居酒屋で出会ったおっさんと軽いノリで作った組織 作:エドモンド橋本
「流石だな」
「フパ!」
フーパのおかげで最強のポケモン達が手助けに来てくれた。かつて共に旅をしたヘラクロス達の協力のおかげで、ダイマックスポケモン達は減ってる。このままいけば、後はこんなバカな騒動を始めた奴を締め上げれば終わりだ。大体の予想はついてるし。
「フ、フパ!?」
「ん?どうしたフーパ、って、おいおい」
急に慌て始めたフーパの視線を辿ると、空に広がる大きな穴。それはアローラで見たものと同じ。ウルトラホール。
「退がれフーパ!」
「フパ!」
「リ、ノ」
ウルトラホールから感じるとてつもないオーラ。その持ち主が姿を見せた瞬間、ビリビリと肌が刺激された。
「あいつは、ブラック」
ルザミーネさんから見せてもらった写真に写っていたウルトラビースト。最近ガラルに出現するとは聞いていたがタイミングが悪すぎる。UB研究室ではアクジキングとは比べ物にならない強さって見解が出ている。そんな奴今相手にしてる暇はねえぞ。
「リノ」
「ルー!!ロップ!!」
「ハニー!!」
ブラックが俺へと視線を向けた瞬間、とてつもない速さで走って来たハニーが飛び膝蹴りを喰らわせる。ハニーの持つ格闘技最強の一撃。これを食らって立っていられる奴は。
「リノ」
「いねえ筈なんだけどな」
顔色一つ変えねえとかバケモンにも程があるぞ。見た目からしてカビゴン並みの耐久力があるとは思えない。なのにダメージを受けてる様な素振りが無いのが理解出来ねえ。
「ブラアァ!!」
「ッリノ!?」
「は?どう言う事だ?」
背後から突如現れた相棒のイカサマに、焦った様に避けるブラック。アイツまさか。
「あんなナリでエスパータイプか?」
それならハニーの一撃が無効化されても納得は出来る。いや、正直ダメージが殆ど入っていない事にはまだ納得出来てねえが、それでもモヤモヤは少し薄れた。対策を練る為に一度相棒とハニーを俺の元まで戻そうとすると、それを見たブラックは顔を大きく上げた。
「リノオオオオ!!!」
「っるせえなあ!一体何なんだよ!!」
急に叫び始めたブラック。あまりにもうるさい声に思わず耳を塞ぐ。何がしたいんだよと、顔を向けると、ウルトラホールから現れたもう一体のウルトラビースト。
「ラリオーナッ!!」
「ソルガレオ」
ヨウ君が捕まえた筈のウルトラビースト。何故?いや、まさか複数体存在しているのか。ウツロイドが何体もいるなら、そう考えても別に不思議じゃない。
「リノ」
「ラリ!?ラリオー!!」
「ッ!!何するつもりだ!?」
ソルガレオを掴んでエネルギーを吸収するブラック。考えなくてもヤバい事が起きようとしてるのが分かる。徐々に黒いオーラに覆われていく2体。そしてオーラが放たれた瞬間、俺は目を疑った。
「リノギルアアアアアァ!!!」
「マジ、かよ」
2体の姿は無くなり、宙に浮いていたのは一体のポケモン。ソルガレオが黒いアーマーに覆われた様な姿。背中にはブラックの腕の様なものもある。合体した?それくらいしか思い浮かばないが、1つわかるのは相当なパワーを持っていると言うことだけ。
「ハニー!ブラッキー!気を付けろ!普通の強さじゃない!」
「ロップ!」
「ラァ!!」
アイツがエスパータイプなら、ハニーは苦戦するが相棒なら相性がいい。ハニーを囮にして相棒の攻撃を当て続ける。それが良いか。
「ハニー!雷パンチを打ち続けろ!ブラッキー!背後に回ってイカサマ!」
俺の指示を聞くと、素早くブラックとの距離を詰めるハニーと相棒。ハニーは正面から雷を纏った拳を叩きつけようとするが、それよりも早くブラックが鋭い牙でハニーに噛み付く。
「ロアァ!?」
「ハニー!!」
相当なダメージが入ったのか、そのまま地面に落下するハニー。幸いまだ動ける様だが、これ程の強さを持っているとは。マズイな、正直焦っている。どうすれば良い?
「ラァ!!」
「リギア!!」
「ラァッ!?」
背後に回った相棒も、尻尾で弾き飛ばされる。こっちは大したダメージが入っているわけではないが、大きく距離を空けられた。考えろ。考えるんだ。
「リノギアアァ!!!!」
「ッ今度は何だよ!!」
再び大きく吠えたブラック。どんどん眩しい光に包まれるブラックは、再び大きく姿を変え始めた。
「おいおいふざけんなよ。まだ変化すんのかよ」
光が止んだ。しかし、それでもまだ眩しい。光を放っているのは、まるでドラゴンのような姿に変貌したブラック。先程までとは明らかに風貌が違う。何よりも強さが格段に違う。第二形態ですら何も出来なかったのにまだその上があるとかふざけてるにも程がある。
「シ…シ…シカリ…!!」
「!?」
俺を見つめるブラックは、とんでもねえ速さで俺まで突っ込んできてその爪を振り下ろした。激しい砂埃が舞い、視界も遮断される。
「ロップ!!!」
「ブラアアア!!!」
微かにだが2人の声が聞こえた。俺はそれに返事をする余裕もなく、後先考えずに横に飛んだ。
「シ……シカリ……」
「はあ、はあ、痛ッ!」
左目の上辺りから流血している。幸い目が潰れたわけでは無さそうだが、左目が開けられない。顔半分血まみれだ。身体中色んなところを打ってしまって正直もう走るのも難しい。
「シカ……シカリ……」
トドメを刺すためか、ゆっくりと俺に近付き、爪を振り上げるブラック。何で俺を襲うのかとか、何が目的なのかとか、色んな事を聞き出してやりてえがそれも出来ない。流石に身体が言う事を聞かない。
「はあ、はあ、クソ」
自分が情けない。こんな状況になってしまった自分が。相手の実力を深読みせずにハニーを突っ込ませた浅はかな考えにイラつく。ハニーが落とされた時点で相棒を退かせるべきだった事にも気付かない愚かさが憎い。完全に冷静さを欠いていた。姉ちゃんからも何度も言われていた筈なのに。やっぱり今日は、冷静ではいられなかった。
「シ……シカ……シカリッ!!」
振り下ろされるブラックの爪。泣き叫ぶハニーと相棒。その奥からは血相を変えて必死に走ってくるガチゴラスとグソクムシャ。ファイアローの背中に乗って向かってくるポリゴンZ。みんな俺を助けようとしてくれるのか。こんなバカで無様な俺に手を伸ばしてくれるのか。
「ごめんな」
俺は君を助けたかった。その為にここに来たのに。こんな訳わかんねえ相手に無様に負けて、このザマだ。あの時、君に手を伸ばさなかった俺にはよく似合う姿だろうけど、もし君が、許してくれるなら。君に、縋りたい。
「助けてくれ、ゲンガー」
「……シガアッ!?」
俺の影から放たれた禍々しい黒い球体。それは真っ直ぐにブラックに向かっていき、直撃した。
「シガッ!」
大きな音を立てて地面に倒れるブラック。最初の形態では、ハニーの飛び膝蹴りでも顔色を変えなかったブラックを一撃でダウンさせる事が出来るのはきっと、彼しかいない。俺と遊んで欲しい時はいつも影が伸びる。そう、こんな感じで、にゅーっと伸びた影から、君は可愛らしい丸みを帯びた体を見せる。
「やっと、会えたね」
「……ゲガ」
「君はまだ、俺を助けてくれるのかい?」
「ゲガ!」
「ありがとう」
やっぱり、君は優しい。こうして今も俺の前に姿を見せてくれる。彼の顔に触れたい。手を握りたい。頭を撫でたい。色んな思いが、ブラックの叫びにかき消される。
「シカリッ!!!」
そうだ。今は、アイツを倒す事を優先すべきだな。やはり今日は冷静さを欠いてしまっている。
「俺ともう一度、戦ってくれるか?ゲンガー」
「ゲガッ!!!」
臆病な君は、いつも手足を震わせて敵に向かい合っていた。そんな君が、今は凛として立っている。それがどう言う意味なのか、理解してしまって思わず笑みが溢れる。自惚れでも良い。君が今、俺の前に立っているだけで、俺は嬉しい。
「俺はやっぱり、君が居ないとダメみたいだ」
「シカリアァ!!!」
「とっとと終わらせて、たくさん話をしよう。4年間の、空白を埋めよう。ゲンガー、シャドーボール!」
「ゲガアァ!!」
俺の前から飛び出したゲンガー。さっきよりも更に大きな球体を生み出した。その姿は、紛れもなく俺のエースだった。
突撃メガホーン隊長
殴ってくる守護要塞
絶対零度並みの威力の吹雪を放つ女王
流星群だろうと怖くねえパチネキ
全てを取り戻した暴虐竜
眷属達が任務を終えて、魔王の元へと向かってる。
手持ち達は魔王の額から滴る赤い血に怒りをむき出しにしている。
そして魔王の前には、敗北を知らない絶対のエースが。
ネクロズマ「今から入れる保険は」
作者「無いです。お引取りください」