居酒屋で出会ったおっさんと軽いノリで作った組織   作:エドモンド橋本

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俺と俺

 

 

 大きな身体の黒いポケモン。腹部にある大きな口の様なところから伸びた、2本の鋭い牙の様な舌を振り回し、辺りの木や草、地面全てを喰いながら進んでくる。俺のポケモンの攻撃もまるで効いてない。

 

 「デスバーン!地震!!ゼラオラ飛び上がってプラズマフィスト!!」

 

 デスバーンが地震を放ち、それよりも早く飛び上がったゼラオラは黒いポケモンにプラズマフィストをぶつける。しかし、やはり一切ダメージを受けてる様子はない。何でだ?今までこんな経験は無かった。俺は、誰よりも強い。父さんからそういう教育を受けて来た、逃げていたこの世界の俺とは違う。俺は、負けるなんてありえない。

 

 「あと、少しなのに、邪魔すんなよ!!!」

 

 「バ、バーン」

 

 「ゼラ」

 

 「何してる!!とっととその黒い奴を倒せよ!!」

 

 「バ、バッ!?」

 

 「ゼラッ!?」

 

 黒いポケモンの舌に弾かれ、デスバーンとゼラオラは倒れる。これは、俺が悪いんじゃない。コイツらが、弱いんだ。

 

 「何だよ、使えねえ奴らだな」

 

 「よいしょお!!」

 

 「あぐっ!?」

 

 突如脇腹を強く蹴られた。意味が分からないまま苦痛に顔が歪み、蹴られた方を見る。

 

 「うっ、お前は」

 

 「うわ、本当におんなじ顔してんじゃん、え〜、俺の方がもうちょい男前じゃない?」

 

 この世界の俺が、目の前にいた。

 

 

 

 

 

 

 

 リラさんから聞いたウルトラビーストの中で、恐らくグラトニーというコードネームで呼ばれるアクジキングってポケモンに遭遇した。そこでアクジキングと戦闘している、いつかのパーカー男。リラさんから聞いたが、警察連中に俺の情報を売った男は目深にフードを被っていたって言ってた。それに、アイツは俺に良く似た雰囲気を持っている。アローラでは度々自分に似た存在が現れるっていう言い伝えが存在する。これがウルトラホールの出現に関係しているのなら、あいつは、別世界の俺って事だ。俺に対して何の恨みがあるか知らねえが、ここは協力してあのアクジキングを捕獲しよう。

 

 「何だよ、使えねえ奴らだな」

 

 「よいしょお!!」

 

 「あぐっ!?」

 

 倒れるデスバーンと黄色いもふもふしたポケモンに対してトレーナーとは思えない言葉を吐き捨てた俺に反射的に蹴りを入れる。こいつ本当に俺か?取り敢えずアクジキングを止める為に、ファイアローとハニー、それからガチゴラスを繰り出す。アイツをしばらく足止めしてくれと指示を出し、俺はもう一度俺に目を向ける。

 

 「うっ、お前は」

 

 「うわ、本当におんなじ顔してんじゃん、え〜、俺の方がもうちょい男前じゃない?」

 

 顔を上げた俺は確かに俺そっくり。ってややこしいな。もう2号で良いや。って考えてたら、何かブチギレ顔の2号が俺につかみかかって来た。

 

 「何のつもりだ!?」

 

 「自分の為に戦っているポケモンを貶す様な奴に罰を与えただけだが?」

 

 そんなこともわかんないかな?自分のポケモンにあんな事言う奴は蹴られて当然よ。とっととしばいて直ぐにデスバーン達にごめんなさいさせてやる。

 

 「ふざけるな!勝てなきゃ意味などないんだ!!お前も父さんからそう教わったんじゃないのか!?」

 

 「親父からはそう学んだよ。でも、旅に出た先で、全く違う事も学んだ。1つの知識を常識と思い込むのはやめた方がいいぞ」

 

 「黙れ!!父さんの教育は正しいんだ!!じゃなきゃ、俺は、何の為に」

 

 ああ、コイツやっぱそうだ。何となくそんな気はしてたけど、親父から逃げなかった世界の俺だ。つまり、俺と2号の分岐点は、親父の教育から逃げたかどうかの違いか。あの日、俺がイーブイに出会えたのはあの時家を飛び出したからだ。コイツは、逃げずに親父に向き合い続けたのか。なら。

 

 「お前を否定はしねえよ。親父の教育を信じて耐えたその気概を、無駄とは言わねえ。でも、そのまま生きててもお前辛いだけじゃねえか?」

 

 コイツがこうなったって事は、姉ちゃんにも何かが起きたんだろ。逃げずに家で教育を受け続けたコイツは、イーブイにも会えなかった筈だ。2号はきっと、ただ純粋に、認めて欲しかっただけ。誰かにただ、褒めて欲しかっただけなんだろう。

 

 「お前は頑張ったよ。あの家で、親父の教育に耐えたのは凄えって思う。でも、もう良いんじゃねえか?あの家から出て、お前を信じて戦うポケモンがいる。ならもう親父の教育に縛られる必要ねえじゃねえか」

 

 「でも、俺は、父さんのやり方しか、知らない」

 

 「俺が教えてやる。この世界の歩き方も、ポケモンとの触れ合い方も、最高の夢を見せてやるからよ」

 

 俺は2号に手を伸ばす。

 

 「お前ただでさえ地味なんだから、そんな暗い顔すんなよ。生き方くらい派手に行こうぜ」

 

 コイツは俺だ。俺が俺を否定する理由はない。こいつの事も助けてやりたい。何で俺を売ったかは後できっちり説明してもらうが、それ以外は別に罪もねえだろ。

 

 「ここで、俺は、生きて、ッ!?」

 

 「な、おい!!」

 

 「ドガアアアアアアアアア!!!!!」

 

 俺の手を取ろうとした2号はアクジキングの舌に捕まり、飲み込まれた。咄嗟に追おうとするデスバーン達をガチゴラスが止めている。マズイな。あの中がどうなってるか知らねえが。ギラティナの時みたいに帰って来れるかは分かんねえ。それに飛び込んでいっても、その間アクジキングの暴走を誰が止める?ハニー達で止められるのか?もう少し戦力がねえと。

 

 「ミッローーー!!!!」

 

 「ドガアア!?」

 

 アクジキングが思わず倒れそうになる激しい水が横から放たれた。聞いた事のある鳴き声。あんな高威力のハイドロポンプを撃てるポケモンを俺は世界で一体しか知らない。美しい女王になった、俺のポケモン。

 

 「ミロカロス」

 

 「ミロ♡」

 

 木の影から現れた彼女は、ゆっくりと俺へと近付き頬に顔を擦り付ける。ああ、懐かしいなこの感じ。

 

 「っと、君に会えて嬉しいよミロカロス。でもごめん、今はあのアクジキングに喰われた別世界の俺を助けたい。力を貸してくれるか?」

 

 「ミー!」

 

 勿論。そう言う様に頷いたミロカロスは、アクジキングに向かって、冷たい冷気を吐き出した。ハイドロポンプからの吹雪。この子の得意な戦法だ。どちらもはなから高威力の技だが、この子の場合は次元が違う。

 

 「ドガア!ドガアアアア!!!」

 

 濡れた身体に冷気が当たり、アクジキングは凍り付けにされた。完全に身動きが取れなくなっている。うん、流石ミロカロス。でもこれどうやってアイツの中に入れば良いんだ?てか、中の俺大丈夫?死んでない?

 

 「フパ!」

 

 「お?フーパ!お前どうしたんだこんなとこに来て」

 

 急に頭に何か乗っかったかと思ったら、しばらく船でヘレナちゃんについて回ってたフーパが急に現れた。てかコイツ確か。

 

 「フーパ、お前、空間を自在に行き来出来るって言ってたよな?」

 

 「フパ!」

 

 俺がそう言うと、フーパは突然リングを大きくさせ、どこかへと空間を繋いだ。そして、俺の方を手で差し、空間に向けた。何か色々ジェスチャーしてるが、コイツまさか、この空間の先にもう1人の俺が居るって言ってんのか?てか、今自分が必要だと思って俺のとこに飛んで来たのか?え、めっちゃ良い子じゃん。バリ有能やん。チビスケ捨ててこの子を大事に育てよう。ヘレナちゃんに頼んでお菓子いっぱい作ってあげよう。

 

 「ありがとうフーパ。行こうか」

 

 「フパ!」

 

 「ファイアロー!ハニー!ガチゴラス!ミロカロス!後は頼む!!」

 

 愛するポケモン達に後を託し、俺はフーパと共に、2号のいる空間に飛び込んだ。

 

 

 

 一方その頃のアローラ

  

 ウシオVSマッシブーン

 ウシオのポケモン全滅。

 カプ・ブルル、ウシオに協力開始。

 

 カガリVSフェローチェ

 カガリのポケモン全滅。

 カプ・テテフ、カガリに協力開始。

 

 ホムラVSカミツルギ

 ホムラのポケモン全滅。

 カプ・コケコ、ホムラに協力開始。

 

 イズミVSテッカグヤ

 イズミのポケモン全滅。

 カプ・レヒレ、イズミに協力開始。

 

 アカギVSデンジュモク

 ギラティナの力により、デンジュモクを弱らせ、捕獲に成功。

 

 フラダリVSズガドーン

 フラダリのポケモン全滅。

 Nが合流し、ズガドーンを弱らせ、捕獲に成功。

 

 AZ VSツンデツンデ

 AZのポケモン全滅。

 ヒガナが合流し、ツンデツンデを弱らせ、捕獲に成功。

 

 マツブサとアオギリ、ユウキとハルカに接触。

 

 サカキ、シルバーと接触。

 

 ゴールド、カイトの捜索を開始。

 

 レッド、ウツロイドを86体倒し、飽きた為就寝。

 

 ソルガレオ、ルナアーラ、ヨウとミヅキに協力開始。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




カイトさんにはストーカーが2人と2匹いましてね。

謎のパーカー男
ジョウトの金色男
メスウサギ
パルデアで出会ったプリンに似たポケモン
です。

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