あまりに有慈悲なハニトラを   作:かりん2022

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迷える子羊かわいい(脳死三回目)

「夏油は昼でも使えるし良いよな」

「私は吉国と一緒がいい」

「あーもう夏油! 愛い奴! 愛い奴!」

 

 わしゃわしゃっと頭を撫でる吉国と、キャキャっと笑う夏油。

 男子高校生である。

 

「はいはい、仲がいいのはいい事だね。夜しか異能使えないってどういうこと?」

「そのまんまだけど」

「帷の下ならどう?」

「???」

「試してみよっか」

 

 校庭に帷を下ろすと、おおーと学生達が反応する。

 

 茶髪の少し軽薄そうな少年、吉国は銃を撃つような構えをした後、確かに火を出した。

 

「呪力そのものを燃やしている……? 無限越しでも触れるのは嫌かな」

 

 下手したら無限ごと燃やされかねないと危惧する。やはり術式は見えなかった。

 

 一際キャピキャピとした女の子、清水 朗実は怪力を示し、高城は特にできることがないので見学。ミニマムサイズの式神ぽちは特にできることがあるようにも見えない。式神の意味とは。

 

 最後に、夏油が硝子に許可をもらって抱きついた。

 

 硝子の目の隈が消えていく。

 

「これクセになるな。気持ちいい。あ?」

「あんま無理すんなよ、夏油! あー」

 

 夏油は縮んでしまった。

 

「おっと大丈夫? 傑」

「夜の間に食事すれば大丈夫」

「えっ 帷の下で食べないとダメってこと? 大変だね」

 

 ということで、食堂へ。

 

「お腹空いてなーい」

「わがまま言うな。食べさせてやるから」

 

 夏油が食事をして少しずつ成長するのを見届けていると、迎えが訪れた。

 

「迎えに来てやったぞ、ガキども」

「禪院せんせー!」

「せんせー」

 

 迎えに来たのは、金髪碧眼の禪院甚爾と五条少年であった。

 

「傑っ!!! 無事でよかった……! なあもういい加減転校しようぜ。俺と一緒に学校通おう」

「いやだ」

「甚爾が先生? 嘘だろ? しかもなんだよ、そのド派手な金髪? 術式あるし」

 

 セクシーオブセクシー。暴力的なまでの色香を備えた甚爾は、天与呪縛ではなかった。普通に呪力も術式も感じ取れる。呪力量は割と多い。

 そんな甚爾先生に、学生達はべっとりくっついて設置面積を少しでも大きくしようと四苦八苦していた。人気教師だな。むかつく。

 

「天与呪縛は放棄した。それより餓鬼ども、帰るぞ。ほら、歩きにくい。あとでまとめてハグしてやるから、今は動け」

「はーい」

 

 

 保護者の言葉に反対すべき言葉は見つからず、僕は彼らを見送る事になった。

 

 伊地知が、四辻学園のその後を調べ上げてくれたのはその後になった。

 見つかったのは吉国と西脇だけだったが。

 

「俺らの先生は、ノスフェラトゥだったんだよ。佐藤先生は吸血鬼。園部先生は淫魔。土屋先生は人食い狼って言えばいいのかな、あれ。深谷先生は、蜘蛛……かな。いつも治療してくれたけど、先生の部屋で繭見てーのに脳みそが浮かんでるのを見たことがある。土塊を操って人間ごっこすんだ」

「ああ、何もかも懐かしいな……」

「は?」

「キャリアってのは、先生達のイビルジーンを受け取って、化け物にならなずに人間のままでいられた奴の総称。四辻学園の生徒は、全員イビルジーンの適合者で、生きてさえいればイビルジーンを取り込んだ時キャリアになれた。あっ佐藤先生は別だけどな。佐藤先生は強力なイビルジーンを持ってたから、俺らでも噛まれれば吸血鬼になっちまう」

「じゃあ、傑は……!」

「襲われて一命を取り留めた、と言うよりは、無理やり受け継いだんじゃねーかな。深谷先生、人襲うタイプじゃねーし」

 

 そんな化け物達の元に帰してしまった。

 

 僕は悔いたが、三日後、彼らは普通に呪専に遊びに来ていた。

 

「未来の情報持って帰ったらお金持ちになれると思って。あと、俺ら、自分の未来に会いたい!」

「ああそう……」

 

 なお、西脇が見れる人間になっていた。

 えっ これって術師増やせるってこと?

 そうこうしているうちに、傑が襲撃に来ていた。

 今、立て込んでるんだけどな。

 

「あ、あれが私の未来? 可愛くない!!!」

「「「ほんとだ!!!」」」

 

 異変を察知して未来の自分を発見した傑は暴言を吐き、周りも同意する。

 

「驚いた、本当に私だ。それにしてもご挨拶だね。まあいい、君も私ならついておいで」

「あ、あの! 私を食べた人って、格好良かったですか? 誰ですか!? 佐藤先生? 禪院先生? 金髪になってないから、土屋先生ですか? 人間って美味しいですか?」

 

 傑は一体何を言っているんだ。

 

「??? 私は誰にも食べられてないよ?」

「でも、真希さんが私は100人以上の人間を食べたって」

「言ってねぇよ!100人以上殺したって言ったんだ」

 

 真希の言葉に、傑は納得できないようだった。

 

「食べるためでもないのになんで?」

「人間は食べないかな? あと、猿に生きる価値はないから殺したんだよ」

「そ、そんな! 私は将来イケメンノスフェラトゥに食われてノスフェラトゥになるって決めてたのに! 何が楽しくて生きてるんですか!?」「夏油くん、かわいそう〜!」

 

 そんな将来設計は捨てろ。

 

「傑、傑ちょっと待とうね」

「そもそも猿ってどう言うこと?」

 

 傑にブレーキをかけるが、彼は止まらない。止まって。

 

「猿は猿さ! 呪術師でない無知蒙昧なクズども!」

「吉国は? 吉国はどっち?」

「あー。厳密に言えば術師じゃないらしいし、猿じゃねーかな」

 

 吉国の言葉に、傑は勇気を振り絞って反抗した。これ、吉国が猿じゃないって言ったら受け入れてたわけ?

 

「よ、吉国を侮辱するなら戦うぞ! 吉国猿じゃないもん! あと、人間がいなくなると、食べるものがなくなって困っちゃうから未来のノスフェラトゥの私としては断固反対するー!!」

「うん。傑。あとで生活指導がっつり入れるからとりあえず黙って」

 

「悟。まさかとは思うけど、その明らかに頭の弱そうな私は呪霊側なのかい?」

「そうじゃない事を祈るけど」

 

 

 そうなんだろうなぁ。厳密には呪霊じゃなくてノスフェラトゥだけどね!

 

DARK EDGEをご存知ですか?

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