…ここからキャラ崩壊とかキャラのブレが目立ち始めます。
疲れ、くたびれ、限界を迎えた身体に響いた言葉は予想だにしないものだった。
「こいつ、今から俺の嫁ね」
「………ぇ?」
「あ、順番逆だったわ。お前、名前は?」
「…ぁ…ぇと……」
ひとりだけ落ち着いた長身の男、当主様の言葉から察するに五条家の…当主様であろう。
あまりにも横暴。だが、私にとってそれは今まで差し伸べられたことのない、たったひとつの救いの手であった。名前を答えられたなら、その名前を呼んでもらえたのなら、どれだけ幸せだっただろうか。
「…今一度お考えを…その下女には名前もありませぬ!」
そう、私には名前がない。物心ついたときには術式によって価値が決められていた。私に価値なんて無い…いや、『価値が無い』という価値さえ烏滸がましい程の扱いだった。
「その様な者を嫁入りなどさせれば、両家の名に…」
そうだ…その通りだった。学はほとんどないが、その程度のことは言われていた。私は、この家を出ることも、逆らうこともできず、命を枯らしていくのだ。そんな日々に名前なんて必要無かった。
……後にも先にも、今ほど名前なんて当たり前のものを、これほどまでに望んだことはないだろう
「……ぅ、あ、の…」
「黙れよ」
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『名前がない』…そんなことがあるのだろうか。
価値のないものは価値がない…この家はそんな考えを異常なほどに徹底している。
それがなんだ。
それがどうした。
価値がないのは、『お前らにとって』だけの話だ。
俺はもう、こいつの料理に価値を見出している。
今はまだそれだけしかないが、これから作ればいい。
本当に自分らしくもないと思う。
だが、言わずにはいられなかった。
変えようのない事実を受け止め俯いた女を、名前のない俺の嫁を、ただ守ってやりたくなった。
「黙れよ」
驚いた様に目を見開いてこちらを見つめる嫁の顔を見やる。
「こいつは俺の嫁だ。誰がなんと言おうと」
「俺はこいつの料理が美味くて好きになった」
「だからこいつを嫁にする」
…でも、少しだけ、いつか必ず幸せにしたいとも思った。
「…んじゃ、いこうぜ」
「ふぇぅ⁉︎」
呆然とするジジイを無視し、嫁を横抱きにして歩き出す。思えば初めてまともな大きさの声を聞いた。初めてが悲鳴って…
あと、こいつめちゃくちゃ軽い。最低限の重さしかない感じだ。まじで今までどんな生活してたんだ…
「えっ、ぁ、あのっ、まだ仕事がっ」
「え?ここの?」
「…はい…終わらせ、ないと……」
目を背ける嫁の手は小刻みに震えていて、『仕事を終わらせない』ことを恐れている様に見えた。
「…だいじょぶだろ。お前もうここで仕事しなくていいんだぜ?」
「……ぇ?」
「言ったろ?今日からお前は俺の嫁。ひでぇ仕事なんてさせねぇよ」
「…もう…しなくていいんですか…?」
「そうだ」
燻んだ目に、一筋の光が宿る。
「……休んでも…いいんですか…?」
「もちろん」
目が潤み、喉から小さく嗚咽が漏れ出す。
初めて鮮やかな表情を見た。
…何故か目が離せなかった。
「…美味しいもの……おなかいっぱい…っ……食べてもいいんですか…」
遂には決壊し、大粒の涙が溢れ出した。
今まで流せなかった分を流す様に、今までの辛さを洗い流す様に、涙が流れる。
「…ああ、腹一杯食わせてやるさ」
「…ぅっ、ぁ……ぅうぁあ…」
こいつが今までどんな生活をしてきたか、俺には分からない。眼で視て推測することしかできない。
「…これから、よろしくな」
「……はいっ…」
今の俺にはまだ、こいつを抱きしめてやるしかできないのが、何故だか少しもどかしかった。
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初めてのことだった。
誰かが自分のために怒ってくれたことも、
誰かに料理を褒められたのも、
誰かに抱かれたのも、
誰かから優しい言葉をかけられたのも、
誰かに休んでいいと言われたのも、
誰かが優しく抱きしめてくれたことも、
誰かが優しく頭を撫でてくれたことも、
人肌に触れて怖さを感じなかったのも、
誰かの前で、嬉しくて涙を流したのも。
……
意識が戻り、眼を覚ます。
いつの間にか、眠っていたらしい……
仕事は、
「ひっ‼︎」
終わっていない。途中で眠ってしまった。
また…また……
「お、起きた」
声のする方を見ると、そこには綺麗な女の人がいた。タバコ?を吸ってるし…多分、大人の人…手入れのされた茶髪はサラサラで、優しげな目元によく似合っていた。
「いきなり悟が女の子連れてきたのはびびったよー。ねぇ君、結構ぼろぼろだったけど…」
そう言って、女の人は手を伸ばしてくる。
『お前は、一族の恥なんだ。生かされていることすら幸運だぞ!』
『なぜこんな事もできない!なぜそこまで無能なのだ!』
記憶が蘇る。伸ばされた手は私の伸びたままの髪を掴み引きずり、殴り叩く…怖いモノ…
「…ぃゃッ…」
「あれ、起きてんじゃん」
聞き覚えのある声が聞こえて、柔らかな安堵が胸の内に広がる。
あの時はよく見えなかったが、今ならよく見える。
跳ねた艶のある白髪に、引き込まれそうなほど黒いサングラス。細身の身体は背が高く、もうすぐで戸と同じ高さになりそうな…
…私の、恩人様。
「ぁ、あ、の…」
上手く言葉がでない。
身体が熱い。顔が熱を持つのが分かる。
今までに感じたことがない気持ちが溢れて止まらない。
サングラスがずれて目が見えた。
青空の様に透き通った、とても綺麗な目だった。
なんでか分からなかったけど、目が離せなかった。
「…ぇと…その、あの…」
こういう時…何を伝えたらいいんだろう…
「あの子どしたの?めっちゃ赤くなってるけど」
「かわいいでしょ?」
「…そうだけどさ、あの子、何者なの?」
「え?俺の嫁」
「……は?」
「俺さ、婚活パーティー行くって言ったじゃん?そこで見つけた」
「………は?」
「あれ、聞こえなかった?」
「いや、聞こえたうえで言ってる」
「…だから、あいつは俺の嫁で…」
「やあ悟、ずいぶん早いじゃ…ない……か…………誰だいその娘」
「やっぱりそうなるよね」
「かわいいだろ?俺の嫁!」
「……は?」
…どんどん増えてく…ただ、ひとつ分かったことがある。
恩人様…その、だ、旦那様の名前は「悟」らしい。
よ、呼び方合ってるのかな…?
そ、その…け、けっ、結婚も…するんだよね…
だ、旦那様は…もう、あんなことしなくていいって言ってくれた、けど……私に、できることなんて……他に…
「…まあ、その娘の素性は置いておくとしよう…」
「結局さー、その娘どうすんの?囲うの?」
「んー…俺としては料理作ってほしいだけだし…安全なのがいいけど…自由にもさしてやりたいしなー…」
((…こいつ、こんなやつだったっけ…))
「…いっそ高専に通わせるか」
「戦えるのかい?」
「分かんね」
「一応賀茂家なんだし、素質はあるんじゃない?」
「んー、本人に聞くか」
「ねえ」
「ひゃいっ!」
考え事をしていると、突然かけられた声に驚いてしまった。いつの間にか下を向いていた顔を上げるとだ、旦那様と先程話していたふたりが並んでいた。
……全員すっごく美人…
「めっちゃびびってんじゃん」
「…悟、君ほんとに何したんだい?」
「何もしてねぇよ!」
「ぇ…ぁ、の…なん、でしょう…か……」
「…お前、呪術高専入らね?」
「……え?」
突然かけられた言葉に理解が追いつかない。
じゅじゅつ、こうせん?
「…はぁ、それじゃあ伝わらないだろ、悟」
「君、今は家無しなんでしょ?だったら私たちがいる呪術高専、学校に入らないかーって話」
学校…学校⁉︎
「わ、私、勉強したことないですよ⁉︎」
「……本当に?」
「勉強なら悟が教えればいいじゃないか」
「え?」
「あー、確かに。悟意外と勉強できるもんね」
「当たり前だろ?意外ってなんだよ」
「え?…え?」
「というわけで……えーっと…そうか、名前が無いんだったね」
「…えっと……はい…」
「どうすんの?名前ないと不便じゃない?」
「うーん……俺らで決めよう!」
「…え?」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「というわけで、第一回、『俺の嫁の名前選手権』〜!」
「…集めた理由これ⁉︎」←歌姫
「私に金を払ってまでこれかい?」←冥冥
「…なるほど、事情は分かった。他ならない教え子の結婚だ…婿が五条というのは癪だがな」←夜蛾
「まーまー。こいつが俺の嫁!かわいいだろ?」
「…ェッ、カッカワ…⁉︎……あっ、どうも…」
「なんて綺麗なお辞儀……そうとういいとこの…」
「…ぁっ…」
「歌姫、こいつの実家の話禁止ね」
「……分かったわ」
「で?悟、私たちはこの紙にその娘の名前を考えて書けばいいんだね」
「そそ!もちろん俺も考える」
「最終的には本人が決めるってのでいいんだよね?」
「ぁ…はい、そう、らしいです」
「苗字は?」
「五条でいいんじゃない?」
「まあそうだろうね」
「てなわけでー…スタートォ‼︎」
……
「…全員、書いた様だね」
「んじゃあ俺から!」←悟
『五条 S・L・Q』
「いや何これ⁉︎」
「…これは大喜利じゃないんだよ?」
「…ちなみになんて読むんだい?」
「え?『Super・Lovely・Queen』だけど?」
「却下!」
「なんだと⁉︎本人に聞いて」
「…ぅ……ぐすっ…」
「「「「「「泣いてる⁉︎」」」」」」
「いえ…本当に、グスッ、名前をつけて…もらえるんだなって……ッ」
「…悟」
「…ごめん」
「じゃーあたしー」←硝子
『 五条 家入 裕子』
「おい硝子…なに人の嫁をサラッとモノにしてんだよ」
「えー、だってかわいいし、悟に嫁がせるにはもったいない」
「「確かに」」
「おい!却下だ却下!」
「…次は私が行こう」←夜蛾
『明莉』
「…これからが明るくなる様にな」
「先生…」
「じゃあ冥さんは…」
「書いてないよ。書いて欲しいなら別料金さ」
「…この銭ゲバ…」
「…私もだ。短い時間じゃ思いつかなくてね」
「ん。大丈夫、考えただけマシ」
「…最後は私ね…」
「歌姫さん…頼みましたよ」
「…プレッシャーかけないでちょうだい……実はね…
『五条 朱里』
「…夜蛾さんと被ったの!」
「…いいじゃん」
「何で読むの。あかり?しゅり?」
「それが…決まってなくて…」
「…ぁ、あの!」
「どうした?」
「あ…あか、り…が、良いです…この字と、この字で…」
『朱莉』
「…理由を聞いても?」
「その…あ、あんまり、カクカクしてるのは……い、嫌…なん、です…」
「あー…そっか」
「(悟、あとで理由を教えろよ…?)…決まりだね。よろしく頼むよ、朱莉ちゃん」
「あ、ずりーぞ!俺が最初に呼びたかったのに!」
「なんなのそのこだわり…」
「だって俺の嫁だし」
「…それじゃあ、ようこそ、朱莉。呪術高専へ!」
「…はい!」
朱莉ちゃんの術式、予想できますか?(ここまでノーヒント)
メモ
私が考える『夏油さんを死なせないために』
1.星漿体、天内理子の生存
2.呪霊操術の孤独感の解消
3.羂索を祓う・撃退する
どんな話が欲しい?
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五条×オリ主のいちゃいちゃ
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戦闘シーン
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オリ主の高専生活
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オリ主と高専の人々の絡み