五条の嫁   作:ただのコマチ

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どうも。
おにまいの方はまったく更新しないままこっちだけ進んでしまうコマチです。

あ、先日特殊フォントのやり方を知りました。
既に投稿している話も一部使って変えてみたりしています。



朱莉の『過去の話』

 

 

 

 

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五条朱莉の『生得領域(心の中)

そこには、色の抜け落ちた荒野が広がっている。

…いや、広がって“いた”という方が正しいだろう。

荒野の中心部…心の中心からは、鮮やかな緑が芽生え荒野に広がり始めていた。五条悟…五条朱莉を救い出し、己が嫁とした男。その存在によって朱莉の心は、まだ少ないが鮮やかな彩りを持ち始めた。

 

…もうひとつ、五条悟によってもたらされた変化がある。

荒野の中…そこには炎が点在し、広がっていた。

その炎は荒野の中に広がり始めた緑を燃やすなどと無粋なことはせず、むしろ共にあろうと寄り添うような様子を見せている。

炎の中心、ちょうど心の中心と重なる位置では、炎が玉座の形を形どっていた。

五条朱莉…いや、五条朱莉の姿をした『     』は玉座に悠然と座り、この生得領域の主である五条朱莉を見据えていた。

 

 

 

 

 

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 1990年3月14日

 

 

賀茂の血筋の分家のひとつで、とある赤子は生を受けた。

父親は賀茂の人間であり、赤子に興味を持っていなかった。父親にとっては他の妻の子が家督の継承権を持つ男児であり、相伝の術式『赤血操術』を受け継いでいたことの方が重要であった。

その赤子の母は赤子を産んだ後、呪力が不自然に底をつき、命までも削られ亡くなった。

 

赤子の母も同じく名を持たなかった。

赤子の一族は代々賀茂家に嫁ぎ、名を持たない子を産んだ。その一族は特殊な家系。呪術界における表舞台に立ったことはなく、賀茂家においても知る者は限られる。

情報が秘匿されていることに加えて、その一族は長くとも二七を数えるまでに死んでいるからだ。

 

 

 

 

 

一族には代々伝わる呪物が存在している。

 

十拳剣「天之尾羽張

 

この呪物には莫大な呪力が宿り、ひとつの術式が刻まれている。

その術式効果は『神降』。

この剣で一族の赤子の右胸に決められた傷を付けることで、その赤子は我の魂の欠片を宿す。

たとえ欠片といえども、我の力は人間の身に宿すには大きすぎる。

故に短命。

 

その赤子も同様であった。

 

 

 

 

 

同様の筈であった。

 

傷を付けた後、天之尾羽張の術式は消滅し、残っていた呪力のすべてが赤子の身に流れ込んだ。おそらく、赤子の生得術式が関わっているのだろう。

人の身に術式を宿し、死後は呪力を回収、蓄積する。何世代にも渡り蓄積され混じり合った呪力は、天之尾羽張の術式に干渉し不具合を起こした。

 

その赤子には欠片ではなく我そのものが宿った。

 

『神降』

正しくその通りであった。

我は、運命に呪われた子を無為に殺したくはない。

我は赤子の意識と混じり合うまでに希薄なものとなり、赤子が死ぬと同時に世を離れることとなった。

あまりにも強大な力。それは赤子の体を蝕み、一八まで生きることも難しいほどに命を削っていった。

 

 

 

そして、赤子の生得術式には我の術式が上書きされた。

赤子は無尽蔵に生まれ続ける呪力を持った。

一度に出力できる呪力には限度があるものの、呪術師としての能力は現代…いや、過去から見ても最高と言えるほどに恵まれていた。

 

しかし、赤子は運命に恵まれなかった。

 

呪力は我の術式に流れ込み出力されず、相伝の術式を持たなかったが故に立場は最底辺であった。

悪辣な環境に身を置きながらも赤子は成長し、日々命を擦り減らしていく。

我が混じり合っている。それは赤子の生命力を人間の平均を大きく上回るものにした。

下手に生命力があるが故に、娘の命の灯火は弱々しくも燃え続ける。

そんな日々が一五年続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

転機は訪れた。

 

 

 

 

 2005年9月19日

 

 

五条悟が賀茂家を訪れた。

 

賀茂家主催の園遊会…俗に言う『婚活』というものである。

五条悟はきまぐれで会場を抜け出し、成長し娘となった赤子に出会った。

 

薄れに薄れた意思で、我は五条悟に娘の生得術式を使った。娘も、五条悟も気づくことはなかった。

 

 

 

五条悟は娘に名を与えた。

娘の日々に彩りを与えた。

 

五条悟は娘に愛を注ぐ。

我の正体を暴こうとする。

 

 

我を娘から引き剥がそうとする。

 

 

 

 

己が、己こそが、我の復活の原因だというのに。

 

我が、我こそが、娘の生命線となっているというのに。

 

 

 

 

あの日以来、我は娘と五条悟との仲には一切関与をしていない。

 

我は、人間の行末で悦に浸る趣向は無い。

だがこの時だけは、五条悟と娘の行末を見たくなった。

2人が出会ったというただそれだけ。それだけが娘を彩った。切掛は我が与えたとはいえ、何物にも染まらなかった娘が染まったのだ。

 

 

ただ、それだけのことだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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五条朱莉の困惑する心情を他所に、神世から現世に降り立ちひとりの娘に宿った神は微笑う。

娘の運命の歯車が動き始めたことに。

 

 

 

 

 

 

産まれたその時実の母を殺し、そして実の父に殺された神は憂う。

自身の器となった娘の行く末を。

 

 

 

 

 

 

親からの愛を知らぬ神は娘を愛している。

自らに注がれることのなかった親の愛情を娘に注ぐ。

 

 

 

 

 

 

火之夜藝速男神カグツチは悩む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『(どうやって延命したものか……)』

 

 

娘が短命であり、悟×朱莉がずっとは見られないことに。

 

火之夜藝速男神ことカグツチは、悟×朱莉強火オタクとなっていた。

その姿はまさしく、愛娘の恋愛を応援するタイプの父親であった。

 

 

 





※本小説に登場するカグツチは一部神話を元にしていますが、性格、能力値などはほとんど想像です。本当はもっと強いかもしれないし、もしかしたらクソザコかもしれません。こんなに優しいかも分かりません。
ご了承を。

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