居酒屋で出会ったおっさんと軽いノリで作った組織 作:エドモンド橋本
「は、はあ、はあ、ふ、ボ、ス、これは、随分と見苦しいところを」
「どしたんだよ」
グソクムシャと別れた俺達の前に現れたのは、肩で息をしながら汗を垂らしているアカギだった。顔色も悪いし熱でもあるんじゃないか? と疑問を抱いたが、彼の側に立つ橙色の鳥ポケモンを見て余計に謎が深まった。
「サガルア!」
「アカギ、この子何?」
「ハア、サンダー、です」
アカギによると、何十年かに一度、ガラル地方のカンムリ雪原に姿を現すという3匹の渡り鳥ポケモン。その容姿からそれぞれフリーザー、サンダー、ファイヤーとされている事から、調査に向かったそうだ。調査途中に、大木に集まるそれらしき三鳥を見つけたようだが、何故か三鳥は争い始め、そしてそれぞれ三方向に飛んでいったそうだ。
「んで、このワイルドエリアにアカギはサンダーを追って来たと」
「はい、ですがこのサンダーどうやら翼で空を飛ぶ事が出来ないようで。その代わり脚が発達していてとんでもない速さで走り回るので追いつくのに苦労しました」
「たまにはフィールドワーク、しような」
俺は苦笑いしながらアカギに言った。その傍でサンダーが興奮気味に羽根をパタつかせていた。どうやら好奇心旺盛らしい。羽根からはバチバチと電気が走る音がする。しかし、見た目から察するに電気タイプではないかもしれない。その辺は連れ帰って調べてもらおう。
「ところでアカギ、他のみんなの様子や進捗は聞いてるか?」
「私と共にファイヤーとフリーザーを調べていたカガリ隊長とイズミ隊長もそれぞれ捕獲は完了したと先程連絡が。他の方は何とも」
どうやらサカキ含めて最高幹部の方からは連絡がないらしい。立て続けに起きた野生ポケモンのダイマックス事件もあったしな。もしかしたら巻き込まれていたのかも。
「アカギ、悪いけど俺はもう一仕事あるからさ、カガリちゃんとイズミさんと一緒にサカキ達のフォローに回ってくれ」
「分かりました。ボス、お気を付けて」
アカギと別れた俺は、さっきジムリーダーのみんなに連絡したけど出てくれたのは数人。どうやら、まだあの変な頭の2人が好き勝手やってるようだ。それとソニアちゃんのそばに居たあの助手さん。こっそりゲンガーに調べて貰ったけど、やっぱりあの2人と繋がってた。俺はこの地方の人々に恩がある。ここで返さずいつ返す?
「よし、行くか」
「ブイブイ!」
可愛らしいイーブイの鳴き声と共に、俺は走り出した。まずは例の助手さんが気になる為、ソニアちゃんの研究所に急ぐ。その道中、数本の光る柱が何本か見えた。それに内心疑問を抱く。しかし、今は急ぎソニアちゃんの研究所へ向かった。到着後、数回ノックをすると、マグノリア博士が出て来てくれた。事情を察したのか博士は直ぐに中に入れてくれた。中にはPCに向き合い、何かを必死に調べているソニアちゃんがいた。隣にまで近付くと漸くこちらに気づいたのかハッとした顔をする。慌てて取り繕う彼女だが、その表情からは焦りが見て取れる。
「カ、カイト君!ごめんね気付かなくて!」
「いや、こっちこそごめんね急に来て。ちょっと大事な用があって来たんだけど大丈夫?」
「うん!問題ないよ!それで要件っていうのは……あっ」
ソニアちゃんは俺が取り出した瓶を見て驚いた様子で立ち上がった。
「こ、これって!」
「ソニアちゃんが保管してた願い星。あの助手さんが変な髪型連中と繋がってる事が分かったから、持ち出す前にゲンガーにすり替えて貰った」
「うわぁ〜!そうだったんだ!ありがとうカイト君!」
ぴょんぴょん飛び跳ねて笑うソニアちゃんはそれはそれは可愛いが、まだ疑問が残っている。
「ここに来る途中、何本か光る柱を見たんだ。すり替えておいた筈なのに、何でか分かる?」
「ん〜、あっ!まさか」
何かを思い出したのか慌てた様子で研究室に入って行ったソニアちゃん。少し経って叫び声が聞こえたので、研究室の扉を開けて中を覗く。
「ソ、ソニアちゃん、大丈夫?何かあった?」
床にへたり込むソニアちゃんに声をかけると、真っ青な顔でこちらを見上げる。
「やられた……。研究用に取り出しておいた願い星も持ってかれてる」
「なるほど、それで。ごめんね、あらかじめ助手さんが怪しい事を伝えておけば良かった」
「カイト君は悪くないよ。私に黙っていたのは、私が彼女を信頼していたから、傷付かないように配慮してくれたんでしょ?君は昔からそうだから」
「……」
全く言い返せない。確かにそうだ。でもだからといって彼女が許される訳では無い。それに今回ばかりは俺が注意しておけば良かったと思っている。
「ゲン」
影からヌッと顔出したゲンガーは、まるでごめんと言ってるみたいにしょんぼり顔だ。慰めるように彼の丸い顔を撫でる。君は悪くない。
「よし!取り敢えずあのシーソーコンビの居場所を突き止めないとね!」
「うん、分かった。勿論俺も協力するよ」
直ぐに立ち直ったソニアちゃん。切り替え早いな。頼もしい限りだ。
「ポケモンに強引にガラル粒子を注入しているような奴ら絶対に許さない!」
「ああ、俺も」
連中のやっている事は正直俺にとって何より許し難き行為だ。場合によってはゲーチス以上の地獄を味わわせてやる。言葉にしてはいけないような仕打ちが脳内を巡っていると、ソニアちゃんの声がはっきり聞こえた。
「ナックルスタジアム!早く来てね!」
どうやらだれかと通話をしていた様子。てか、結構良くない事考え込んでたな。危ない危ない。最近俺の周りには子供達も多いし、部下も増えて来た。恥ずかしくない姿でいないとな。
「あ!カイト君!ようやく戻って来た!あのシーソーコンビ、ナックルスタジアムに向かったみたい。私達も行こう!」
ぎゅっと俺の手を掴んで歩き出すソニアちゃん。一瞬過去の光景が目に浮かぶ。全力で走り出すダンデ、それを追いかけるキバナ。置いていかれないように俺の手を握って走り出すソニアちゃん。笑える状況じゃないが、思わず頬が緩んでしまった。
小話《カイトさんが誕プレ貰った時の反応・幹部編》
イズミ ブックカバー
「ボ、ボス!誕生日おめでとうございます!」
「イズミさ〜ん!ありがとう!」
「し、質素なもので申し訳ありませんが、これ気持ちです」
「お〜!サファイアの刺繍が施されたブックカバー。ありがとう、嬉しいよ」
「よ、喜んでもらえたのなら何よりです」
「それじゃあイズミさん、これこら付き合ってもらえる?」
「え?」
「せっかくブックカバーもらったんだもん。いつもの本でもいいけどさ。記念すべき一冊はイズミさんに選んで欲しいな」
「は、はい!喜んで!」
カガリ 何故かピンク色に染まった焼酎
「ボス……誕生日おめでとう……これ……プレゼント」
「あ、ありがとう!カガリちゃん!う、嬉しいなあ!!ち、ちなみにこの焼酎って」
「気にしないで……毒ではないわ……」
「は、ははは。そうだよね。勿論カガリちゃんからのプレゼント、ありがたく頂くよ」
「うん……お酌する……」
「頂きます!!」
「……」
「美味い。これ美味しいよカ、ガリ、ちゃ……す〜……」
「ボス……最近頑張りすぎ……ボスもちゃんと休んで……」
N キーケース
「……普通だ」
「何がだい?」
「お前にしては俺へのプレゼントが普通過ぎる」
「受け取る側が要らないものを無理やりプレゼントするのはどうなんだろう」
「……おめえが言うのか」
「それに君はこれから先も色んな世界の歴史の扉を開く。いわば僕達は鍵。それを収めるケースが必要だろう?」
「まあ、お前の思いは貰っておくよ。ありがと」
「どういたしまして。これからの1年も、君に幸ありますように」
アカギ ドリップコーヒー
「へえ〜、これ確かに良いなあ」
「喜んでもらえて何よりだ。まあ、普段君にコーヒーを入れている秘書のものには及ばないだろうが」
「ヘレナちゃんね。確かに彼女の入れてくれるコーヒーは美味しいよ。でもそれとこれは別。自室でも簡単に淹れれるし、何よりお前からのプレゼント。嬉しいよ。ありがとう」
「そうか。贈り物を喜んで貰えるのは嬉しいものだな」
「ふう〜、そうだよな。あ、おかわり貰える?」
「ふっ、飲み過ぎは良くないぞ」
「良いじゃん、今だけさ」
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