日本VS日本   作:もちうさ

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かなりお待たせしてすみませんでした(滝汗)
久々の投稿なので、文字数は多めにしてあります。


第11話「触れてはいけない王様のタブー」

 

 

 それ以来、トモチカはイライラが続くようになり…

 

トモチカ「勝手に王国のタブーを市民たちへ知らせればどうなるか、見せてやろう…」

 

 王座に座りながらワインを一口飲むと、

 

トモチカ「初代から受け継いだ王宮を簡単に明け渡してたまるか!!」

 

 途端、トモチカは大声を出し、王座から立ち上がって辺りを落ち着かんとばかりにウロウロする。

 

ナカサワ「王様…」

 

トモチカ「ナカサワ。ここが王国にとっての試練であり、踏ん張りどころだ。お前に何かいい考えは無いのか?」

 

ナカサワ「考え、と言われましても…特定の集団の活動は禁ずる、という厳命も出されましたし… あまり厳しいと更に市民から反感を買われかねませぬ。他に何をすればいいのでしょうか…?」

 

トモチカ「こうなったらこの神聖日本王国を守るために戦うまでだ。戒厳令を出す。」

 

ナカサワ「王様、それは危険でございます! 今のタイミングで戒厳令をお出しになると、更に市民に油を注ぎ、敵に利するだけでございます! なので、それはなりませぬ…!!」

 

 ナカサワは今までで一番大きく声を上げ、トモチカを諌めた。

 

トモチカ「ならば、王国を後世に残していくためだ。非常事態宣言を出し、動乱を鎮める。これで良いだろう? それよりも、建国2700周年パーティーの準備に取り掛からねば。内政も大事だが、まともに約束通りパーティーも開けない国では誰もが信用しない。寧ろそっちの方が大切ではないか。遅れのないよう早速とりかかれ。」

 

ナカサワ「はっ、かしこまりました!」

 

 トモチカの指示で、各国の王族や貴族を招待して開かれるパーティーの準備のため、王宮の中はドタバタしていた。

 

 そんなある日…

 

セイジ「ナカサワ。」

 

ナカサワ「皇太子様。いかがされましたか?」

 

セイジ「今日も凄い騒ぎだな。王国建国記念パーティーの準備で人手が足りないらしいじゃないか。俺が出来ることならなんでも言ってもいいんだぞ?」

 

ナカサワ「皇太子様。それはわたくし最側近やメイドを含む下々の仕事です。皇太子様たちは、わたくしたちの頑張りを側で見守っていただければ幸いです。」

 

セイジ「そ、そうなのか… 思えば、王家の祖たる初代がこの王国を建国されてから、2700年経つのか… 時の流れは自分が思っていたより早いようだな…」

 

ナカサワ「はい… 就任当時は右も左も分からなかったわたくしも、今や補佐や王族の皆様に支えられ、歴代国王に最側近としての実力を認められるまでになりました。この場を借りて、お礼申し上げます。」

 

セイジ「ありがとう… あ、パーティーの準備の最中だったな。邪魔をして申し訳なかった。」

 

ナカサワ「では、わたくしはこの辺で。」

 

セイジへ礼をしたナカサワはその場を後にする。

 

セイジ「皇太子の自分が今できることは、皆の政を見守ることだけ、か…」

 

 セイジはそう思いながら、忙しそうに動くナカサワやメイドたちを見つめていた…

 

…………………

 

 そして迎えたパーティー当日。

 国内外のメディアや各国から招待された各国の政府要人を始め、王族や貴族が集まり、王宮は大いに賑わう。

 

 そしてそれにあたり、トモチカは王宮周辺に王国憲兵隊を配備し、警戒態勢を整えた。

 

 そして、大広間で始まった神聖日本王国建国2700周年パーティー。

 

「では、ただいまより、神聖日本王国建国2700周年パーティーを開催いたします。始めに、神聖日本王国国歌斉唱。」

 

 王宮と王国軍の演奏隊による、豪勢な演奏のなか、国歌が歌われた。

 

「続きまして、神聖日本王国第150代目国王、ムネタカ・トモチカより、王国建国2700周年を讃え、お言葉を頂戴します。」

 

 司会の言葉にトモチカは立ち上がり、壇上へ上がって、ナカサワを含む補佐や王族を始め、国内外のメディアや招待した各国政府要人、王族や貴族の前で第一声を上げた。

 

トモチカ「今年は初代が神聖なる我が神聖日本王国を建国されて2700年の節目。建国以来、王位を継承し続け、市民たちに支えられたからこそ迎えた聖日なのだ。余は補佐やトモチカ家、そしてお越しくださった王族や貴族の皆様と共に今日という日を祝うことを幸せに思う。これからも王位を継承して行き、後世へと受け継がれていくこの王国の更なる発展と安寧を願い、祝砲を上げよう。」

 

 トモチカが大広間の窓側へと手を上げると、

 

「それでは皆様。まもなく王国軍による祝砲の儀を執り行いますのでお席から御起立頂き、左側をご覧ください。」

 

 司会の言葉で席に座っていたゲストが席から立ち上がり、中庭に置かれてある大砲へと注目。

 

トモチカ「祝砲!」

 

 トモチカの命令で、王国軍が王宮の敷地内に配置された祝砲を上げた。

 王宮、そして首都へ轟く祝砲の音。

 

 祝砲が鳴り止むまでゲストは中庭の方を注視し続けて…

 やがて祝砲が止むと、大広間には拍手がわき起こり、やがて包まれた。

 

「皆様、御起立頂きありがとうございました。順にお席へお座りください。」

陽が沈んだ後、ディナーのため、大広間から「舞踏の間」へと移動したトモチカ王家やゲストの面々。

 

 そこで開かれたディナーでは…

 

トモチカ「では、乾杯をしよう。この、我が神聖日本王国の建国記念を祝い、王国の更なる発展と安寧を願い、乾杯!」

 

 壇上に立ったトモチカが乾杯の音頭をとると、王家やゲストたちは利き手で持っていたワイングラスを一斉に鳴らした。

 

 王室御用達のガラス食器メーカーが制作したワイングラスが軽やかな音を立てる。

 

ナカサワ「王様。神聖日本王国建国2700周年、誠におめでとうございます。」

 

トモチカ「ナカサワよ、此方こそ礼を言おう。初代が建国なされたこの我が王国が実に150代もの国王により王位が継承され、今日という聖日を迎えられたのだ。それも我が国王と信頼の於ける補佐やナカサワ、そしてこの揺るぎない強い王国の原動力である民たちと王国軍のお陰でもあるのだ。この日を迎えられたことを実に幸せに思う。そして、これからもナカサワや補佐らと共に、この我が王国を導いていこうではないか。」

 

ナカサワ「ははっ! 有難きお言葉をありがとうございます。これからもこの最側近であるナカサワ、王様へ忠誠を誓いながら共にこの王国を引っ張って参りましょう。」

 

トモチカ「よろしく頼むぞ。漆黒の艦隊も最建造と編成の目処が経ちつつあるからな。再び、この我が王国の揺るぎない強さをあの忌々しい小舟共へ見せつけ、余の願いと我が父上である「ムネオ様」の願いを両方叶えていこうではないか。」

 

ナカサワ「ははっ!」

 

ハラダ「王様の願いの為ならば、是非、我が王国軍へお任せくださいませ。」

 

トモチカ「フッ… これがこの聖なる我が神聖日本王国の揺るぎない強さの象徴だ。今騒いでる連中もこの様子を見れば、血相を変えてひれ伏すだろう。」

 

ハラダ「王様の前に立ち塞がる敵がいないも当然、でございますね?」

 

トモチカ「その通りだ。アーハッハッハッハッハッ!!」

 

 トモチカはワイングラスを片手に余裕綽々といった表情で高らかに笑っていた。

 それを遠目から見ていた皇太子のセイジは…

 

セイジ「…パーティーはおめでたいのだが、この先王国がどうなるのか… 王様は理解しているのか…」

 

トモカ「…あなた。どうしたの? 眉間の間に皺が寄っているわよ。」

 

セイジ「…あぁ、済まない。せっかくの建国記念パーティーだと言うのに、それに似合わない表情になってたな。今日だけは特別な日だ。アヤネもセイタも楽しそうにしている。共にこの素敵な夜を過ごそう。」

 

トモカ「えぇ。」

 

 セイジはトモカと共にワイングラスを鳴らし、建国記念パーティーを楽しむも、頭の片隅にはこの先の王国の行末と王様のことでいっぱいになっていた。

 

…………………

 

 その頃、漆黒の艦隊を撃沈せしめた水上打撃群は…

 

井上「敵艦隊の残骸は回収しなくていいのか?」

 

川瀬「大丈夫だ。緒戦から敵艦のデータや戦術を収集してたからな。今更回収に行こうが、既に奴らに回収されているだろう…」

 

田中「あの謎のタワーもか? 奴らが何のためにアレを建てたのか、何故我が国の海域にやって来たのかを研究しなくてはならないが…」

 

久保田「それについても心配は要らない。無人偵察機でデータを収集し、今は国防省で研究中だからな。」

 

川瀬「…ならいいんですが… では、今時刻を以て作戦終了を宣言するか。艦長、如何いたしましょうか?」

 

久保田「今作戦の指揮は全て川瀬君に任せている。君の今の考えがそれなのなら、俺は異議はない。」

 

井上「いいんじゃないのか? 味方機も別のスクランブル命令で飛んでいったしな。」

 

田中「俺も賛成だ。」

 

川瀬「…そうなのか。」

 

 川瀬は無線機のマイクを持ち、

 

川瀬「こちら、「おおなみ」の川瀬だ。現時刻を以て、国籍不明の大規模艦隊に対する特殊作戦の作戦完了を宣言する。これより横須賀へ帰港する。」

 

 水上打撃群全艦艇のクルーへ作戦成功と完了を宣言し、横須賀へと帰港して行った…

 

 

 

 

 

 建国記念パーティーから1週間が過ぎたある日…

 

 皇太子の執務室を出て、大広間へと向かうセイジ。

 と、そこを警備兵が呼び止めた。

 

警備兵「こ、皇太子様。この先は大広間。立ち入りは禁じられております。」

 

セイジ「分かってる。だが、どうしても命をかけて王様に訴えたいことがあるんだ。それは王様のタブーに迫るものだから、もしもの時にも護らなくてもいいさ。」

 

警備兵「ま、まさか… あれを…!? お、お止めください! それをすれば、皇太子様は厳罰に処せられ、皇太子妃様含むご家族、そしてトモチカ家の今後に多大なる影響が及びます!」

 

セイジ「分かってる。しかし、そうかと言って言わずじまいになると、それが慣例化して誰も疑問を抱かなくなる。今の早い内に訴えれば、傷も浅くなる。」

 

警備兵「し、しかし…」

 

セイジ「家族には一通り話している。大丈夫さ。」

 

 セイジの真っ直ぐな眼差しを見た警備兵は…

 

警備兵「ど、どうかご無事で。」

 

セイジ「ありがとう。」

 

警備兵「皇太子様。」

 

セイジ「なんだ?」

 

警備兵「もしもの時には、こちらを…」

 

 警備兵がセイジに渡したのは1丁のハンドガン、B&T USW A1だった。

 

警備兵「今から皇太子様は、王様と王国のタブーに挑む身。万が一のこともありましょう。例え使わずに済んだと言えど、有る無しでは心持ちがまるで違います。」

 

セイジ「そ、其方… そこまで俺を案じてくれて…ありがとう。」

 

 警備兵からハンドガンを受け取り、通されたセイジは大広間へと歩いていった。

 その大広間では…

 

トモチカ「ナカサワ。今の動乱は如何程のものだ。」

 

ナカサワ「はっ、王様。市民の動乱は特殊警察の配備や王様の厳命により、その数は日に日に少なくなっております。早ければ、半年や一年で非常事態宣言の解除が可能になる…と予測しております。王国建国記念パーティーの際に王様が命じた憲兵隊の配備も、それに寄与したのではないかと。今井家については、特殊警察をいつでも出動できるよう命令を出しておきましたので、ご安心を。流石に彼らも、今下手に動くと特殊警察に制圧されかねないため、それは無いでしょう。」

 

トモチカ「そうか。思っていたより動乱は盛り上がっていないようだな。普段の営みを望む市民を危険に晒す不届き者には、この王国は如何に揺るぎないものであり、強大な力があることを痛感したであろう。非常事態宣言の解除までそのまま特殊警察の配備を続けろ。俺には王国の安寧を保ち、市民の営みを守る使命があるのだ。更にこの王位を後世に継承していかなければならない。ナカサワ、お前たち。これからもよろしく頼むぞ。」

 

ナカサワ「はっ。王様に忠誠を誓い、最側近としての使命を全うし、王様のご期待に最大限添えられるよう、頑張って参ります。」

 

 と、そこに…

 

セイジ「王様。」

 

ナカサワ「皇太子様。いかがなされましたか?」

 

トモチカ「皇太子か。大広間に何の用で来た。ここは政に携わる者以外は立ち入りは禁じておるぞ。」

 

ナカサワ「王様、皇太子様も日々間接的に政には関わっておりますので、ここはどうか、入らせて頂けないでしょうか?」

 

トモチカ「そうだな… 良い。入って参れ。」

 

 ナカサワの念押しで了承したトモチカにより、セイジは大広間へと入った。

 

トモチカ「で、何の用だ?」

 

セイジ「王様。先代である父上から王位を継承し、この王国の安寧と更なる発展を続けていることを感謝する。」

 

トモチカ「ありがたい言葉だ。礼を言おう。」

 

セイジ「政は素晴らしいのだが、一つだけ気になることがある。今日はそれを伝えに来た。」

 

トモチカ「気になること? 何だそれは?」

 

セイジ「王様。貴方の出自や経歴は先代の厳命により、謎に包まれている。王様はこのことを、どう思っているのか?」

 

トモチカ「どうもこうも、先代が決められたことだ。それに俺が口出しすることではない。」

セイジ「それはそうだ。決めたのは先代であって、王様はそれを守っているだけだ。廃止や改正が効かない聖域という名の厳命をな。」

 

トモチカ「あぁ。」

 

セイジ「しかし… それで本当にいいと思っているのか?」

 

トモチカ「どういうことだ?」

 

セイジ「フッ… 母上がまだご存命で助かったよ。」

 

トモチカ「何? お前、まさか… 聞いたんじゃないだろうな?」

 

セイジ「王様の正体、やっと分かったよ。王様は父上である先代と母上である妃との間で極秘に生まれた俺の実の兄じゃないか?先代も表向きには弟である俺に王位を継がせるフリをしながら、裏では自分の真の後継者として極秘に王様を育てた。この神聖日本王国を受け継ぐ者としてな。だから俺と王様は同じ母上から生まれたのにも関わらず、別に育てられ、兄弟の実感がわかなかったのだ。事実、それを知るまでは俺は一人っ子だと思っていた。」

 

トモチカ「何…?」

 

ナカサワ「こ、皇太子様?」

 

トモチカ「き、貴様…! お前、自分が何をやっているのか分かって口を聞いているのか?いつのまにそのような余計なことを… さては、王座が欲しくてクーデターでも図っているな!? そのためにご存命の内に母上に先代の遺言を聞き、俺の経歴を調べ、世論を動かし俺を王座から蹴落とそうとするとはな… ならば話は早い。さっさとこの男を取り押さえろ。先代がお決めになった厳命を破り、聖域を汚し、歴代国王や先代、我が国王、そしてこの王国に叛き、これほどまでに愚弄する者に命の保証はない。」

 

 トモチカの命令を聞いた補佐たちがセイジを取り押さえようと、向かったその時…

 セイジは懐から出したB&T USW A1を自身の頭に突きつけた。

 

 その動きに補佐たちは一瞬たじろぐ。

 

ナカサワ「こ、皇太子様!? な、何を…!?」

 

トモチカ「おい、皆は何をたじろいでおる。ただ頭に銃を突きつけただけではないか。」

 

ナカサワ「で、ですが…」

 

セイジ「俺はこの王国、そしてトモチカ家の安寧を願っている。しかし、王様が自身の出生と経歴を明らかにしない限り、俺は手段を選ばない。例えそれが先代が決めた厳命であろうかだ。」

 

トモチカ「貴様に先に死なれたら困るのは我々だ。ならば先に我々の手で処分する。お前たち。この男の銃を没収しろ。処刑は陸軍にやらせる。」

 

 トモチカは補佐に指示すると、王国陸軍の防衛兵がセイジへと銃を向ける。

 そこへ…

 

アヤネ「お父様!」

 

セイタ「父さん!」

 

トモカ「あなた!」

 

 大広間へと彼の身を案じた家族が駆けつけた。

 

セイジ「お前たち… なぜ来たんだ。」

 

アヤネ「嫌よ… お父様がそのまま殺されるなんて…」

 

トモチカ「家族が心配して来てるぞ。丁度いい、このまま家族に看取られて大広間で最期を迎えるというのはどうだ?これほど幸せなことはないだろう?」

 

セイタ「お、お父様が何をしたと…」

 

トモチカ「それはこの男に聞けばいい。初代が建国した聖なる日本王国とトモチカ家に泥を塗り、先代の厳命と言う名の聖域を汚した者に、勘案の余地は無い。それが例え、トモチカ家の者であろうとな。」

 

ナカサワ「あの… 王様。お気持ちはわかりますが… 今一度、皇太子様に…」

 

トモチカ「ナカサワ、お前の意見もわかる。しかし、このままこの男のいいように動かれては、先代の名誉にも、我が国王やこの王国の為にもならない。母上に勝手に先代の遺言や俺の経歴など聞いて調べやがって、貴様は何様のつもりだ。さぞ母上も悲しんでおられるだろう。当然、その代償はお前も分かっているな?」

 

セイジ「その言葉をそのまま返してやるよ。母上からすれば、王位を継ぐ継がない関係なく、純粋に兄弟を生んだのが心情だ。」

 

トモチカ「何!? 貴様… 今すぐこの男を殺せ! お前はトモチカ家の者ではない!」

 

 トモチカが声を荒げて兵士にセイジを撃つよう命じた。

 

トモチカ「撃ち殺せ!」

 

 兵士が引き金を引こうとした瞬間…

 

?「伏せろ!」

 

 どこからか大声が聞こえ、アヤネたちが驚いて伏せる中、1人の男がセイジへと突っ込んだ。

 

 その瞬間引き金が引かれて、無数の銃弾が飛び交う。

 気付けばセイジは大広間の端へと飛ばされていた。

 

セイジ「痛てて… ん? こ、これは…」

 

 セイジを投げ飛ばして、守ったのは…

 

警備兵「大丈夫でしょうか? お怪我は?」

 

セイジ「お、お前たち…」

 

 セイジを守ったのは、トモチカ家の専属警備兵だった。

 アヤネたちも警備兵の盾に守られた。

 

セイジ「な、何故守ったのです?」

 

警備兵「わたくしたちはトモチカ家の皆様を守るのが崇高な使命なのです。トモチカ家無くしてこれまでの、そしてその後の神聖日本王国は存在し得ないでしょう?」

 

セイジ「助かったよ。ありがとう。この銃も空砲だしな。」

 

 立ち上がったセイジがハンドガンからマガジンを引き抜くと、軽い音を立ててマガジンが床へと落ちる。

 

トモチカ「邪魔が入りやがったな… 貴様、最初から自裁する気などなかったのか!? 邪魔に入った者たちは後でまとめて大法院で裁きを受けてもらおう。警備兵たちよ、お前たちもだ。」

 

ナカサワ「お待ちください王様。確かに皇太子様は先代がお決めになった厳命を破り、王国、そして王様の出生から経歴をお調べになりました。しかし、これらもこれからも続く王国の安寧のため。王様には是非とも皇太子様が王位の欲求のためだけに動いた訳ではない、ということだけ、考慮して頂けないでしょうか?」

 

 ナカサワに諌められたトモチカは、暫し深く考え込み…

 

トモチカ「今回は見逃してやる。しかし、これでお前に次の王位を継承する権利は剥奪する。まっ、これから王位を継ぐのは長男か長女だと、歴代国王が既にお決めになられているがな。しかし、もしものことを考慮して、次男、次女以降にも王位を継ぐ権利を行使することにも寛容だ。しかし、貴様は無鉄砲な行いで自分から僅かながらの王位の継承権を棄てた。それだけは分かっているな?」

 

セイジ「あぁ、当然だ。」

 

トモチカ「ならば良い。分かったら早く大広間から出て行け。」

 

 トモチカの言葉を聞いたセイジは、トモチカから背を向け大広間から出て行った。

 

アヤネ「お父様… 大丈夫?」

 

セイジ「あぁ、大丈夫。怖い思いをさせてしまってすまなかった。これからも一緒に暮らせるし、執務ができるさ。さぁ、行こう。」

 

 警備兵たちもセイジ達に従いながら大広間を出て行く。

 

トモチカ「やれやれ… あのような者がいるから進められる政も思うように進められないのだ。ナカサワ、お前もお前だ。先代から言われた言葉を胸に刻み、もっと精進しろ。」

 

ナカサワ「はっ、王様のこのお言葉を胸に刻んで、公務を全うして参ります。」

 

トモチカ「大広間に傷が付いた。後で修繕しておけ。」

 

ナカサワ「はっ、後ほどお呼び致します!」

 

 ナカサワにそれを言うと、トモチカはマントを翻し、大広間を後にした。

 大広間を後にするトモチカを見届けたナカサワは、ふと大広間を見回すと、やるせない表情をした内務補佐の姿が見えた。

 

 





ムネオ…やっぱあんたヤバい奴だね…

以外でしたか?
今回も楽しんでいただけたら嬉しいです。

現国王のムネタカと皇太子のセイジは実はムネオのお妃さまから生まれた実の兄弟で、セイジには自分の王位を継がせる者だと言いつつ、その裏ではムネタカを自分の真の後継者として育てていた…という衝撃的な展開でしたねww

ちなみに、超強硬派閥の祖であるムネオが残したものは今回以外にも沢山ありますので、今後のお話の展開も要注目です。

長文失礼しましたが、次回もお楽しみに。



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