居酒屋で出会ったおっさんと軽いノリで作った組織 作:エドモンド橋本
WPCも盛り上がりが加速する中、ベスト8を決める三回戦を迎えた。選手控え室では、緊張する者、リラックスする者、何を考えているのか分からない者、マッスルポーズを決める者など様々。
「あと1勝で、親分と戦える!!」
そう意気込んでいたヒカリちゃんが泣きながら帰って来た。ダンデ対ヒカリちゃんの試合はダンデの勝利に終わった。ダンデのポケモンを3体目まで出させたのは大健闘だ。メガシンカもダイマックスも使えないヒカリちゃんがここまでやるとは、正直意外だった。ただ、何となく嬉しい。あのパパラッチヒカリも成長しているのだなと感じれて。ヒカリちゃんにお疲れ様と伝えて、控え室から出て俺はゲートへと向かう。
『チャンピオンを倒し、新時代のルーキーも倒した彼は、どこまで進むのか?我々はイレギュラーを愛し過ぎた。彼のバトルからもう目を背ける事は出来ない。今日もまた、彼に夢を見る。漆黒の公爵!!Mr.K!!!』
漆黒の公爵?ダセエなあ。もっとこうさ、あるじゃん?
『強さも美貌も知略も、全てを持った彼女は言っていた。私は常に挑戦者なのだと。今日、シンオウ最強のトレーナーが未知の男に挑む。進化を続けるチャンピオン。シロナ!!』
煙に包まれるゲートから現れたシロナさん。いつもの様に黒いコートに身を包んだ彼女はキリッとした瞳で俺を見つめている。
「言葉は、いらないわよね」
「ええ、今はただ、貴女と勝負がしたい」
俺とシロナさんは同時にバトルコートにモンスターボールを投げる。今回も俺の先鋒はグソクムシャ。対するシロナさんが繰り出したのはミカルゲ。正直読めない。
「第2試合始めっ!!!」
「グソクムシャ、出会い頭」
「シャ!」
グソクムシャの出会い頭によりミカルゲは後方に飛ばされる。しかし、致命傷にはならず、すぐに起き上がった。やり辛えなあ。
「ミカルゲ、催眠術」
「おんみょーん」
「グ、シャ」
「これは、マズイか?」
ゆっくりと目を閉じて地面に倒れるグソクムシャ。畳み掛けるようにシロナさんがミカルゲに指示を出す。
「夢食い!」
「みょーん」
「シャ!!シャア!?」
グソクムシャは苦しそうに暴れる。これは完全に対策して来たな。グソクムシャの強味は接近戦。戦えないように眠らせてジワジワ潰す戦法か。でも、そう簡単に負けるつもりはない。
「もう、良いよな?グソクムシャ」
「シャ、シャアアアアアア!!!!」
大きな叫び声と共に立ち上がるグソクムシャ。どんな悪夢か知らねえけど、そう簡単に夢に潰されるような男じゃない。
「立て直しましょうグソクムシャ。アクアブレイク」
「シャア!!」
「おみょ!?」
ミカルゲに素早く詰め寄り、水流を纏った右腕を振り下ろす。
「ミカルゲ!」
「まだです!もう一度アクアブレイク!!」
吹き飛ばされたミカルゲを追い、そのままニ発目のアクアブレイクを正面から受けたミカルゲは完全に戦闘不能となった。
「流石ね、でも」
「シャ、ア」
「ッ簡単には倒れない、か」
力なく地面に倒れるグソクムシャ。これは、道連れ。いつ指示を出したかは分からなかったが、これにより先鋒同士の戦いは痛み分け。
「貴方が強いのは知ってる。それでも、私の全てを持ってして、貴方に勝つ」
「ああ、知ってる。だから、俺は貴女が好きなんだ」
おっと、キャラ設定ブレちゃうな。あんま喋らんとこ。
「頼みますよ、ガチゴラス」
「お願い、ルカリオ」
ルカリオとガチゴラス。素早さが高く、相性も良いルカリオが有利に見えるだろう。でも、ウチのガチゴラスは簡単には倒せねえぞ。
「ルカリオ、バレットパンチ!」
「くおん!」
「グルガッ!」
ガチゴラスに連撃パンチを打ち込むルカリオ。威力は弱いが効果抜群の為、このままではジワジワ削られてしまう。
「振り払え!」
「グウゴアッ!!」
「くお!?」
「落ち着いて!そのままコメットパンチ!!」
再度ガチゴラスに近付き、力強いパンチを放つ。苦しそうに顔を歪めるガチゴラス。流石にダメージが大きいか。
「これ以上は面倒だな。一撃で仕留めます。ガチゴラス、サイコファング!!」
「グルゴラアッ!!!」
「くおっ!?」
「ルカリオ!!」
隙をついていて、サイコパワーを纏った牙で噛み付く。古代の王の持つ顎は全てを噛み砕く。ただでさえ高威力の技をガチゴラスが使えばどうなるかなんて目に見えてる。
「く、お」
「グルゴラアアアアアアアアアアア!!!」
ルカリオ戦闘不能。ガチゴラスの勝利の咆哮が轟く。会場が一瞬静かになったが、直ぐに大きな歓声が包み込む。それはどよめきにもにていた。
「まだ、終わっていないわよね。お願い、ガブリアス!」
「ガブアッ!!」
コートに現れたのはガブリアス。まだフカマルだった頃の彼女を知っている俺からしたら、随分と勇ましくなったものだと感慨深くなる。
「多分、彼にはミミロップが残っている。あのガチゴラスは直ぐに倒してしまいたい」
「ガブ」
「ごめんなさい、この力に頼らせて」
シロナさんの取り出したリップ。そこに光るキーストーン。来い。全力で迎え撃つ。
「ガブリアス、メガシンカ!!」
「ガブアアアアアア!!!!」
光に包み込まれたガブリアス。羽が溶けて鎌になり、スタイリッシュだった姿は、どこか威圧感の強いものに変わった。
「ガブリアス!」
「ガチゴラス」
「「逆鱗」」
「ガブアアアアア!!!」
「グルゴラアアア!!!」
赤黒いオーラを纏った2体の竜がぶつかり合う。ガチゴラスが噛みつけば、ガブリアスが鎌を振り下ろす。尻尾で打ち合い、爪と鎌がぶつかり、額の衝突を繰り返す。一度距離が開き、息を整える2体。
「そう簡単には、いかないわよね。なら、ガブリアス、地震!!」
「ガブリア!!!」
地面に鎌を突き刺したガブリアス。するととてつもない振動が起こり、ガチゴラスの足元がひび割れた。
「グゴッ!?」
「ガチゴラス!」
頼む、耐えてくれ。次の一撃で、必ずガブリアスは倒れる。だから、頼む。
「グ、ルゴラアア!!!」
「嘘っ!」
「終わりにしましょう、シロナさん。ガチゴラス!氷の牙!!」
「グゴラア!!!」
「ガブアッ!?ガアアアアアアアア!!!、」
ガブリアスに飛びかかったガチゴラスは、冷たい冷気の漂う牙で勢いよく噛みつく。会場にガブリアスの悲鳴が轟く。ガチゴラスが離れると、ガブリアスはドサリと倒れた。
「ガブリアス戦闘不能!!よって勝者Mr.K!!!」
審判の声は、歓声にかき消された。紙吹雪が舞っているが、片付けは誰がすんのかな?
「ありがとうガブリアス。ゆっくり休んで」
シロナさんはガブリアスを優しく撫でた後、ボールに戻した。そして俺に視線を向ける。スッキリしたような清々しい表情の彼女は、ニコリと微笑む。
「負けたわ。本当に強いわね貴方は」
「ありがとうございます。チャンピオンのシロナ様にそう言っていただけるとは、光栄です」
「ふふ、ねえ、今日貴方の部屋に行っても良いかしら?」
「……え?」
「話したい事があるの、Mr.Kじゃなくて、カイト君に」
そう言ってコートを去っていったシロナさん。俺は係員にはよ出ろと言われるまでその場に立ち尽くした。
三回戦
第1試合 ヒカリ対ダンデ
勝者 ダンデ
第2試合 Mr.K対シロナ
勝者 Mr.K
第3試合 ハルト対トウヤ
勝者 トウヤ
第4試合 ユウリ対ゴールド
勝者 ゴールド
第5試合 ユウキ対マスタード
勝者 ユウキ
第6試合 クチナシ対メイ
勝者 メイ
第7試合 クダリ対キョウヘイ
勝者 クダリ
第8試合 センリ対ロイヤルマスク
勝者 センリ
第4回戦
第1試合 ダンデ対Mr.K
第2試合 トウヤ対ゴールド
第3試合 ユウキ対メイ
第4試合 クダリ対センリ
別れ
「ありがとな、カイト。お前のおかげで強くなれた。それに、新しく守りたいものを見つけたんだ。今日まで、楽しかった、本当にすっげえ楽しかった。困ったら呼んでくれ!ぜっ、ぜってぇ、たすげにいぐがらよぉ!!」
「カイトのおかげでね、半分この美味しさに気づいたんだ。だから、僕もこの子達に分け与えたい。奪い合わなくてもいい森にしてあげたい。もし、それが出来たら、また一緒におにぎり食べて、お昼寝しよう」
「泣か、ないで。私は、幸せだった。貴方と、出会えて、幸せだった。生まれ変わっても、貴方に会いたい。だから、お願い、笑って。彼を、ゲン君を、許してあげて。もし私が、貴方の足枷になるの、なら、どうか、私の事を、わすれて」
「綺麗なのは、貴方の心だった。貴方の美しい心が、私を強くしてくれた。貴方のようになりたい。この湖を、誰も1人で泣かないような、そんな湖にしたいの。カイト、困ったら呼んでね。女王である私が助けてあげる」
「アタイはこの群れを率いる事にしたわ!だって弱い子達は助けないといけないわよね!カビちゃんやミロ女がそうしたように、アタイも助けないといけないわよね!だからカイト、アンタもいつでも呼びなさい!アンタは弱いから、アタイが守ってあげるわ!!だがら、ぢゃんど、呼なざいよ!アダイに、聞こえる、ように、大きな声で、叫びなざいよ!!」
「探しものなら、お前のおかげで見つけた。だから、今度は俺が探して来てやる。暫しの別れだ。また会おう、俺の光よ」
「あ、う、あ、ソル、ちゃ、ああ、そ、な、ああああああああああああああ!!!!!!」
これを七夜の願い星ジラーチの【小さきもの】聞きながら、書きました。