帝国の旗を掲げよ 作:ドイツ軍ファルマート大陸軍集団
へーヴェルら、ドイツからの使節団との謁見、そしてその後行われた、門の調査改ドイツ第三帝国の調査と繋ぎの交渉を行った、第10親衛騎士団エクェストリスの全兵士達への勲章授与を終えた後、ラインハルトは執務室へと妹であるリィズ、そして謁見の儀に出席していた閣僚や軍高官達の中でも、特に信頼しているもの達を厳選し、リィズがドイツから持ち帰った物を文字通り"見ていた"。
「な、なんとこれは…」
「空飛ぶ天馬と鉄の戦象、いや正式名称はヘリコプターと戦車だったな、なんと言う…」
「それにドイツ第三帝国の首都である、ベルリンでしたね…これ程の大都市は…見た事が無い」
白地の壁に映写されている、リィズがドイツ側の協力で撮影した、ツォッセンでの軍事演習を見たクラウゼビッツ騎士軍総司令官とグナウゼナウ中央軍参謀総長はドイツ軍の常識を超えた兵器の威力とその練度
そして同じく映像に記録されていたベルリンの街並み映像を見たミレーネ文化・思想卿は、その壮大な街並みを見て、思わずそう呟いた。
この場には、憲兵隊総監であるオーベルシュタイン司令官にアロイス外務卿など、多くのラインハルトの幼少期からの同志であり、忠臣である人物達がいたが、皆例外なく、映像を見て、門の奥にあるドイツ第三帝国と言う国の強大さを、いやと言うほど感じ、皆声も出なかった。
一方で、主席宮廷魔導士であるミーミルは目を輝かせ、まるで子供が初めて満点の星空を見たときの様な様子で、映像を見ていた。
「どうだった兄様、ドイツと言う国は?」
そして全ての映像を見終えると、リィズは映写機を止め、部屋に再び灯りを灯しそう、ラインハルトに聞いた。
「強大な街に、強力な兵器…そしてそれを扱う高い練度を有する兵士…何もかもが規格外だな」
映像で見た様々な物を見たラインハルトは、意外にも冷静な様子でそう言ったが、既に脳内では頭をフル回転させ、これからの外交やドイツとの関係…他にも様々な事を考えていた。
「正直、今だに理解が追いつかず映像と言う動かぬ証拠を見てもなお、信じられませんね…」
「確かに、だけど映像だけじゃ無いドイツ側から送られた挨拶の品からも、彼の国の力を感じられるね」
一方で、映像を見たミレーネはいまだにこの情報を処理しきれていないのか少し困惑し、一方でミーミルはそう言うと、先程の謁見の儀の際に挨拶の品として献上された様々な物を見ながらそう言った。
そこには、マイセン陶磁器の食器や芸術の域まで達している木彫りの鳩時計、ドイツやドイツが占領しているフランスから略奪して来たお酒や香水、そして何よりKar98kやStG-44、そしてまるで芸術品の様に装飾されたルガー拳銃などの、ドイツ製の武器など、様々な物が並べられていた。
「我が国で作られた新兵器である銃を、はるかに凌ぐ能力を持った銃、そして、ドイツの芸術的な特産品、これらからもドイツと言う国がいかに強大で、技術的にも文化的にも、我々の国を遥かに凌いでいる事が理解できる」
「確かに」
それを見たミーミルは銃を一つ一つ手に取り、時には試しに構えながら総評し、一方でミレーネは、マイセン陶磁器などの芸術的な食器や工芸品をじっと観察しながら、ドイツが自国や帝国すらも遥かに凌ぐ高い文化レベルを有する国である事を、否応なしに理解し始めていた。
「…グナイゼナウ、クラウゼビッツ将軍」
「「はっ!」」
そんな中ラインハルトはふと何を思ったのか、中央騎士軍参謀長であるグナイゼナウと騎士軍総司令官であるクラウゼビッツ、ヴィザンツィア騎士団国の軍事を司る二人を呼んだ。
「軍事の専門家として一応聞きたい、このドイツと言う国ともし戦争になったら、我が国はどうなるか?」
勿論、ラインハルトはその答えを知っていたが、あえて2人を試すようにそう質問をした。
すると、まずは騎士団国軍総司令官であるクラウゼビッツ将軍が話し出した。
「まず、門が彼の国の首都にあるとの事ですので、我が騎士団国の全予備役を投入した上で全軍を持って門に突入すれば、初戦はその物量故に優位に戦況を進める事も可能でしょう…」
「最初…推測で良い詳しいその期間は?」
「一週間〜いや三日持てば健闘と言えるでしょう。その後は、ドイツ軍の高火力で我が軍は全滅させられ、その後は、何も出来ず鏖殺されるのは目に見えております陛下。ついでに申し上げると、この予想は比較的楽観的に考えた場合であり、最悪の場合は、我が国は彼の国の首都、ベルリンに足を踏み入れる事なく、全滅させられる可能性が極めて大であると断言させていただきます」
結論から言うと、クラウゼビッツ将軍は、ドイツには勝てないとそうラインハルトに断言した。
「グナイゼナウ、君もそう思うか?」
「はい、例え我が軍の全ての兵士が精鋭である我が中央騎士軍レベルの練度に到達していたとしても、ドイツ軍相手に戦って勝てると言うのは無謀極まりない事でしょう。仮にドイツと戦って勝てると言う人間がいるとすれば、それは帝国のスパイか、楽観主義を超えた愚者であると断言します」
「ありがとうグナイゼナウ」
そしてラインハルトの腹心であるグナイゼナウ中央騎士軍参謀長も、クラウゼビッツ将軍の意見に賛同し、そう断言した。
一方で、2人の勝てないと言う意見を聞いたラインハルトは何処か安心した様子でそうグナイゼナウ将軍に礼を言うと、会議に参加する皆を見ながらこう言った。
「そう言う事だ、今の我が国ではたとえ逆立ちしようとも、ドイツと戦っても勝てない事は明らか、その事を念頭に置いて欲しい…だが、だからと言ってドイツの言いなりになる筋合いは無い」
ラインハルトはそう宣言すると一呼吸おき話を続けた。
「私の考えだが、彼の国とは、我が国内やファルマート大陸内の手付かずの資源や市場、そして大陸へ進出する際に重要な、この世界の情報などを武器に、ドイツとは対等な関係を保ちつつドイツから技術支援や武器の支援などを引き出し、国力と軍事力を高める事を第一としたい」
「なるほど、確かにそれはいい考えだ」
するとラインハルトのその言葉を聞いたアロイスはそう述べた。
「彼の国としては、我々がいるこの世界は魅力的な物が多くある、言わば宝の山と言っても良い。だが問題は、この世界の情報をドイツは全く知らないと言う点だろう…伝染病の種類、地理、海図などなど、どんな些細な情報ですら、彼の国と外交と言う鉄火を交わさない戦いにおいて強力な武器となるでしょう」
「その通りだアロイス。あとはその情報をちらつかせ、ドイツと我が国で互いに利益となる関係を続けてゆけば、我が国は今より発展し、数十年後にはドイツに追いつく事すらも不可能では無いだろう」
アロイスの意見を聞いた後、ラインハルトはそう言った。
「それと近い将来に、ドイツが盟主となっている大欧州帝国条約機構であったか、その同盟に我が国も参加するのも良いと考える」
さらには、ドイツが盟主となっている同盟にも参加したいとの旨もラインハルトは皆に話した。
「なるほど、私としては依存はありません」
「私も同意見です」
そしてそんなラインハルトの話を聞いた、グナイゼナウ参謀長とミレーネ少し考えたのちにそう言い、他の会議の参加者達もラインハルトの意見に同意した。
だが一方で、一つだけ問題があった
「問題は、ドイツ側のこの要求…安全上の理由の為、門がある我が騎士団国の北部辺境地域の割譲ですね…」
「そうだな…あんな土地、くれてやっても良いが…」
アロイスのその言葉にラインハルトはそう言い頭を捻った。
正直、北部辺境地域は国防上の理由として保有しているだけであり、あの土地を強力な軍隊を持った、自国の同盟国が保有し、守ってくれるのならば、ラインハルトとしてはすぐにでも割譲しても良いのだが、あの土地をかつて保有していたアルグナ王国との戦争で、もぎ取るためにヴィザンツィア騎士団国は大きな犠牲を払っていた。
その為、そこまでして手に入れた土地をただ渡すだけでは、国内の国民達や外国に対して面子が立たないのだ。
その為、どうするべきかそう考えた。
するとその時
「ねぇ、私に一つ考えがあるんだけど」
「どうしたリィズ?」
そんなラインハルトにリィズが話しかけ、そしてこう言った。
「北部辺境地域は割譲じゃなく貸す…つまり租借地と言う形を取れば内外にも説明がつくんじゃ無いのかな?」
「…成程」
そしてその意見を聞いたラインハルトはそう呟き、そして少し考えたところで。
「うむ、良い案だな…いいだろう、リィズの意見を採用して、交渉を進めよう」
「では、この件はその方向で話を進めよう」
そうラインハルトは決断し、その決断に対して外務卿であるアロイスはそう言いながら、今後の外交方針がまとめられたメモ帳に、この方針の事を記した。
その後もこの会議は続き、少しずつであったが、ドイツに対する外交方針などが決まって行った。
一方で
ドイツ第三帝国
首都:ベルリン・総統宮殿
ラインハルト達が、ドイツとの外交政策に関して話を進めている中、第三帝国の中枢であるベルリンの総統宮殿内にある、総統執務室においてもとある事が相談されていた。
「我が第三帝国と未知の世界がつながった…それは良い、しかし問題は世界と世界を繋ぐ門だ」
ヒトラーはベルリン市内の地図を広げ、その地図をじっと見つめながら悩む様な様子でそう言った。
「門の奥には手付かずの資源や市場が多くある…だが、問題は世界と世界を繋ぐ門…我が首都ベルリンの中心地にある。これでは資源開発や鉄道建設に必要な資材運びもままならん」
そう、それこそが今ヒトラーにとって最大の問題であった。
ベルリンは全ヨーロッパを征服した覇権国家である、ドイツ第三帝国の首都、当然交通量などは多く、正直建設資材の運搬だけでも一苦労である。
「せめて、門が開いたのがライン川の工業地帯や、デュッセルドルフなどの工業地帯であれば…」
「せっかくの宝の山を目の前に、口惜しいですな…」
軍需大臣のシュペーア、そして空軍総司令官のゲーリング国家元帥はヒトラーの心中を察した様子でそう言った。
「せめて、門を人工的にでも作れる技術があれば…」
そんな時、ふとヒムラーがそう呟いた。
だがその時…
「門…そういえば、あの門は…一部は人為的に作られた物であったな…」
突然はっとした様子でヒトラーはベルリンの地図から目を離し、そうヒムラーに聞いた。
「ええ確かに、国内の魔導士の手によって作られたと、あの会談でそうヴィザンツィア騎士団国の使者言っていま…」
「それだ!!」
すると思い出したかの様にそう語り出したヒムラーに、突如ヒトラーは大声でそう言った。
「彼らにはあの門に関する知識、そして何より魔法と言う我々には無い技術が存在している!ならば、我々の科学力と彼らの魔法技術、両方が組み合わす事ができれば、人工的にこの世界とかの世界を繋げられる門が作れるやも知れん!!」
ヒトラーは興奮した様子でそう言うとヒムラーの方を向きこう言った。
「ヒムラー、我が国は彼の国…ヴィザンツィア騎士団国と国交を結んだのち、彼の国から魔導士と呼ばれるテクノクラートを大量に誘致し、親衛隊の管轄下で魔法の研究を行う事を命じる、そして彼らの技術力と我がドイツの科学力を結集し、親衛隊の管轄下で、人工的な門の開通に関する研究を進めよ!後で正式に命令書を送るが、これは総統命令である!」
「畏まりました総統閣下」
ヒトラーの総統命令、それを聞いたヒムラーは、予算が増える事、そして何より総統閣下からの得点が稼げるかも知れない事に内心歓喜しながら、ナチス式敬礼をしながらそう言い、ヒトラーの総統命令を拝命した。