あまりに有慈悲なハニトラを   作:かりん2022

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ダークエッジの魅力をみんな知って欲しいので、頑張りました。


夏油様がスカウト前に通っていた学校が四辻学園だったら
夏油がダークエッジを経由していたら


 四辻学園。

 今日から、私が通う所だ。

 入学早々幽霊騒ぎでやらかしてしまい、転校する事になったのは失態だった。

 今度は失敗すまい。

 

 決意をして、職員室に向かう。

 そこには、この学校とは違う制服の子がいた。

 

「ああ、夏油くん。私は国語を担当する佐藤です。ようこそ。こちらはあなたと同じ転校生の高城 九郎くんです。高城くん、夏油 傑くんです」

 

 金髪の極めて美しい先生が、そう紹介してくれる。ちょっと目を見張ってしまう帆の美しさだ。それにどこか甘い匂い。男相手なのにドキドキしてしまうが、今は溶け込んでごく普通の学園生活を送る事が優先だ。

 

 紹介されたのは、おとなしそうな感じの少年だった。

 

「よろしく」

「よろしく」

「それでは、揃った事だし、教室に案内しましょう」

 

 先生は私達を案内しつつ、告げる。

 

「そうそう、教室に入る前にこれだけは言っておかなければ。我が校では日没以降の敷地内の立ち入りを禁じています。校則でしてね」

「「わかりました」」

 

教室に入ると、暴力騒ぎが起きていた。

 

先生の襟首を締め上げて、女生徒が荒ぶっている。髪を染めていて、パーマにツインテールの可愛い勝ちきそうな女の子だ。実際、担任の襟首を締め上げているのだから勝気じゃないならなんだっていう話だ。

 

「なんとかいいなってこのバカ担任! それとも生徒一人どーなってもいいわけ!?」

 

 どうやら、赤坂という女生徒の友人の岡本が行方不明らしい。

 

「残念ながら、学校としては生徒の行動にいちいち責任は持てないのですよ」

 

 穏やかに佐藤先生がいえば、女生徒はそれでも落ち着きはしたようだった。

 

「今日からあなた方のクラスメイトになる、高城くんと夏油くんです」

「五月に転入?」

「しかも二人」

「制服が違うから別々の高校だな。すごい偶然」

 

 そんな声を浴びながら、空いている席に座る。

 担任は宮田先生。どうやら、気が弱い先生なのだろうか。

 

 理科の授業で、先生はその行方不明の岡本を連れ立ってきた。

 お化けに攫われたのかと思い、調査が必要かと思っていたので良かった。また転校する羽目にはなりたくないしね。

 

 どうやら、伊勢という金髪の男子生徒の情報もプラスすると、岡本という女生徒は教師と一緒にいたらしい。それも三日間、無断外泊で。

 清水という女生徒が、土谷先生はあたしのなのにと大袈裟に泣く。半分冗談、半分本気のようだ。

 出欠率も高いようだし、髪を染めている率も高い。とんでもない学校に来てしまったな。

 

 

 一日を終えて、少し仲良くなる事ができた。

 西脇という子は大柄の男子で、メガネをしていて褐色の肌。

 それと仲がいいのが吉国で、髪を染めていて、若干不良っぽい男子生徒。

 伊勢という生徒は髪を染めており、音楽をやっていたらしく、容姿のいい男子生徒。

 清水はミーハーで髪を染めており、土屋先生が好き。女生徒。

 赤坂は髪を染めており、パーマのツインテールで岡本と親友。

 高城は同じ転校生。問題を起こしたわけではなく、お母さんが亡くなったのが理由の転校らしい。

 岡本は無口で、髪を染めている女生徒。可愛い子だけど、なんだか無表情だ。

 

「あたしに黙っていなくなるなんて、そんな事一度もなかったじゃん!」

 

 授業が終わり、変わる準備をしていると、赤坂が岡本に詰め寄っていた。

 可愛いのに、きつい性格だな。嫌いではないが。

 少し気になるが、目立つのを避けている身。

 帰ろう。

 

 岡本も立ち上がり、赤坂が追いかける。そこで机に足を取られ、転んだ。

 赤坂の腕が、そこに何もないかのように岡本の背を突き破り、腹から手が突き出す。

 

 赤坂は、ぺたんとしゃがみ込んだ。

 

 岡本の腹は、空洞だった。

 

 そこに残っていた、高城、伊勢、吉国、西脇、清水、そして赤坂は絶句する。

 赤坂は手を引き出し、自分の手を引き寄せて呆然としていた。

 

 そこに、遠山という女生徒が教室に入ってくる。

 

「遠山さん、い、今のみた?」

「それよりもう校門の閉じる時間だよ。門が閉じてしまったら、ここからはもう2度と出られないわよ」

 

 電気が消えて、ゴオンと腹に響くような音がする。

 門が閉じたのだろうか。

 

「じゃあね……さようならっ」

 

 高城が暗くなった事で怯えてしゃがみ込み、吉国が気遣う。

 伊勢が赤坂を立たせる。

 

 まるで、先ほどの事件が無かったかのように。目を逸らすように。

 

 私は、集中して呪力を高めていた。

 

 電気をつけようとして吉国が気づいて悲鳴を上げる。

 

 天井には、腹から「何か」を垂れさせながら、岡本が天井の角に引っ付くようにしていた。

 岡本はみんなに見えていた。

 人に見えるお化けなんて初めてだ。彼女は一体……

 

「お……岡本……?」

「面白くねーぞそれ……」

 

 呆然と赤坂と吉国がつぶやく。

 高城のポケットから声がして、高城がポケットに手を突っ込むと、小さな式神を出した。

 その間にも赤坂は岡本の腹から垂れ下がる「何か」に引きずられ、引き寄せられていく。

 

「やめて岡本。くるし……」

「あのね……あたしの内臓(中身)知らない……? どっか行っちゃったの……。お腹に穴が空いてて寂しいの……親友だったらくれるよね? 内臓(中身)……」

 

 

「ど……どうなってんだよ、これ……」

「赤坂さん、そいつから逃げろ、早く!」

 

 困惑する吉国、目を見開く伊勢、声を殺して泣く清水。叫ぶ高城。

 

「みんな、下がって! 赤坂さん、今助ける!」

 

 これは力を隠すだの言っている場合ではないだろう。

 

「でも……岡本が……」

「それが岡本かよ……?」

「それはどう見ても岡本さんではないよ、赤坂さん」

「どう見たって人間のわけねーだろ」

 

 赤坂が泣きながら言うのに、伊勢と私、吉国が言い募る。

 その言葉に赤坂が暴れる。

 

 私は呪霊を出した。同時に高城が赤坂を助けるべく走る。私もそれに続く。

 

 岡本は呪霊を確かに視認して迎撃した。

 

 こいつ、強い……!

 

 高城が岡本に攻撃されるのを呪霊で庇う。

 ちょっと強力な呪霊を出すと、岡本は逃げていった。

 沈黙する一同。

 

「俺は帰るぞ! 予備校もあるし!」

 

 西脇が走る。

 それをきっかけに、生徒たちは続々と逃げて脱出していく。

 

「私たちも逃げようか」

 

 廊下に出て、暗くて小さくなって震える高城の両手を、私と赤坂で繋いで校門に向かった。

 

 門の所に、吉国たちはいた。

 塀が高くて、門が閉まっていて、脱出出来ないらしい。

 

 そこに、清水が担任の宮田先生に追われて逃げてきた。

 

「いやあああああああ!」

「清水さん!」

「宮田先生! 大変なんだよ、警察呼んでくれ」

 

 吉国が前に出るが、その首を宮田先生が締める。

 私が吉国を庇って先生を蹴ると、その腕がちぎれた。

 

「きゃあああああああああああ!!」

「宮田のやつ、岡本と同じ匂いがした」

「あたし見たの! お墓から宮田が出てきたの……」

 

 そして、岡本と教師達が、武装して近寄ってくる。

 呪霊を出して壁にして、逃げる。

 

「みんな、塀に向かって走って!」

 

 苦労して取り込んだ呪霊達がどんどん数を減らしていく。

 1番塀に近かった伊勢を呪霊で持ち上げた。

 

「うわっ 体が浮いた!?」

「大丈夫、門の外に出すだけだから! みんなも急いで!?」

「転校生の背が高い方!?」

「夏油だ!」

 

そうして、私達は学校を脱出した。

 

「お前、いったいなんなんだよ、あの岡本とかはなんなんだよ!」

「私は霊能者ってやつだよ。でも、あんなの見た事ない」

「霊能者ぁ? 超能力者って感じだけど」

「先生を妨害してくれてたのも君か」

「そうだよ」

 

とにかく警察に訴えるという話になり、私は以前の学校で幽霊騒ぎを解決しようとして転校する羽目になった事を話して、私については黙っていてもらう事になった。

 

 

 

 帰宅後、心配する両親に順調だったと大嘘を吐き、服の汚れから喧嘩を指摘され、こんこんと説教をされ。罰として食器洗いをしてからゆっくりとお風呂に入り、ベッドに入る。

 

やれやれ、散々な一日だった。そのはずだ。……でも。

 

 私は、あの学校に、なぜだか強い魅力を感じてしまっていたのだった。

 どうして、こんなに胸が高鳴って、ワクワクするんだろう。

 私は本当にイカれているのかもしれないな。

 

 

 

 

 

『親友なら、くれるよね? 内臓(中身)……』

 

 岡本の夢を見て、パンツが汚れていた事に私は自分を疑った。

 岡本に惚れてしまったんだろうか? どこに惚れる要素があったんだよ。

 自分で自分がわからない。

 




マシュマロ
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