勝利に至る無限   作:暑干動暑

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pro(1)

「劇?」

 

「ええ。たまたま……そう、たまたま2枚手に入ったんです。ミレニアムが定期的に開催している数学コンテストがあるんですが、結局私が優勝して。チケットはその景品なんです」

 

 雑務の重なった数枚の書類を整えながらユウカが話し出した。彼女の数学能力はミレニアム総合学園ならば誰もが知るところだ。もちろんこのシャーレの主である"先生"も、当然。

 

「D.U.の劇場に、レッドウィンターから歌劇団が来るんですよ。それでミュージカルをやるんですが、これがまた評判で」

 

「でも正直、私はそれほど興味がないんです。今年度のミレニアム予算案は、例の連邦生徒会肝入りの法案のこともあってかなり大きいんですが、そのせいでかなり荒れそうなこともあって、正直それどころじゃないというのが本音で」

 

「ああ、あれね……でも、そんなに忙しいのなら、無理して当番に来てもらわなくても」

 

「そ、それは! 先生がまた何かやらかさないか、監視に来ただけであって、決して私が先生に会いにきたとか、息抜きがしたかったとかではないですからねっ!?」

 

「え? あ、うん……」

 

 ユウカの勢いに押されて頷いたものの、先生はいまいち着いて行けなかった。なぜか少し頬の赤いユウカに首を傾げている。

 

「こほんっ! ……それで、劇のチケットは誰かに譲ろうと思ったんですが、みんな予定が合わなかったんです。なので、このチケットを先生にプレゼントします。1枚だけ」

 

「え、いいの……って、一枚?」

 

「はい、一枚だけです。興味があるのなら、私の代わりに行ってみてください。1人で」

 

「1人で……? えっと、気持ちは嬉しいんだけど……普通こういう場合って、2つともくれるものなんじゃないの?」

 

「ダメです。だってそうしたら、先生は他の生徒さんとかを誘いますよね」

 

「まあ、うん。ダメなの?」

 

「ダメに決まってます! 先生と他の誰かを2人っきりにするなんて……先生が何をするか分ったものじゃありませんから!」

 

 酷い言われようだ。そんな危険人物みたいな言われようをする覚えはないが、ユウカが譲る気配はさっぱりない。腕組みをしながら顔を背けているが……チラチラ先生の方を伺っている。

 

「分かった。じゃあ一緒に行こう、ユウカ」

 

 ユウカは大きなため息を吐いた。

 

「まったく……。言っておきますけど、私はこれでもかなり忙しいんです。ミレニアムは定期的に爆発が起きるし、訳のわからない製品が訳のわからない事件を起こすし、訳のわからない犯罪は起きるし……セミナーの仕事なんて、挙げていけばキリがないんですからね。その上で私の貴重な数時間を拘束するということが、どういうことなのかを理解しているんですか?」

 

「えっと、嫌なら別にいいんだけど……」

 

「嫌とは言ってないです!!!! わ、私が言いたいのは、それに相応しいだけの満足度を得られる時間にしましょうってだけで……あっ、いや違います! えっと、あの、えーっと……!」

 

 勝手に墓穴を掘っていくユウカを先生はしばらく眺めていたが、ようやくユウカの周りくどい意図を理解して納得した。

 

「楽しいデートにしようね」

 

「でッ、デート!? な、何を言っているんですか!? だ、だいたいデートというものは、交際関係にある男女が行うもので、わ、私と先生は、付き合っているわけでは、いや、別に私はその!」

 

(しばらくユウカの言い訳が続く……)

 

「それで、その劇はいつなの?」

 

「今日の17時からです」

 

「今日!?」

 

「はい。なのですぐに出発しましょう」

 

「えっと、あの……私、今日中にやらなきゃいけないことがまだ残っているんだけど……」

 

「そんなこと言ってないで、さっさと行きますよ」

 

「あ、あの……ほんと、申し訳ないんだけど、やっぱりキャンセルとか……」

 

「ダーメーでーすー。先生が誘ったんですからね、デート」

 

 意地の悪い笑顔だったという。

 

 

 2

 

 

 古い詩人が書いた劇なのだという。原作そのものの著作権はとうの昔に切れていて、ネット上で誰でも読むことができる。

 

 現代では既に滅びた国の話だ。長い年月をかけて北の果てを探検した探検隊員たちの友情と愛、裏切りと真実の中で、凋落する国への愛国心を描く。旧時代的な社会主義の衰退の中で、個人主義と商業主義の波に押され、かつては永遠と信じられていた国が崩壊していく──それでも愛国心を保つことの価値。

 

「原作を読んだんですが、現在の価値観に照らせば正直かなり退屈ですね。けど、これらに新たな解釈を与えてくれるというレビューがあって……」

 

 薄々先生は感じていたのだが。

 

「ユウカ、実は楽しみにしていたんだ?」

 

「……別に、そんなわけないですよ」

 

 これ以上揶揄われるのは御免なのだろう。ユウカは少し不機嫌そうに言う。そんなユウカに苦笑いを溢して、先生も視線を前に戻し、劇の幕が上がるその時を待つことにした。

 

 ──が。

 

 予定上演開始時刻を過ぎても、幕が上がらない。

 

「……妙ですね」

 

 ユウカがそう呟いた瞬間だった。

 

 耳を劈く破裂音。劇場の構造は客席までよく声が響くように、音の反響までを考慮した構造になっている。だから余計によく聞こえた。

 

 幕が上がる──

 

『全員動くな!! この劇場は我々"魑魅一座・演劇流"が占拠した!!』

 

 スポットライトが照らし出す。重武装した数十人の不良たちが、縛り上げられた演者たちに武器を突きつけていた。

 

『我々の要求は、連邦生徒会が現在推進している"N計画"、及び現在審議中の"キヴォトス防衛法案"の全面撤回である!! 連邦生徒会との交渉が完了するまで、諸君らには人質になってもらう!!』

 

 声が響いた。舞台の上で堂々とそう言い放つ魑魅一座──祭のようなお面がトレードマークの不良グループ。大袈裟すぎるほどの身振り手振りは芝居がかっている。

 

「……先生」

 

 ユウカが小声で先生のことを呼ぶ。やりますか? と──サブマシンガンに手をかけている。

 

「……参ったね。ミュージカルを見にきたはずが、体験型演劇(イマーシブシアター)に巻き込まれるとは」

 

「言ってる場合ですか……!」

 

『我が一座の仲間たちよ! 観客を全員拘束しろ!』

 

 ゾロゾロと不良たちが雪崩れ込んできている。しかしここはキヴォトス、観客の方もただでやられるつもりはない。武装があるのはテロリストグループだけではないのだ。

 

『大人しく従うならば危害は加えない! だが、抵抗するならば──この演者たちがどうなっても知らないぞ!!』

 

 リーダー格の不良が銃口を演者の頭に突きつけた。

 

「まずいです。先生、電波妨害(ジャミング)が貼られています。外部と連絡が取れません」

 

「……不良グループにしては周到だね。ここは大人しくやり過ごすしかない……か。ヴァルキューレを信じよう」

 

「……了解しました。だけどチャンスがあれば制圧を試みますよ」

 

「チャンスがあれば、ね……」

 

 演者の人質作戦は有効だった。観客たちは悔しそうにしながらも、不良グループによって縄をぐるぐる巻きにされては別室に移動させられていく。

 

「……というか、先生の存在がバレたらまずいんじゃないですか?」

 

「……うん。とてもマズいね」

 

 しかし打つ手も、時間もない。先生とユウカの番が来た──

 

(お願い、先生に気が付かないで……!)

 

「よし、次はお前たちだ。大人しくしてろ……って、お前……どっかで見たことある顔だな……」

 

(頼む、気が付かないでくれ……!)

 

「……あっ! お前、シャーレの"先生"じゃないか!?」

 

「……人違いだよ」

 

「嘘つけ! その服──どっからどう見ても連邦生徒会の制服じゃねえか! おーいリーダー! こいつ、シャーレの先生だ!!」

 

『なんだと!? 連れてこい!!』

 

 ぐるぐる巻きにされた先生が連行されようとしている──

 

「っ、のぉ……あんた達、先生に何かしてみなさい……! 絶対許さないわよ!」

 

「ユウカ、抑えて。私は大丈夫だ」

 

「ユウカ? ……リーダー! こっちにセミナーのユウカもいるぞ!!」

 

『連れてこい!!』

 

「えっ!? 私まで!?」

 

 麻縄でぐるぐる巻きにされたユウカと先生は連行され、そして照明が照らし出す舞台へと上がった。

 

「会えて光栄だ、先生……。まさか先生がいるとは、なんたる僥倖だろうか?」

 

「……こんにちは。私としては、テロとかやめて、真面目な学生をして欲しいんだけど……」

 

「聞くと思うか?」

 

 魑魅一座・演劇流──リーダーは演劇が好きらしい。言葉を一つ言うにしても大袈裟な身振り手振りを欠かさない。

 

「──先生がいるならば、連邦生徒会も迂闊なマネは出来まい。我々の要求が呑まれるまでの間、しばしの歓談と行こうではないか。先生?」

 

「……参ったなぁ。君たちの要求は、確か……」

 

「主要な学園自治区に大型殲滅兵器を配備するという法案──キヴォトス防衛法案。並行して計画されている防衛部隊の編成計画ことN計画。この二つの完全撤廃だ」

 

 キヴォトス防衛法案については当然、公開情報ではある。しかしN計画の方はまだ表沙汰になっていない──

 

「あんた達ねぇ……! まさか、こんだけのことをしてタダで済むとか考えてんじゃないでしょうね……!?」

 

「タダで済むさ。ミレニアム生徒会、セミナーの会計──早瀬ユウカ。大型殲滅兵器の設計、製造にはミレニアム学園が大きく関わっているのだろう? お前が人質にいると分かれば、連邦生徒会も強硬手段には出られない。ましてやここには先生までもが居る!」

 

「くっ……ふざけたことばかり言ってるけど、あんた達の目的はなに!? 何のために法案を撤回させたいの!?」

 

「逆に聞くが、お前達は不安ではないのか? 馬鹿げたほどの巨大兵器が、主要自治区に配備される──巨大殲滅兵器のスイッチが、連邦生徒会の、あの代行の手の中に握られている。キヴォトス防衛とは言うが、実際には内側を兵器で締め上げるのが目的ではないのか?」

 

「そんなわけないでしょ! ろくに調べもしないバカはこれだから……! いい!? この計画は最近キヴォトス外周で暴れ回ってる妙ちきりんな"預言者"どもへの対抗策なのよ!」

 

「……そうなのか?」

 

「そ・う・な・の! だいたいキヴォトス内部のトラブルは現状何とかなっているんだから、わざわざ巨額の予算を使う必要なんてないの!」

 

「トラブルか。だが、今回の"トラブル"が何とかなるかは分からないぞ?」

 

「──なんとかなるに決まっているでしょう。だってここには"先生"がいるんだから」

 

「……」

 

 躊躇なく言い切ったユウカにリーダーは口を閉ざした。じゃれあいはこの程度にして、連邦生徒会に対しての交渉を始めなければならない。

 

「……妨害電波周波数域を再設定しろ。連中と交渉を始めるぞ」

 

 劇場に備え付けてあるプロジェクターが起動した。映画館としても利用可能なフルスクリーンに映像が映し出される──白い光に少し目が眩むがすぐに慣れた。

 

 不良の1人がカメラを構えている。こっちの映像も、あれで送るつもりらしい。

 

「こちらは魑魅一座・劇場流。聞こえているかな?」

 

『……公安局局長、尾刃カンナだ。ご丁寧にどうも、テロリスト諸君』

 

 スクリーンの向こうから睨みつけているのは公安局の"狂犬"。流石にこのような事態には慣れているのか、対して焦った様子もない。

 

「公安局? ふっ……おかしいな。本来ならば、連邦生徒会の生徒会長"代行"……七神リンが出てくるのが筋ではないのか?」

 

『代行殿はお忙しい。お前らのようなゴロツキの相手は公安局で十分だ』

 

「舐められたものだな。こちらの人質を見ても、まだそんな軽口が叩けるか……試してみるとしよう」

 

 ガチャ、と。銃口がこめかみに当たる。

 

『……何をやっているんですか、先生』

 

「……ごめんね、カンナ。見ての通りだ」

 

「そう、見ての通り我々の人質には先生がいる。ついでにミレニアム総合学園の生徒会の1人もな」

 

「誰がついでですって!?」

 

 走行車両の中を背景にしたカンナの表情がより険しくなった。

 

『……要求は』

 

「事前に伝えている通りだ。連邦生徒会が例の法案を撤回する声明を発表すること、そしてミレニアム自治区にて製造中の広域殲滅兵器を、我々に爆破させること……以上の二つを要求する。2時間以内の応答がない場合には……ここにいる連邦捜査部・シャーレの先生を素っ裸にひん剥き、映像を各メディアに流す」

 

「……!? なんで私!?」

 

『なんてことを……』

 

 ユウカの方から、ごくりと唾を飲む音が聞こえてきた……。

 

『……広域殲滅兵器がミレニアムで製造されているなどという事実はない。二つ目の要求は受け入れられない』

 

「能書きは結構だ。我々はその事実を確認している……そうだろう? セミナーの早瀬ユウカ」

 

 お面に隠れたリーダーの視線がユウカへと向いた。

 

「くっ……事実よ。確かにウチの"技術屋(エンジニア)"は建造を開始している。だけど……先生の裸が見れるなら、爆破も……」

 

「ユウカ!? 何を言ってるの!? 正気に戻って!?」

 

「あっ、いえ、忘れてください先生!」

 

 この非常時に冷酷な算術使いは何を言い出しているのか。カンナの視線が少し鋭くなった。

 

「んんっ! け、けど……あんた達に爆破させろとか……ウチがそんなことを許すとでも思うのかしら」

 

「許すも許さないも勝手だ。ただ結果として、君の大切な先生は、大人としての尊厳を失う。そして、公安局……突入もお勧めしない。こちらの人質は数百名を越えている──分かったら、外で待機している連中を下げさせろ。今すぐにだ」

 

『……分かった。2時間以内に要求に対して答えよう』

 

「カンナ!」

 

『……先生。あなたに非がないことは理解していますが、少し恨みますからね』

 

 映像が切れた。これで交渉は──テロリスト側へと傾くことになる。人質の存在は大きいが、その中で最も効果的だったのは、この先生の存在だろう。

 

「ふっ。さっき、このトラブルは先生がいるならばなんとかなると言っていたな。しかし、事実は逆のようだ……先生がいるからこそ、我々は目的を達成できる」

 

「……あんたは何も分かってないみたいね」

 

「ふん、強がりはよせ。我々の崇高な目的を邪魔できるものは何もないのだ」

 

 リーダーはユウカを見下ろしてそうあざ笑うが、ぐるぐる巻きにされたユウカが不自然な動きをしていることに気が付く。後ろ手で一定のリズムを刻んでいる──それだけだが、ユウカの不可解な態度に嫌な予感を覚えた。

 

「……あっ、リーダー! こいつ、手の中になんか隠し持ってますよ!」

 

「なに!? 貴様、何を持っている! くそ、この! 抵抗するな、出せ!」

 

 手の中から奪い取ったのは黒いリモコンのような小型端末だ。一つボタンがついているが……。

 

「なんだこれは? 貴様、これで何をしていた!」

 

「あなた達のようなバカでも、モールス信号くらい知ってるでしょ? これはその送受信装置よ。さっきまで外部と交信をしていたの」

 

 モールス信号は二種類の入力を使用することで文字を表現する。端末の裏側が振動して受信の信号をこちら側に伝え、指でそれを読み取る──最も、曲芸じみた交信方法だが。

 

「……バカな! ジャミングがあったはずだ!」

 

「どうせあなたたち、外にジャミング用の電波塔積んだ車でも持ってきたんでしょ? それでノイズジャミングでもしていて、さっき外部と交信するためにノイズの幅を狭帯域に切り替えた」

 

「ふざけたことを! ジャミングがされていない周波数を見つけることなど、機材も無しに……ましてこの短時間では不可能だ!」

 

「あら、よく勉強してるわね。偉いじゃない。それじゃもう二つくらい学んでいくといいわ──立てこもりをする時は、人質の手荷物検査をサボらないこと。それと……"ミレニアム(ウチ)"の技術力を舐めてんじゃないわよ!!」

 

 ユウカがそう叫ぶと同時に劇場の天井が爆発した。瓦礫が舞台へと落下していく。

 

「なんだ!? な、何が──」

 

 穴の空いた天井から何かがいくつか投げ込まれる。手榴弾をかなり大きくしたような形状のそれは、舞台へと落ちると一斉にガスを噴射し始めた。

 

「ガス!? まずい、ガスマスクを……」

 

「子守唄代わりに教えておくと、ウチの新技術……光学迷彩よ。これで屋上から侵入。建物全体に睡眠ガスを放り込んでおしまいって訳」

 

 ガスを吸い込むと同時に激しい眠気が全員を襲う。抗うことはできない化学兵器の前に人は無力だ。

 

「それじゃ、いい夢を」

 

 D.U.劇場占拠事件:事件発生より20分、鎮圧完了。

 

 

 

 

 

 

-

 

 

 

 

 

 ということでベッドの上だ。

 

「お目覚めですか、先生」

 

「……カンナ?」

 

 ワルキューレ内の医務室のようだ。側のデスクではカンナが報告書を書いているところだったらしい。

 

「ご無事で何よりです、と言いたいところですが……全く。公安局の仕事を奪わないで頂きたいですね」

 

「えっと、私のせいなの?」

 

「先生が呑気にデートなどしていたせいでしょう。あなたはその立場上狙われることも多いんです。今回は偶然居合わせたようですが、次は先生を標的にした犯罪が起こらないとも限りません。十分な備えをしてください」

 

「……まあ、少なくともユウカに備えがあってよかったよ」

 

「いいわけないでしょう。全く……例の光学迷彩、あれはかなり扱いで揉めるでしょう。それにこの一件で今後はテロ対策の強化も必要になりますし、そもそも例のデカブツの情報がどこから漏れたのかも問題です」

 

 カンナの表情はやはりずっと険しいままだ。事件が起きた時も、終わった時も……お巡りさんに休む暇はなさそうだ。

 

「何を他人事のような表情をしているんですか。リン行政官から伝言を預かっていますよ」

 

「……参ったな。そういえば、リンちゃんに頼まれていた仕事、まだ終わってないや」

 

「ええ。それと先生の方からも今回の一件についての報告書を上げておくように、と」

 

「え。今回私、本当に何もしてないから、報告も何もないのに……」

 

「何もしてないわけがないでしょう。いいですか、先生。あなたが"そこにいる"、あるいは"いた"……それだけで、周囲に与える影響は計り知れないものになるのです。先生が人質に取られたと知った時、私がどれだけ……はぁ。いえ、忘れてください」

 

 カンナはまたため息を吐き出して、疲れた顔をした。

 

「心配をかけたね、カンナ。お疲れ様」

 

「本当にそう思っているのなら、今後はこのようなことを起こさないようにして頂きたいですね」

 

「……そりゃ、私だってごめんだよ。そんなまるで、私がやりたくてやってるみたいな……」

 

「どうでしょう。今回の発端となった"預言者"も、先生が目的だと聞きましたが。そのことを考えれば、そもそもの原因は──」

 

「あーあーあー、聞こえなーい聞こえなーい」

 

 聞こえないフリをする先生に、カンナはまたため息を吐いた。自覚のないトラブルメーカーは厄介だと思いながらも、しかしそのトラブルメーカーを失うわけにはいかない、この現実に──

 

「その様子なら、お体の方は大丈夫そうですね。これから連邦生徒会で会議があるのですが、先生も呼ばれています。私も呼ばれていますので、一緒に行きましょう」

 

「……ヤだなぁ。どうせまたリンちゃんに無茶振りされるんだろうなぁ。今度は巨大怪獣の討伐とかさせられるんだろうなぁ。終電まで帰れないんだろうなぁ」

 

 先生にしては珍しいぼやきだ。ベッドから起き上がりつつ先生は続けた。

 

「ヤだなぁ……。ねえカンナ、今夜あたり一杯付き合ってよ。例の屋台でさ」

 

「……仕方ありません。どうせ私も、今日は残業確定なので」

 

「やった……って、素直に喜べないね。まぁとりあえず行こうか。生徒会のみんなを待たせちゃ悪いし」

 

「えぇ。こちらです、先生」

 

 2人だけの秘密の時間。その約束を共有しているということ。その事実が口元を緩めていくのをカンナは抑えられなかった。

 

 




ゴズ強すぎだろ
マジで勝てる気がしないんだけど 
そもそもあの列車なんなん? お前を轢いてやろうか
あとこの小説プロットとか設定とかなんもないので続くか未定です でも書いていて楽しかったので続くかも

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