いよいよ今回から、「とあるクーデター組織」が登場します。
それでは、続きをどうぞ。
その頃、王様の執務室では…
セイジ「父上やムネタカの頃とは違い、今は平穏な日々が続いているな…」
セイジは執務室の椅子から右手にある大きな窓から見える景色を眺めながら呟く。
セイジ「だが、そうとも言っていられない。先代が退位したとは言え、今も補佐や王国軍の大半はムネオ派が占めている。あの彼らをどう対処すればいいのか…」
と…
コンコンコンコン…
ナカサワ「王様。今よろしいですか?」
セイジ「ナカサワか。よろしい、入って参れ。」
セイジのいる執務室へナカサワが入ってきた。
ナカサワ「王様。こちらの書類でございますが、確認とサインの方を…」
セイジ「あぁ… この書類か。今後の王国軍の方針が書いてあったな。」
セイジは王国軍から届いた書類の確認とサインをしていく。
セイジ「…だいぶ王国軍の予算が減ったな。それなら今後は以前の半分の予算でいけるだろう。」
ナカサワ「ええ。以前までは王国国家予算の実に3〜4割を占めていましたが、今では2割にまで減らせました。それで余った分を別の方へ予算を回せるようになりましたから…」
ナカサワ「財務補佐も以前までの王国軍予算の多さに疑問を抱いていたようですから、余計な計算が減って楽になったと言ってました。それに予算を減らしたと云っても、既に我が王国軍は世界に誇れるほどの軍事力は保持してます故、大したことではないかと。」
セイジ「ああ、しかし、並行世界の日本の機動艦隊には本当に驚かされたが…」
ナカサワ「王様も皇太子の頃に写真を拝見してましたね。我々としても、良き研究材料にもなりますし。その結果が王様が命じられたミサイルランチャーを撤去して、新たに垂直ミサイル発射装置を搭載する、というものでした。」
セイジ「我が神聖日本王国以外の国では今や当たり前の装備なのだが、ムネタカまではムネオ派が疑問を唱えたり、中には否定する者もいたからな。」
ナカサワ「ミサイルを撤去してレールガンと超電磁レールキャノンを更に増やして戦艦化すべきとの意見もありましたが、現実的ではありませんし…」
セイジ「今は空母戦力の時代だからな。規模は大きいが編成ができない上に機動性の鈍い漆黒の艦隊では対処する事案によっては限界がある。だから俺は漆黒の艦隊を中小併せて4つの空母機動艦隊へと再編成したのだ。それなら王国全土の複数の軍港へ1個は配備できるし、有事の際も迅速な対処もできるであろう。」
セイジ「そして行く行くは艦艇の排水量を下げようとも思っている。どれも24000トンや35000トン、空母に至っては120000トンという巨艦だ。漆黒の艦隊が壊滅したのもその巨艦さ故の機動性の低さにあったと考えている。王国海軍が創設されてから連綿と受け継がれてきた「大は小を兼ねる」という思想も現代には似つかわしくないというのもある。」
ナカサワ「…なるほど。確かに並行世界の日本の機動艦隊はどれも排水量が10000トン前後という我が王国海軍では哨戒艦に相当するサイズだったと思います。排水量が増えれば増えるほど王国予算に対する王国軍への配分が増えてしまうのも頷けます。」
ナカサワ「ところで王様、今後の王国海軍の艦艇はどの程度まで排水量を減らすおつもりでしょうか?」
セイジ「そうだな… 大型巡洋艦で18000トン、大型フリゲートでも15000トンを考えている。空母も満水排水量は100000〜110000トンを考えているが…」
ナカサワ「もし、今の戦闘能力を維持できるのなら更なる小型化も可能でございますね。この我が王国の技術力を以てすれば、容易いことかと。」
セイジ「そうだな… それで俺から直接、王国海軍兵器産業厰へ次世代の艦艇設計を指示した。」
ナカサワ「既に計画は進んでいる、ということですね。軍務補佐を介さずに。」
セイジはナカサワと話しながら書類の確認とサインをしながら…
セイジ「そういえば… ナカサワ。
ナカサワ「クーデター組織と言いますと…それは、『神聖なる自由』のことでしょうか?」
「神聖なる自由」とは、前国王の「ムネタカ・トモチカ」が並行世界の2020年代の日本へと差し向けた「漆黒の艦隊」の敗北と壊滅、そしてそれによるムネタカの影響力低下に伴う退位から現国王のセイジの王位継承を認めようともしないムネオ派の補佐や王国軍幹部、将校らにより組織され、その活動を活発にさせつつあった。
「神聖なる自由」の目的は一つ、セイジを王座から追放し、王国の政から軍事までの全てをムネオ派で独占すること。
そして、ムネオ派から選ばれた国王により、かつての国王でありムネオ派の源流である「ムネオ・トモチカ」が在位中、かつて夢見ていた揺るぎない強大な王国へと導くことである。
ナカサワ「噂では超大型の潜水艦や艦艇を建造しているのではないかとの話もありますが…」
セイジ「まあ噂だからな。だが、奴らが表に出るまでになんとか手を打たないと…再び王国はムネオ派の人間に握られてしまう。」
セイジは王国軍の書類へサインしながら、今後の王国の行末と「神聖なる自由」への対処法について思慮していた…
その頃、セイジとナカサワがいた王様の執務室の前に広がる廊下では…
自身の執務室を出て大広間へと向かっていた財務補佐の前を1人の男が立ち塞がっていた。
財務補佐「軍務補佐か。俺は大広間に用があるから道を開けろ。」
ハラダ「お前に用があって止めたのだ。向こうへ行くのはその後でも遅くは無い。」
財務補佐「分かった。…で、何の話だ?」
ハラダが財務補佐へ語った話。
それは…
財務補佐「何…? 王国軍の予算を増やせだと?」
ハラダ「そうだ。我が王国軍の今の予算のままでは軍事力を保持できる最小限の規模しか保てられないし、予算の中には次世代兵器の開発も含まれているのだぞ。…それをケチろというのか?」
財務補佐「確かにお前も意見も理解できるところもある。だがな、規模だけ増やして戦略や戦術が立ててなければ、またあの時のような事態にもなりかねんぞ。軍備以外にも予算が必要不可欠なところもある。」
ハラダ「あれはマグレで負けたようなものだ。再び軍備を増強し漆黒の艦隊を編成すれば、あの忌々しい小舟共を沈められる。」
財務補佐「お前はそれしか頭にないのか。ったく、ムネオ派の連中ときたら、戦争のことしか考えてないようだな。」
ハラダ「戦争ではない。この王国の原動力たる民たちを守るためだ。わかったらさっさと予算を増やせ。この王国が安泰で居続けられているのも、今まで軍備を優先して予算が出ていたからだ。
この我が王国を取り巻く情勢も刻一刻と変化しておる。」
財務補佐「…断る。今は現実的な政を行う王様の意向に従っているからな。それに減らしたとは言え、今でもアジア諸国の中では上位、世界全体を見ても5本の指に入るくらいの予算と規模があるのだ。…それにハラダ、お前は陰で何と言われているのか分かって口を聞いているのか?」
ハラダ「何だ?」
財務補佐「『歩く陰謀』と言われているんだぞ。
何かしらの紛争や騒動の大元を辿れば大体お前になるからな。」
ハラダ「フッ… 一体何処の何奴だ。この我が偉大なる神聖日本王国のために尽力しているこの我に恥辱な陰口を叩きやがって…」
財務補佐「まっ、微小の額なら増やしてやってもいいが、どこかで必ずお前の行動を見ている人間がいるということを忘れるな。諺では『壁に耳あり障子に目あり』って言ったな。よく覚えておけ。」
財務補佐はそれを言うと、その場を去っていった。
財務補佐「このままではこの王国は今の安寧を保てない… 早いところヤツをなんとかしなければ…」
1人残されたハラダは…
ハラダ「クソッ… 財務補佐め… 王国の財布を握る立場を利用しながら上から偉そうな態度を取りやがって。フッ… だが我がムネオ派、そして神聖なる自由がこの神聖日本王国の実権を握った暁には必ず貴様を抹消してやる…」
ハラダは財務補佐が歩いて行った王宮の廊下の彼方の方を睨んでいた…
ハラダ「我がムネオ派には財務補佐のような日和見主義者共は必要ないのだ。我がムネオ派こそ、この王国を更なる高みへ導いていくのだ…」
その頃、王様の執務室では…
セイジ「ふぅ… 後はこの書類だけだな。」
ナカサワ「はい。この書類で最後でございます。」
セイジ「ナカサワも大変だったろう。各補佐の執務室を回りながら、これほどの書類をこの部屋へ持ってくるのは。」
ナカサワ「いえいえ。これも王様やこの王国のため。苦しいと思ったことは一度もありません。」
セイジ「本当に心強いな…」
そこへ…
コンコンコンコン…
メイド「王様、王様…」
セイジ「…ん、メイドか。どうした?」
ナカサワ「どうぞ、ご遠慮なく中へお入りください。」
メイド「ありがとうございます… では、失礼します…」
ガチャ…
メイド「王様。実はお妃様より、こちらの品を預かりまして…」
セイジ「トモカからか?これは…」
メイドがセイジへと持ってきた物。
それは…
セイジ「あぁ、今日は結婚記念日だったな。それでトモカから日々の感謝の品を…」
ナカサワ「今年も素敵な品を送ってくださいましたね、王様。それに今年は結婚15周年ですし。」
セイジ「あぁ。それならば、余からも何か感謝の意を伝えたいのだが…おっ、そうだ。今夜だけはトモカと2人で過ごすのはどうだ?」
ナカサワ「さすが王様。素晴らしい提案でございますね。ですが、王宮で過ごすと素敵な時間を過ごせないと思いますので、私の方から近くのホテルへ予約を入れておきましょうか?」
セイジ「それは良い提案だ。ではナカサワ、ホテルの予約と今夜のスケジュールをトモカへ伝えておいてくれ。」
ナカサワ「畏まりました。」
セイジ「メイドよ。トモカから品を預かってくれてありがとう。とても嬉しかったと伝えてくれ。」
メイド「ありがとうございます。それでは、失礼します…」
メイドはセイジへ礼をすると、静かに執務室を後にした。
120000トン級の空母って想像できる?ww
如何でしたか?
今回も楽しんでいただけたでしょうか?
遂に今回からセイジと対峙することになるクーデター組織「神聖なる自由」が登場したことで、今後の王国は揺れに揺れていきます。