五条の嫁   作:ただのコマチ

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どうも。
…ここからキャラ崩壊とかキャラのブレが目立ち始めます。


すべてはここから始まったー2

 

疲れ、くたびれ、限界を迎えた身体に響いた言葉は予想だにしないものだった。

 

「こいつ、今から俺の嫁ね」

 

「………ぇ?」

「あ、順番逆だったわ。お前、名前は?」

「…ぁ…ぇと……」

ひとりだけ落ち着いた長身の男、当主様の言葉から察するに五条家の…当主様であろう。

あまりにも横暴。だが、私にとってそれは今まで差し伸べられたことのない、たったひとつの救いの手であった。名前を答えられたなら、その名前を呼んでもらえたのなら、どれだけ幸せだっただろうか。

 

「…今一度お考えを…その下女には名前もありませぬ!」

 

そう、私には名前がない。物心ついたときには術式によって価値が決められていた。私に価値なんて無い…いや、『価値が無い』という価値さえ烏滸がましい程の扱いだった。

「その様な者を嫁入りなどさせれば、両家の名に…」

そうだ…その通りだった。学はほとんどないが、その程度のことは言われていた。私は、この家を出ることも、逆らうこともできず、命を枯らしていくのだ。そんな日々に名前なんて必要無かった。

……後にも先にも、今ほど名前なんて当たり前のものを、これほどまでに望んだことはないだろう

「……ぅ、あ、の…」

 

「黙れよ」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

『名前がない』…そんなことがあるのだろうか。

価値のないものは価値がない…この家はそんな考えを異常なほどに徹底している。

 

それがなんだ。

それがどうした。

価値がないのは、『お前らにとって』だけの話だ。

俺はもう、こいつの料理に価値を見出している。

今はまだそれだけしかないが、これから作ればいい。

本当に自分らしくもないと思う。

だが、言わずにはいられなかった。

変えようのない事実を受け止め俯いた女を、名前のない俺の嫁を、ただ守ってやりたくなった。

 

「黙れよ」

 

驚いた様に目を見開いてこちらを見つめる嫁の顔を見やる。

 

「こいつは俺の嫁だ。誰がなんと言おうと」

 

「俺はこいつの料理が美味くて好きになった」

 

「だからこいつを嫁にする」

 

…でも、少しだけ、いつか必ず幸せにしたいとも思った。

 

「…んじゃ、いこうぜ」

「ふぇぅ⁉︎」

呆然とするジジイを無視し、嫁を横抱きにして歩き出す。思えば初めてまともな大きさの声を聞いた。初めてが悲鳴って…

あと、こいつめちゃくちゃ軽い。最低限の重さしかない感じだ。まじで今までどんな生活してたんだ…

「えっ、ぁ、あのっ、まだ仕事がっ」

「え?ここの?」

「…はい…終わらせ、ないと……」

目を背ける嫁の手は小刻みに震えていて、『仕事を終わらせない』ことを恐れている様に見えた。

「…だいじょぶだろ。お前もうここで仕事しなくていいんだぜ?」

「……ぇ?」

「言ったろ?今日からお前は俺の嫁。ひでぇ仕事なんてさせねぇよ」

 

「…もう…しなくていいんですか…?」

「そうだ」

燻んだ目に、一筋の光が宿る。

 

「……休んでも…いいんですか…?」

「もちろん」

目が潤み、喉から小さく嗚咽が漏れ出す。

初めて鮮やかな表情を見た。

…何故か目が離せなかった。

 

「…美味しいもの……おなかいっぱい…っ……食べてもいいんですか…」

遂には決壊し、大粒の涙が溢れ出した。

今まで流せなかった分を流す様に、今までの辛さを洗い流す様に、涙が流れる。

「…ああ、腹一杯食わせてやるさ」

「…ぅっ、ぁ……ぅうぁあ…」

こいつが今までどんな生活をしてきたか、俺には分からない。眼で視て推測することしかできない。

 

「…これから、よろしくな」

「……はいっ…」

 

今の俺にはまだ、こいつを抱きしめてやるしかできないのが、何故だか少しもどかしかった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

初めてのことだった。

 

誰かが自分のために怒ってくれたことも、

誰かに料理を褒められたのも、

誰かに抱かれたのも、

誰かから優しい言葉をかけられたのも、

誰かに休んでいいと言われたのも、

誰かが優しく抱きしめてくれたことも、

誰かが優しく頭を撫でてくれたことも、

人肌に触れて怖さを感じなかったのも、

 

誰かの前で、嬉しくて涙を流したのも。

 

 

……

 

 

意識が戻り、眼を覚ます。

いつの間にか、眠っていたらしい……

仕事は、

「ひっ‼︎」

終わっていない。途中で眠ってしまった。

また…また……

 

「お、起きた」

声のする方を見ると、そこには綺麗な女の人がいた。タバコ?を吸ってるし…多分、大人の人…手入れのされた茶髪はサラサラで、優しげな目元によく似合っていた。

「いきなり悟が女の子連れてきたのはびびったよー。ねぇ君、結構ぼろぼろだったけど…」

そう言って、女の人は手を伸ばしてくる。

 

『お前は、一族の恥なんだ。生かされていることすら幸運だぞ!』

『なぜこんな事もできない!なぜそこまで無能なのだ!』

 

記憶が蘇る。伸ばされた手は私の伸びたままの髪を掴み引きずり、殴り叩く…怖いモノ…

「…ぃゃッ…」

「あれ、起きてんじゃん」

 

聞き覚えのある声が聞こえて、柔らかな安堵が胸の内に広がる。

あの時はよく見えなかったが、今ならよく見える。

跳ねた艶のある白髪に、引き込まれそうなほど黒いサングラス。細身の身体は背が高く、もうすぐで戸と同じ高さになりそうな…

…私の、恩人様。

「ぁ、あ、の…」

上手く言葉がでない。

身体が熱い。顔が熱を持つのが分かる。

今までに感じたことがない気持ちが溢れて止まらない。

サングラスがずれて目が見えた。

青空の様に透き通った、とても綺麗な目だった。

なんでか分からなかったけど、目が離せなかった。

「…ぇと…その、あの…」

 

 

こういう時…何を伝えたらいいんだろう…

 

 

「あの子どしたの?めっちゃ赤くなってるけど」

「かわいいでしょ?」

「…そうだけどさ、あの子、何者なの?」

「え?俺の嫁」

「……は?」

「俺さ、婚活パーティー行くって言ったじゃん?そこで見つけた」

「………は?」

「あれ、聞こえなかった?」

「いや、聞こえたうえで言ってる」

「…だから、あいつは俺の嫁で…」

「やあ悟、ずいぶん早いじゃ…ない……か…………誰だいその娘」

「やっぱりそうなるよね」

「かわいいだろ?俺の嫁!」

「……は?」

 

…どんどん増えてく…ただ、ひとつ分かったことがある。

恩人様…その、だ、旦那様の名前は「悟」らしい。

よ、呼び方合ってるのかな…?

そ、その…け、けっ、結婚も…するんだよね…

だ、旦那様は…もう、あんなことしなくていいって言ってくれた、けど……私に、できることなんて……他に…

 

「…まあ、その娘の素性は置いておくとしよう…」

「結局さー、その娘どうすんの?囲うの?」

「んー…俺としては料理作ってほしいだけだし…安全なのがいいけど…自由にもさしてやりたいしなー…」

((…こいつ、こんなやつだったっけ…))

「…いっそ高専に通わせるか」

「戦えるのかい?」

「分かんね」

「一応賀茂家なんだし、素質はあるんじゃない?」

「んー、本人に聞くか」

 

「ねえ」

「ひゃいっ!」

考え事をしていると、突然かけられた声に驚いてしまった。いつの間にか下を向いていた顔を上げるとだ、旦那様と先程話していたふたりが並んでいた。

……全員すっごく美人…

「めっちゃびびってんじゃん」

「…悟、君ほんとに何したんだい?」

「何もしてねぇよ!」

「ぇ…ぁ、の…なん、でしょう…か……」

「…お前、呪術高専入らね?」

「……え?」

突然かけられた言葉に理解が追いつかない。

じゅじゅつ、こうせん?

「…はぁ、それじゃあ伝わらないだろ、悟」

「君、今は家無しなんでしょ?だったら私たちがいる呪術高専、学校に入らないかーって話」

学校…学校⁉︎

「わ、私、勉強したことないですよ⁉︎」

「……本当に?」

「勉強なら悟が教えればいいじゃないか」

「え?」

「あー、確かに。悟意外と勉強できるもんね」

「当たり前だろ?意外ってなんだよ」

「え?…え?」

「というわけで……えーっと…そうか、名前が無いんだったね」

「…えっと……はい…」

「どうすんの?名前ないと不便じゃない?」

「うーん……俺らで決めよう!」

「…え?」

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

「というわけで、第一回、『俺の嫁の名前選手権』〜!」

 

「…集めた理由これ⁉︎」←歌姫

「私に金を払ってまでこれかい?」←冥冥

「…なるほど、事情は分かった。他ならない教え子の結婚だ…婿が五条というのは癪だがな」←夜蛾

 

「まーまー。こいつが俺の嫁!かわいいだろ?」

 

「…ェッ、カッカワ…⁉︎……あっ、どうも…」

「なんて綺麗なお辞儀……そうとういいとこの…」

「…ぁっ…」

「歌姫、こいつの実家の話禁止ね」

「……分かったわ」

「で?悟、私たちはこの紙にその娘の名前を考えて書けばいいんだね」

「そそ!もちろん俺も考える」

「最終的には本人が決めるってのでいいんだよね?」

「ぁ…はい、そう、らしいです」

「苗字は?」

「五条でいいんじゃない?」

「まあそうだろうね」

 

「てなわけでー…スタートォ‼︎」

 

 

……

 

 

「…全員、書いた様だね」

「んじゃあ俺から!」←悟

 

『五条 S・L・Q』

 

「いや何これ⁉︎」

「…これは大喜利じゃないんだよ?」

「…ちなみになんて読むんだい?」

「え?『Super・Lovely・Queen』だけど?」

「却下!」

「なんだと⁉︎本人に聞いて」

「…ぅ……ぐすっ…」

「「「「「「泣いてる⁉︎」」」」」」

「いえ…本当に、グスッ、名前をつけて…もらえるんだなって……ッ」

「…悟」

「…ごめん」

 

「じゃーあたしー」←硝子

 

五条 家入 裕子』

 

「おい硝子…なに人の嫁をサラッとモノにしてんだよ」

「えー、だってかわいいし、悟に嫁がせるにはもったいない」

「「確かに」」

「おい!却下だ却下!」

 

「…次は私が行こう」←夜蛾

 

『明莉』

 

「…これからが明るくなる様にな」

「先生…」

 

「じゃあ冥さんは…」

「書いてないよ。書いて欲しいなら別料金さ」

「…この銭ゲバ…」

「…私もだ。短い時間じゃ思いつかなくてね」

「ん。大丈夫、考えただけマシ」

 

「…最後は私ね…」

「歌姫さん…頼みましたよ」

「…プレッシャーかけないでちょうだい……実はね…

 

『五条 朱里』

 

「…夜蛾さんと被ったの!」

「…いいじゃん」

「何で読むの。あかり?しゅり?」

「それが…決まってなくて…」

 

「…ぁ、あの!」

「どうした?」

「あ…あか、り…が、良いです…この字と、この字で…」

 

 『朱莉』

 

「…理由を聞いても?」

「その…あ、あんまり、カクカクしてるのは……い、嫌…なん、です…」

「あー…そっか」

「(悟、あとで理由を教えろよ…?)…決まりだね。よろしく頼むよ、朱莉ちゃん」

「あ、ずりーぞ!俺が最初に呼びたかったのに!」

「なんなのそのこだわり…」

「だって俺の嫁だし」

 

 

「…それじゃあ、ようこそ、朱莉。呪術高専へ!」

「…はい!」




朱莉ちゃんの術式、予想できますか?(ここまでノーヒント)

メモ
私が考える『夏油さんを死なせないために』
1.星漿体、天内理子の生存
2.呪霊操術の孤独感の解消
3.羂索を祓う・撃退する

どんな話が欲しい?

  • 五条×オリ主のいちゃいちゃ
  • 戦闘シーン
  • オリ主の高専生活
  • オリ主と高専の人々の絡み
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