居酒屋で出会ったおっさんと軽いノリで作った組織 作:エドモンド橋本
アローラ地方のとある広場に集まった4人の子供達。
「ねえねえ皆!聞いて聞いて!」
「ミヅキちゃんどうしたの?」
ミヅキと呼ばれた、赤いニット帽を被り、花柄のカットソーを着た可愛らしい少女。元気よく手を振り回して楽しそうに口を開く。
「最近面白い話を聞いてさ!」
「全国の悪い人達を懲らしめて回ってるヒーローの事?」
「なんで知ってるの!?」
してやったり、そんな笑みを浮かべる少年。黒いベースボールキャップを被った爽やかなその少年の名前はヨウ。ミヅキの幼馴染であり、親友でもある。
「なんでって、ねえ?」
「皆知ってるよ〜。リーリエやキャプテン達とも話してたし」
「特にマーマネとマオが盛り上がってたな。後カキも!」
「スイレンさんとアセロラさんも興味津々でしたよ」
ヨウと楽しそうに話す、褐色の優しげな少年ハウ。そして、長く淡い金髪にワンピース姿の美少女リーリエ。それを呆然と見つめるミヅキ。
「ちょっと!!何でみんなでそんな楽しそうな話してたの!?ズルい!私も呼んでよ!!仲間外れ酷い!!」
「いや、ミヅキちゃんも誘ったけどずっと寝てたから」
「ウッ」
ヨウ達は常に一緒に行動している為、1人を除け者にする事はない。お昼寝大好きなミヅキが起きてこなかっただけなのだ。
「でもさ!やっぱり凄いよね!ヒーロー!!」
「うん、カッコいいよね。凄くバトル強いみたいだしさ」
「おれもあんなヒーローになりたいな〜、まあ無理だろうけど」
「噂のヒーローさん、会ってみたいですね」
「今度のWPCに参加しないかな〜」
「会ってみたいね」
世界中の悪の組織を潰して回ってるヒーロー。それが本物の悪の組織だという事を、彼女達は知らない。そして、自分達が英雄だと言う事も。
WPC会場スタッフルームに集まったアローラキャプテン達。
「もう疲れた〜」
「マーマネ、お疲れ様」
机に突っ伏すぽっちゃり体型の少年マーマネ。そんな彼にミネラルウォーターを差し出すピンクの髪の少年イリマ。
「でも本当に大変ですね。まさか世界大会の準備を任せられるとは」
「ほんとほんと!けどやっぱ楽しみだよね〜!」
「ああ、こんな名誉ある仕事が出来るとは、感謝しなければな」
水色の髪の少女スイレン。緑の髪の活発そうな少女マオ。そして黒く焼けた肌の寡黙な少年カキ。3人とも疲れよりもどこか楽しげな様子だ。
「アセロラちゃんも楽しい〜!」
「うん、素晴らしい絵が描けそうだね」
笑顔が眩しい紫髪の少女アセロラ。顔や服装に絵の具の付いた眠たげの女の子マツリカ。2人は他の子達と違い、何を考えているのかわからない。
「今回はホウエンからの新旧チャンピオン参戦が話題になってるね」
「後は、シンオウチャンピオンシロナさんとバトルフロンティアのクロツグさん!」
「う〜ん、私はやっぱり前回王者のダンデさんですかね〜」
「ワタル殿も強い方だ」
「アセロラちゃんは、ダイゴさんに1票!」
「カルネさんは筆が乗るね」
キャプテン達が今回の大会の勝利予想の話で盛り上がる中、マーマネがボソリと呟く。
「あのヒーローは来ないのかな?」
「ヒーローって、あの悪の組織を倒してるヒーロー?良いね!来てくれたらもっと盛り上がりそう!!」
「どうだろう?噂の人だし。誰もみた事ないんでしょ?」
「でも、居ない事も証明出来ないですよ」
「ヒーロー、是非手合わせ願いたいな」
「アセロラちゃん知ってるよ〜。悪い人達からは魔王って呼ばれてるんだよ〜」
「魔王とヒーロー、両方の顔。うん、面白い絵が描けそうだね」
彼らもまた、ヒーローの本当の顔を知らない。
アローラ地方ポケモン研究所に集まった島キング&クイーン。
「いやいや皆さん、忙しい中集まってもらって申し訳ない」
裸の上から白衣という何とも言えない姿の男ククイ。そのククイを囲む様に座る、4人の男女。
「はっはっは!何、構いません。我々を呼んだという事は、WPCの準備に何かありましたかな?」
恰幅の良い高齢の男ハラ。長く島キングを務めており、アローラで彼の事を知らない者はいない。そんな彼の発言に、隣に座る褐色肌の女性が口を開く。
「準備ならマオ達が問題なく進めてるわ。今更心配する話かしら?」
島クイーンライチ。若くして島クイーンに就任した彼女は多くのトレーナーから慕われており、キャプテンのマオもその1人だ。
「まあ、おれ達を呼んだんだ、ただ事じゃねえのは確かだわな」
警官の服を着ている初老の男クチナシ。アローラでトップクラスの実力を持つ彼だが、本人には対してやる気はない。しかし、ライチやハラの様に彼を慕うものは多くいる。
「何でも良いから早く要件を言うのじゃ!!」
太眉の小柄な少女ハプウ。口調がおかしな彼女だが、なかなか迫力が凄い。押され気味なククイは苦笑いを浮かべて口を開く。
「エーテル財団についてです」
エーテル財団。その言葉に、4人の顔が険しいものに変わった。エーテル財団とはポケモンの治療、生態調査、保護活動を行っている、極めて真っ当な団体なのだが、ここ最近よくない噂が広がり始めている。
「スカル団との関係、ですかな?」
「信憑性低いと思うのだけど」
「さて、どうだろうな」
「火のないところに煙は立たん!」
4人の発言を聞いたククイは、顎に手を当てて天井を見上げる。
「ぼくはね、エーテル財団は良い悪いに関係なく、何かを隠している気がするんです。この勘が正しいとは限りません。ただとにかく、皆さんには警戒を強めて欲しい。よろしくお願いします」
ククイの発言に一瞬部屋は静まり返ったが、4人は小さく頷いた。
「WPCが迫ってる今、何も起こらない事を祈るばかりですな」
「そうね、私ももう少し様子を見てみるわ」
「まあ、出来る事はやってみるよ」
「怪しい奴らは直ぐに鉄拳制裁じゃ!!」
島キング&クイーン達に要件を伝え終わったククイ博士は、ニッコリと笑みを浮かべる。そして、今度はとある話題を投げかけた。
「そう言えば皆さん。WPCの新たな参加者は確認されました?」
「新たな参加者、はて?それ程有名なトレーナーの名はなかったはずだが」
「そうね、ゴールド、シルバー、とか中々オシャレな名前はあったけど、そんなに注目される様なトレーナーは居なかったわよ」
「……いや、懐かしいバカがいるな」
「む?誰のことじゃ?」
「はは!流石はクチナシさん。お気付きですね」
目の前に並べられたWPC追加参加者一覧。その中にある名前に、反応したクチナシ。そして、ハラとライチも直ぐに気付いた。
「はっはっは!!確かに懐かしいイタズラ坊主ですな!」
「全く、地味な癖に目立ちたがりよね、彼」
「バカだが、腕前は一流だ。ふっ、面白え事になるかもな」
「誰じゃ!?誰の事じゃ!?」
1人分かっていないハプウ以外、皆何処か嬉しそうな表情をしている。
「Mr.K、はは!カイトらしいな!」
「島中の女性に声をかけてたあの坊主が戻ってくるか」
「あの時は断ってしまったけど、彼は今歴史研究家って言ってたわよねククイ?」
「え?ああ、はい。中々優秀な様ですよ」
「……ありね」
不穏な空気を纏うライチ。しかし触れてはいけないものだと理解した他の者達は話を進める。
「カイトは常に話題の中心にいた。ポケモンハンターからポケモン達を助け出す程の正義感の持ち主だ。もしかしたら、エーテル財団の件も、彼なら何とかしてくれるかもしれない」
「変に期待しすぎるなよ。後が面倒だ」
「良いではありませんか!彼は何かを起こす事で有名でしたしね。今巷で話題のヒーローも、もしかしたら彼の事かもしれませんしね」
「はっ、だったら笑えるな」
「だから誰じゃ!!そのカイトとは!!」
良い加減教えろと騒ぐハプウに、優しくカイトの事を説明するハラ。ジッと、追加参加者一覧を見つめるクチナシ。ブツブツと何を呟き、時々顔を赤く染めるライチ。最早カオスな状況だが、ククイは懐かしい友人の事を思い出して笑みを浮かべた。
「早く会いたいな、カイト。ぼくは君に話したい事が沢山あるんだ。紹介したい人もいるしね」
ポツリと呟くククイ。左手の薬指に嵌められたリングがキラリと輝いた。
カグラ団移動式アジト《ノア》執務室
「アローラは良いとこだからたのしみだな〜。そうだ、ククイ博士元気かな?生涯独身を誓いあった相方だもんなあ。どうせ1人ぼっちで研究所に籠もってんだろ。そうだ、リラさん連れて行ったらビビるかな?てかヒガナちゃん達皆連れてハーレム状態で突入してやろうかな?驚くだろうな〜、あの独身野郎!!うひひひひ!!」
カイトさんをパシオに送り込んだ場合。
バディはまあ、ブラッキーだよね。
そんでチームは、サカキとシロナさんかな?
いや、カミツレとフウロ?アカギとヒカリもありかな?あえてウシオとホムラとか?
はい、最近こんな事ばっかり考えているのでメンタルは正常です。