居酒屋で出会ったおっさんと軽いノリで作った組織 作:エドモンド橋本
レッドの敗北。その事実は俺が予想していないものだった。俺にとって今回の大会の敵はレッドとダンデの2人だけ。そのうちの、特に1番警戒していたレッドが負けたのだ。正直理解出来ない。改めてシロナさんに用意してもらったホテルの部屋で一回戦のハイライトを見る。後ろ向きに被ったキャップ、飛び出した前髪、フード付きの赤いトレーナー。完全に普通の少年だ。だが、彼から漂うオーラを俺は知っている。コイツも、英雄だ。
「メガリザードンに対してメガバンギラス」
相性は良い。ただ、レッドはそれだけで勝たせてくれる相手じゃない。トレーナーの腕前次第だが。
「参ったな、コイツ本物だわ」
リザードンを空へ逃がさないように的確な指示を出している。距離を取られると打開策を取られてしまう。故に地震とストーンエッジでダメージを与えると同時に行動を制限させ、上から岩雪崩で完全に空への逃げ道を途絶えさせる。諦めてドラゴンクローで近距離戦に挑んでもばかぢからで押し返す。
「あのカビゴンもジワジワ削って勝利。カメックスに負けてしまったけど、デンリュウによって特に問題なく勝利か」
分かってるレッドは弱くねえ。このゴールドって奴は強えだけじゃなくて戦い方が上手い。それに、多分だけどレッドに勝つ事を目標にして組んだチームだな。完全に動きを読んでいやがった。にしても、あのリザードンとカビゴンを一体で倒すか普通?
「他にも隠し玉があるな」
あのデンリュウもよく鍛えられている。首元にあったメガストーンから、メガシンカ出来る事は明確だ。だが、やっぱ怖えのはあのバンギラスだな。あいつを倒すにはハニーが1番だ。でも、情報が少ない相手にハニーを先鋒に持っていくのは正直危うい。仮に倒せてもギリギリになるのは目に見えた事だ。バンギラスがエースじゃなかった場合、他のメンバーで勝てるのか?
「もし、みんなが、居たら」
どんな相手にも果敢に向かっていく彼が居たら。
絶対に倒れない要塞のような彼が居たら。
たった一度だけ、それでも俺の為に戦ってくれた彼女が居たら。
バンギラスだろうと溺れさせる、何よりも美しい彼女が居たら。
場を引っくり返す、唯一無二の切り札である彼女が居たら。
静かで、それでも圧倒的な力を持つ彼が居たら。
絶対に負けない、その理由になる彼が居たら。
「クソッ!!!」
やめろ。ないものねだりしたってしょうがねえだろ。思い出すな。過去に縋るな。もう、みんなは自分の道を見つけたんだから。それに、今残ってくれているみんなに失礼だろ。
「大丈夫だ、勝てる」
何があっても側に居てくれる相棒がいる。
決して失敗作なんかじゃない、全てを消し去る破壊砲がいる。
どんな壁も壊してきた、最強のハニーがいる。
例え翼が折れても、何度でも空を舞う不死鳥がいる。
先陣を切って、オレ達の進む道を拓いてくれる切り込み隊長がいる。
その顎で全てを噛み砕いてくれる、古代の王がいる。
ビビる必要、ねえよな。まずは、クロツグさんの息子に集中しよう。
「あと少し、あと少しで、あの子達に会えるわ」
ウルトラホールが開くまで、あと5日。
風邪引いた