日本VS日本   作:もちうさ

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連続投稿です。
今回で第1章が完結します‼️

そして、遂にあの国王が…
川瀬たちにも変化が訪れます。




第12話「王様の失脚と新時代の到来」

 

 

 その夜…

 

ナカサワ「内務補佐… 大広間で見たあの表情は… もう、王様への忠誠を誓いきれないのかもしれません… 確かに、王様や補佐の多くが先代国王であるムネオ様から始まった「ムネオ派」であるために、彼の他にも忠誠を誓えない補佐もちらほら見受けられますが… しかし、それも先代国王であるムネオ様直々に後継者として王位を継承するよう御命令を発されたからには、この私がムネオ様のご子息である王様を…ムネタカ様をお支えしていかなければ…」

 

 ナカサワは部屋の中で1人、この先の王国の行末…ムネタカら「ムネオ派」による政の今後について考えていた。

 

 

 

 

 

 

 翌朝…

 

 神聖日本王国はいつもと変わらぬ朝を迎え、朝日が王宮へと差し込み、中庭にいる小鳥たちが囀る。

 

ナカサワ「王様。おはようございます。早速ですがメイドたちが御朝食の準備を進めておりますので、ダイニングでお待ちください。」

 

トモチカ「分かった。ナカサワよ、今日も良い朝を迎えられた。これもナカサワが薦めたワインのおかげだ。礼を言おう。」

 

 その後、朝食の準備ができ、王家の面々と共に平和な時間や雰囲気が漂う中、ダイニングで朝食を食べたトモチカは執務室へと戻り…

 

トモチカ「さて… 今騒いでる叛逆者共をどう抑えつけられればいいか…やはり、王国憲兵隊を出す他に道は無いのか…?」

 

 いつもの変わらぬ平和な時間が流れる王宮とは裏腹に、その外では王様へ対するデモが激化の一途を辿っていた。

 

 超強硬派閥である「ムネオ派」でもあるトモチカの圧政に対し、限界を超えた市民たちが声を荒げて王様の失脚を訴え続けている。

 

 首都でも王宮を中心に市民たちがデモを行い、その度に王国警察や特殊警察を配備して監視してきた。

 

 だが、それを訴えているのは一部の市民で大半の市民たちはいつもと変わらぬ日常を過ごしていた。

 

トモチカ「普段の日常を望む民たちを妨害する者たちには、この我が神聖日本王国が如何に揺るぎない強さを持っており、その程度ではこの王国は揺るぎないという事実を知らしめてやる…」

 

 トモチカは今日もどこかで声を荒げているであろう「叛逆者」たちへの復讐の念を持ちながら大広間へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

ナカサワ「王様。おはようございます。」

 

ハラダ「王様、おはようございます。」

 

トモチカ「皆、全員いるか。では、今日もこの王国を更なる高みへと導いていこうではないか。」

 

 大広間の王様の王座へと座り、初代から受け継がれてきたこの王国の舵取りを行う。

 

ナカサワ「…つまり王様は王国全土に王国憲兵隊を派遣した方が宜しいかと?」

 

トモチカ「そうだ。目障りで耳障りな叛逆者どもを黙らせるのには、それが最良の選択肢ではないかと余は思ったのだ。デモの度に王国警察や特殊警察を配備していれば後手に回ってしまい、普段の営みを望む市民たちのためにもならん。」

 

ハラダ「ほほぅ、それは良い提案でございます。…では、万が一、王国憲兵隊で対処できない場合は陸軍を出して武力で制圧するのも良いですぞ。」

 

ハラダ「王様の父上の「ムネオ様」の頃から続けている制圧方法であれば、どんな市民たちも平伏し、両手を挙げて降伏するでしょう。」

 

トモチカ「それも考えておこう。…内務補佐よ、今配備している王国警察と特殊警察は如何程のものだ。」

 

内務補佐「ははっ、今現在配備している王国警察と特殊警察は首都を中心に300箇所でございます。

…しかし、王国警察長官や特殊警察長官からは配備するのにも限界があるとも…」

 

トモチカ「今度はいつ何処でデモがあるのか予測はつかないのか?」

 

内務補佐「…ある程度の予測はついております。…しかし…」

 

 言葉を詰まらせた内務補佐。

 その心中は…

 

内務補佐「『…今の状況を生み出したのは王様ではないのか… 何故、この私が王様の尻拭いをせねば…』」

 

 王様への恨みや愚痴を溢していた。

 

ナカサワ「…内務補佐? 内務補佐? 如何なされましたか?」

 

内務補佐「…も、申し訳ございません。…その、何と言いましょうか…」

 

財務補佐「内務補佐も日々の執務で満身創痍なのだ。それは我々も同じなのだから、それは気にしなくても構わん。」

 

 トモチカやハラダと同じく「ムネオ派」でありながら、あくまでも中立の立場を取っている財務補佐が内務補佐をフォローする。

 

内務補佐「……」

 

トモチカ「まぁ、良い。…では、ナカサワやハラダも賛成した余の方法で今の状況を切り抜けようではないか。ハラダよ、早速王国軍へ王国憲兵隊の王国全土への派遣を命じろ。」

 

 ナカサワやハラダら「ムネオ派」の賛成だけで自身の案を通そうとしたトモチカ。

 

 すると…!?

 

 補佐の内、内務補佐の身体がブルブル震えるのが見えた。

 

ナカサワ「内務補佐? いかがなされましたか?」

 

トモチカ「身体が小刻みに震えておるな。言いたいことがあったら言ってみよ。」

 

 すると、内務補佐は身体を小刻みに震えながら、こう言った。

 

内務補佐「王様。我々はもう限界なんだ。確かにこの王国は初代が建国されて以来、トモチカ家により統治されてきた。しかし、王家たるトモチカ家と言えど、時には王様のような人間が王位に継承することもある。我々は常に王様に対して忠誠を誓う。だが、王様。貴方にだけはどうしても誓いきれないのだ。」

 

 胸の内に溜まってきていた心情をトモチカへ吐露。

 すると、トモチカの表面上の薄い皮が一瞬のうちに剥がれ去ると共に、怒りの沸点をふつふつと上げていく。

 

トモチカ「何? お前、自分が何を言っているのか分かっているのか? この我が国王に対する裏切りであり、初代が建国した王国に対する侮辱でもあるぞ!」

 

内務補佐「王国を侮辱したのは王様。あんたじゃないのか?残念ながら王様、あんたは国王失格だ。」

 

 口調を強めた内務補佐は鼻息を荒くしながら、トモチカへと言い放った。

 それによって、トモチカはこれでもかと怒鳴り散らかす。

 

トモチカ「…黙れ! この寛容なる我が国王へその言いがかりとは一体貴様は何様のつもりだ!! 誰のおかげで貴様を内務補佐へと抜擢し、この大広間で政をできてるのか、少しは考えたらどうだ! ナカサワよ、お前もそう思うだろう?」

 

ナカサワ「…ははっ、これは正しく、補佐とはあるまじき言動であり、王様への忠誠を誓わず、叛いたものだと考えております。」

 

トモチカ「ハラダよ、お前は今の内務補佐の言動をどう見る?」

 

ハラダ「ははっ、正しく王様の意見に同意いたします。反対の意見があるとは言え、今の内務補佐の言動には全く賛同いたしかねません。後ほど彼には重い罰が与えられるでしょう。」

 

 ハラダと呼ばれた軍務補佐のハラダはそう答える。

 

トモチカ「お前もそう思うだろう。他の皆はどうだ?」

 

 続いてトモチカは他の補佐へ意見を求めたが、答えることはなかった。

 

トモチカ「他の皆が意見を述べないというのは賛同しているという証だ。ならば仕方ない。この我が国王に忠誠を誓えないのならば、処刑しろ。」

 

 トモチカの指示で、すぐさま近衛兵である王宮防衛兵が動き、内務補佐に銃口を向ける。

 

ナカサワ「…王様。お待ちください。彼にも思うことがあるのでしょう。少しばかりお時間を…」

 

トモチカ「時間の猶予は与えない。」

 

ナカサワ「で、ですが…」

 

トモチカ「初代と王位を継承してきた歴代国王と我が国王、そしてこの王国を叛いた者に勘案の余地は与えない。殺せ。」

 

 冷たい視線で内務補佐を見下ろすトモチカの命令で兵士が制式拳銃のサブマシンガンであるPPK-20の引き金を引こうとした。

 

 と…!?

 

 今まで動いていなかった1人の補佐が暴動鎮圧用のゴム弾が入ったハンドガンを兵士へと撃った。

 

 ゴム弾を受けた兵士たちはその場で倒れた。

 

 

 すると…!?

 

 

 

 

 

 

 

 

トモチカ「うっ…な、何故だ…」

 

 

 

 トモチカが呻き声を上げながら倒れた。

 

 ゴム弾を撃った衝撃で兵士のPPK-20が床へと落下したそのはずみで暴発し、知らず識らずのうちにトモチカの足を撃っていたのだ。

 

ナカサワ「お、王様!? 王様!? いかがなされましたか!?」

 

トモチカ「クッ…! 大丈夫だ… な、何故撃った…!?」

 

ナカサワ「な、何をするのです! だ、誰が撃った!?」

 

 ゴム弾を撃ったのは運輸補佐だった。

 

運輸補佐「王国を思う気持ちは同じだ。確かに内務補佐は王様に叛いて、補佐としてあるまじき行為をした。しかし、その思いは他の補佐たちも同じだ。」

 

運輸補佐「自分も実は王様への忠誠を誓えきれなくなっていた1人なのだ… 王様の強硬な政やそれについて行くムネオ派の補佐たちにより、この王国は強国への歩を進めてきた。だが、我々の意見はほとんど蚊帳の外に置かれ、ムネオ派による影響力の元でこの王国は今後どうなるのか不安に思っていたのだ。」

 

 運輸補佐はゴム弾が入ったままのハンドガンを片手にこれまでの心境を吐露する。

 と、その彼へ軍務補佐が疑問を投げかける。

 

軍務補佐「何…? 運輸補佐、さっきから聞いているが、お前は何の訓示を垂れているのだ? 初代の血を継ぐ王様に対してお前は傷を付けたのだぞ。撃ったのは兵士だが、お前はその…」

 

ナカサワ「軍務補佐、止めなさい。」

 

 ナカサワが軍務補佐の口を遮る。

 だが、軍務補佐(ハラダ)もナカサワに負けじと口を回す。

 

ハラダ「しかし、ナカサワ様。此奴は初代から続き、先代の血脈を受け継ぐ王様へ傷を付けたのです。ここで何らかの罰を与えなければ王様の威厳に傷がつきます。」

 

ナカサワ「今は事態を落ち着かせましょう。余分な口は慎みなさい。」

 

トモチカ「クッ… お前たち、覚えておくがいい… このっ… 初代の血脈と王位を継いだ者に対し行った蛮行を…うっ…」

 

 トモチカは駆けつけた王宮防衛兵に支えられ、大広間を後にした。

 トモチカが王座を離れたため、臨時国王として皇太子だったセイジが即位した。

 

セイジ「恐らく王様が復帰するまでの短い在位期間になると思うが、皆はどうか俺に付いてきてくれ。」

 

 しかし、トモチカは補佐や王族たちの猛反対により王座への復帰を断念し、仕方なくセイジへと王座を譲り渡した。

 それにより、臨時国王として即位したセイジは事実上「次期国王」として「即位」する形となった。

 

 それに異論を唱えたのが、歴代国王、とりわけ「先代」である「ムネオ・トモチカ」の思想を受け継ぎ、トモチカの復帰を望む軍務補佐や王国軍幹部だった。

 

 彼らは他の補佐たちとの意見の対立により、これ以上政が進まないことへの懸念から辞任を申し出たものの、ナカサワに引き止められ、一先ず留まることにした。

 

 王国軍もクーデターを謀ったものの、軍内部の反対意見に押されて不発に終わり、王国は揺れ、混沌とした空気に包まれた。

 

セイジ「王国のためなら王国軍や漆黒の艦隊は必要不可欠だ。しかし、その前に王国を安定させるという使命を果たさなければならない。出来なければ、彼らとの対話に応じなければならない。しかしそれも、この国の民を思い、そして守るためだ。」

 

ナカサワ「はっ、左様でございます。では王様、どのような方法で…」

 

セイジ「ナカサワ。俺は腹をくくった。今井家とコンタクトを取ろうと思う。それをしなければ、この王国の正統性や歴史に禍根を残すことになる。」

 

 王国の安定のために今自分ができること、やらなねばならないこと…セイジはどの方法がこの国の歴史や将来のためになるのかを見極める、という。

 それらの一環でセイジは今井家の面々を王宮へと招待。

 

 前国王の政に関する説明と共にムネオの頃にあった暴動の鎮圧について神聖日本王国の国王では初の謝罪をした上で今後、遺族や心身共に傷を負った市民たちへの補償、混沌とした状況が続く王国の今後の舵取りを説明し理解を求めた。

 

 今井家は前国王のムネタカとは一線を画したセイジの温厚で真面目な人柄に惹かれ、その説明についても概ね理解し、雰囲気が壊れることの無いまま会談は終了。

その後、会談での議論やナカサワ、補佐たちの意見を汲んだ上でセイジは今の舵取りの答えを導き出す。

 

 そして出した答えは…

 

セイジ「まずは王国を安定させよう。先日の対話でも彼らは我々の案を快く受け入れてくれたのだ。」

 

 その後、正式にムネタカ・トモチカの退位を認め、長らく続いた事実上の即位から正式に神聖日本王国第151代目国王へと即位。

 

 その後のセイジの動きは早かった。

 

 まずは前国王により収容所に囚われていた兵士たちを恩赦で釈放。

 王宮へと招待して謝罪し、再び兵士への復帰を命じ、配属を指示した。

 

 そして、配備され続けてきた王国特殊警察や王国憲兵隊を少しずつ撤収させ、ナカサワや内務補佐から撤収完了の報せを聞いた段階で、非常事態宣言を解除。

 

 そして、王国軍も「漆黒の艦隊」に依存しない新たな戦略を発表。それぞれ運用空母を1隻に減らし、空母自体に艦隊&個艦防空能力を備えた改修を施した。

 

 大型巡洋艦や大型フリゲートにも改良の手が入り、今まで搭載されていたミサイルランチャーをようやく撤去。

 

 新たに現代艦艇では当たり前の装備だったが、ムネオ派が反対し続けて搭載の目処が立っていなかった垂直ミサイル発射システムであるVLSを搭載。

 大型巡洋艦には300セル、大型フリゲートには250セルが搭載された。

 

 これで「漆黒の艦隊」は、4個ずつの中規模と小規模の空母機動艦隊へと編成され、それぞれの軍港へと配備されるという形へと変わった。

 

 ようやく王国は以前の平和と安定を取り戻し、普段の王宮や市民の営みが帰ってきた。

 

 その王宮の前に立つ1人の男…

 

?「クソ… 我が父上の血を継ぐムネタカが失脚されたとは… 彼はただ、我が父上の思想を引き継ぎ、この王国の揺るぎない強さと更なる安寧のために奔走しただけではないか… セイジ・トモチカ…覚えていろ… 貴様の選んだ道が、この王国の為にならない時が来ることをな…」

 

 その男はそう言うと、ロールスロイスに乗り込み王宮を去った。

 

 

 

…………………………

 

 

 

 その頃、並行世界の日本国の横須賀基地では…

 

国籍不明の艦隊を退けた栄誉を称え、横須賀基地では「おおなみ」と「やまと」、「けらま」と「あさかぜ」と「はやぶさ」、そしてそれぞれの補給艦のクルー全員が表彰を受けた。

 

 その後、「おおなみ」の2番艦「させぼ」が就役。

 最初の戦闘で沈んだ「よこすか」の後継艦の建造も始まった。

 

 そして、最後まで戦い続けた「おおすみ」の大修理と大規模な改修が始まった。

 内容は5インチ砲はHVP砲弾を搭載し、Mk41 VLSは「SM-6 BlockⅠB」と対艦巡航ミサイル「LRASM」を搭載。

 

 AN/SPY-1D(V)レーダーも最新鋭のAN/SPY-6(V)1へと更新され、20mm CIWSは25mmに更新、艦尾には1基のヘリオスが設置されるという。

 

 それまでは川瀬は3番艦「けらま」に配属され、井上は「おおなみ」のCICへと正式に配属。

 田中は「させぼ」への転属が決定。

 

配属替えの前夜…

 

川瀬「お前が佐世保に行くとはな… ま、恋しくなったらいつでも横須賀に戻ってこい。」

 

田中「そういうお前もたまには佐世保に来いよ。あそこには美味いものが多いんだからな。」

 

 横須賀のドブ板通り沿いにあるアメリカンバーで、2人は夜遅くまで会話をつまみに酒を飲み交わし、今後の展開と共に、胸の中で確かな期待を抱かせていた…

 

 

 

 

 





第1章完結‼️

遂に国王、ムネタカ・トモチカが失脚、王位を継いだセイジにより王国は新しい時代を迎えました。

文中の台詞にある通り、内務補佐はムネタカやムネオ派からの無理難題にストレスを抱え続けてきたのが垣間見えますね。
今まで「コイツ…」とムカムカしつつも済ました顔で執務を行なってきたと思うと…

そして、漆黒の艦隊を壊滅せしめた川瀬たちは、同期の田中海軍大尉が地元の佐世保へ転属となったことで川瀬は新しくバディを組む直すことになりますが、その相手は果たして誰なのか?

第1章は今回の投稿分で終了となり、続く第2章「セイジの危機…男たちの暗躍」も不定期ながら投稿していきますので、今後ともよろしくお願いいたします。




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