居酒屋で出会ったおっさんと軽いノリで作った組織 作:エドモンド橋本
大変、大変お久しぶりでございます。
本当に久々の投稿ですが、ゆっくりでも続けていけたらなと思っております。
「ガルゴラアアアアア!!!!!」
ガチゴラスの勝利を告げる咆哮が力強く響き渡る。
「お疲れ様」
仰向けに倒れるユキノオーを優しく撫でてからボールに戻したアズマさんは、コートの内側から、今までのものよりも一際汚れや傷が多いボールを取り出した。
「出来れば君で、終わらせたいな」
今までの楽しそうな笑顔は消え、勝利を求める猛者の顔つきに変わったアズマさん。ヌケニン、ペリッパー、シビルドン、ユキノオー。今まで出てきたポケモン達もかなりの強さだった。それでも、彼女に残された2体は、きっと今までのポケモン達とは一線を画す力を持っている。彼女の目が、そう告げていた。
「頼むよ」
ゆっくりとしたモーションから宙に放たれたボール。中から飛び出してきたポケモンは地面に静かに着地する。長い脚、細い腕、額にあるV字の鶏冠。ユキノオーが残した冷気を一気に消し飛ばす程の熱気。
「バシャア!!」
バシャーモ。ハルカちゃんのパートナーポケモンでもあるが、正直、彼女のバシャーモとは比べ物にならないオーラを感じる。
「ガチゴラス、サイコファング!!」
既に瀕死状態に近いガチゴラスに指示を出すのは心が痛むが、それでも一撃入れる。じゃないと後が厳しくなる。せめて、体力を少しでも減らせるのなら。
「ブレイズキック」
アズマさんの指示が聞こえたと同時に鈍く重い音と共に、勢いよくガチゴラスが仰向けに倒れた。バシャーモの炎を纏った脚がガチゴラスの顎を蹴り上げたようだ。
「ガ、ルゴァ」
目を回して倒れているガチゴラス。いくら体力が減っていたとはいえ、相性の悪い技でここまでやられてしまうとは。
「その子は、エースですか?」
「さあ?どうでしょうね?」
バシャーモ。今の一撃でとんでもない素早さだって事は理解できた。俺の手持ちはあと3体。相性だけで言えばグソクムシャが有利。だが、アズマさんのポケモン相手には相性だけでは勝てない。サザンドラなら勝てるだろう。だが切り札を先に切るのは不味い。なら、あのスピードについていける彼女に託そう。
「さあ、出番だよハニー」
「ルー」
ハニーの雰囲気がいつもと違う。俺の方を振り向かず、静かにフィールドに立つ。バシャーモに集中している。強者だと理解しているのだろう。
「ロップ」
力を込め過ぎず、しかし張り詰めた様子でファイティングポーズをとるハニー。ならば先手必勝と、俺が指示を出す前にアズマさんが首飾りに触れた。これは、ヤバい。
「バシャーモ、メガシンカ」
何も言わずバシャーモは静かに光に包まれる。ハニーは何もせず、ただじっとその光を見つめる。数秒して光が弾けた。そして一気に、ユキノオーの生み出した冷気を払うような熱気が辺りを覆い尽くした。
「シャー」
その姿を見た感想は一言、隙が無い。どこからでも攻撃に出れる体制のメガバシャーモが立っていた。しかし、アズマさんは指示を出さない。俺に対して何かを期待する様な視線だけを向けている。これは、俺達にもやれって事だよな。まあ、そうしなきゃ勝てない相手ではあるか。覚悟を決め、俺は指輪にそっと触れる。
「ハニー、メガシンカ」
「ルーーー!!ロップ!!」
闘志を剥き出したハニーの目は、いつも以上に鋭いものに変わった。これは、どうなるものか。
「バシャーモ、ブレイズキック」
「ハニー、雷パンチ」
響く轟音。激しく舞う砂煙。何も見えなかった。しかしまだハニーとバシャーモが立っている事だけはなんとなく分かる。視界には映らないが、先に動かなければ負ける。
「ハニー!」
「ロップ!」
俺の意思が伝わったのか、ハニーが動く。まだバシャーモの姿は確認出来ないが、きっとハニーなら。
「ッ!!!??」
先程より強い衝撃波を感じた。更に舞う砂埃、俺の隣を何かがものすごい勢いで通過したのだけは分かった。
「嘘だろ?」
それが、何なのか。いや、誰なのか。考える必要はない。小さく漏れる声は、俺の愛してやまない存在だ。
「ハニー」
「ロ、ッ、ルー」
ボロボロのハニー。お腹には強く蹴られた跡がある。酷く痛々しいその姿に、俺は強い悲しみを抱いてしまった。
「ブーイ?ブイブイ」
「ゲゲッ」
心配そうに近寄るイーブイと、それを引き離そうとするゲンガー。これは公式戦じゃない。倒れてしまったポリゴンZ、ファイアロー、ガチゴラスには申し訳ないが、ここで終わりにしよう。もうこれ以上、ハニーを見ていられない。俺は彼女のボールを取り出す。スッと彼女にボールを向けようとしたが、その手は相棒によって阻まれた。
「ブラッ」
「え?」
あいつを見ろ。そう伝える様な彼女の視線の先には、ゆっくりと立ちあがろうとするハニーがいた。戦いを好む、力強い赤い瞳は間違いなくバシャーモを見据えていた。
「ッ、ふー。よし、行こうか、ハニー」
「ロップ!」
「バシャーモ。構えて」
「シャ!」
「「インファイト!」」
ハニーとバシャーモは同時に地面を蹴った。間合いを詰め、互いに拳と蹴りを突き出し合う。正直音と衝撃以外は理解出来ない。あまりにも早すぎる攻防に思わず冷や汗をかく。だが目を背けてはいけない。相手はアズマさんだ。目を凝らして見るとやはりハニーの方が押され始めている。パワーに関してはバシャーモが上か。なら、狙うはそこだ。
「ハニー!体勢を低く!」
「ロップ!」
俺の指示を聞いたハニーはすぐにバシャーモの懐へと入り込む。流石のバシャーモも一瞬反応が遅れて僅かながら隙が生まれる。
「ハニー!雷パンチ!」
バチバチと音を立てる拳がバシャーモの腹に突き刺さる。流石と言うべきか、少し体をずらしたのか、大きなダメージは受けていない。しかし、バシャーモの体がぐらつく。その僅かな隙を突いてハニーは距離をとり、大きく深呼吸を始める。すると徐々に彼女の表情が元に戻っていく。ヒットアンドアウェイ。素早く攻撃と後退を繰り返す。これなら、戦える。あとはどれだけ粘れるか。そして、どこまで追い込めるかだ。
「まだまだ行けるよね?ハニー」
「ロップ!」
「バシャーモ、あなたもまだまだいけますね」
「バシャ!!」
アズマさんの声にバシャーモはすぐさま体勢を立て直す。ここからは泥臭く、根性論でぶつかるのみ。
「行くぞ!!」
「ロップ!!」
再びハニーはバシャーモに向かって駆け出す。バシャーモもそんな彼女を迎える様に動き始める。両者が再び激しくぶつかり合った。
どれほどの時間が経っただろうか。数十分かもしれないし十数分かもしれない。ただ確実に言えるのは、今のハニーには限界が来ているという事。息は荒く、時折体がふらつく。それでも目だけはしっかりとバシャーモを見続けている。そして、どこか楽しそうだ。
「ロ、ロップ」
対するバシャーモの方も、息を切らし、腕をぶらりと垂らしている。肩の力も抜けている様に見える。アズマさんは未だ冷静な面持ちだが、目の奥には深い葛藤が渦巻いている様に感じ取れる。
「……………」
彼女は沈黙を保ちながら静かに息を吐く。そしてゆっくりと口を開いた。
「……バシャーモ、ブレイズキック」
その言葉に呼応してバシャーモが足を高く上げる。足には赤い炎が灯り、それは次第に巨大な火柱となり燃え上がる。そして彼はハニーに向けて勢いよく踏み込んだ。
「ハニー雷パンチ!」
「ロップ!」
迫る炎の足を電撃を纏った拳で迎え撃つハニー。しかしその速度は先ほどまでの勢いを失っていた。そしてその隙を逃さずバシャーモの蹴りが容赦なく叩き込まれる。
「ロッーーープ!!」
苦悶の声をあげるハニー。吹き飛ばされ宙を舞う彼女はそのまま地面に叩きつけられる。
「ッハニー!」
「ロップ、ロップ♡」
痛みに耐えながらなんとか立ち上がろうとしているハニー。俺の方を見て軽くウインクする姿は、愛らしいものの、どこか痛々しい。一方、攻撃したバシャーモも全身がふらつき始めた。
「バシャーモ!」
アズマさんも思わず叫び声を上げる。しかしバシャーモは弱々しくも首を振って答える。
「シャー」
再び体勢を整えバシャーモは全身に炎を纏わせた。それに対抗するかのようにハニーも最後の力を振り絞り拳を構えて準備をする。
「バシャーモ、フレアドライブ」
「ハニー!インファイト!!」
バシャーモは纏った炎を全開に噴き出し勢いよく駆け出す。同時にハニーも全ての力を込めて突進していく。2人がぶつかり合った瞬間、爆発のような衝撃音と共に閃光が走った。その眩しさに一瞬視界を奪われる。しかしそんな中でも目を凝らしハニーの姿を探す。
やがてゆっくりと光が収束し始めるとそこにはボロボロになって崩れ落ちていく二人の姿があった。
「ッロップ!」
かろうじて踏み止まるハニー。対して力尽きた様に倒れるバシャーモ。そしてアズマさんも静かに目を閉じたまま微動だにしない。
「はぁ……負けました」
アズマさんの声が小さく響く。ボールへバシャーモを戻し、小さく声をかける。俺もハニーの元に駆け寄り、声をかける。
「ありがとう。ハニー……本当に強くなったな」
「ロップ♡」
微笑んでくれるハニーにホッと胸を撫で下ろす。
「さて、最後の一体だ」
ここまで俺のポケモン達を追い込んだアズマさんの切り札とは。
「さあ、久々に本気を出せるよ。行っておいで!」
高らかにボールを投げたアズマさん。放たれたポケモンは大きな音を立てて大地に降り立った。
「……フッ、ヌケ〜」
筋肉が盛り上がった巨体。茶色い毛が太い腕を覆い、ピンク色の鼻を鳴らしてハニーを見下ろした。
「久々に見たな」
その習性故か、あまりバトルさせるトレーナーは多くない。最後に見たのは、センリさんが最後かな。
ケッキング。
世界一ぐうたらなポケモン。
「ヌケ〜」
「申し訳ないが先手必勝でやらせて貰う。ハニー!飛び膝蹴り!」
「ロップ!」
残された力を振り絞り、地面を強く蹴ったハニーは、そのまま空中で体を捻りながらケッキング目掛けて膝蹴りを喰らわせる。
「ロープ!!」
ドスンッ!と音を立てて命中する脚。
「ヌケ〜」
まるで効いていない。ハニーの脚が埋まり込んでいるのに、ケッキングは全く動かない。
「ま〜じか」
驚愕する俺を尻目にアズマさんは冷静なままで指示を出した。
「アームハンマー」
短く呟くと同時にケッキングは右手を振り上げた。
「ロッ!!」
避けようとしたハニーの声は途中で途切れ、次の瞬間には彼女の身体は風を切って俺の後方の壁に叩きつけられていた。
「……大丈夫か!?ハニー!!」
慌てて駆け寄るが、既に彼女は意識を失っていて返事はなかった。
「ありがとう。よく頑張ってくれた」
「ブイ、ブイ〜」
「ゲ〜ン」
心配そうにハニーに擦り寄るイーブイとゲンガー。相棒は少し悲しげに彼女を見つめている。
「よし、次だ」
ラストのポケモンより、ここはもう一度彼の力を頼ろう。アズマさんのヌケニンに対して力を発揮出来ずに交代した切込隊長。
「頼んだよ、グソクムシャ!」
「シャッ!」
身体の傷に心が痛むが、今は彼の力を信じよう。
「出会い頭!!」
「シャァア!!」
グソクムシャの鋭い爪がケッキングの胴体を捉える。
「ヌケェ」
「……流石に硬いか」
だが効いていないわけではない。これならチャンスは。
「は?」
瞬間、俺の視界には意味不明な光景が広がった。
「ケ〜」
ケッキング。そのポケモンは、力が強く、身体も頑丈であり、その強さだけならポケモン達の中でもかなりなものだった。しかし、通称、世界一ぐうたらなポケモン。そう呼ばれる理由は、ケッキングが一度行動すると、次の行動までかなりのスパンがある為だ。それは戦闘が長引くほど不利になる為、トレーナーでケッキングを使用する人は居なかった。センリさんの様にケッキングの力を引き出せる程の名トレーナーは少ない。だが、アズマさんならそれも可能と思っていたが、違う。確かにアズマさんは凄腕のトレーナーだ。でも、あのケッキング自体が特殊だったんだと、既にグソクムシャに腕を振り下ろしているケッキングを見て思った。
小話《暑すぎる夏》
ブラッキー「ブラァ(暑すぎ)」
ミミロップ「ルルー、ロップ(言わないで。余計暑くなる)」
ファイアロー「ふるほあ!(情けねえなあ、暑さがなんだってんだ!)」
グソクムシャ「シャァア(心頭滅却)」
ガチゴラス「ガルゴア(んな無茶な、流石に熱いぜこれは)」
ポリゴンZ「hr4¥,!5:(ムリ〜、トケチャウ〜)」
カイト「ほら!イーブイ!これがビニールプールだ。入ってみな?楽しいぜ」
イーブイ「ブイ!ブイブイ!(冷たい!でも楽しいよ!ゲンガーも入ってよ!)」
ゲンガー「ゲゲッ!ゲーン!(イーブイ気を付けてよ!大丈夫僕も入るから)」
カイト「はは!よしよし。よし、そのままボール遊びしよっか!」
ブラッキー&ミミロップ「………」
ファイアロー「ふるほお!ふるるほどあ!?(ヒャッホーイ!大将!俺も混ぜて、ぶほあ!?)」
ブラッキー&ミミロップ「………」
グソクムシャ「………シャ(………安らかに眠れファイアロー)」
ポリゴンZ「hr4¥,!5:(ブラッキートミミロップノカオガコワイ)」
ガチゴラス「ぐるご(ありゃどう言う感情だ?)」
ブラッキー「(やばい、可愛い。混ざりたい、けど)」
ミミロップ「(え、ダーリンもイーブイも可愛い。ゲンガーも嬉しそう。何この幸せ空間。ずっと見てたい)」
ネクロズマの行き先
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カイトさん
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ルザミーネ
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リラ
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ウルトラホール(実家)