帝国の旗を掲げよ 作:ドイツ軍ファルマート大陸軍集団
総統宮殿前
そこにはドイツ軍の最高総司令部総長であるカイテル元帥を初め、空軍総司令官のゲーリング国家元帥、陸軍総司令官のマンシュタイン元帥、海軍総司令官のデーニッツ元帥、ドイツ国防軍国内軍などの、ドイツ国防軍の最高幹部
ハイドリヒSS上級大将、ヒムラー長官をはじめとした親衛隊の幹部
そして党官房のボルマン、宣伝大臣ゲッベルスなどのナチ党幹部
そして、ナチス・ドイツの最高指導者であるアドルフ・ヒトラー総統、所謂このヨーロッパを支配する第三帝国を支配する高官達が、皆一同に会し、ヴィザツィア騎士団国の指導者達を迎えようと待機していた。
すると
「来たな…」
広場の前に置かれている、国防軍総合司令部を通り抜け、ヴィザンツィア騎士団国の首脳陣を乗せた車列が、広場へと入った。
するとその瞬間、広場に面している旧国会議事堂前に整列する、軍楽隊が行進曲Kurassiermarsch, "Grosser Kurfurst"を演奏し、車列を迎えた。
そして演奏が響く中、総統宮殿前に車が停止すると、すぐさまドアマンの係であるSSの士官が、車のドアを開き、そしてゆっくりとラインハルト等、首脳陣達は車から降り、そしてその瞬間、ナチ党、SSの代表達は、皆一斉にナチス式敬礼を、国防軍の代表達は、通常の敬礼を行い、彼等を迎えた。
「ようこそラインハルト陛下、我がドイツへ。全てのアーリア人を代表して、歓迎いたします」
「初めましてヒトラー総統、本日は我々をお招きの上、このような歓迎をしていただき恐縮の極みです」
そしてヒトラーとラインハルトの二人は、互いにそう言うと固い握手をした。
その後も、ヒトラーとラインハルトは、軍楽隊の音楽が鳴り響く中、互いの軍・政の高官達と挨拶を交わすと、もう一度広間の方を向いた。
するとその瞬間、音楽が一時鳴り止み。
「Antreten! Stillgestanden!」
軍楽隊の指揮者の声だけが響くと、軍楽隊は再び背筋を伸ばし。
そして、指揮者が再び指揮棒でもあるバトンを掲げると、軍楽隊の兵士たちは再び演奏の準備をして。
「Marsch!」
その号令と共に、広場の中心へと、一糸乱れぬ行進と行進曲"プロイセンの栄光"を演奏と共に移動し始めた。
「何とも…良い行進曲ですな」
「我が国の行進曲、プロイセンの栄光です陛下」
「プロイセンの栄光か…不思議なものだ、貴国と我が国は世界すら違うのに、自然と貴国の行進曲は、我々の心に響く…」
名前の構成を始め、ドイツとヴィザンツィア騎士団国は、文化的な側面で多くの共通点を有している。
それが理由なのかは分からないが、ドイツ軍の軍楽隊が演奏する、このプロイセンの栄光は、彼らヴィザンツィア人にとって、何かシンパシーを感じる曲であった。
そして、そうしている間にも演奏は終わり続いて、ドイツ国歌であるドイツの歌、そして第二国歌として不動の地位を確立し、今では多くの式典で演奏されているナチ党の党歌、ホルストヴェッセルの歌"旗を高く掲げよ"が演奏された。
そしてドイツを代表する、二つの曲が演奏された後いよいよ
「いよいよ…次は、我が国の国歌か…」
次はいよいよ自国の国歌演奏が始まる番であり、ラインハルトを含め、ヴィザンツィア騎士団国の首脳陣達は、接触して間もない異世界の国が自国の国歌を演奏できるのか、少しだけ内心不安になっていた。
すると
「な…」
「これは…」
演奏が始まると、外務卿であるアロイスと文化・思想卿のミレーネは思わず感心した様子でそう呟いた。
何故なら、ドイツの軍楽隊が演奏する自国の国歌、騎士団の聖戦の演奏は、まさに完璧という言葉が相応しいほどの演奏であったからだ。
「しかし…ラインの守りが国歌とは…何とも不思議な国だ」
「全くですな…」
一方、ヴィザンツィア騎士団国の国歌演奏を聴いていた軍人の一人である、ドイツ陸軍国内予備軍司令官であるフェルディナント・シェルナー上級大将と、その部下である予備軍参謀総長のハインツ・ブラント少将は、自国で親しまれている軍歌が、今まで全くの接点がない異世界の国の国歌として使われている事に、思わずそう呟いた。
その後、演奏が終わるとラインハルト等、ヴィザンツィア騎士団国の面々は、ヒトラー等の案内の元、総統宮殿内部へと足を踏み入れた。
会議室
「ヒトラー閣下、改めて本日はこの様な機会を設けていただき感謝いたします」
「いえ陛下、我々も貴国と互いに平和的に話し合いができ嬉しく思います」
総統宮殿内へと足を踏み入れたラインハルト等は、早速ドイツとの国交とその条件である北部辺境地域のドイツへの割譲に関する外交の会議を始める事となり、まずはヴィザンツィア騎士団国総長であるラインハルトと第三帝国総統のヒトラーの、両国の指導者同士の握手と挨拶から始まった。
「全くです。今だから言わせていただきますが、実は門の向こうにある世界が貴国の様な文明的な国ではなく、野蛮な蛮族の国であれば、我が国を守る為、苦渋の決断ではありますが攻め込み戦争も覚悟しておりましたが、貴国がこうして話し合いが可能な極めて発展した文明的な国で本当に良かったと思います」
「それはそれは」
一見ただの会話に聞こえるこの会話でも、ラインハルトは"先に"ドイツを攻めていたかもしれないとも取れる発言をする事によって、ドイツ側の交渉のカードを一つ潰していた。
ドイツ側は、リィズ達ヴィザンツィア騎士団国の先遣隊が、ドイツへと赴いたのち、繋ぎの外交交渉を行う前にホテルで滞在していたさい、ゲシュタポにより部屋に取り付けられていた盗聴器によって、リィズが戦争も辞さない高圧的な内容の書簡を密かに始末していた事を知っており、今回の交渉においても場合によってはそのカードを切る予定であった。
しかしラインハルトは、リィズからホテルで、例の高圧的な書簡を処理した事を聞き、そして同時にドイツ側が、その書簡の内容を何かしらの方法で知っているのでは無いかと想定し、後で追求されるよりも、自ら進んでこの事を打ち明けるべきだと判断た。
(…ラインハルト・フォン・コンスタンティヌス…只者ではないな)
そして今回、この決断は完全に吉となり、交渉のカードを一つ封殺され、オブザーバー役としてこの交渉の場に出席を許可されたハイドリヒSS上級大将は、ラインハルトが若く美しいだけの、只者ではない事を理解した。
「さて、それではじめましょうか陛下」
「えぇ、この会議にて全てを決定させましょう」
そしてヒトラーとラインハルトは互いにそう言い席に座り、同時に両国の高官達も会議のテーブルに着いたところで、ドイツとヴィザンツィア騎士団国、互いに異なる世界に存在する国同士の、鉄火を交わさぬ、外交と言う戦争が始まった。
広間
総統宮殿の大広間には、すでにイタリア帝国統帥のムッソリーニやスペインのフランコ将軍をはじめとした、大欧州帝国条約機構加盟国首脳達や軍や政治の幹部達が集まり、談笑や情報交換などを行っていた。
そんな中、ヒトラーの案内の元総統宮殿内部へと足を踏み入れたラインハルトらヴィザンツィア騎士団国の首脳陣達は、門周辺の地域のドイツへの割譲とファルマート大陸へのドイツ軍の大部隊の駐留に関する交渉を行う為会議室へと行き、一方でリィズら第10親衛騎士団の面々は、会議が終わるまでの間、この大広間にて待機していた。
「どうなるのでしょうね」
「…分からない、だけど兄様には何か考えがある見たいだよ」
科学力も経済力も、あらゆる面でヴィザンツィア騎士団国を凌駕するドイツ第三帝国相手に自国の独立権並び、過度な内政不干渉を確約させつつ、ドイツから軍事、経済、産業面において支援を得る事が出来るか、ヴァルターとリィズの二人は、少し心配になっていた。
すると
「失礼、ヴィザンツィア騎士団国ですな?」
突然リィズらの前に、ドイツ軍とは明らかにデザインが異なる軍服を着用した、二人の男が現れた。
「おっと、自己紹介がまだでしたな、私はイタリア帝国統帥のベニート・ムッソリニーです、そしてこちらは…」
「スペイン総統のフランシス・フランコです、初めまして」
その二人の男とは、ドイツ率いる大欧州帝国条約機構において、ドイツに並ぶ発言力を有する、イタリア帝国とスペインを支配する独裁者である、ムッソリーニとフランコ将軍であった。
「イタリア、スペイン…成程、貴国の話は聞いております。第三帝国率いる軍事同盟において、ドイツに次ぐ発言力を有する大国であると」
「ご存じでしたか」
「えぇ勿論です、リィズ・フォン・コンスタンティヌスです、お会いできて光栄です」
「こちらこそ、今後ともよろしくお願いいたします殿下」
リィズとムッソリーニの二人は互いにそう言うと握手を交わした。
(やれやれ、私達もゆっくりする暇はないな…)
そして同時にリィズも、兄や自国の閣僚達が外交という銃器を使わない戦争を戦っている一方で、自分達もドイツとはまた違う国と、その様なら