連続投稿です。
今回は軍務補佐、ハラダの暗躍を中心のお話です。
それでは、続きをどうぞ。
その頃、軍務補佐の執務室へ戻った後、廊下を歩いていたハラダは…
ハラダ「王国軍の大半は今も我がムネオ派が多くを占め、神聖なる自由の人間も多数いる… 今後の漆黒の艦隊復活のためには更なる艦艇の増強と軍港整備が欠かせん…」
ハラダ「…待てよ… 軍港整備ならば財務補佐も出すのではないか…?」
ハラダは王国軍司令部へ向かいながらとあることを閃き、それを王国軍参謀長へ伝えると…
参謀長「…これは面白い。『王国海軍全艦艇の修理と王国全土の海軍軍港の点検にかかる費用の確保』と偽り、王国軍の予算を増やす。…ということだな。」
ハラダ「そうだ。実際港湾が使い辛いとの声も聞くし、今後漆黒の艦隊を復活させる為にもこれは絶対に譲ってはならん。」
参謀長「それで獲得した予算を使って艦艇の改修を行い、大型フリゲート「カネチカ・トモチカ」がVLSの発射訓練をする日に合わせて神聖なる自由所属の大型巡洋艦が撃沈せしめる… ということだな。いい名案だ。では、それで行こうではないか。」
共に同じムネオ派であるハラダと参謀長は、密かに予算確保をするための作戦の手筈を済ませた。
そして陽が落ちた夜…
セイジはトモカと共に近くのホテルでワインを片手に結婚記念日の特別ディナーを楽しむ。
そのホテルは150年前の当時の国王が親戚と共に開業した超老舗の一流ホテルであり、今もトモチカ王家との交流がある他、国内外のVIPや政治家、王家や公家、貴族たちをもてなしてきた。
セイジ「思えば王宮内のパーティーで再会してから結婚して、もう15年の月日が経ったのか… なんだか皇太子になってから王位を継承するまでの出来事が走馬灯のように思い出される…」
トモカ「…ふふ、そうね。2人とも小さい頃から幼馴染で一緒に遊んでいたし、少しの間離れていたと思ったらパーティーでバッタリ再会した時はとても嬉しかったもの。その後に結婚して、2人の子供たちとも出会えて…お妃様にもなってたからびっくりしちゃって…」
トモカ「普段は大広間や執務室にいるから、私たちは会いに行けないけど、休日はあなたや子供たちと一緒にいられるから本当に嬉しいの。…王位を継承してから一気に忙しくなって、忙しそうにしてるあなたを見て本当は少し心配だったんだけど…」
トモカ「今日のあなたの笑顔を見る限り、それは杞憂だったようね。」
セイジ「あはは… やっぱり心配してくれていたのか。すまないな。だが、こうして政をできているのもナカサワや信頼の置ける補佐や王国軍、そして何よりトモカや子供たちのおかげなのだ。」
セイジ「だから、今まで本当にありがとう。」
セイジ「そして、これからもよろしく。」
トモカ「ええ、私からも。」
トモカ「これからもよろしくね。あなた。」
2人は笑顔でワインの入ったワイングラスを鳴らし、2人きりの特別な夜を過ごしていた…
………………
翌日の大広間…
今日もセイジと共に王国の舵取りをする補佐たち。
ハラダ「…王様。少しよろしいでしょうか?」
セイジ「軍務補佐よ。どうした?」
ハラダ「ははっ。実は今、王国軍で王国憲兵隊を強化すべく、予算の増加を望んでいるとのことです。内務補佐や王様でさえ良ければ、そちらへの予算確保を考えて頂けないかと…」
セイジ「王国憲兵隊か… 内務補佐、その話は本当か?」
内務補佐「ははっ。その話は既に王国軍からお聞きしております。しかし、その話なら既に私の耳に届いておりまして、既に強化にかかる予算を確保したいとの書類を出しておりますが…」
ナカサワ「…そういえば、そうでございましたね。
王様も覚えていらっしゃいますでしょうか?」
セイジ「ああ、あれのことか。もちろんだ。」
セイジ「軍務補佐よ、話の腰を折ってしまい申し訳ないが、その話なら既に余にも届いており承認している。だが、改めて伝えてくれたことには感謝する。礼を言おう。」
ハラダ「そうでございましたか。」
ナカサワ「そういえば王様。王国海軍から軍港を改修して欲しいとの要望が出されておりますが…」
セイジ「軍港か… 確かに古いものなら漆黒の艦隊が創設された頃から使っているものも多い。今の艦艇では使いづらいのも確かだ…ハラダ、主にどの軍港を改修して欲しいとは聞いてないか?」
ハラダ「ははっ、改修工事が必要な軍港は東京湾基地と仙台港基地、呉港基地、博多湾基地でございます。これらは海軍の主要な軍港でありますので、優先して改修した方がよろしいかと。」
セイジ「…分かった。財務補佐よ、今は王国軍の予算は減らしているが、軍港整備のための予算なら出せるか?」
財務補佐「ははっ。軍備拡張ならすぐに断るつもりでしたが、インフラ整備なら仕方ありませんな。予算を出しましょう。」
軍務補佐は『軍港改修工事』の為の予算を獲得することに成功。
その頃、王国海軍の神聖なる自由が所有している極秘のドックでは…
タツヤ「ムネノリ様。こちらが現在建造中の大型潜水巡洋艦でございます。既に8割の工事が完了しており、後は処女航海をするのみとなっております。」
ムネノリ「これが我が渇望していた大型潜水巡洋艦か… フッ、産声を上げるのが楽しみだ。」
タツヤ「ムネノリ様はムネオ様の実の次男であり、王国軍への影響力もございますからな。」
ムネノリ「そうだ… 俺は父上であるムネオ様の実の次男であるからな。歴代国王の子孫なら、これくらいは何の造作もない。潜水艦の他にも更に大型巡洋戦艦や大型航空巡洋戦艦の建造も始まろうとしている。我が神聖なる自由とムネオ派が再びこの王国を聖なる強国へと導いていくのだ。我々の旅はまだ序章に過ぎない…」
建造を終わりかけ、ドックの中で艤装中の新種の潜水艦を眺めながら、ムネノリは不敵な笑みを浮かべていた…
実はムネタカが失脚した後も王国軍の大半はムネオ派、そしてそこから派生する形で神聖なる自由が占めており、王国軍の予算は神聖なる自由への予算でもあり、削減したとは言え、まだまだ潤沢とも言える予算を活かして王国海軍の艦艇の強化へ当てていたのだ。
既に大型巡洋艦と大型フリゲートの改修と建造、そして新たに「大型航空巡洋艦」の建造も急ピッチで進められていた。
そして、やがてそれらの艦艇は5番目の機動艦隊へと編成され、ムネオ派や神聖なる自由の間では「神聖なる艦隊」という名で呼ばれ、東京湾基地へと配属された。
参謀長「これは美しい… 新造したての大型航空巡洋艦と大型巡洋艦、そして大型フリゲート… これぞ、我が神聖日本王国に相応しい威厳と揺るぎない強さをこれ以上なく強く表しておる…」
王国軍参謀長は配属されて停泊している「神聖なる艦隊」を見て誇らしい気持ちになる。
ムネノリ「…うむ。これぞ我が神聖日本王国を象徴する艦隊だ。参謀長よ、よくぞやってくれた。」
参謀長「ははっ。このお言葉、大変光栄に思います。我がムネオ派の源流たるムネオ様の直の次男であるムネノリ様のためなら、我が王国軍と致しましても最大限の尽力をさせていただきます。」
参謀長とムネノリ、そしてタツヤは新たに生まれた艦隊を前に我等こそが神聖なる王国を導いていく者たちだという自信で漲っていた。
その頃、正午を迎えた王宮では…
セイジたちはダイニングで王家専属のシェフが手掛けたランチを食べていた。
そこへ…
ナカサワ「…王様。御昼食中、失礼します…」
セイジ「ナカサワ。どうした?」
ナカサワ「ははっ。実は王国海軍から以前の並行世界の日本国との戦闘で沈んだ漆黒の艦隊の一部の艦艇の大修理が完了したとのことで…」
セイジ「ああ、あれか。確か全部回収したとは海軍から聞いてるが、改修できたのはほんの一握りだったんだな。」
ナカサワ「左様でございます。空母や一部の大型巡洋艦はそのまま廃棄がなされ、残るは改修できた一部の大型巡洋艦と大型フリゲートのみになりました。」
セイジ「分かった。ナカサワよ、ありがとう。」
……………………
それは並行世界の国防海軍も…
薗田「出来れば敵艦でも回収して研究したいところなんだがな…」
川瀬「沈んだ敵艦は既に回収されているだろう… 潜水艦からも海底に残骸は確認されなかったとのことだからな。」
薗田「相手にしたのはあの大艦隊なんだろ?あれだけの数を回収するんだったら、敵はさぞ血眼になって探したんだろうよ。」
川瀬「通信記録やレーダー情報といった戦闘記録も保存されているだろうからな。それほどの機密情報を我々の手に渡すほど敵国もバカじゃない。」
川瀬「此方でも戦闘記録を保存して提供したし、例のタワーも無人偵察機が撮影して、現在は国防省や国家機密情報局で研究中だからな。」
以前の神聖日本王国との一連の戦闘記録は「おおすみ」が、漆黒の艦隊との戦闘は「おおなみ」が率いる水上打撃群が記録し、例のタワーである「時空歪曲装置」を撮影した無人偵察機のデータと共に国防省と首相官邸直下の「国家機密情報局」で研究中である。
その後も川瀬と薗田は、日没時間まで艦橋で睨みを利かしていた。
「コレチカ・ハラダ」って怖ぁい…
王国軍の予算を増額しようと裏で暗躍する軍務補佐のハラダは今後、セイジを王座から追放し実権を奪うために凡ゆるところで暗躍しまくります。