム先生。」
「それで、僕に相談とは?」
「今回の事件で、因縁の相手に会いました。けど、勝てなかった。」
「ある程度聞いてたけど、向こうも相当の手練れだったみたいだね。」
「なので、お願いがあります。俺に戦い方を教えてください。」
「うーん、良いの?オペラ先輩じゃなくて。」
「オペラさんにも頼んでいます。」
「も?他にも頼んでいるの?」
「はい。教員だけでなく特別講師そして、問題児クラス(あいつら)にも。」
「そんなに大勢を相手にするのかい!?無茶しすぎじゃないか!」
「無茶は、承知です。なので、断れている方も多いです。」
「……。」
「もう一度、自分の甘さと向き合いたいんです。」
「フウ……後悔しない?」
「覚悟は、当の昔に決めています。」
「わかった。良いよ。」
「ありがとうございます。」
「けど、危険だと判断したら即中止だからね。」
「はい、心得ています。」
「それで、僕は、何をすれば良い?」
「バラム先生には、……」
それからというもの。ゲンは、バビルスに通いつつ特訓と研究し、自分の甘さをそぎ落としていった。それも相まって、体には、無数の包帯が良く巻かれていた。そのゲンの姿に、周囲の者達も動く。休息日には、傷の癒えやすい薬や食べ物を差し入れる。ゲンは、そのおかげもありとっくに励んだ。だが、皆が応援する中で一人だけ違う気持ちも抱いている者がいた。その人物は、ゲンに相談する。
「ちょっと良いか?フレアハート。」
「大丈夫だ。お前からの相談とは、珍しいな……アスモデウス。」
話し合うため向き合う両者。ゲンは、口を開く。
「それで話って?」
「私は、イルマ様の傍でお仕えしたい。だが、最近感じてしまう。[私の力では、イルマ様を守り切れないのではないか?]と。」
「……心当たりは、あるのか?」
「音楽祭のキリヲ先輩に対峙した時からだ。あの時から自身の力に不安を感じてな。」
「そこに、心臓破りと仲間の成長か。」
「その通りだ。皆、目に見えて力を付けていた。フレアハート。貴様とイルマ様を中心に。」
「……。」
ゲンも感じていた。入学当初、明らかにクラスでも上位の位置にアスモデウスは、居た。才気に溢れており、その高さは、ゲンにも匹敵するほどに。だが、アスモデウスの堅殻で真面目な性格が足を引っ張る。事実心臓破りでは、イフリートに歴の差があったとは、いえ遅れを取った。そこに、ゲンとイルマの喧嘩などに足が動けなかった現状。こういう出来事が重なり、自信を少し損失していた。
「だから、聞きたい!どうすれば貴様みたいに強くなれる!?どうすればイルマの傍に立てるほどになれる!?」
「厳しいことを言うと、今のお前にイルマを守れない。それどころか逆に守れるのがオチだろうな。」
「!?くっ!やはりそうなんだな。」
「ああ。家系能力を使わないからじゃない。お前の考えにもある。」
「……。」
「前にサブローに言われたんだろ。変えなきゃ先には、行けない。」
ゲンは、その場を後にする。その後ろで、悲しい雄たけびが、響いた。