――デスピアとの戦いからしばらく、大地はもう間もなく開かれる
これは、その最初の一閃を解き放つ物語

ずっと支えてくれていた姉を自分のせいで失って以来、エクレシアはアルバスを始めとした仲間たちと気まずい関係となっていた。

腫れ物扱いの日々を過ごしていた彼女の元に、ある噂がやってくる。
「先の戦争の英雄、シュライグが野菜泥棒をしている」
新たな大地を開くはずのリーダーへと舞い込んだ不審な噂でみんなが不安になっていた。

私が姉さまに変わって新たな大地を切り開く。
「もう、大丈夫」そう言ってもらいたいから――

1 / 1
来週のコミックマーケットでエクレシアを主人公とした烙印の小説本を配布します。
烙印のストーリーが完結してからその後のストーリーで、開かれし大地以降のストーリーへとつなげるような役割を果たす作品になります。

興味がある方は土曜日に「ユ-38b」へとお越しください。
お待ちしています。


旅立つあなたへ捧ぐ詩

 両方の手を前に出しながら、それと一緒に体を大きく起こして、汗まみれの体を何度も呼吸のせいで前後にさせてるのが数秒間続く。それで、やっとさっきまでのことが夢だったってことに気づいて。息が落ち着いた所で自分のおでこに手の平をくっつける。

 

 数秒間髪の毛の上に指のお腹だけをくっつけてる状態でいた後に、そこから離して、自分の手のひらを見つめる。

 

 でも、その様子は何も変わることなんかない。ただ、ちょっとだけ折り曲がったままになってるせいで、そこの奥側がより影が濃くなっている様子を見てたら、そこを膝の上に落っことしながら強くため息を吐く。

 

 勢いよく頭を落っことしたせいかもだけど、髪の毛も一緒に落っこちてた。

 

「……姉さま」

 

 外はもう明るいはずだけど、私だけがいる部屋は窓が一つしかないせいで薄暗いまま。そして、そっちから入ってくる光がこっちのベッドには入ってこないみたいだから、私の寝間着の様子も、膝の上でしわをいっぱい作ってるブランケットの所も、全部薄暗い影に覆われてるままだった。

 

 少しだけ上瞼を落っことした状態で目尻も同じ方向にもってく。そうしてる間、呼吸も自分の意識じゃ全然わかんないまま、左手の指の所に力も入れないでそこをくっつけてるだけ。外からは、鳥が鳴いてる音だったり、羽を羽ばたかせるみたいに動かしてる音だったりが聞こえてた。

 

 

 

 急にドアがノックされた音が聞こえてきたのと一緒に顔を下に向けてたのから起こして、視線をまっすぐにそっちへと向けちゃう。小さく口を開けながらそこから呼吸が出たり入ったりしてるのを感じながら、ブランケットに覆われてた膝とそれの外側にある腕の両方を使って、自分の上半身に思い切り近づけるみたいにしてた。

 

 そのまま静止してる私に対して、そっちからも二回叩かれる音が聞こえたのに、その後は何も聞こえない。こっちがほんのちょっとだけ声を出そうとした瞬間、向こうからそれを覆い被せる感じの声がしてた。

 

「エクレシア、いるか……?」

 

 向こうからするアルバスの声のせいで、ブランケットを持ったままの手を持ち上げて、それを肩に近づける感じにしながら、ほんのちょっとだけ言葉に全くならない声を出しちゃう。続けて、下の唇を押し付けるみたいにしてたのもあって、数秒間経ってから私はそれに返事をする。

 

 すぐに体を滑らせるような勢いでベッドから滑り降りたら、一緒に「ちょっと待っててください」って大きめな声で言って。それと同時進行でブランケットを空中で一気にふわっと持ち上げることでベッドメイキングをしながら、それがちゃんとベッドの上に落っこちたのを確認してから、床の上で滑る低い音をさせながら椅子に座った。

 

 その勢いのせいで体が反対側の方へと傾いちゃいそうで、両手を椅子の裏側にくっつけながら体の向きを整えて、背筋を出来るだけピンとさせつつ椅子の向きをドアへと変える。

 

 何度かほんのちょっとの声を出しながら、ちょっとだけ体を前のめりに。ドアの向こうにいるアルバスの声を聞きながらそっちの方を見てたら、またもう一回お尻を後ろにスライドしながら背筋をまっすぐにして。斜め下に向けてるみたいな腕の角度も同じくして、少しだけ力を入れて握りこぶしを太ももに押し付けた。

 

「ごめんなさい、さっき起きたばっかりで……」

 

 アルバスが体を斜めにして左側の胸元より上の辺りだけ私の方へ見せて来るのと一緒に出した私の声は、いつも以上に早口で出ちゃって。それのせいで、少しだけ体を前のめりにしながら顔を下に向ける。

 

 でも、すぐにそれを起こしたら、顔事視線を横に向けて、そこから目だけを下に落っことしながら、声も同じ感じになってた。続けて、しばらく髪の毛を手で上下に弄ってたけど、それを辞めたら勢いよくまた相手の方をまっすぐに向いて。

 

 目をちょっとだけ大きくしたら、顔をちょっとだけ傾けつつ口元だけで小さく笑う。でも、その小刻みに出してたのも数回やったら止まっちゃいそうで。一回だけ息を吐きながら視線をまたさっきと同じ方に向けた。

 

「そうか……」

 

 溜めない息を吐く音と混ぜ合わせる感じで話してたアルバスは、一歩ずつ足を進める角度を変えながらこっちの部屋に入ってきてて。背中と手のひら側をドアにくっつけながら瞼を下ろしてる。

 

 向こうが私とは反対側に視線を落っことしてるのを顔はそのままに、目だけでちらちら見るだけにして。太ももの上に乗っけてた両方の手をだんだんと近づけて、両方ともお股の前くらいの位置に持ってきてる。

 

 口にちょっとだけ力を入れながらそっちを見てたら、急にアルバスの方から視線をこっちに向けて。それと一緒に私は小さく声を出しながら目と口を開けちゃった。

 

「えっと、なんだ……」

 

 片方だけ手を出しながらちょっと大きめの鋭い声を出すアルバスだけど、それは最初の一言だけ。続けて出てきたのはちょっと小さめのになってた。さらに、視線を小さく上下に動かしてる指の方へと向けて。それからも言葉にならない声を伸ばしながら出してた。

 

 でも、それも数秒間だけにして、勢いよく顔の向きを戻したら、それと一緒に一気に大きな声を出してた。

 

「そうだ、俺、先に飯、行ってるから……」

 

 少し早口目に音を切りながら出してるそれを聞いてたら、私もまた背筋をピンと伸ばす感じのまますぐに返事をしちゃってた。

 

「あっ、はい。大丈夫です。私も着替えたら行きますね」

 

 私の言葉が終わるとほぼ同時に体を翻したアルバスはすぐに「じゃっ、じゃあ……」とだけ言って背中を私の方に向けて。カニ歩きみたいに体を横に一歩だけ動かしてからまた似た感じで足を廊下に出して。それからドアを閉めてた。

 

 部屋の中に、自分一人だけ取り残されたら、視線を斜め上に向けて。息を強く吐こうとしたらドアの向こうから先にその音が聞こえてきて。鼻からゆっくりと吐きながら眉と肩を落っことしちゃった。

 

 力を入れずに脇を締めながら口を小さくしてるけど、視界の中にあるのは薄暗い木材で出来てる床だったり家具だったりの様子しかない。そんな中で私は息を吸うのと一緒にちょっとだけ頭と肩を持ち上げるみたいに。一方で、重なりかけてた指の所をちょっとだけ絡めつつそこを見ないようにしてた。

 

 そのまま、外で人が歩くみたいな音だったり話してる声だけが聞こえてる中でいるつもりだったのに、急に外で壁をドンって叩くみたいな音が聞こえて、そっちの方にまた視線を持っていかれちゃった。

 

「おっす! 朝からお楽しみみたいだな」

 

 アルバスのよりも全然低くて、語尾を強く強調しつつ、お腹の中から出てるみたいなテオさんの声は確かに私の方にも聞こえて来てて。私の指に入ってた力もちょっとだけになってた。唇を閉じながら、ただまっすぐにちょっとだけ籠った感じの声がドアの向こうから聞こえて来てるのを待ってる。

 

 顎を自分の体に近づける角度に勝手に変わって。さらに、自分の人差し指同士が重なってるだけになってたのがいつのまにか全部に変わってたけど、それと一緒に手の平までも全部くっつけてた。

 

「ちょっ、辞めてくださいよ、俺とエクレシアはそんなんじゃないっすから」

 

 言葉の抑揚を大きく付けながら、唾液が混じりそうな感じの声を出しているアルバスの声は一度話を切ろうとしたところの前で語尾を伸ばすようにしていて。ドアが叩かれたみたいな振動が私の部屋の方にも響き渡ってる。それに、その音が低く聞こえてるののせいで、私は頭が後ろに引っ張られたみたいになってるまま、一緒に眉だったり上唇だったりも一緒に持ち上がったはずなのに、気づけば目尻だけが落っこちてて。続けて他のも全部それに引っ張られちゃってた。

 

 その間も、テオさんはもちろんのこと、アルバスも声までもしっかり出す感じでそこにも抑揚を付けながら笑ってて。それは前者の方が一度ため息を付くまで続く。

 

「……まぁそれもそうか。お前はドラグマにいたころのあいつを知らなかったな」

 

「いや別に全然気にしてないですって。それより、早く飯にしましょう。俺なんか、腹減っちまいましたよ」

 

「だな! よっしゃ、今日も飯食ったらしっかり扱いてやるからな!」

 

 頭が前に出ちゃいそうだけど、それと一緒に斜め前に倒れる感じになってて。自分のスリッパを置いてきながらベッドの上で足を自分の方に持っていく。それと一緒に、二本の腕同士を足首の所で組み合わせる。続けて肩の辺りだけを使って体を前のめりにしちゃって。そのまま唇をただただ紡ぐだけになってた。

 

 でも、その間もだんだんと遠くなってく二人の笑い声は今も私の部屋の中にまで聞こえてて。それだけじゃなくて、キットだったり、他の人だったりに会いながら、そのたびに二人とも「おっす」とか「どうもっす」みたいな声を出してた。

 

 ただ、部屋の中に一人いるだけにしてる私は反対側の壁に近い側を出来るだけ首でぐるっと一周させる感じにすると、隅っこと壁に立てかけたままになってた姉さまの剣があって。そこに光も当たらないせいで、金色の装飾がそれを反射する様子もなく、ただ薄暗くそこに置いてあるだけになってた。

 

 

 

 何度も何度も怒鳴り声が壁の向こう側から聞こえて来てて。私もそっちの方に角から顔を見せる形で斜めに体を傾けつつ、小さく口を開けてる。ただ、その声が聞こえてる部屋の前ではアルバスとキットの二人がいて。前者は両手を組み合わせるまま私の方に背中を向けたままして。その横には肩を並べるみたいにしながらいる後者が反対側の腰に手を当てたままいた。

 

 そんな様子を見てる間、私はちょっとだけ鼻の下の所を広げる感じにしながら、下瞼もそっちに近づけて、壁のタイルになってるでこぼこの所に手を当ててる。

 

 そこで手を滑らせる感じにしてたら目同士を近づける感じで動かしちゃって。視線を壁がある方に向けてる間に、ハッとした勢いで体を回転させながら、私がいる壁の所に手の平と背中をくっつけた。

 

 息を口から数回して。それと一緒に視線をきょろきょろさせながら自分の手を胸元に持ってきて。肩の辺りを壁から離しちゃってたら、右側の握りこぶしを覆ってる左の指の中でも人差し指だけを小刻みに上下に動かして硬い関節の部分が何度も当たるのを感じる。

 

 その間、周囲を歩いてる人の声は聞こえて来てるけど、目の開けてる範囲は本当に狭くしてるのもあって、かなり視界はぼやけたままになってた。

 

 一度息を吐きながらまた体を翻して、来た道を戻ろうとした瞬間、急に大きな音が聞こえてきて。それのせいもあって私も一旦息を吸いこんじゃう。

 

 それから体の勢いを止めるために、小刻みに足を動かす範囲を小さくしてて。首だけを回しながら後ろの方を見る。

 

「俺はこの目でしっかりと見てた! シュライグはずっとベッドで寝てたんだぞ!」

 

 すごく大きくて低い声。それが聞こえてきたのに合わせて、私だけじゃなくて、辺りにいる人たちも一緒にそれに反応してるみたい。足を止めながらアルバスたちがいる廊下の方へと一線に視線をむけてる。

 

 ルガルさんの声が聞こえたその数秒後には、辺りから聞こえてる音が何もなくて。私もただ、顔を前に向けたままいるだけ。そうしてる間にも奥の方でアルバスとキットが話してる声が聞こえた瞬間、私もそっちの方にスライドして体を動かした。

 

 でも、そこに残ってたのは、ドアが開けっ放しになってるまま、その中から漏れてる部屋の光が縦に長い四角い光として、影で暗くなってる廊下を斜めに照らしてるだけ。暗い長方形で出来上がってる通路に入ってすらいない所で取り残された私は、片方の手だけを前に出したまま立ち止まってた。

 

 ただ、そのままいようとしたら、急に家具が大きく倒れる音みたいな低い音だったり、たくさんの人が何度も大きな声を出してるのが繰り返し聞こえだして、そのたびに私も肩と一緒に腕を大きく上に持ち上げながら目をつぶるみたいな動きをしちゃう。

 

 でも、向こうの動きは全然止まってくれなくて、ずっと何かと何かがぶつかってる音が廊下を何度も反響してこっちの方まで聞こえて来る。

 

 ただ、私は自分の人差し指を折り曲げた状態でおでこの所に付けたまま顔をちょっとだけ斜めに向ける。ただ、その手もそこにすらもいられないみたいで、もう片方のを自分の手首に当ててて。また大きな音がするたびに肩を上に持ち上げちゃう。

 

 でも、上目遣いに今は誰もいない方の道を見てたら、そっちの方で一人の人が歩いて来てるのが見えてて。その人が道の反対側の壁に体を寄せながら、眉をひそめて小さく口を開けてるのに気づく。

 

 一方自分は、口を横に広げながら歯に力を入れて、目をつぶって両方の手にも同じく。喉が一瞬だけ音がなるのを聞いた。

 

「まぁ待て」

 

 足を一歩だけ踏み込んだ瞬間、いままで一度も声が聞こえてなかったシュライグさんの声が聞こえて。口を波みたいな形にしながら閉じてた。ただ、それだけじゃいられなくて、一度ため息を吐きしながら視線を下に向けて。両方の手で胸元とお腹の間くらいの服を握り締める。自分の肘を体にくっつけてるけど、手は握り締めたままにしてるのに対して、そこには力を入れないでいた。

 

「彼らの言い分もわかる。不安なのはみんな一緒なんだ」

 

 シュライグさんの声は今までの大きな怒鳴り声みたいなのとは全然違くて。ゆったりとしたような、あまり抑揚をつけない話し方をしてる。そして、その音は廊下の側から開いてるドアの斜め前の所で見てるこっちまで聞こえてるけど、反響することもない。

 

 ただ、そっちにいるその人は、片方の翼だけをまっすぐに立てたまま、パイプ椅子の背もたれに寄り掛かった状態で首を上に向けながらわずかに顔を横に傾けた状態でいて。辺りには倒れたままになってる椅子だったり机だったりが転がってる。

 

「でも、これからのあんたの役割を考えたら、こんな汚名、着せるわけにはいかないわよ」

 

 倒れてる椅子の上の一つを拾ったフェリジットさんの体の一部が一瞬だけドアから見えてるけど、それは頭に付いてる猫耳とそっちの方に落っこちてた椅子を拾おうとしてた手だけで。それが終わった後は足を組みながら座ったみたい。その上側に来てる足の先端だけがぶらぶら動いてる様子だけがこっちからは見えてた。

 

 一方、私は一瞬だけ持ち上げた顎の高さをまた元々と同じくらいの所に戻して。自分の体に両方の腕をくっつける感じのまま半歩ずつ進んでくことしか出来ない。

 

 ただ、そっちに進めば進むほどに、廊下の上の方に取り付けられてる灯りがどんどん明るくなってる気がして。それのせいで目が眩しくて開けてる範囲を縮めながら、胸元に当ててる両方の手に入れてる力をより強くした。

 

「何言ってるんだ」

 

 ため息を吐きながらシュライグさんが椅子を引っ張った音が聞こえて。その瞬間、また足を止めちゃいそうになるけど、それに続いた足取りが聞こえてきたのに気づいたら、すぐに両方の手を体から離して。

 

 勢いのままにそこを左右に振って走りだしたら、何度も息が溢れちゃうけど、それでも体を一切止めずに、顔を下に向けながら目が閉じそうになるのだけ何とか抑え込んでた。

 

 

 

 

 木箱がいっぱい重なってるのの影に隠れながら体育座りする感じでいる私の前にあるのは、錆がたくさん残っちゃってる剣が置いてあったり、先端の太くなってる所の一部が壊れちゃってるロッキーちゃんよりも大きいハンマーだったりがあったり。それ以外にも、破れた防弾ベストだったりゴミ袋だったりとかが無造作に置きっぱなしになってて。その中の一部は水にぬれたままになってるのまである。

 

 顔を横に向ける形でそれを見てる私は、小さく息を吸ったり吐いたりを繰り返してて目も上瞼を開けたままにしてて。両方の腕を膝と体の間に入れてたら自分の両方の握り締めた手を体に近づける形にしたままにしてた。

 

 そっちを見るのを辞めてからしばらくしたら、靴の裏側で少しだけ大きい石を前に転がしたりしてて。そのでこぼことしてる側面の尖ってくるのを味わってる。その間、私は両方の目尻を落っことしたまま、鼻から呼吸をしてるけど、その感覚は全くしない。

 

 ただ、そうしてたのを早々に辞めたのは、私がいる場所からだと遠く聞こえてるくらいの声で、さっきシュライグさんがいた部屋からしてたのと同じ人たちが「これでわかるはずだぜ、あいつが絶対野菜泥棒だってな」とか「違いねぇ」って言いながら大きな笑い声をあげてるのが聞こえて来た時。

 

 ちょっとだけ靴の裏の石に転がされそうになるけど、すぐに膝をついて。一番山のてっぺんになってる木箱に手を当てながら、顔をちょっとだけ斜めに伸ばしながらそっちの様子を見る。

 歩いてってる人たちが跡にしてる場所には、古くなっちゃって、いくつもの場所で皮が剥がれそうになってる小屋があって。それを見てたら、口の両端にえくぼを作りながら唇に力を入れて。私の背中側にある建物の影にその人達が消えていくのを確認。

 

 それから、背中を折り曲げて前のめりになった状態で手をちょっとだけ前に出しながら壁伝いに歩いて行く。続けて、首を伸ばしながら顎を傾けて、おじさんたちが私の方に背中を向けたら、私も体の向きを変える。

 

 ベニヤ板と窓だけで作られてるみたいな小屋以外にあるのは、ひび割れた地面と遠くの方に見えてる不規則に岩が積み上がってる丘くらい。そっちの方に体をちょっとだけ前のめりにして進んで行ったら、後ろの方にある建物たちに私の足音が響いちゃいそうで。振り返ったら、復興がどんどん進んでテントだけじゃなくて新しい板で作られた仮設住宅や、石だったりレンガで作られた家まであるみたい。ただ、首だけをひっくり返しながらそっちの方を見てたけど、すぐに正面を見て小屋のすぐそばまで行っていた。

 

 

 

 両方の手で姉さまの剣の持ち手と鞘を持ったまま、残りの足を折り曲げてまっすぐ上に伸ばすみたいにして。そのまま私は自分の顎を体に近づけたままただただまっすぐに前を見てる。さらに、上の唇を下のにくっつけながら、それで引っ張る感じで眉をひそめて、目を細くしてる。

 

 私の背中側にある街の方から聞こえて来る人たちの声は、もういつの間にか聞こえなくなってて。たまに何か物音が聞こえて来るのは、ほんの数秒に一度小さく風が砂を揺らしてるくらい。

 

 そんな中で、ふと、顔をほんのちょっとだけ上に向けたくなる瞬間があって。ずっとそれで入れてたはずの力が抜けちゃうのを感じながら、小さくため息を吐く。ただ、自分の体に当ててる姉さまの剣が、両方の肘や体から離れてて。ただ向こうの方で輝いてる星たちを眺めてる私がそれに気づいたら、すぐにちょっとだけ慌てて顔の向きを正面に戻す。

 

 それと一緒に一瞬だけ剣が中で揺れたみたいで、鉄同士がぶつかり合うみたいな音を味わう。続けて、それを自分の腰の辺りに乗っけてみたら、それで自分の体のお肉がへこんでて、自然と視線も斜め下の方に向かってるのに気づいて。すぐにまた同じ方向に戻した。

 

「エクレシア、お前……まだ、寝ないのか?」

 

 後ろから聞こえたアルバスの声。それを聞いた瞬間、一瞬だけ体が上に持ち上がっちゃうみたいになって。お尻を滑らせながら体の向きを変える。それだけじゃなく、小刻みに言葉になってない声を早口目に出しちゃいながら、自分の体の上に剣を完全に置いちゃって両方の手を相手に向けるみたいになってた。

 

 ただ、剣の重みが体に全部乗っかってくる瞬間、息と一緒に低い声が出そうになっちゃって。すぐにそれを持ち直したら、ちょっとだけ声を出して笑う。さらに、それも終わると、頬を前に出しながら上瞼を落っことして小さく鼻から息を出してた。

 

「……もうちょっと頑張ろうと思います」

 

 私が地面に座ったままでいるのに対して、アルバスは今も自分の腰の上に片方の手を乗っけたまま、両方の唇に力を入れてただただそこに立ってるだけ。こっちもそれに声をかけようとしたけど、それで出たのはまた仕事に戻ることだけで。向こうもねぎらいの返事を出しているだけ。

 

 また二人の息遣いだけに周囲が支配されてるせいもあって、こっちは剣を膝と上半身と両手で出来るだけ包み込む感じにしてた。

 

 ただ、そのままいようとしたら、急にまたあのジェット噴射の音が聞こえてきて。それと一緒に息を吸い込みながら目を開けて。顔を上に向ける。その状態のまま素早く立ち上がって体を何度も足元でくるくるさせて、視界で見えてる範囲を幾度も変えてた。

 

 気づけば、私の元々見てた方とは逆の方、廃屋が完全に闇の色と溶け合ってる方からまっすぐに赤色の線を伸ばしているのが見えてる。濃い色をしてる先端がどんどん伸びて行ってて、もう片方の先端が闇の中に紛れていってる光景を見てる間、ほんのちょっとだけ肩で息をしてるけど、落っことしたタイミングで脇に強く力を入れた。

 

「待て、俺も行く!」

 

 頭を前のめりにするような勢いのまま背中に剣を背負い直す。さらに、岩山を降り始める私に対して、すぐに駆けてくるアルバスの足元が見えてた。でも、それから離れてく感じで、来た時とは逆の要領で足と手を岩肌にかけているし、私はすぐに視線をそっちへとむけてた。

 

「大丈夫です、これは、私がやるんです」

 

「一人じゃ危険だ!」

 

「でも、アルバスは私のこと、一人で助けに来てくれたじゃないですか!」

 

 向こうが少し大きめに出してたのに対して、私もそれよりも大きな声ですぐに反論。おでこをそれと一緒に岩肌のすぐそばの辺りに持っていくし、それに合わせて目元を相当狭くさせてるのもあって、視界は相当に見えにくい。ただ、茶色い岩肌が夜の闇の中に支配されてる様子だけが映りこんでた。でも、それも私が言葉と一緒に顔を振り回すみたいにしてるせいで、ずっとその細かいでこぼこですらもめまぐるしく変化。

 

 一方で、アルバスの方は私の声に対してほんのちょっとだけ呼吸の詰まってるみたいな音を聞かせてるくらいで。それに続けて足元の砂が擦れてるのが聞こえて来たら、私もすぐに下に視線を向けながら岩肌を降りて行ってた。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。