カナス&レイ
C
レイ:
そうか、そういう解釈もありか。
カナス:
はい。
僕の考えた説なんですけどね。
ただ、これでここと、ここも
レイ:
矛盾が無くなる……
レイ:
ははっ、なんだよ。
……すげえな、
学者は伊達じゃないってか。
カナス:
いや、僕なんてまだまだですよ。
母は僕の数倍はすごい人ですし、
君だって、独学でここまででしょう?
レイ:
……まあな。
カナス:
君は才能と可能性の塊ですよ。
ああ、まるでニノちゃんみたいだ。
レイ:
……ん?
カナス:
……ん?
レイ:
ニノ……って言ったか
カナス:
そういえば君、ニノちゃんにそっくりですね。
レイ:
……
カナス:
ははあ、これはもしかして……
レイ:
……
カナス:
他人の空似ってやつですね!
レイ:
……は?
カナス:
世界には同じ顔が三人はいるというし。
異界も含めたら、
何人いてもおかしくないですよね!
レイ:
……あ、え、うん
カナス:
へえ、すごいなぁ。
もっとよく見せてください、へぇ……
レイ:
うわ、ちょっと、やめろ!
カナス:
へぇ……
レイ:
やめろってばー!
B
カナス:
あ、いたいた、レイくーん!
レイ:
げ。
カナス:
ああよかった。
最近顔を見ないから、
心配していたんですよ。
レイ:
……顔を合わせると面倒だからな
カナス:
?
何か言いました?
レイ:
いいや、気のせいだろ。
それで、俺に何か用か?
カナス:
ああ、そうそう、これを。
レイ:
……本?
カナス:
僕の私物なんですがね、
闇魔法を志すなら、ぜひ読んでほしいなって。
貸してあげようかと思ったんです。
レイ:
『闇魔導探求の書』ねぇ。
へぇ……
レイ:
…………
レイ:
……ん?
カナス:
どうかしました?
レイ:
いや……
この本、読んだことある気が……
カナス:
え?
カナス:
それは気のせいじゃないですか?
だってこれ、母が書いたもので。
世界に一冊しかない……
レイ:
え、
レイ:
え、著者って……
レイ:
…………
レイ:
気のせい、気のせいだ。ああ。
その、ありがたく読ませてもらうよ。
カナス:
あ、はい。
カナス:
……はい?
A
カナス:
レイくん、その……
レイ:
なんだよ、あんたらしくもない。
カナス:
……あの、間違っていたらごめんなさい。
その、君、僕の母――山の隠者ニイメに、
会ったことがありますよね?
レイ:
……まあな。
カナス:
ああ、やっぱり。
君はこの本を母の元で読んだんですね。
でも、そこに僕はいなかった。
レイ:
……ああ。
カナス:
この本は、母から僕が継いだもの。
それを、君の時代に母が持っているということは……
レイ:
……
カナス:
ごめんなさい、君は気づいていたんですね。
僕にショックを与えまいと、隠して……
レイ:
別に、そんなんじゃない。
カナス:
え?
レイ:
隠したのは事実だが、それは自分のためだ。
言えるか? 20年後、あんたはもう
死んでます、なんて。
レイ:
言ったって何にもならない。
未来は変わらない。
言う意味がないのなら、言わない方がいい。
レイ:
それだけだ。
カナス:
レイ君……
レイ:
う、わっ!? 何だよ!?
カナス:
君、ヒュウには会いました?
僕の子供の。
レイ:
会った、けど……
カナス:
元気でした?
僕のことで泣いたりしてませんでした?
立派なシャーマンになってました?
レイ:
げ、元気だったぜ。
シャーマンじゃなくて魔導士だったけど。
カナス:
そうですか……
それなら。
レイ:
……それなら?
カナス:
レイ君、ヒュウと仲良くしてください。
あの子はちょっと意地っ張りだけど、
とても優しい子だから。
カナス:
ね?
レイ:
な……なんだよ
カナス:
確かに僕の未来は変わらないかもしれない。
でも、僕の言葉を君が受け取ってくれたなら、
ヒュウの未来は変わるかもしれない。
カナス:
だからね、君が気にする必要も、
抱え込む必要も、ないんですよ。
レイ:
……
カナス:
ね?
レイ:
……ちっ。
ほんとそっくりだよ、あんた。
どこぞのお人好しとさ。
レイ:
調子狂うぜ、まったく……
ゼフィール&ブルーニャ
C
ブルーニャ:
この辺りの敵は
一掃したようでございます、陛下。
ゼフィール:
うむ、下がってよい。
ブルーニャ:
はっ。
ゼフィール:
……
ブルーニャ:
……
ゼフィール:
……ブルーニャ。
ブルーニャ:
はっ、ここに。
ゼフィール:
ブルーニャ。
貴様、なぜここにいる?
ブルーニャ:
はっ……え?
なぜ、とは……?
ゼフィール:
なぜわしの傍に侍る。
ブルーニャ:
なぜ……と申されましても。
ブルーニャ:
私は陛下の臣であれば、
お側に侍るのは当然のことかと。
ゼフィール:
当然、か。
ふむ……
ブルーニャ:
陛下……?
B
ゼフィール:
ブルーニャ。
ブルーニャ:
はっ、ここに。
ゼフィール:
もうよい。
ブルーニャ:
……え?
ゼフィール:
もう、わしの傍に侍る必要はない。
ブルーニャ:
な……なぜ、でございますか。
私、なにか粗相を……?
ゼフィール:
いや。
貴様はよくやっている。
ブルーニャ:
勿体なきお言葉でございます。
しかし、では……
ゼフィール:
貴様はベルン三竜将が一人。
すなわち、その忠義は
ベルンの国とベルンの王に。
ゼフィール:
そうだな。
ブルーニャ:
はい、ですから……
ゼフィール:
であれば、貴様が仕えるべきは
ギネヴィアであろう。
ゼフィール:
わしはもはやベルン王ではなく、
ましてやここは、ベルンではない。
ゼフィール:
どこに、貴様がへりくだる理由が
あろう?
ブルーニャ:
陛下、そんな……
ゼフィール:
貴様はもう、何処へなりとも行け。
己の思うままに、力を奮え。
ゼフィール:
その方が――
ああ、その方があの召喚士の
役にも立とう。
ゼフィール:
行け。
ブルーニャ:
陛下……。
A
ブルーニャ:
陛下!
ゼフィール陛下!
ゼフィール:
ブルーニャ。
何故まだここにいる?
行け、と言ったであろう。
ブルーニャ:
陛下、どうかお聞きくださいませ。
私、あれから考えたのでございます。
ブルーニャ:
確かに陛下の言う通り、ここはベルンの
国ではありません。
あなたはベルンの王ではありません。
ゼフィール:
……うむ。
ブルーニャ:
しかし、先日の陛下のお言葉は、
失礼ながら的はずれと言わざるを得ません。
ゼフィール:
何故だ?
ブルーニャ:
なぜなら、私もまた、
三竜将の一人ではないからですわ。
ブルーニャ:
三竜将のブルーニャは、
もう死んでいるのですから。
ゼフィール:
死……
ゼフィール:
そうか、お前も死者か。
ブルーニャ:
はい。
今の私は、ただの一人の女でございます。
ゼフィール:
……
ブルーニャ:
それに陛下は仰いました。
私の思うままに、力を奮えと。
ブルーニャ:
ですから、私は、私の意思で、
私の思うままに力を使いたいと存じます。
ゼフィール:
思うまま……
ブルーニャ:
陛下……いえ、ゼフィール様。
私はあなたのために、この力を使います。
ブルーニャ:
ベルン王ではなく、ゼフィール様のために、
己が力を奮うことを望みます。
ゼフィール:
……
ブルーニャ:
……
ゼフィール:
……もうよい。
ブルーニャ:
陛下!?
ゼフィール:
もう……よい。
貴様の好きにするがよい。
咎め立てはせぬ。
ブルーニャ:
陛下……!
ありがたきお言葉に存じますわ。
ゼフィール:
……ああ。
うむ……
ブルーニャ:
陛下?
ゼフィール:
……陛下、とは呼ぶな。
わしはもう、王ではないのだから。
ブルーニャ:
!
そう、ですわね。
失礼いたしましたわ、ゼフィール様。
ゼフィール:
……うむ。
ゼフィール&ブルーニャ、どっかで見た流れだと思ったら、クレティトがこんなんでした。こんなんが好きみたいです。