随分とお待たせしてすみませんでした…
今日はできる限り投稿していきます。
その夜…
イージス艦内の食堂で夕食を食べていた川瀬と薗田。
薗田「今日も不審な艦艇は無し、か…」
この日も「けらま」や周辺を航行していた艦艇や航空機も不審な艦艇は確認されず、クルーらは食堂で金曜日恒例の海軍カレーを食べていた。
イージス艦「けらま」の食堂内はそれぞれの会話が聞こえ、賑やかになっている。
と、川瀬は何かを思い出したかのように薗田へあることを聞く。
川瀬「…そういえば薗田。同期から聞いたが、お前は以前は空軍にいたそうじゃないか。かなりの腕前で上級士官からも評判も良かったらしいのに、なんでこっちに来たんだ?」
薗田「ああ、その話か。軍に入る前の適性検査で空軍の方が良いと言われてな。そのまま空軍士官学校に入学して、卒業後は百里の基地へ配属されたんだ。」
薗田「当時の上司だった城山空軍大尉からは次世代のエースパイロットだと言われたし、実際空軍上層部の中でも注目してた人たちがいたのは確かだ。」
薗田「だがアメリカ海軍の空母打撃群との訓練で出向いた時があってな。その時思い出したんだ。うちの祖父はかつて海軍少将だったな、と…」
薗田「父親から聞いてな。父は海軍中尉で退役したが、祖父の代から海軍の血脈が続いてきたから俺もそれを絶やすわけにはいかないと思って、海軍への異動届を出したのさ。何より海軍にも空母航空団があるから、そこでもパイロットになれるだろ?」
川瀬「…なるほどな。それでこの艦に配属されて今に至るって訳か。」
薗田「あぁ。それにロービジ塗装の最新鋭の駆逐艦に配属されたから、俺としては万々歳だよ。祖父も喜んでいるんじゃないか。」
日本国国防海軍の最新鋭のイージス艦を始めとする最新の艦艇には実戦を見据えた視認性の低いロービジ塗装が施されている。
「まや級イージス駆逐艦」の2番艦「はぐろ」から始まったロービジ塗装は「おおすみ級イージス駆逐艦」の3隻と「おおなみ級イージス駆逐艦」の3隻と「やまと級イージス巡洋艦」の2隻、建造を終えて試験航海中の「たかつき級イージス駆逐艦」の3隻にフリゲートの「よしろ級ミサイルフリゲート」の3隻にも採用されている。
中でも新たな艦種である「はるな級イージス戦略ミサイル駆逐艦」は更に改良の手が入れられたロービジ塗装を採用し、ステルス性能を上げている。
どのレーダーにも捕捉され辛いその高いステルス性故、同盟国のアメリカが関心を寄せ、技術の提供やライセンス生産を求めている、という噂もあるほどだ。
川瀬「…そういえば、敵艦でロービジ塗装の艦は一隻もなかったな… 大規模艦隊だと真っ黒な敵影が見えたのを覚えている。」
薗田「何だそれ。滅茶苦茶目立つじゃん。こっちではロシア連邦海軍や人民解放軍海軍の艦艇でさえそれなのにか?」
川瀬「恐らくは艦艇を黒く塗装することで、一種の抑止力を持たせている可能性もある。」
薗田「要は見た目でビビらせて混乱させるってやつか。…正に戦わずして勝つ、ってところだな。」
川瀬「これほど戦闘教義が違う両国が真正面からぶつかるとどうなるか… 既に結果は出てるが、敵はまだまだ認めたくないようだ…」
薗田「今後の任務次第だと、大艦隊を相手にする可能性もあるってことか…まあ、やることは変わらないけど。」
2人は海軍カレーを食べながら、敵艦や今後の任務について話し合っていた…
…………………
その頃、丁度夜を迎えていた神聖日本王国。
華麗にライトアップされた王宮の前にムネノリが佇んでいた。
ムネノリ「…これが後々、我が住まうことになる王宮か… この堂々たる威厳、神聖なる雰囲気やオーラさえも感じ取れる風貌… 実に素晴らしく美しい… うむ。これぞ、我が神聖なる神聖日本王国を象徴するものだ。フッフッフッ… ヤツを蹴散らし王位を継承するのが楽しみだ…」
ムネノリは王宮の正門前で堂々と立ち聳える王宮を見ながら不敵な笑みを浮かべていた…
翌朝…
神聖日本王国は朝を迎え、今日も普段と変わらぬ市民たちの営みが始まろうとしていた。
ナカサワ「王様。おはようございます。」
セイジ「ナカサワ、おはよう。昨夜はゆっくり寝られたか?」
ナカサワ「はい。昨夜は久しぶりにゆっくりと寝られました。」
メイド「王様、王族の皆様。おはようございます。そろそろご朝食の準備ができますので、ダイニングへお集まりください。」
朝食の時間を知らせるメイドの声を聞いたセイジとナカサワはダイニングへと向かった。
セイジ「皆、おはよう。」
ナカサワ「皆様、おはようございます。」
財務補佐「王様、おはようございます。」
内務補佐「おはようございます、王様。」
トモカ「あなた、おはよう。」
今日も補佐や王族らと共に専属シェフが手掛ける朝食を食べて…
セイジ「さて、と… 今日も1日平穏な日々を過ごそうか…」
セイジは王様の執務室の椅子に腰掛けて、窓から見える景色を眺めながら呟く。
と…
コンコンコンコン…
ナカサワ「王様。今宜しいですか?」
セイジ「ナカサワか。宜しい、入って参れ。」
ガチャ…
ナカサワ「王様。王国海軍よりご報告がございますので、王国軍総司令部へ参りましょう。」
セイジ「分かった。」
セイジは席を立ち、ナカサワと共に海軍長官の待つ王国軍総司令部へと向かった。
王宮内の廊下を歩いていくと、やがて床に敷かれてあるレッドカーペットが途切れる。
豪華絢爛かつ、神聖日本王国の偉大で揺るぎない強さを見せつけるかのような軍服に身を包んだ軍人たちが24時間365日常駐する神聖日本王国軍の総司令部だ。
セイジ「王国海軍長官よ、待たせてしまって申し訳ない。」
海軍長官「ようこそおいで下さいました。早速ですが王様へご報告がありますので、どうぞ部屋へお入りください。」
海軍長官は2人を部屋の中へと通す。
海軍長官「…では、早速、今回お呼びした旨をご報告します。前回の並行世界の日本へ先代国王が派遣を命じられた「漆黒の艦隊」の全ての残骸を回収し、一部の艦艇の再就役の目処が経ちましたことをお伝えします。」
セイジ「あぁ。空母や大半の大型巡洋艦や大型フリゲートはそのまま廃棄処分されたが、2〜3隻の大型巡洋艦や大型フリゲートがまた任務に戻れるのは大変喜ばしいことだ。王国海軍長官よ、報告をありがとう。…よし、そのまま再度東京湾基地への配備を命ずる。」
海軍長官「ははっ、畏まりました。」
セイジの命令に海軍長官は深々と礼をした。
セイジとナカサワは海軍長官へ礼をした後、見送られる中、大広間へと歩いて行った。
……………………
その頃…
王国沖では…
東京湾基地から15kmの海域を王国海軍の大型フリゲート「カネチカ・トモチカ」が航行していた。
「レーダーに敵影なし。」
艦長「では、これより垂直ミサイル発射装置によるKA-Aの発射訓練を開始する。」
「了解。総員、戦闘配置へつけ。」
大型フリゲートは新たに搭載された垂直ミサイル発射装置「Sabel-VLS」の実戦を兼ねた発射訓練を開始。
「VLS、40番の発射準備完了。」
「KA-A発射!」
大型フリゲート「カネチカ・トモチカ」はVLSからKA-Aを発射。
KA-Aは順調に飛翔を続け、やがて海面へと着弾。
「VLSからの発射訓練に成功しました。」
戦闘司令室からの報告が上がると、艦橋にいたクルーから拍手が湧き起こる。
そこへ…
『…ターゲット発見。発射訓練中の大型フリゲート。我が艦には気づいていない模様。』
艦長『…こちら艦長。これより大型フリゲートに対する聖罰攻撃を開始する。』
『了解。』
大型巡洋艦「ムネチカ・トモチカ」は「聖罰攻撃」と称した大型フリゲートへの攻撃の準備を行う。
『レールガンへの電力供給完了!』
『徹甲炸裂焼夷弾、装填完了!』
艦長『そのままヤツらへ砲身を向けよ。』
大型巡洋艦は大型フリゲートへとレールガンの砲身を向けて…
『神聖日本王国の為に!!』
『我が聖なる神聖日本王国を取り戻すのだ!』
『レールガン、発砲始め!』
大型巡洋艦「ムネチカ・トモチカ」は大型フリゲート「カネチカ・トモチカ」へとレールガンによる艦砲射撃をした。
「…!? な、なんだ今のは!?」
「攻撃だ! 攻撃を受けている!」
「砲撃を受けています!!」
艦長「敵はどこにいる!」
「なっ…方位310に大型巡洋艦一隻… う、撃ってきました!」
艦長「やめろ! 貴君らは同士討ちでもするつもりかね!」
艦長「…聞こえるか! こちら大型フリゲート「カネチカ・トモチカ」。前方の大型巡洋艦よ、直ちに攻撃を止めよ!」
艦長が大型巡洋艦へ通信をすると…
『こちら『神聖なる自由』所属、大型巡洋艦「ムネチカ・トモチカ」だ。まず貴様から抹消してやる…』
艦長「神聖なる自由…!? も、もしかしてあのクーデター組織か!?」
その間にも大型フリゲートは…
「反撃だ!反撃しろ!」
大型フリゲートはレールガンの砲身を大型巡洋艦へと向けて…
「撃て!」
艦橋の前に左右に鎮座するレールガンが大型巡洋艦へと火を噴いた。
艦長「ちょうどいい実戦だ。VLSからミサイルを発射しろ!」
艦長は戦闘司令室へVLSからのミサイル発射を命ずる。
「目標捕捉。ミサイル発射!」
VLSの丸い蓋が開き、KA-Aが次々と発射。
それに対して大型巡洋艦のTPLSは光速でパルスレーザーの弾幕を展開し、次々と迎撃していく。
『超電磁レールキャノン発砲準備完了!』
艦長『よし。超電磁レールキャノンで海の藻屑にしてやれ。』
『了解!』
大型巡洋艦は超電磁レールキャノンの砲身を大型フリゲートへと向けて…
艦長『我が艦が聖なる神聖日本王国への花道を飾ろう。…撃て。』
『超電磁レールキャノン、発砲!』
大型巡洋艦「ムネチカ・トモチカ」は超電磁レールキャノンを発砲。
『レールキャノン、続けて撃て!』
大型巡洋艦の超電磁レールキャノンは続けて180口径の砲身から極超音速で徹甲炸裂焼夷弾を発砲。
実は超電磁レールキャノンは王国軍により極秘に改良がなされており連続しての発砲が可能になっていた。
そして、その改良に係る予算を財務補佐の目を盗んで確保したのは他ならぬ軍務補佐、ハラダである。
大型フリゲートは連続してのレールキャノンの着弾を受けて戦闘不可になり…
艦長「ゴホッ、ゴホッ… 総員無事か!被害報告!」
「こちら戦闘司令室、被害が出ています!」
「レールガンのFCSにエラー! 砲の仰角、上げられません!」
「VLSにもエラー! セルが開かなくなりました!」
「艦長、敵の砲撃が止んだ今がチャンスです! 総員の退艦を!」
艦長「…総員、直ちに退艦せよ!」
艦長による退艦命令により黒煙の上がる大型フリゲートからクルーが脱出していく。
副長『大型フリゲートからクルーが脱出しております。』
艦長『奴らは生かしておけ。我が神聖なる自由による裁きを見せつけてやろう。』
そして、クルー全員が退艦し小型ボートや戦闘艇で逃げようとした刹那…
艦長『我が神聖なる自由による、聖なる裁きを受けさせてやろう。撃て。』
艦長が超電磁レールキャノンの発砲を命じた。
大型巡洋艦は超電磁レールキャノンを発砲し、大型フリゲートを撃沈せしめた…
艦長「クッ…我が艦が沈んでいく…」
「奴らは何の意図の為にこんなことを…」
艦長「さぁな…だが、そのまま奴らを放っておくと…気のせいだが、とんでもないことが起こるのかもしれない…」
クルーらと共に小型ボートにいた艦長は呆気なく沈んでいく大型フリゲートを唖然とした表情で見つめていた…
……………………
その頃、離宮では…
離宮の大広間でゆったりとワインを嗜むムネノリがいた。
そこへ、タツヤが足早に報告へと来た。
タツヤ「ムネノリ様、ご報告がございます。」
ムネノリ「報告か… よし、聞こう。」
タツヤ「はっ、我が「神聖なる自由」所属の大型巡洋艦が大型フリゲートを攻撃、殲滅せしめたとのことです。」
ムネノリ「フッ… まずは1隻仕留めたか… この聖なる神聖日本王国を取り戻し、本来の道へと導き、そして更なる高みへと導く我が「神聖なる自由」を阻む者どもにはそれ相応の罰を受けなくてはならない。よし、このまま聖罰攻撃を続けろ。そして、セイジを王座から追放し、我「ムネノリ・トモチカ」が王位に付き、この神聖日本王国を本来の道へと進めていくのだ。」
タツヤ「ははっ、承知いましました。」
ムネノリから指示を受けたタツヤは会釈をして足早にその場を後にする。
ムネノリはワインの入ったグラスを揺らしながら、薄気味悪い不敵な笑みを浮かべていた…
……………………
その頃、王宮では…
ナカサワ「王様!! 王様!! 大変でございます!!」
ナカサワが慌てふためいた様子でセイジのいる大広間へと走ってきた。
セイジ「どうしたナカサワ。珍しく酷く慌てているではないか。」
ナカサワ「王様… ハァ、ハァ… と、とんでもないことが起きてしまいました!」
ナカサワは余りに慌てているのか、呼吸を乱している。
セイジ「ナカサワ、一度深呼吸して落ち着け。それから伝えるのも遅くはない。」
ナカサワは「申し訳ありません。」と言いつつ深呼吸をして落ち着くと、
ナカサワ「御無礼をお許しください。王様。実はとんでもなく大変なことが起きてしまいました。」
セイジ「あぁ、それはなんだ?」
ナカサワ「王国沖で王国海軍の大型フリゲートが大型巡洋艦の攻撃を受けて、沈んでしまったのです…」
セイジ「な、何!? 偶発的なものではないのか!? 同士討ちにしても、おかしすぎる…」
ナカサワ「現在王国軍で調査中でございますが… 一つの可能性があるとすれば「神聖なる自由」の仕業ではないかと…」
セイジ「その可能性は捨てきれないな… よし、王国海軍に不審な艦艇がいないか調べるように伝えろ。」
ナカサワ「はっ、かしこまりました!」
ナカサワはセイジに一礼をすると、大広間から去っていった。
セイジ「この王国に一体何が起きているというのだ…」
セイジは王座で思考に耽る。
思考に耽るセイジの近くにいた軍務補佐の「コレチカ・ハラダ」はセイジの近くにいながら腹の中でニヤリと不敵な笑みを浮かべていた…
神聖なる自由、ついに動き出す…
如何でしたか?
今回も楽しんでいただけたでしょうか?
今回から遂に「神聖なる自由」が動き出しましたね。
王国の実権を掌握するためには如何なる手段をも選ばない彼等は今後、「テロ行為」にも手を染めていきます。
そして、王国は混沌の渦へと巻き込まれていきますが、それについては続きのお話をご覧ください。